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月曜カフェスタトーク ゲスト:小泉進次郎農林部会長 出演:平将明衆議院議員、生田よしかつさん、大澤咲希さん(2017.5.29)(全3記事)

小泉進次郎が“こども保険”で目指すもの「全世代型の社会保障を作るための土台にしたい」

平将明衆議院議員による、月曜カフェスタトーク・エピソードⅡしーずんⅠ。今回のゲストは、衆議院議員の小泉進次郎氏。準レギュラーの築地魚河岸三代目・生田よしかつ氏と、アシスタントの大澤咲希氏とともに「こども保険」といった話題に迫ります。本パートでは、小泉氏が「こども保険」の概要を改めて解説。同時に、そういった制度を設立することで目指しているものを語りました。

「継続的に農業改革をバックアップしている政権は今までにない」

小泉進次郎氏(以下、小泉):農業改革は特区とはまた別だけど、やっぱり官邸の農業改革に対する継続的な意欲。これって言うのが改革の大きなテコですよ。

これは農水省だけではできない。やっぱり官邸を含めて農業改革をやらなきゃいけない。これだけ農業改革に官邸を含めて継続的にバックアップをしている、そういう政権は今までないですよ。

生田よしかつ氏(以下、生田):ああなるほど。そりゃそうだわ。

小泉:僕、今でも思い出しますけど。去年の改革でかなり激しいぶつかり合いがあった時期に、たまたま国会の本会議場で総理とすれ違ったんですよ。そのときにね、総理から「(肩を叩きながら)農業改革、農業改革」って言われてね。「ハイ。がんばります」っていうのがありましたけど。そこで官邸がしっかりとウォッチしてくれてるというね。

生田:なるほど、なるほど。安心感もあるしね。

小泉:この部分って、やっぱり大事なんですよ。

平将明氏(以下、平):本当にこれは、僕は安倍総理のリーダーシップと人柄だと思いますよ。こっちが深刻な顔をして言っても、明るいんだよね(笑)。それで「これやったら本当に怒られちゃうでしょ」と言いながら、「でも、やろう」と言ってくれるのは、やっぱり勘もいいし、我々としては助かるよね。

あれで総理に知らん顔されたら、できないもんな。特区なんかな。

生田:ハシゴを外されるんだったら、そんなのできないよな(笑)。

:だから今の議論はドンドン脇道に逸れて行っちゃってるし「なにかあったら特区を潰してやろう」っていう人はいっぱいいるわけです。間違いなく。だから、それにも乗っかってはいけない。

生田:ここにもいるよ。

:そんなのいっぱいいますよ。

反対派は声が大きく、賛成派は声が小さい

小泉:基本的に賛成の人って声をあげてくれないんですよ。

生田:ああ、移転問題と一緒。

小泉:だから、反対する人は徹底的。しかも、これはどの世界でも共通だけど、反対する人のほうが理論武装できているんですよ。やたら最後のところで「そんなことわからないから」というところを徹底して追及する。

生田:だって、それが手だもの。

小泉:これはどの業界でもそうだと思う。農業改革もそうだったけど、農協と向き合って、いろいろおもしろくないこともわかるけどね。「でも、このままでいいわけないじゃないですか」と。いろんなかたちで向き合って言うわけですよ。その会が終わった後に組合長とかが僕のところにきて、「小泉さんの言う通りだよ」って言う。だからマイクで言ってよ、と。

生田:その場で言ってよ、みたいな。

小泉:絶対に言わない。そして、マイクで言う人は反対派。マスコミが書くのは「反対一色!」とか。

生田:だからさぁ、マスコミなんて「両論併記だ」としながらよく言うよ。俺の話なんて4行だよ。あとは全部、移転反対だよ。バカヤロ、まったく。

:でも本当にそうだよね。「民泊」もそうだったよ。後からきて「いやぁ平さん、実は俺は反対じゃなんだよ」ってけっこう言ってたけどね。

小泉:いやだから、トランプ大統領が言ってたけど。ファイクニュースって言ってるけど、日本にもいっぱいフェイクニュースがあるから、本当に。

:だから規制改革とか特区というのは、自民党の中では進めようとする人は少数派なんですよ。

ただアベノミクスを見たときに、金融緩和限界があるし、財政出動に限界がある中で、成長戦略は自由貿易の推進と規制改革。それでTPPがこんな状況の中で規制改革しかないわけです。そうしたら特区を進めるしかないじゃん。という今の環境の中でそういう見方をしている人は、特区だとわかるんだけど。

でも、違うアプローチで現場のディテールを積み上げてくる人、後は利害関係で繋がっている人は、そういう理屈は通じない。だから「またなにか平とか小泉とかが調子に乗ってやってるな」という話なんですよ。少し冷静な議論をしほうがいいと思います。

生田:でも、変えていかないとダメだよ。

:もう、ぜんぜん違うから。

「人生100年時代の〜」はボトムアップだった

ということで、せっかく小泉さんが来られたので。最近、小泉さんはですね、副大臣と政務官のときはほとんど一緒で、家族のようにずっと一緒にいた。今ちょっとお互いに違う仕事をやっているんですけどね。

今お話しいただいた農林部会長の話と、もう1つはですね。これ、長いんですよ。「人生100年時代の制度設計特命委員会」事務局長。なにか保険会社の宣伝みたいですけど。ということで、今マスコミでいろいろ議論になったのは、「こども保険」ですね。

一方で、民進党なんかは「こども国債」。言葉はみなさんもい聞いたことがあるかもしれないけど、どういうところに背景があって、どういうところに手当てをしようとしてるのか。そのお金をどこから持ってくるのか。だいたい3つぐらいの論点があると思うんですけど、これについて議論をリードして、急にできたんだからね。政調にね。この特命が。

小泉:そうですね。その特命委員会ができた経緯自体が、僕は自民党の政策決定過程のイノベーションだと思ってて。

生田:どうやってできたの?

小泉:基本的には、自民党の中で政調会長が関心があるテーマについて特命委員会でやろう。

:だから、経済構造改革の特命委員会は政調会長なんですよ。

小泉:政調会長のトップダウンなんですね。だけど、今回の「人生100年時代の制度設計特命委員会」は、僕らの小委員会で提案したことを受けて、「じゃあそれは特命委員会にしてやろう」というボトムアップだったんですよ。

今までのトップダウンと今回のボトムアップということで。自民党の中になかった特命委員会の設置のプロセスをとった。

:しかも、時期の途中でいきなり特命委員会ができるってあまりないですよ。

生田:政調会長が決めるわけだろ。

:もちろん。だから僕らのところは、経済構造改革と働き方改革というメインじゃない。だから去年の9月にできているわけ。この特命委員会はボトムアップできて、「これはおもしろい」というので急遽、特命委員会になったんです。

生田:自民党も変わってきたな。だいぶ。

小泉:本当にありがたいですよね。

「こども保険」も、舞台を小委員会から特命委員会へ

だから今回の「こども保険」も、そういったかたちで小委員会から特命委員会に舞台を移したものだった。最近は、先週ですけど中間取りまとめを行なって、政府の方針の骨太の方針に反映をしてもらう。

:これは今日、明日が最終のピークなんですよ。

生田:あら、そうなの。

:今日ぐらいかな。だからこのあたりで今、政府と党で駆け引きやって「なにが入ってなにが入らないか」をまさに決めているところです。

生田:こんなところで喋ってる場合じゃないな(笑)。

:これ終わったら私も電波規制の緩和のほうでやるし、小泉さんも政府といろいろやらなきゃいけないわけです。生田さんに説明している場合じゃないんですけど、今日は特別にね。見ていらっしゃる方もいるので。

小泉:(正面の画面を指して)これ、さっきからコメントがいっぱい出てますけど、批判をしている人は中身は全部読んでないですね。

生田:いや、わからないんだよ。

小泉:わからないですね。だからこれも報道で1面的なところも多いので。

:ネガティブに報道されてる感じがするね。

小泉:あるよね。だけどこれネガティブにしてもね、やっぱり悪名は無名に勝るということもあるから。

:片山さつきさんですね。違いますね。ごめんなさい。

小泉:まったく聞こえない(笑)。

生田:すみません。今の編集でお願いします(笑)。

小泉:僕はそこはちゃんと伝えていかないといけない。こっちの説明の努力も必要だし、やっぱりまず聞いてもらいたいですよね。

生田:聞きたいです。

小泉:その中で「本当に少子化対策って待ったなし」は共有できますよね。だったら、もっと子ども向けの予算、少子化対策ということはやっていかないといけないという。そういったところでしっかりと建設的な議論をするための「こども保険」なんです。

問題は「医療と介護がどこまで伸びるか」

まずちょっとだけ説明させてもらうと、今のところこうやって0.1パーセント、0.5パーセント、1パーセントという3つの案を僕らは提示したんです。これは年金の保険料に付加をするかたちで、この3つを出しているんですけど。僕らはできれば0.5パーセントを乗せたい。

生田:なぜ?

小泉:それをやれば、幼児教育と保育を実質的に無償化できる財源が生まれるからです。

0.5パーセントが大きな負担だと言うのだったら、まずは0.1からでもいいからやらせてもらえれば、少なくとも幼児教育と保育の負担軽減できる。つまり、幼児と教育の全体的な経費の負担を軽くすることによって、もっと子育て世帯に優しいような、負担を軽くするという思いがある。

もう1つは、高齢者に給付が厚い今の社会保障のバランスをもっと全世代にしっかりと対応するかたちにする。全世代型の社会保障を構築したいという思いがあるんです。

よくこれは「なんで保険なのか」という批判があるんですけど。僕らが1つ着目したのが、「この20年間、社会保険料ってどういう動きをしているの?」なんですね。

20年間で保険料率を見ると、厚生年金と医療保険と介護保険と雇用保険と、この4つが主にあるんですけども。

今、だいたいサラリーマンとかお勤めの方って、自分の給料から15パーセントの天引きをされているんです。じゃあその15パーセントのうち、年金でいくら引かれているかというと、だいたい9パーセントです。これはもうこれ以上は増えません。今回の制度設計で、この9パーセント以降は上げないというのが制度として固まったので、これ以上は年金保険料は上がりません。

そして医療保険料は5パーセント。これでだいたい14パーセントですよね。残りの1パーセントで介護保険の0.8パーセントと雇用保険の0.3パーセント。合わせて15パーセントが今の給料から天引をされている計算なんですよね。

雇用保険は、実は安部政権になってからアベノミクス効果もあって、雇用環境がいいので0.5パーセントから0.3パーセント、0.2パーセントに下げているんですよ。

:失業者が減ってるからね。

生田:それでも問題ないわけだね。

小泉:この負担は減ってるんですよ。

まずこれを前提に置いてもらって。もう1回整理すると、年金の保険料はもう上がりません。今の時点ではね。雇用保険は下がりました。じゃあ問題はなにかというと、「医療と介護がどこまで伸びるか」なんです。これからの2025年、団塊の世代のみなさんが75歳に入ると言われるその時期に、これがどこまでその保険料率が伸びるか。どこまで抑えられるかが勝負なんですね。

「全世代型の社会保障を作るための、議論の土台にしたい」

僕らはそういった中で、仮に「こども保険」が0.1パーセントで入るとする。先ほど僕は「雇用保険で0.2パーセント下がった」と言いましたよね。負担増じゃないんですよ、そこの部分が。

もちろん雇用保険の料率は雇用の環境によっては、また増減があります。この下げがずっとこれから続くわけではないですけど。少なくとも今の状況を見れば、決して負担増とは言えるような規模でお話をしているのではないということですね。

これから横で年金、医療、介護、雇用保険と合わせて「こども保険」を入れたときに、初めて子ども向けの社会保険が入ってくるわけですよ。それ以外は、やっぱり高齢者への給付が厚いですから。

大澤咲希氏(以下、大澤):確かに。

小泉:これを考えると、今まで子ども向けの社会保障がない中で15パーセント。

生田:なにやってたの?

小泉:子ども向けの社会保障で0.1パーセントとか0.2パーセントと言ったときに、「負担増」と言われるなら、今までの15パーセントももう一回議論しなきゃいけないでしょ?

生田:そうだね。

小泉:こうやって、まずは全世代型の社会保障に持っていく中で議論の土台を作りたいと思っています。

役所は「やると決めたらどんな理屈でも付ける」

大澤:まずは、保険って言っている意味がわかりました。

小泉:わかりました? 

生田:ネーミングが良くないかもしれないね。「こども保険」って。

小泉:ネーミングの問題も言われるんですけどね。あと、代表的な批判の1つに「保険じゃないだろう」「保険者じゃないだろう」があります。その意見の中には、結局、受益と負担が一致してないから、「それって保険者じゃないよね」が多いですね。

だけど、この批判をしている人の中には、民間の保険と公的な社会保険を混同している人が多くて。

生田:俺、その代表。はっきり言って、今の説明を聞いてわかったもん。

小泉:そうですか。結局、公的な社会保険って、一言で言っちゃうと国自体が説明を変えてきているんですよ。

生田:なるほどなぁ。

小泉:年金も医療も介護も、これ公的な社会保険ですけど、公的な社会保険の定義、原理自体を国は修正してきているんですよ。だから今回の「こども保険」の議論を厚労省や内閣府やいろんな役所を含めて議論した中でよくわかったのは。

……役所って恐ろしくてね、やると決めたらどんな理屈でも付ける。

(一同笑い)

小泉:どんな理屈でも付ける。本当に。

:役所の能力の高いところだよね。

小泉:これはすごいところです。

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