
2025.03.04
「見送り失注」の7割は、2年以に再検討の可能性あり 継続的な接点作りとアポ獲得につながるメールの極意
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高宮慎一氏(以下、高宮):ここまでは、今起こっている変化および、そこから出てきている課題、ネガティブな話をおうかがいしました。今度は逆に、将来に目を向けた時に、「こんなポジティブな方向があるんじゃない?」「こんな楽しいことできるんじゃない?」というのをおうかがいしたいと思います。まず、こちらポジティブな方に思いっきりベットしている森川さんからおうかがいできればなと。
森川亮氏(以下、森川):そうですね。僕がメディア産業を変えたいと思った一番の理由は、今のメディアが暗い話ばかり流しているからなんです。朝から誰が悪いことした、離婚した、浮気したとかね。そうすると、最終的に「日本はもうだめだ」みたいなイメージになる。こういうのをシャワーのように浴びていると、本当にそう思っちゃう。そうすると、家の外に出ないで家で閉じこもっていた方が幸せだ、みたいになってしまうので。
現実的に考えると、世界は常に成長していて、平和な人は増えてるんですよ。昔と比べてね。いい方向に進んでいる。人間として結局こうなりたいと思う存在になってきたので、それをどれだけ発信できるのか。これが重要かなと思っています。なので、今ある日本のメディア企業を超えるような存在になりたい、というのが1つあります。
一方で、日本にはおもしろい人やおもしろい文化がいろいろあるんだけど、それがまだなかなか世界に理解されていない。今世界に発信しているメディアって、NHKしかないんです。NHKの番組が日本を象徴してるかというと、まあ、そうじゃないかなあと思っています(笑)。日本の中でもいいものを、世界に発信するということも1つあります。
最後に、とくに女性ですよね。日本はやっぱり、おじさん大国で(笑)。会社に入るとわかると思うんですけど、女性の活躍の場が非常に少ない。一方で、日本の女性はいろんないいところがあり、アジアの中でも尊敬されている。そういう日本の女性のいいところを海外に出していく。むしろ、おじさんが多い会社を飛び出して活躍できるような。そういう新しいプラットフォームとして成長していきたいと思っています。
高宮:Googleってまさに、「Social Good」や「do no evil」みたいな話で、将来ポジティブな方に導こうとする会社じゃないですか。Googleからすると、そのポジティブな世界観をどう見られているのか、もしくはどういう方向にGoogleが主体的に導こうとしているのか、というのはありますか?
岩村水樹氏(以下、岩村):一応前提として、Googleはプラットフォームなんですけど、とは言っても、そのプラットフォームとしての責任は重いと思ってはいます。私は森川さんのおっしゃることに同感です。ネットって、本当に情報がいくらでもあるんですよね。みなさん、とくに若い世代、情報疲れみたいなこともありますけど、それでもやっぱり「チェーン・ビューイング」みたいな、どんどん次から次に見て止められない。そこになにが載っているのか、すごく大切だなと思ってます。
社会的な不満がたまっていたりすると、ヨーロッパなんかの事例で言うとISISとかに参加するのに興味を持って、それを探し始めるみたいなことがあります。1つは、私たちとしてはそういった機会をマシンラーニングを使って、「そういう検索コードをしている人は、ひょっとしたらこの先ISISに参加してしまいそうかな」みたいな人たちをdetectする。その検索をした時に「そうではない」「ISISの真実を知ってください」といったようなビデオを出すというようなトライアルをやったりしています。
ちょっとでもevilなものが出てきた時に、ひょっとしてその人たちがもっともっと実際に参加してしまうことを防ぐような取組をまずやっています。
あとは、森川さんのおっしゃったように、いいもの、……なにをどうやって増やしていくかというのはすごく大切だと思っています。最終的には、「Love Over Hate」みたいなもんですよね。あるいは「Good Over Evil」。どれだけボリュームをLoveの方を増やせるかという。憎しみではなく、「Love Over Hate」。「Good Over Evil」は悪いことではなく、それをどうやってやっていけるか。
1つは、やっぱりユーザーの力を信じること。そのユーザーの方々に発信していくためのツールを提供したり、YouTubeのクリエイターを育てる活動をやったりしています。はい。
高宮:では、(山口)文洋さんにおうかがいしたいんですけど。メディアが、特に教育ともなると、まさにそういうLoveが満ち溢れる世界に導く役割を持っているじゃないですか。その観点からすると、どうですかね?
山口:そうですね。僕がスタディサプリという世界で作りたい世界は……。今の有料会員が、高校生が300万人いる内、10人に1人くらいは使うようなところまで来ました。僕が変えたいところは、いつでもどこでも、学校じゃない場所でも学べる世界を作りたい。リアルじゃなくてもバーチャルでも、人は学んで自己実現していける世界を作っていきたい。
その時に、メディアとしてちゃんとしたキュレーターの方をたてながら、その人が集めてくる講師陣の中でその学校で教わらないこと、英数国社理じゃない科目を今後は増やしていきたいと思っています。
10年後になんて言われたいかと言うと。知識教育はスマホでやってるよね、と。学校に行ったら、ディベートしかやってないよねとか、みんなと「Co-Creation」みたいな。なんか作ってるねということだけにしたいんですよ。
だって今、会社もそうなっているんですよね。僕はリモートワークをやっていて、会社に来なくていいんですよ。本当に来ない人は来ないんです。だけど、みんなで決め事をしています。「週1で月曜日はちゃんと会議やるから、その日だけは集まって、face to faceでしか話せないようなことだけやろうよ」みたいなことが、働く世界では当たり前になっている。ならば、僕は学校、子供たちにもそれを当たり前にしたいというのが1つ。
2つ目は、実は、日本だけじゃなくて東南アジアでスタディサプリの海外版も展開してます。とくに、インドネシアだとけっこう認知がされてきて、使われ始めてます。同じタイムゾーンでなにをやりたいかと言うと、実は5年後、10年後に、「いや、俺、この授業の中でインドネシアのなんとか高校の子とつながって、これからディベートの授業なんだ」みたいなかたちにしたい。
せっかく同じタイムゾーンで同じプラットフォームで複数の国で使われている中で、本当の英語教育というかグローバル教育をするならば、「今日の英語の授業は英語話せない先生から学ぶんじゃなくて、実はフィリピンの進学校の子とディベートするんだ」といった世界を、Skype英会話じゃないですけど、作っていきたいなと思っています。
今、同時多発的にサービス作りなんかもしているので、5~10年後に、「ネットで学ぶの当たり前だよね」「いや、気軽に海外の人と知り合えるよ」という文化をメディアで作れたらいいなと思ってます。
高宮:なるほど。ちょうど今、山口さんの方からポジティブな面をどう引き出して悪い問題をどう解決するか、自分はこうしたいとおっしゃっていただいたんですけども。会場からQAを受け付ける前に、最後にみなさんにおうかがいしたいのは、今まで出てきたような課題を解決してポジティブな面を引き出すために、そもそもどうすべきなのか。ご自身の立場、もしくは会社としてなにをしたいと思っているかお聞かせいただければと思います。では、森川さんからお願いします。
森川:やっぱり行動に移すことが非常に大事かなと思っています。結局、世の中はいいこともあれば悪いこともあって。悪いことがなくなるなんて、絶対にないんですよね。そういう意味だと、いいことを増やすためには自ら行動しないといけないと思っています。
いろんな行動があると思うんです。もちろんNPOに参加することもあるだろうし、会社に入って仕事でやることもあるだろうと思うんです。でも、簡単にできるのは、やっぱりメディアでの発信だと思うんですよね。自分がいいと思うもの、考えを積極的に発信していく。ただこの時代、炎上したり、叩かれたりすることもあるので、それに負けないで、がんばって自分を信じて発信してほしいなと思います。
高宮:ありがとうございます。では、(山口)文洋さん。
山口:リクルートとして自分も含めて考えているのは、情報の真実とか透明性とはなにかを突き詰めていくことです。リクルートの使命を説明すると……。50年前は家を探す時にも転職や就職する時にも情報がなかったんですよ。「なにを見てもよくわかんない」という状態を50年かけて、いろんなドメインで情報がある。ここに安心安全な情報を提供した時に、みなさんに信じていただいて、今でも使っていただいてるのかなと思っています。
当時は情報がない時代で、「僕らが安心安全な情報を作りました」と言うと、みんな性善説的に信じてくれたんですね。だけど昨今は、情報がありふれた中で今回のアメリカの選挙を含めても、どの情報が本当に真実かどうかわからないくらいの情報に対して、性善説ではない性悪説な状況もどこかであると思っています。そんな中、「これだけは信じていいかも」と思えるようなメディアを作り続けたいし、それを生業にして今後もがんばっていこうと思ってます。
高宮:岩村さん、どうでしょう?
岩村:やっぱり、「Love Over Hate」。みなさんにぜひ発信をする。やってること、みなさんここにいらっしゃってるような方々って、すごいポジティブなエネルギーを持ってらっしゃって、良いことやってらっしゃっていると思うんですよね。そういうものをどんどん発信することが、1つ大きな力になっていくと思います。ぜひそれをやっていただきたいなと思っています。
あとは、やっぱり会社としてやっていこうと思っているのは、divideのところです。divideをなるべくなくしていきたい。今インドで農村地を回って、女性たちにインターネットを使うことを教えています。そうすると、すごいことが起こって。例えば、今まではこの民族衣装のブラウスを普通に作るにしても、言われたままに作っていました。それが1枚100ルピーだったんです。でもネットで情報を取ると、こんなデザインがあるんだとか、こんな作り方をする物が売れているんだとか、あっという間に理解をする。そうすると、それが今度は300ルピーで売れるようになった。そこからなにが起こるかというと、今度は娘を小学校に行かせることができる。すごくポジティブインパクトがあるんです。そういうかたちでdevideをなくしていく。
森川さんもさっきおっしゃっていた、女性に力を与えたいなとも思っています。もちろん、男性にもがんばってもらいたいんですよ。でも男性はそれなりにがんばっているけど、女性の場合、ついつい遠慮してしまうところもあるかもしれない。あるいは、インドみたいなところだと実際に機会が少ないところもある。
それをなくして、発信をしていく、活躍していく。それが全体としてカルチャーを多様化していく。それが本当にこのLove、多様性のある社会、寛容性のある社会で、まさに「Love Over Hate」が実現できる社会だと思うので。そういったところにも貢献していきたいなと思っています。
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