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ファイナリスト CTOによるピッチコンテスト(金杉 優樹氏)(全1記事)

100%フルリモート組織で切り開く未来 1機能1エンジニア&海外との分業体制で効率的な開発を実現

CTOの秘める“知と熱”を解き放つ、唯一無二のピッチコンテスト「Startup CTO of the Year」。ここで登壇したのは、ミチビク株式会社・取締役CTOの金杉優樹氏。「経営を、あるべき姿へ導く。」というミッションを掲げる中での取り組みについて発表しました。

「経営を、あるべき姿へ導く。」をミッションに掲げる

司会者:ミチビク、取締役CTO、金杉優樹さまです。持ち時間は6分間です。さぁ、金杉さま。ご準備はよろしいでしょうか?

金杉優樹氏(以下、金杉):いや、ちょっと(笑)。

司会者:いきますよ(笑)。

金杉:はい、いきます(笑)。

司会者:それでは、お願いいたします。

金杉:「取締役会に革命を。100%フルリモート組織で切り開く未来」。ミチビク株式会社、取締役CTO、金杉優樹。

みなさんは、非効率な会議に苦しんだ経験はありますか? 取締役会には多くの非効率があります。上場企業の取締役会の運営はまだまだアナログで、多くの人と、多くの資料、多くのツールでやり取りをする必要があります。

1つの会社ならまだしも、グループ会社を含めた取締役会の運営は、複雑で煩雑です。「michibiku」を導入いただくことによって、1つのツールでグループ会社を含めた取締役会の運営を効率化いたします。

業務効率は、3分の1まで削減できます。取締役会の全過程を一気通貫でデジタル化します。「経営を、あるべき姿へ導く。」というミッションの下、多くの上場企業に導入していただき、中でもパソナさまは、グループ38社に一括導入していただいています。解約率は、脅威の0パーセントです。

セキュリティ向上のためにISMSを取得

これから3つの経営課題についてお話しします。

まずはセキュリティ。取締役会は、機密情報だらけです。例えば、「次の社長は誰にするか?」など、機密な情報が含まれています。

我々は、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)を取得することでセキュリティを高めました。バーチャルオフィス登記で、ローンチ前段階にCTOが責任者として取得することは非常にチャレンジングでした。

また、第三者の脆弱性診断で最高評価のA評価を獲得しています。セキュリティ専門家が不在の中、再診断、再々診断と何度も受け直し、A評価が取れるまで継続しました。

目玉機能には「ChatGPT」を活用

次は、機能についてです。CTOである私が、400以上の商談記録をすべてチェックして気づいたことは、一番のペインは議事録の作成であるということです。会社法に準拠しなければならない上に、役員からもレビューがあり、数時間におよぶ音声の書き起こしから議事録を作成しなければなりません。

我々が取ったアプローチは、「ChatGPT」の活用です。ビジネスサイドも含め、CTOである私がプロジェクトリーダーとなり、(スライドを示して)このような機能を作りました。

会議の録音データから音声を書き起こし、ワンクリックで会社法に準拠した議事録を自動で生成いたします。これは目玉の機能となり、自然流入が2倍になりました。CTO協会さまと(スライドを示して)このようなイベントも副次的に行うことができ、michibikuの認知度向上にも寄与しました。

ベトナムオフショアの活用で安定的なリリースを実現

最後は、開発についてです。michibikuでは、安定的に多くの機能を追加する必要があります。我々が取ったアプローチは、ベトナムオフショアの活用です。

一般的に、「オフショアは不安?」という声があるかもしれません。実際に大変でした。ドメインの理解が難しかったり、コードの質が低かったりといった課題がありました。

そのような課題に対して、CTO自らがすべてのオフショアのコードをレビューし、マインド面から変えていきました。「なぜこのコードじゃ駄目なのか」といったことを繰り返しディスカッションしました。その結果、半年も経つ頃には、うまく運用に乗るようになっていきました。

具体的には、(スライドを示して)このような分業体制を取っています。ドメイン知識が必要な機能に対しては、日本チームが密にコミュニケーションを取りながら実装。一方で、ドメイン知識が不要な機能に関しては、ベトナムチームが対応するといった分業体制を取ることにより、効率的な開発を実現しました。

また、独自のフルスタック開発戦略を持っていて、フロントエンド、バックエンド、インフラまで、1つの機能を1人のエンジニアが実装するという、1機能1エンジニアというコンセプトで高速な開発を進めています。

そのために、使用する技術はすべてTypeScriptに統一し、フロントエンド、バックエンド、インフラまですべてTypeScriptで書いています。

また、今の時代では当たり前かもしれませんが、開発生産性を上げるツールも導入しています。その結果、安定的なリリースを実現しました。

組織拡大のフェーズに向けた取り組み

これからは組織拡大のフェーズです。創業から2年半。CTOがなんでもやっていたフェーズから、人に任せるフェーズに入ります。すでに準備はできています。

私たちは、正社員、業務委託、オフショアの3本の柱でスケーラブルな組織を実現します。フルリモート組織の特徴である情報の透明性を基盤にして、今までお話ししてきた革命、安定、安全のバランスを取りながら開発を進めていきます。

そして、100パーセントフルリモート組織という特徴を活かし、ミチビクは、和製「GitLab」になります。すでに、雇用形態、性別、働く場所を問わず、多くの国々からmichibikuの開発に参加してくれている人たちがいます。

取締役会の効率化は、初めの1歩にすぎません。michibikuには、取締役会の質を向上させる分析プラットフォームも完備しています。会議の発話量を特定し、お飾りの取締役をあぶり出します。このような分析プラットフォームを通じて、取締役会の質を向上させます。

ミチビクには、大きな野望があります。すべての上場企業の取締役会をDX化し、日本の株価を10倍にする。ミチビクは、取締役会からアプローチすることによって日本を変えます。

以上で発表を終わりにいたします。ありがとうございました。

(会場拍手)

採用の基準は自分で開発したものをデプロイしているかどうか

司会者:ありがとうございました。それではこれより、質疑応答のお時間といたします。質問のある審査員のみなさま、挙手をお願いします。

それでは矢澤さま、お願いします。

矢澤麻里子氏(以下、矢澤):プレゼンテーション、ありがとうございました。すばらしかったです。1点、採用についておうかがいしたいです。こだわっているところや、採用の基準、最低限こういったところをしっかり見ていますみたいなところで、特徴的なものはありますか?

金杉:ありがとうございます。やはりフルスタックエンジニアというところにこだわっているので、自分で開発したものをデプロイして社会に出しているというところを採用基準にしています。そのアウトプットを見て採用するかどうかを決めていて、アウトプットを出していないですよという人は、ちょっとごめんなさいをしている感じです。

矢澤:ありがとうございます。

フルリモートのデメリットをどう解決するか?

司会者:ほかにはございますか? はい、竹内さま、お願いします。

竹内真氏(以下、竹内):ピッチ、ありがとうございます。2つ質問があります。

TypeScriptでフロントからバックまでという開発のかたちを作っている会社さんは最近いくつかあると思いますが、比較的採用に困っている会社さんもよく聞きます。グローバルでやられているという点で、多少状況は違うかもしれませんが、そのあたりにどういう問題があって、どう解決をされたのかをおうかがいしたいです。

あと、最初にフルリモートでというお話がありました。それ自体はそれとして、ただ、ここから組織化して大きくしていくというフェーズで、こういうデメリットが顕在化していて、こういうふうに解決しよう、もしくは解決手段がないけれども解決しなければならないと思っているところ。この2点について、教えてもらえますか?

金杉:ありがとうございます。1点目は採用についてですね。うちでは、リファラル採用が今のところ多くなっているので、自分が働いていたところで働いていた人の採用が多くなっているかなと思います。

あとは、もともと「Prisma」という技術をO/Rマッパーとして使っていて、そのアンバサダーも務めいて、けっこう記事も公開しているので、そこから「Prismaの金杉さんですか?」みたいなかたちでけっこう応募が来るので、まだ困っていない状況なんですけども。

これから組織を拡大しなければならないので、アウトプットをどんどんやっていこうかなと思っています。

2つ目は、フルリモートですよね。フルリモートは続けたいなと思っています。いろいろなCTOさまとお話しする中で、オフィス回帰の流れがあるなと思っています。

コロナでフルリモートにした会社は(オフィス出社に)戻しているという認識ですが、僕らは逆にフルリモートに振ることによって、採用の差別化をしたいと思っています。すでにシードの段階から、オフショアやフルリモートで、バーチャルオフィス登記という基盤がもう作ってあるので、そのまま拡大していきたいなと思っています。

ただ、実際にビジネスサイドのコミュニケーション面など、そういうものは実際に課題として今も挙がっています。ミーティングを増やさないというのがうちの会社の方針はありますが、「どこまでのラインだったらミーティングがあるほうが適切なのかな?」みたいなところを話し合いながら、今進めていっている状況です。

竹内:ありがとうございます。

司会者:ありがとうございます。

ベトナムオフショアのコードの質をどう改善したのか?

司会者:馬田さま、お願いします。

馬田隆明氏(以下、馬田):プレゼンテーションをありがとうございました。私からは2問、質問させていただければと思います。

1点目、コードレビューをすべてご自身でされてクオリティのアップに貢献されたということだったと思いますが、その経過といいますか、どういうフィードバックをして、どうやってクオリティのアップを根付かせていったのか。例えば規則化をやったとか、言語化したとか。そこをぜひおうかがいしたいなと思いました。

あと、もう1点目は、プレゼンとは少し離れてしまうかもしれませんが、10年後、あるいは「株価10倍に」していく時に、効率化を超えた「取締役会ってそもそもどうあるべきなんでしょう?」というのを、どうお考えになっているのか、ぜひお聞かせいただければと思いました。

金杉:ありがとうございます。1点目のご質問ですが、「中長期でメンテするんだよ」というところを中心にレビューしました。

やはり受託会社みたいなものなので、「その場で今あるバグを直せばいい」みたいなマインドになってしまっていたので、そこを「いや、僕らは10年後もこのサービスを絶対やりたいから、続けたい」みたいなところからどんどん変えていって、オフショアチームのCTOも入ってもらったり、レビューを考えました。

2点目の株価10倍とか、そういったアプローチですが、やはり今の効率化だけでは、日本の株価が上がるとは思っていないので、後半にお話しした分析プラットフォームで質を向上させる。

取締役協会や東証などにアプローチする中で、僕らがデファクトスタンダードだと。取締役会運営は、こうしていくことが一番効率が良い、一番質が上がるというところを作ってあげて、それをいろいろな会社に落としてあげる。そういったアプローチを今は検討しています。

司会者:それでは、お時間となりました。審査員のみなさま、ありがとうございました。

あらためて、発表された金杉さまに大きな拍手をお送りください。

(会場拍手)

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