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2025.02.18
AIが「嘘のデータ」を返してしまう アルペンが生成AI導入で味わった失敗と、その教訓
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秋山:中村さん、今の話を聞いてどうですか? そんなん無理やでとかないですか。
中村:(笑)。やっぱりこういう世界になったほうがいいですよね。若手の間は企業の中でいろんな経験を積んで、自分の適性なり、志向を見極めるバッファがあって、教育もしてもらえる。
そしてある一定の30歳や40歳を過ぎていくと、自分の会社だけではないところでも挑戦できたり、やってみたいと思えるような仕事の仕方をしていける、というのが理想だと思います。
私、中高年の転職に関する研究をやっていたことがあるのですが、若い間に例えば海外に行っているとか、まったくの未経験の部署に移動した経験がある人は、40代を過ぎてから転職したいと思う割合が高いのです。
秋山:ジャンプできるという自信がある。
中村:そう、ジャンプの経験ゼロのまま、40歳や50歳になってしまうと、もう本当に会社に縛りつくだけ縛りつくとなってしまうので(笑)。会社以外は見えにくくなります。その意味で30歳40歳過ぎてからの仕事の経験の積み方は、とっても大事なのではないかなという気がします。
秋山:人間100歳まで生きるでしょ、それで何回も仕事を変えないとダメだということになると、もしかすると70歳くらいでもういっぺん学校に行って、今やったらデータサイエンスの勉強し直さないとこのあと生きていけないかもしれない。そんな感じになりますよね。
山田:だからスウェーデンはそうなのですよ。ある意味理想的……そこまで言うとあれですが(笑)。
秋山:山田さんはスウェーデンのことばかり言いますが、僕こないだ……とはいえ2年前ですが、食事してるとたまたま目の前に外人が座っていてですね。「どっから来たの?」と聞いたら「スウェーデン」と。お父さんとちっちゃい子ども、ちっちゃいと言っても15才くらいかな。
ほんでスウェーデンの話になって、「友達でスウェーデン好きなやつがおって」と話したんですよ。そしたら最初は「そうかありがと」と言ってましたが、途中から「税金高いらしいね」と聞いたら、いきなり「空気以外全部税金がかかる」と言いだしたんですよ。空気はタダやけどそれ以外は全部かかるって。
それでついでにね、お父さんと息子に「きみらそういう社会システムいいと思う?」と聞いたら、お父さんは「こんな素晴らしい社会システムはない」と「スウェーデンは世界最高!」と言ってましたけど、息子は「いやや、こんな税金高い国は出てアメリカに行く」って言ってました。
(会場笑)
秋山:だからやっぱり、山田さんの好きなスウェーデンもですね、全員に対して温かいという良さはあるものの、才能がある若い人にはちょっと重苦しい感じがあるように見えていたような気がいたしますね。どうですか山田さん、なんか反論ありますか。
(会場笑)
山田:私も長く住んだことがあるわけではありませんのでわかりませんが、ただスウェーデンもいろいろと変わってきているんですよね。
(会場笑)
山田:秋山さんのイメージはね、30年前のスウェーデンです。
(会場笑)
秋山:すいません(笑)。2年前に聞いたんだけどな。
山田:そういう意味では、90年以降はですね。
イギリスのいろんな専門誌の中でもっとも伸びている『ロンドンエコノミスト』という雑誌がありまして、当然ロンドンですからどちらかというとマーケット寄りのロジックなのですが、それが3年ほど前に、北欧特集を組んだのですよ。
そしてもっとも素晴らしい国は北欧だと言ったのです。そのロジックは、民営化や規制改革をどんどんやっているからだと。実際そうなんです。
たとえば、教育の自由選択制ですね、いろんなものを民営化していきました。ただ、公平にというと、もともとの規制の割合が大き過ぎただけなのですよ。だからそれを小さくしていったからということなのですが。
でも、方向としては変わっていっています。だから秋山さんがおっしゃっていることも正しいですが、ちょっとあの言い方では最近の話ではありません。
秋山:じゃあ、ちょっと反撃しますね。
山田さんこの辺でね、サラッと独立と書いていてね、このあと“インディペンデント・コントラクター”として個人で独立して食うていけと言うていますが、これね、そう簡単にいかんですよ。
みなさん、偉いエコノミストも研究者もみんな個人のプロとして食べていくみたいなことをおっしゃるのですが、そんな簡単にいきませんて。世の中のマーケットに出て食っていくというのはえらい大変なんだと。それなりの競争力がないと売り上げなんか……
売り上げというか、要するに今までは会社の仕組みの中で、守られる中でやっているじゃないですか。
そこそこ仕事ができると思っても、いきなりただでマーケットにでて「私これのプロでございますから商売やらせてください」なんて、人にものを頼むこと自体なかなか簡単にいかへんのに、なんでこんなにサラッとここから独立やねんと思ったりしているのですが、そのへんはいかがでしょうか。
(会場笑)
山田:まあ、これはだからイメージですから。
(会場笑)
秋山:まあ、こういう社会いいよねって。
山田:でも、これが理想なのです。だから現実にはそうではないし、それともう1つ言うと、ここは微妙に給料が下がっているんですよ。
秋山:ちょっと下げてますね。
山田:それは、秋山さんのような超インディペンデント・コントラクターは少ないわけで、これだとまもなく子どもも独立しますしね。それから男女共に働いているわけですから、ちょっとがんばれば、貯蓄も少し上がるということで、仕事も選べると。そんなにバリバリやる形でもないやりかたというのもあるのではないかと。
秋山:はい。山田さんのさきほどの話、これちょっと言うときたかったんですが、さっきリクルートの人が世の中にいっぱい出て、そこに職種別の組合的なものがあるような感じになってくるだろうとおっしゃっていたでしょ。あれ違う。
リクルートや、アンダーセン(現在のアクセンチュア)、マッキンゼーといったコンサル会社の人たちは、何がいいかというと、みんないろんなところにいろんなお共と仕事をした人なの、それがいろんなところに散るんです。
その人たちは、昔一緒に仕事をやった人の力をよくわかっているから、その人たちが散ってくれたら、このパートタイムでうちの仕事やってというように頼める。
ようするに、クラウドソーシングが企業と個人をつなぐ、そういうのがいっぱいあるから、これからは個人のプロも十分に働けると言っているけど、あれはぜんぜん嘘で。
(会場笑)
秋山:ああいうところで発注できる仕事というのは簡単な仕事でね、定型的なものは発注できるけど、やっぱり会社の中で、とても重要な仕事を任そうと思ったら、やっぱり見ず知らずの人には頼めませんよ。
その時に、昔一緒のプロジェクトをやったことがある人が、あっちこっちに散っていてくれたら、あの人なら大丈夫やでっていうようになってくれるから、こうした働き方がしやすい。
そういう意味でいくと、シリコンバレーで、みんなあっちに行ったりこっちに行ったりいろんな仕事をやって、また一緒に仕事をやって、そこでまた一緒にやった人が、さらにあっちこっちに散って。
ものすごい人的ネットワークがクロスオーバーする、というような。そんな感じになるので、それは本来銀行でもできるはずなんだよね。銀行だってみなさんいろんな会社にいっておられるわけだから、あいつはできる、とかあいつはホンマ会社で偉くなってるけど力ない、とかわかっているわけじゃないですか。
(会場笑)
秋山:そういう意味でいくと、このネットワークみたいなものがもう少し重層的になってくると、こういった働き方もできるんじゃないかなと思いますね。すいません、なんか私がしゃべってますね。
山田:しゃべってください。
(会場笑)
秋山:さてですね。こんな感じで山田さんは思ってはるわけですが、もともとの話に戻ると、今回の同一労働同一賃金は格差是正といった話があったじゃないですか。そもそもなのですが、格差の話がなんでこんなに社会問題になっているかというと、実は僕もよくわかっていなくてですね。その話を教えてもらえます?
山田:そうですね。じゃあ日本の格差は、客観的に見て本当に広がっているのかどうかというのがですね、データは用意していませんが、だいたいの人が専門でなくてもお聞きになる言葉として「ジニ係数」というのがあるんですね。
秋山:ジニ係数ね。
山田:ここにはないんです、残念ながら。
(会場笑)
山田:日本人を給料でというか、収入の低い人から高い人までをザーッと並べていって、かつ給料をバーッと積み上げていくのですね。累積していく。そうすると、まったく平等であれば45度線になるのですが、不平等だとその45度線が垂れるのです。その垂れの度合いを測るものを「ジニ係数」というのですが。
これで見ると、どんどん拡大しているのです。それでその通りじゃないかと言うのですが、だけど最大の理由は、実は“高齢化”なのです。当たり前なのですが、歳いったほうが差が開きますよね。社長になる人と平社員でいる人ということで。
そのため高齢者の割合が増えると、自動的に世の中の格差は開くのです。だからそこを調整すると実は、必ずしも拡大するかどうかはハッキリわからないというのが実態なのです。ただ、アンケートなどをとりますと「拡大してる」と出てくるんですね。
秋山:イメージですよね。
山田:実際に、そういうアンケート調査にも出てきました。では、どうして実態が……「所得格差」と「格差意識」は違うということなのですが、この格差意識がどういったところから来るかと言うと、まったく自分が知らない人とは比較しませんよね。
秋山:孫正義さんとは比較しないということですよね。
山田:(笑)。当然低いわけです。僕は秋山君とは比較しませんが、例えば友達であれば彼のほうが上だ、などと思うわけです。それはやっぱり、似たような境遇という、一種の似たグループの中で格差というのは意識するものだからであって、その時に前のページのこの資料をご覧いただくと、この向かって左側の図の4です。
これはなにかというと、職種別に、いわゆる非正規労働者といわれる人たちの割合を取っているのですね。青い線が1992年で、この比率はだいたい多くの産業において小さいですね。
秋山:あーすごい増えてるんですね。
山田:けっこう増えているのですね。同じ職種だと一緒に働くケースもあるわけで、そうすると正規、非正規の格差が目に見えてくるのです。実際に、もちろん仕事は時代によって変わるのですが、例えば窓の数字でいうと、1990年の段階では職場の5人に1人がいわゆるパート、アルバイトの人でした。
秋山:5人に1人。
山田:5人に1人です。今はこれが40パーセント近くになっていますから、もう2人に近いのです。そうすると、20年経ったとはいえ、そんなに急激な仕事内容の変化があるものではないので、要は5人やっていた中で、以前は正社員でやっていた仕事が、いわゆる非正規がするというケースが当然増えてきているわけです。
そうするとやっぱり当然「これでいいのか?」という議論が出てきたということなのですね。
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