2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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ジョー・ジャスティス氏:本日はありがとうございます。アジャイルハードウェアディロップメントとして、アジャイルをいかにハードウェア開発に適用していくかということを、今回お話しします。
私の経験ですが、マイクロソフトのビル・ゲイツや、スペースカンパニーやAmazonをやっているジェフ・ベゾスの下で働いたことがあります。また、テスラ、SpaceXの会社をしているイーロン・マスクの下で働いた経験があります。その経験を基にハードウェア開発について少しお話をしたいと思います。
今日は、私たちがしていることや教えていることを、テスラでのアジャイル文化を12ステップで紹介します。
その中には、予算編成も含まれています。通常会社は、予算の期間が1年かと思いますが、それをいかに短くするかということで、どういうふうにして短くアジャイル予算にしているかも含めて、12ステップで一つひとつ見ていきます。
この講義では、アジャイルをハードウェアにどうやって適用していくかということをやっているのですが、私たちが伝えたいことは、「アジャイルはソフトウェアだけのものではなく、そしてハードウェアのものだけでもないということ」です。
製造業や財務系、金融系、リーガル、法務、さまざまな部門においてアジャイルは使えることを伝え、そしてそれを広げていきたいというのが目的です。
私たちのコースでは、まずシンプルな「カンバンボード」を作り、12ステップのプログラムの進歩を確認していきます。(スライドを示して)テスラは新入社員のオリエンテーション4時間で社員文化を作り上げます。社員は、上司のフィードバックを待たずにすぐに自分で行動できるようにと言われます。
誰もが、イーロン・マスクを含め社内の誰にでも、いつでもコンタクトを取ることができます。ほとんどのコミュニケーションは、「iMessage」や「Signal」で行われ、eメールはほとんど使われません。
イーロン・マスクの会社では、社員同士がメールアドレスを知りません。その代わり、スピード重視で、こういったiMessageや、AndroidであればSignalなど、メッセージが暗号化されたアプリを使って、短く、そしてコンスタントに連絡が取れるようにしています。
(スライドを示して)多くの自動車会社は、2年から3年に1度、マイナーモデルチェンジのイベントを行い、製造を更新しています。テスラは毎日、1回以上マイナーモデルチェンジイベントを実施しています。
毎日、60個の新しい部品が生産導入され、販売されています。そして毎日61個以上の部品が削除されます。商品の総数は、毎日減少します。これらの商品には、エレクトロニクス、ソフトウェア、およびサプライヤーから提供された部品も含まれます。
通常、部品のチェンジにだいたい2年から7年かけていると思います。テスラでは、ヘッドライト、テールライト、あと充電口などを2日で変更します。2日で変更というのは、設計から製造、そしてテスト、リリースまで2日で行ってしまうということです。
テスラの「Model 3」や「Model Y」などの充電口は3時間でアップデートが行われます。そして、ソフトウェアや組み込みも含めて1日60個以上の新しい部品がリリースされます。この惑星の中で最速だと言えます。
(スライドを示して)ここまで来るのに2年かかっています。2006年に最初に始めた時は、2年のスプリントでやっていました。新しいやり方になり、スプリントの長さも短くなりました。リリースを頻繁にするのを2016年までやりました。
今、SpaceXは1スプリントを2日で行っています。ロケットエンジンの設計・構築・テスト・リリース・インストールまで、2日でやっています。
これは、砂の地面のこのテントで始まりました。きれいなオフィスではなく、このテントの中で、初日からメタルの研削や溶接など、ロケットの組み立てに集中しました。(スライドを示して)こういった文化が、製品を継続的に速く変化させる会社を作り上げました。(スライドを示して)こうすることでイノベーションが加速します。
多くの会社で予算サイクルは、だいたい1年以上ですが、そうすると、1年以内に大規模な予算の再配分を必要とするようなとても大きな変更はできません。
ウォーターフォールや1年以上の予算サイクルのプロジェクト、例えば、いったん決めたら変えられないような政府や、特に変更など必要ない退職間際の人のプロジェクトには有効ですが、1年以上の予算サイクルを持っているウォーターフォール型のプロジェクトのウィークポイントは、革新がとても遅いことですね。この予算構造では、1年未満の重要な革新が起こりにくいです。
スケールド・アジャイルでは、四半期ごとの予算立てを提案しています。ビッグルームプランニングということで、大きい部屋でやることを勧めており、さらに、企業が速やかにスクラムを導入することを提案しています。スクラムは、1スプリントを30日以内で実施するということなので、それに合わせるようなかたちでバジェット立てをするということです。
テスラはさらに進んでいて、スクラムを超えるリアルタイムバジェットというものをやっています。これは、ソフトウェアによって1分間ごとに予算を変えます。テスラでは、もうスクラムは使いません。テスラがやろうとしていることにスクラムは遅すぎて合わないのです。
スクラムは1週間に1度、もしくは1日に1度リリースするプロジェクトには合っていると思いますが、それ以上のリリースが発生すると、有用ではありません。
1年ぐらいの予算サイクルであったとしても、アジャイルを導入して、スクラムを30日以内で行い、予算も短くしていくことを推奨します。そして、確実に1日に一度以上リリースするようになった時点で、次の段階として、テスラがやっているような手法を使うことを推奨します。
テスラはモジュールを使っています。「ジャスティスの法則」というものがあり、それは製品のモジュールが会社の意思を決めるということです。
多くのチームは、お互いを待つことなく活動できます。ビル・ゲイツがその方法を教えてくれました。すべてのプロジェクトは、モジュールに分割されます。各モジュールはそれぞれのチームを持っていて、セントラルサービスを待つ行列を作るセントラルサービスチームを回避します。
(スライドを示して)ビル・ゲイツはプロジェクトをパラレルで同時進行で行うことにこだわっていました。なので、私が彼のチームのスクラムマスターだった頃、彼はミーティングに出ると必ず、このプロジェクト、作業はいかにパラレルで同時進行できるのかと聞いてきました。
モジュールに分けるとこのようになります。モジュール単位で分割していて、それぞれが独立したチームを持ち、お互いを待つことなく独立して作業を行います。そして最後に、ほかの部分との連携や統合のテストを行います。
(スライドを示して)「Model S Plaid」のバッテリーパックの図です。
この冷却水の出口と入口が互換性があるので、このモデルを変えたとしても、いつでも新しいものに更新できます。Web開発でも同様だと思いますが、アダプターをつけて、インプット・アウトプットに互換性を持たせれば新しいものがどんどん更新できます。モジュラー・アーキテクチャは、お互いを待つことなく数百のチームが並行して作業するのに有効です。
(スライドを示して)これがSpaceXのモジュラー・アーキテクチャです。それぞれのブースターとほかの部分のスピードが違うことがわかると思います。
それぞれのStarshipは異なっていて、スプリントを重ねるごとに速く、軽く、安くなるように進化しています。この図は、スプリント21までの図になっていますが、実際には27まで進んでいます。
ブースターは、まったく別のブースターチームがあります。
Starshipというのがロケットの本体で、ブースターのほうがプロジェクトのバージョンは遅いのですが、そこの互換性があるようにインプット・アウトプットをそのままにしてブースターも独自のチームで開発をしています。今バージョン7ということです。
(次回へつづく)
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