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2025.02.18
AIが「嘘のデータ」を返してしまう アルペンが生成AI導入で味わった失敗と、その教訓
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質問者3:今日はどうもありがとうございました。今回の議論を聞いていてよくよく思うのは「やっぱりなるようにしかならないな」ということです。
(会場笑)
ただ、最後のAIの話も、日本のメンバーシップ型と非正規の問題も、日本が今後解決しなければいけないことはそこにもありますが、「キャリア」という言葉を日本人、とくにメンバーシップ型はほとんど考えずにきてしまった結果の弊害もあると思うのです。
今後AIなど、もしくは全部がミックスされていく中で、いかに日本にキャリアという考え方を持ってくるのかということがすごく重要だなと思っているのですが、どうすればよくなりますか?
秋山:じゃあ、これは中村さんから。
中村:キャリアの自律を個人の手に戻すというのは、これからの時代には必須であり、最優先事項だと思います。
アメリカなどで異動なりのプロモーションをするときにも、ちゃんと本人に聞いて、本人が「やる」と言わなければそこに行かせないのと、日本みたいに問答無用でどんどん会社都合で行かせ続ける限り、やっぱりキャリアの自律意識は形成されないし、キャリアを重ねていくことを自分の手に取り戻すことはできないと思うのです。
企業の中でキャリアの自律意識をどうやって作っていくかは、異動や仕事を変える時、ジョブアサインする時などに、説明なり意味づけなり本人の思考なりが必要で、そういうコミュニケーションをこれからは強くしていくということが大前提かなと思っています。
山田:私の答えはまさにこれなのです。だから、出口のところでやっぱり自立していく。いきなり日本ではできないんですね。だから、前半はある意味モラトリアム的なところがあって。
ただ、企業人事としてもどうですかね。流動化すると優秀な人に辞められると思ってしまうので、ちょっと二の足を踏んでいるのですが、そこはもうやっぱりこれからはそういう考え方ではなくて、「誰かが辞めてしまえば、優秀な人をまた採る」というように、むしろそういう発想でもって、いずれこうなるので、キャリア自立に対しては若いときから面談をしながら作っていくというのがいいのではないかなと思っています。
秋山:もうちょっと出戻りでみんな普通に採ればいいんですよね。そんなん。よそに行って、達成しそうなこといっぱいしてきてくれたのだから、すごい戦力になるのに。さっきのやつですよね、「3年間あいつは外の飯食ってて、なんで俺より給料高いねん?」ってそれがもうダメなんですが、それするだけでずいぶん変わるのではないかなというように。
秋山:では、あともう1つ。最後の質問です。
質問者4:今日はありがとうございました。時間があれですが、4人の方におうかがいしたいのですが。
秋山:4人(笑)。
(会場笑)
質問者4:はい。それぞれにコメントをいただきたいのですが。今回、政府の働き方改革実現会議の方は、首相も何度も言ったように、非正規という言葉を一掃するレベル感でおっしゃっていまして。
みなさま方の今日のお話でいくと、なんとなくなにが言いたいかは分かるのですが、はっきりと教えていただきたいのです。本当に非正規という言葉を一掃するレベル感まで格差是正が進むのですか? もしくは、非正規と正規の格差是正がどの辺までいきそうか。それは2年後、もしくは5年後、10年後でもかまいませんが。
今回のこの取組みに関して、正直、労働法学者の方たちの温度感と、研究者の方たちの温度感が、人によってあまりにも差がありすぎるんですね。
みなさま方研究者の方、実務家の方も含め、今回、非正規という言葉を一掃するレベル感まで本当にいくと思われているのか。それともいやいや……。いろいろと先ほどからも温度感のある話がありましたが、きちんとした言葉でその辺の温度感を聞きたいなと思いまして。お願いします。
(会場笑)
中村:私自身は、少なくとも同一労働同一賃金に関していうと、「一歩踏み出す」だと思っています。なので、一歩踏み出すであって、完成形は……。
秋山:何歩あるんですか? ちなみに。
中村:でも、10歩はありますよ。
秋山:10歩までの。
中村:10歩までの。
秋山:もう、大したものじゃないですか。
中村:いやいや、でもたぶんそれが例えば今のデータでいうと、正社員100に対して例えば64パーセントというのが非正規の賃金で、それを80パーセントに、20パーセント上げるという。単純にいったら、じゃあそれは5歩までいかなきゃいけないですよね。
とはいえすごく重要な一歩だと思っていて。0から1にすることが1から10にすることよりもはるかに難しいのが事実なので、そういう意味でいくと貴重な一歩を踏み出しているのかなという認識はしています。
秋山:じゃあ山本さん。4人と言われたので山本さんしかいない。
(会場笑)
山本:私は下に座っていますし、政府と絡んでいないので、好き勝手に話しますね。
なんかコンサルタントなのに評論家的なことを言ってしまいますが、やっぱり「ダイバーシティ&インクルージョン」というのが言葉ばかりで進まないことと同じだと思っています。
日本では枠にはめないと議論ができないというのがあり、政府がやっていると、どうしても政策という枠にはめて、この枠をどうするかという議論になるので、一歩ずつは進んでいくのですが、理想にはやっぱりほど遠いと思いますね。
理想に近づくためには、やっぱりここにいる人間とか、きれいごとをいえば、会社と従業員が動かないことにはなにも変わらないと思います。理想というのはなにかというと、たぶんダイバーシティが進めば「正規」「非正規」という言葉自体がなくなるということだと思いますよね。きれいにまとめちゃいましたが(笑)。
秋山:じゃあ最後に山田さんにお話ししてもらうようにして、私が3人目としていきますと、私は先ほど申しましたが、AI的なものは本当に爆発的な影響を発揮して全部変えてしまうと思うので、そういう意味においては、政府がどうのこうの、正規・非正規とか言ってる間に政府の人も壊滅的なダメージを受けますので、全部がやり直しになるので、もしかしたら10年後ぐらいにはけっこう変わっているのではないかという意見を持っております。
じゃあ、最後に山田さん。
(会場笑)
山田:だから、さっき人口動態の絵を見ていただきましたが、過去20年間で、人口動態の影響はやっぱりかなり大きいのです。
いわゆる非正規がなぜ増えたかというと、労働市場がダブついていたからなのです。それまでが景気がよくて、まだ労働人口の減少というのは本格的ではなかった。
ただここにきて、実際の労働人口というのは98年にピークアウトしているのですが、でも景気がものすごく悪かったですから、そういった状況ではなかったのですね。ところが、人不足がここ2年ぐらい前からかなり本格的に起こってきていて。
もちろんこれが未来永劫続くなんて私も思ってはいなくて、それはもう景気が本当に悪くなってしまえば、人がもう1回余ってくるということは十分にありうるので、断定はできないのですが。
ただ、たぶん日本があれだけ20年間苦しんだのは、その前のバブルがすごく大きかった。過去の経験があるので、そこまで今の状況を見ていても、一部ちょっと住宅などではあるのかもしれませんが、そんなに大きなものが起こらないということを考えますと、基本的な人手不足がやっぱり当面は続いていくのではないかと思うのです。
秋山:これですよね。
山田:そうすると、実際に今起こっているのは、いわゆる非正規の正規化ですね。
ちょっと前までは、若い人の非正規問題というのはすごく深刻だったのです。これがこの先10年、この問題はかなり後退していくというか、まあ残るとは思いますが、違うかたちの問題、いわゆる正社員じゃない働き方は、それが今度はシニアであったり、あるいはこれまで若い時は正社員でなかったので、なかなか就業ができないというようなケースに。その問題がおそらく性格が変わっていくんですよね。
これに対して、レッテルが貼られていくということかもしれませんが。でも、人口動態の変化を見ていった時に、違った性格の問題に変わっていきます。
いわゆる今言っている非正規問題というのも、そこの対応をこれからとっていけるのか。その辺りは、今日私が申し上げたようなやり方が1つの解決策なのではないかと思います。
だから、このまま残るのかどうかというのがご質問で、すごく大切だけどはっきりお答えが言いにくいというか。結果として残るかもしれませんが、それは今持っている問題とは違うかたちで、ある意味絶えず問題は生じていくのです。それに対してやっぱり解決していこうとすることをやり続けていくのが大事なのではないかと。ちょっとスライドしましたが。
秋山:最後、山田さんの言いたかったことを僕なりにまとめさせて……。
最後はエコノミストらしく、需要量と供給量のバランスで供給量が減ると。労働市場に入ってくるこのおじいさんたちとか、あるいは若い人たちを活用しようと思ったら、今みたいに非正規だとかなんたらとかそういう扱いをしていたら、そんな人たちも来てくれないような時代にすでになっていると。
そう考えたら、若い人も年寄りの人もみんなそれなりにちゃんと活躍できるような社会を作ろうと思ったら、同一労働同一賃金にせなあかんのやないかと。
そんな感じでよろしいでしょうか?
(会場笑)
ということで、無理やり司会としてまとめさせていただきましたが、これで今日の3人の……じゃない。4人の楽しいお話を終わりにしたいと思います。
みなさんどうもありがとうございました。
(会場拍手)
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