
2025.03.04
「見送り失注」の7割は、2年以に再検討の可能性あり 継続的な接点作りとアポ獲得につながるメールの極意
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那珂通雅氏(以下、那珂):だいたい時間にして45分間ぐらいになりますけれども、ざっくばらんなパネルディスカッションということで、進めていきたいと思います。
テーマは「2020年を振り返って」ということで進めていただきたいと思うんですけれども、時間も限られているので、その中で一応大きく3つのテーマでお話ししたいと思います。
1番目がいわゆる資金調達ですね。2020年のスタートアップ業界における資金調達といった面で、お話をできればと思っています。
それから2番目はビジネスモデル。このコロナでビジネスモデル等も大きく変わった。そういった事例なども含めてお話しできればと思っています。
最後に3点目は、特にこのfabbitの視聴者の方も非常に興味があるかと思うんですけれども、いわゆる働き方。たぶんスタートアップの会社もそうですし、今日は大企業の方でご視聴いただいている方も何人もいらっしゃると思いますけれども、これから働き方がどう変化していくのか。
そういった3つのテーマで話を進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、資金調達についてそれぞれお話しいただきたいと思うんですけれども、資金調達と言っても2つの観点があります。いわゆるスタートアップがVCなどからどれだけ調達できるかということもあれば、そのVC業界にどれだけお金が入ってきているかといったお話もあると思います。
まずは志水社長からその辺りをお話いただきたいんですけれども。先ほどの自己紹介で、今の日本のスタートアップのデータはほとんど志水さんのところから集めていろんなところに出されているということでしたけれども、1年間振り返ってみてどんな印象でしたでしょうか?
志水雄一郎氏(以下、志水):やはりコロナウイルスの影響は大きくてですね。本来であれば、2019年ぐらいに「アメリカの経済は2020年に必ずリセッションする」というのが見えていたので、ベンチャーキャピタルの業界は「もうこれは資金提供ができる格好の投資場だ」と捉えて、みなさん大型のファンドレイズにもう動かれていたんですよね。
ところが、これにコロナが合わせて来てしまったので、今、ベンチャーキャピタルのみなさまからすると、勝てるチームにより低い価値で投資ができることは事実なんですよね。バリュエーションが下がるということにおいて。
ただ、その上で今一番厳しいのは、やっぱり大企業が傾いているので、そこに紐づいたコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)は、今期の投資を減らしました。純投資のVCに関しては、おそらくデータを見ていても、大きく投資を下げたというデータはあまりないんですよ。
ですので、総額で見ると純投資は昨年対比で見て同じぐらいであろうと。ただし、CVCの投資が下がった分だけ、全体の投資額は下がっている、というのがたぶん今のマーケットの状況だと思います。
那珂:2019年がだいたい5,000億円ぐらいでしたよね。2020年は5,000億円に到達しそうな感じなんでしょうか?
志水:たぶんしないと思います。
那珂:しない。やっぱりCVCの分だけ減っているような感じになるんですね。
志水:はい。月次ベースでどこにいくら投資したかというのは、公開情報として入ってくるものに関しては全部データが取れるんですけど、そこで見ると、昨年対比で毎月30パーセント〜50パーセント下がったという月はけっこう多かったですね。
那珂:ありがとうございます。バタラさん、2020年は資金調達という観点から、どんな印象ありますでしょうか? バタラさんの場合は、日本と、それからアジア、東南アジアということだと思うんですけれども。
衛藤バタラ氏(以下、衛藤):現場だと、やっぱりバリュエーションがダウンラウンド(前回の増資時よりも株価が下回った状態で調達)している会社がいたりすることは感じました。
全体のデータを見ると、KPMG(世界4大監査法人のうちの1社)が、たぶんこの10月、11月ぐらいに出したデータがありまして。アジア全体になってしまうんですけれども、たぶんVCが投資した金額は、去年に比べて実際はそこまで差はないんですよ。ただし、ディールで見ると、アーリーステージの数はやっぱり減ってるんですね。
だから何が起きているかというと、おそらくベンチャーキャピタルはリスクを取りたくなくて、新しいディールにあまり投資せず、逆に自分が投資しているところに投資している。
コロナがあってけっこうビジネスも大変だったりするので、レスキューパッケージじゃないんですけど、そこにさらにお金を突っ込んでいるのかなと思っていまして。
あとは、バリュエーションが下がったんですけれども、調達金額は、さほど変わらないかなという感じがします。
那珂:そういう面で、本当にVCにとっては、けっこう2020年はいいチャンスの年だったという感じなんですかね。
衛藤:そうですよね。いい会社に低く入れるということですね。
那珂:北尾さんは、今年1年間を振り返ってみてどんな印象をお持ちでしょうか?
北尾崇氏(以下、北尾):ありがとうございます。僕らもちょうど年末なので、投資先社数、今年の新規がどれぐらいあったかを振り返っていたんですけど、うちは平均がだいたい月に1〜2社ぐらいで、今年も22社ぐらいだったので、だいたい平均かなという感じで。
日本はやっぱり対面で会って投資する、経営者を見るというふうにやっていたVCが多い印象だったので、4月5月ぐらいにもう緊急事態宣言が出て、「対面で会えないよね」となってから、「どうしようか?」と。
「会おうよ」と無理やり会うのもちょっと……というので、「オンラインでどう投資するか?」というのは、4月5月ぐらいにシード・アーリーのVCみんなでZoom飲み会をやりながらけっこう話し合っていました。
うちも2社ぐらいはオンラインだけで出資できたり、ほかのVCさんもオンラインだけでやったという会社もあったので、それでもなんとかやれなくはないなとちょっと感じた年でした。
あとは、うちで言うと今年はIPOが3件ほどで、ビザスクさんとRettyとKaizenさんが上がったんですけど、やっぱりRettyなどはもろに飲食で、何度も上がりたいタイミングに、武田さんもすごく苦労をされていた感じで。
ただ、2020年夏あたりに思った以上の回復の兆しが見えて、Rettyもそうですし、IPOの社数が戻ってきたような印象がありました。そこになんとか年末までに間に合ってよかったなというのもありました。
4月は本当にどうなるかとすごく情報収集をしていたんですけど、新規の投資先と既存の投資先のファイナンスも、なんとか周りのいろんな方々に助けられた年かなと感じました。
那珂:ありがとうございます。家入さんは今年の1年間を振り返って、どんな印象をお持ちでしょうか?
家入一真氏(以下、家入):僕は、要は自分で「CAMPFIRE」などの事業をやる側で調達をする立場と、逆に「NOW」などで投資をする立場の両方があって。今年はどっちもいろいろ大変だったなという感じなんですけど。CAMPFIREで、この前40億円ぐらい調達させてもらって。
那珂:おめでとうございます。大型調達で。
家入:なんか「調達で『おめでとう』と言うか問題」みたいなものが、ちょうど僕がその調達を発表した朝に出ていて……。
(一同笑)
家入:(笑)。いやいやいや、まぁまぁまぁ。僕が関わっている事業がだいたい……「BASE」や「CAMPFIRE」は、むしろコロナ禍においてGMVが大きく伸びたというのもあって、わりとバリュエーション的には強気でいけた部分はありました。
ただ、その一方で、やはり投資をする側で見た時に、投資をする先の起業家に対してはやはりわりとシビアに見ざるを得ないところもあったいうので……。なんて言うんですかね。うまく言えないですけど。
僕もできれば起業家側に立ちたいので、なにかしらいいアドバイスができたらなとは思いつつも、先ほど志水さんがおっしゃっていたように、去年あたりからやはりリセッション(景気後退)なども含めた可能性は、僕もわりとそう思ってましたし、いろんな人も言っていて。
その引き金が何なのかというのは、正直わからないわけですね。それが結局コロナだったわけですけど。
2019年の後半ぐらいは「あまりバリュエーションをやたらに上げすぎないほうがいいんじゃないか」といったアドバイスなどもしながらやってきたわけですけど、急に2020年になってやっぱり状況もだいぶ変わって、僕自身もまだ混乱しているという感じで。
すみません、なんだかうまくまとまらないんですけど。
那珂:CAMPFIREで本当に大型の、たぶん今年最大級の調達だったんじゃないかなと思うんですけど。投資家は逆にどのようなアプローチをされてきたんですか? コロナの影響で、ビジネスモデルは強気になれたということだと思うんですけど、一方で投資家はどんな反応だったんでしょうか?
家入:CAMPFIREに投資をしてくださった方は、確かにみなさんがおっしゃっていたような、投資先はあんまり小さいところには出さないから、結局(お金を)出す先がないような印象はすごくあって。ある程度のバリュエーションで大きい調達をするところを探しているということは、すごく感じました。
那珂:ありがとうございます。もう一度志水さんに戻ります。志水さんの会社も先ほどご紹介があったように、2020年に上場されまして、おめでとうございます。
志水:ありがとうございます。
那珂:非常に厳しい時期に上場されたと思うんですけど、上場するにあたって、事業者の立場で何か感じられたことはありますでしょうか?
志水:事業者の立場としては、完全に想定外ですね。本来であれば上場日に、朝から実はテレ東さんが「WBS」で追っかけてくれていまして、3月の上場銘柄の中では比較的注目されていた1社だったので、その中で「朝から追いかけるぞ!」となっていた瞬間に、朝見ると、世界の株価が大暴落した日だったわけですよね。そうすると番組の編成が全部変わり、夕方のニュースでは扱われましたが、夜では扱われていません。
それから数ヶ月経ったあとに、テレ東の『特命!池上ベンチャーズ』という番組がありまして、そこでコロナショックを最も受けた社長としてフィーチャーされるみたいな(笑)。
(一同笑)
那珂:それもなんかちょっと失礼な(笑)。
志水:(思っていたのと)違うかたちでの扱いをされたんですけれども、でも事業者としては確かに一瞬コロナの影響をものすごく受けました。ですので、0か−100か+100かと言われると、「いやー、−100だな」というふうには思っているんです。
ただ、将来を見た時には、今回は新興勢力の一部はブライトストーリーを得られるチャンスだと思っていまして。私たちは、そういうチームを応援するチームだからこそ、「あっ、未来は拓けたな」とは思っていますね。
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