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2016年2月15日 杉並区議会(全1記事)
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小林ゆみ氏:最後に性的マイノリティについての質問をいたします。
昨年に実施された電通総研の調査によると、日本人の約13人に1人が性的マイノリティであるという結果が出ています。今までよりもそういった話題が遡上に上ることが多くなったこともあり、区としても実態把握に努める必要があるのではないか、と思えるほどに性的マイノリティの人権を守るための運動は日本でも広がってきています。
同性パートナーシップに関する渋谷区の条例、世田谷区の要綱はその象徴と言えるでしょう。ただし、これらは憲法24条、94条に違反している疑いが強いことが指摘されています。
確かに、性的マイノリティの方々のアパート入居、病院での面会などの不利益が存在するのであれば、彼らの苦しみを取り除き、彼らを救済する必要があります。しかし、それら個々の問題が発生した際には、それらに対する個別の運用で十分に対応が可能ではないでしょうか。
たとえば、アパート入居や病院での面会権を家族以外にまで広げることは不可能ではないですし、財産に関する問題は公証人役場で遺言、公正証書を作成すれば、新たな条例などは不要です。
また、「家族ではないから」といってアパート入居や病院での面会を断られる問題は本当に多く発生しているのでしょうか。
現在、日本には性的マイノリティ向けの心理カウンセラーや同性結婚式を行う神社や結婚式場、性同一性障害の患者を積極的に診察する病院が存在します。さらに、厚生労働省が精神障害者保険福祉手帳から性別欄を削除するなど、性的マイノリティに配慮した対応が国内ですでに進んでいます。
このように日本は他国に比べると、性的マイノリティに対して、目に見えた差別が少ない国であると言えます。
たとえば、アメリカではキリスト教の教えによって同性愛は罪とされているため、同性愛者に対する差別が根強くあります。また、ロシアでは、2013年に同性愛宣伝禁止法が定められ、昨年は動画サイトのYouTubeで同性カップルが手をつないで歩いているだけで、周囲の人々がそのカップルに対して暴言を浴びせたり、殴りかかってきたりする動画が2日間で200万再生され、話題となりました。
さらに中東やアフリカには、同性愛自体が犯罪行為とされており、死刑を含む刑罰で罰せられる国も存在します。
そのため日本では、性的マイノリティへの差別は比較的少ないと言えます。しかし、それは裏を返せば、国民が彼らについての正しい知識を持っていないということの裏付けでもあります。
そのため、ここで整理をしておきたいのですが、レズ、ゲイ、バイは「性的指向」であるのに対し、トランスジェンダーは「性的自認」であり、医師の認定が必要であるあきらかな障害であると言えます。トランスジェンダーの方は法律的に保護する必要があり、世間的な目からの誤解を解かねばなりませんので、彼らの人権のために区が啓蒙活動をするのは問題ないと考えます。
また、トランスジェンダーの方は、障害であると認められているからこそ、性別を変更できるなどの法的な救済策が用意されています。
それに対し、レズ、ゲイ、バイは性的指向であり、現時点では障害であるかどうかが医学的にはっきりしていません。そもそも地方自治体が現段階で、性的指向、すなわち個人的趣味の分野にまで多くの時間と予算を費やすことは、本当に必要なのでしょうか。その前提に基づき、いくつか質問をしていきます。
杉並区男女共同参画行動計画においては、「性的少数者(性同一性障害者など)」と記載されていますが、ここで言う“など”には具体的になにが含まれているのでしょうか。うかがいます。
また、関連して杉並区男女共同参画行動計画は今年改定されますが、そこでは性的マイノリティについて、どのように表現されるのか、うかがいます。
杉並区は性的少数者とひとくくりに表現していますが、本来、レズ・ゲイ・バイとトランスジェンダーは本質的に異なるため、区別されなければなりません。実際に私の友人のトランスジェンダーの方々に話を聞くと、「レズ・ゲイ・バイとひとまとめにされることには抵抗がある」とのことでした。
そのため、区はレズ・ゲイ・バイとトランスジェンダーは異なるものであると周知し、LGBTや性的少数者という「性的指向」と「性的自認」をひとまとめにした表現を改めるべきだと考えますが、区の見解はいかがでしょうか。
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が今年4月1日から施行されますが、性同一性障害の方々は対象になるのか、杉並区の見解を問います。
最後の質問となりますが、杉並区は今後も性的マイノリティの人権を守る活動を続けていくのでしょうか。また、杉並区は今後、渋谷区の条例や世田谷区の要綱のようなものを出すことがありうるのかうかがいます。
以上、性的マイノリティに関していくつか質問させていただきましたが、それはトランスジェンダーである私の親友がここ最近のLGBTに関する運動の盛り上がりに不信感を抱いており、「自分はカムアウトはしたくないし、そもそも世間にここまで大きく性について取り合げて欲しくない」という彼女の言葉を聞いたことがきっかけでした。
多様な思想や個性を持つ私たちが共生していくにあたり、身近に性的マイノリティの方々が居るということを認識することは重要です。その上で、マジョリティ側がマイノリティの気持ちを理解し、その気持ちに寄り添うことで、さまざまな状況が改善するはずです。
ただ、そこで注意すべきこととして、マイノリティを助ける側の人々が、人助けをしようという気持ちが過剰にふくらみ、上から目線となり、マイノリティの方々に差別的な目線を送っている可能性があります。
また、その逆のパターンで、マジョリティの力よりもマイノリティの力が大きくなり、マジョリティ側を迫害する構図が生まれることも考えられます。
実際にアメリカのコロラド州では、「キリスト教の信仰から同性婚のためのウエディングケーキの販売はできない」と断った洋菓子職人の男性が、日本円にして約1700万円の賠償金支払いを命じられたという事例があります。
洋菓子職人の男性は「同性カップルにウエディングケーキを作ることを強いることは、信教の自由と言論の自由を迫害している」と主張したにもかかわらず、訴訟に負け、自身の宗教的信条を否定される苦痛を味わうことになりました。
海外ではこのような性的マイノリティによる、過剰な人権訴訟が増えており、敗訴した企業や店舗は営業停止に追い込まれるなど、本末転倒なケースが少なくありません。性的マイノリティ支援において本当に重要なことは、彼らが本当に求めていることはなんであるのかを見極め、1人1人にあった対応をすることです。それにも関わらず、結果的に差別のなかったところに差別が生まれてしまう、という逆説的な結果が生まれてしまうこともあります。
すべての人が、マジョリティに対してもマイノリティに対しても思想信条の自由を侵害しないことを願い、私の一般質問を終わらせていただきます。
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