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株式会社 コーチ・エィ 代表取締役 社長執行役員 鈴木義幸氏インタビュー(全1記事)

やる気のない部下に必要なのは「仕事の意味」 コーチングに学ぶ、人と組織を変える問いの力

あなたが目の前のことにあまり前向きに取り組めないとしたら、それは「意味」を見い出せていないからなのかもしれません。社会が大きな過渡期を迎えている今、個人も組織も進んで変化していく必要に迫られています。そんな中、組織変革を促す方法の1つとして注目されているのが、エグゼクティブやビジネスリーダーへのコーチングです。コーチングとは「自発的行動を促進するコミュニケーション」であり、多くの企業で、人材開発・リーダー育成・組織開発のために導入されています。今回は、世界最大規模のコーチング・ファームである株式会社コーチ・エィ代表の鈴木義幸氏に、現場のマネジメント層に役立つコーチングの手法や、組織のカルチャーを醸成するノウハウについて伺いました。(写真提供:株式会社 コーチ・エィ )

「主体的に行動できる人」を育てるコミュニケーション

――「コーチング」という言葉自体は、かなり普及してきたように思いますが、コーチ・エィさんで提供されている、エグゼクティブや役員向けのコーチングとは、実際どういったものなのでしょうか?

鈴木義幸氏(以下、鈴木):一言で言うと、コーチ・エィはコーチングを使って企業の組織変革・組織開発を支援している会社です。主なお客さまは、時価総額TOP50に入るような大企業やスタートアップですね。

大企業での一番典型的なかたちとしては、トップおよびエグゼクティブ、役員クラスの方に、エグゼクティブコーチとしてつかせていただきます。そうすることによって、会社の変革における課題がとてもよくわかるわけですね。

その情報をベースに、どうすれば組織変革ができるかというプランを立てて、役員全員にコーチをつけさせていただいたり、幹部クラスの方が部下に対してコーチングができるようにご支援をさせていただいています。そして、だいたい3年~長いと5年くらいかけて、組織の文化を変えていくお手伝いをさせていただいています。

――コンサルティングとも少し似ている気がするんですけれども、どういった違いがあるのでしょうか?

鈴木:コンサルティング、あるいはコンサルタントは、ある領域における専門家として、課題解決のための提案をして、仕組みや制度を作りますよね。

一方で我々は、基本的には組織変革を起こしていける主体的なリーダーの開発をしています。つまり、組織変革のエンジンとなるような、自ら物事を変えていける主体性を持ったリーダーが増えていけば、その組織自体が変わってくるだろうと。これは役職の問題ではなくて、社員一人ひとりに言えることであり、コーチ・エィでは「主体化」と呼んでいます。

例えば、企業には存在目的や存在意義、パーパスというものがあります。それは個人も同じで、自分が生きる意味ややりたいことがありますよね。私たちは、組織のパーパスと個人のパーパスをうまく融合できた人を「主体化している」と考えています。

けれども、残念ながら日本のいわゆるサラリーマンには、主体化していない方が多くいらっしゃるように思います。物理的には会社に所属していたとしても、精神的には所属していない方がたくさんいるのではないでしょうか。

週末の趣味のサークル活動では主体化していても、会社の組織には主体化していないという人もいるようです。主体化していない人は、全体的な視点をもって会社を観ることが難しいので企業が変わっていくためには、主体化した人の数を増やしていくことが大切です。

基本的には組織は変わり続ける必要があり、もはやこの環境の中で「十分変わったよね、明日からもう安定が待っているね」ということはありません。日々変化していく必要があるわけです。そうしたマインドを持っている人が増えないと、組織は競争に勝てないし、生き残っていけない。そのためにコーチングという手法を使っています。

一番大切な問いは「何のため」「誰のため」

―—前例も答えもない時代では、主体的に動けるようになることが必要ということですね。具体的にはどういった手法なんでしょうか?

鈴木:コーチングでは、一切アドバイスをしないんです。相手の方との間に「問い」を置いて、その問いに向かって一緒に答えを探索し、発見していくというアプローチを取ります。

例えば「組織をどういうふうに変えたらいいのか?」という問いがあったとすると「どういうふうに変えたらいいと思いますか?」とは聞かないんです。相手の問いを共有して一緒に考えることが、コーチングの考え方であり、スタイルなんですね。

某大手金融会社トップのコーチをやらせていただいているんですけれども、CEOに対して僕が問いかけているのは、「この会社の何を変える必要があるか」ということに向けて「CEOはどう変わったらいいか」という問いを含めた4つの質問だけです。

僕たちの仕事は、これらの問いに対して「こうしたほうがいいですね」と言うのではなく、相手の中にある、とても大事で本質的だけれども、ふだん目を向けないような問いを考え続けていただいて、それをベースにアクションを起こせるようにすることなんですね。

いかに主体化するか、あるいは主体的に動けるかということに関して言うと、「なんのためにこの会社があるのか」、あるいは「なんのために自分は生きているのか」ということが一番大事な問いなんですよ。

「What(何をするか)」とか「How(どうやってやるか)」ではなく、「なんのためなのか」「誰のためなのか」という問いに向き合って、何らかの答えを出していない人が主体的になることは難しいんです。

テレワーク下で、マネジメントのクオリティに差が生まれる理由

―—なるほど。話は少し変わりますが、コロナウィルス感染症によって、テレワークが進んだことは、こういった組織のマネジメントにも影響しているのでしょうか?

鈴木:例えば、テレワークで部下とコミュニケーションが取りづらくなったという人は、実は、コロナの前からそうだったのではないかと思います。つまり、以前から部下の仕事ぶりをちゃんと見ている人は、オンラインになっても当然、チャットや電話で「どうだ?」と気に掛けるわけですから。

オンラインではコミュニケーションに対するハードルがすごく下がるという点があります。視線や声の調子といった非言語コミュニケーションの影響を受けにくいので、面談やミーティングで双方が発言しやすくなるわけですね。そうすると、だらだらと会議が続いてしまうようなことが減って、たくさんのアジェンダについて話し合えるようになり、時間的な効率は上がっていると思います。

ただ問題は、上司がかなり能動的に意識をしていないと、部下の能力開発やチームを良くするための時間は取らないことなんです。そこで、マネジメントのクオリティにすごく差が生まれているという現実はあると思います。

3~4人くらいのチームを見ているマネージャーさんなら、逆にオンラインのほうがやりやすいこともあると思うのですが、50人を見ている部長さんからすると、全員が出社していれば目の端に入ったり表情でわかっていたことが、オンラインになると、話す人と話さない人が出てきて、どうしても見えない人が出てきてしまうんです。

それに、たまたまそばにいる人に話しかけて、「こういうことやろうか」といった偶発的なコミュニケーションも起きない。直接会っていれば、会議の後のインフォーマルな場で「おい、あれを頼むぞ」と念押しできたり、「あれどうなってる?」という雑談が生まれますが、そういったことが起こりにくかったりします。

部下の中で“忘れられた人”を作らないために

鈴木:人は無意識のうちに、今自分が関わって対応している人の数をイメージしているんですが、例えば部下が50人いるのに、なんとなくいつも10人ぐらいしか頭にないとすると、40人は“忘れられた人たち”になるわけですよね。そうすると、その50人をいかにいつも頭の中に描いていられるかというリーダーの認識が大事です。

たまたま今日、ある会社の社長さんとセッションをして、仕事で関わる人たちのネットワーク図を描いてもらいました。自分を中心に周りにどういう人がいるかと、その人たちとのコミュニケーション量を自分との距離で表現してもらいました。

こういったネットワーク図を描いてもらうだけで、周囲の人たちとの関係性について気づくことがたくさんあります。オンラインが主流の中では、自分の部署にいる部下を常に意識するような状態を作らないと、見えていないことにも気づかない可能性があります。

また、図を描いたら、自分の中で「最近あまり口を聞いていない人は誰だろうか」とか「それはなぜか」といった問いを自分の中で立てていく。自分で問いを立てることで気づきを得て、コミュニケーションを取っていかないと、マネジメントのクオリティは上がらないんじゃないかなと思います。

――自覚と自問の両方が大切なんですね。

人は自分がしていることに「意味」を求める生き物

――これからのマネージャーの役割として、こういった部下の「主体化」を促すことがより重要になっていくのでしょうか。

鈴木:そうですね。上司が部下に「なんのためにこの仕事をしているのか」「誰のためにこの仕事をしているのか」について話そうよ、という対話が生まれることが望ましいと思います。この問いがクリアになっていないと、主体化は起こらない。なぜなら、人が一番欲しいものは「意味」だからです。人は自分がしていることに意味づけをしたい動物なので、意味のないことをするのは苦痛以外の何物でもない。

例えば、去年はラグビーが盛り上がりましたよね。先日、ラグビーの元日本代表のキャプテンの廣瀬俊朗さんと対談をしました。スポーツは「勝つことがゴールだ」と、当たり前のように思われているわけなんですけど、廣瀬さんは「『なんのために日本代表が勝とうとしているのか』を、みんなで話して言葉にすることが何よりも一番大事だ」と言うんですね。

それは病院なども同じです。病院は人の命を救うことが当たり前の目的のように感じられるから、あえて「私たちは何のために病院で働いているのか」とは話さないわけですね。でも、そのことを話さないとエネルギーが湧かないんですよ。

伊豆長岡のある病院に、コーチ・エィでコーチングを学んだ方が赴任して、「この病院は誰のためにここにあるんだろうね」「この地域の人たちにどう役立とうとしているんだろうか」と話すことによって、改めて看護師さんと事務局とドクターが一緒にがんばっていこうというムーブメントが生まれています。

「なんのために、誰のために」を話すことで人の主体性が上がったり、上司と部下の結束も強くなるんじゃないかと思うんですよね。もっと言うと、それを言語化して終わりではなくて、定年退職するまでずっと、そのことについて話し続けていく必要があると思います。

自分と組織の間につながりを見出すことの重要性

――それは、どういうふうに話し続けるといいのでしょうか。ビジョンやミッションを唱和しても、なかなか頭に入らないような気がしています。

鈴木:なんの脈絡もなくていいんですよ。例えばミーティングの時に、「このプロジェクトって、なんのためにやるんだろうね」というふうに、上司が部下に何気なく声を掛けてもいいし、自分で言葉にしないとだめなんですね。「私は何のためにこの会社で働いていくのか」、もっと言えば「なんのために生きているのか」ということを、自分で言葉にすることがエネルギー源になるんです。

例えば、Googleには「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」というパーパスがありますよね。また、Microsoftのサティア・ナデラ氏がCEOに就任してまずやったことは、「Microsoftはなんのためにあるのか、社会的な存在意義はなんだろう」ということを、役員みんなで話し合うことでした。彼が書いた『Hit Refresh マイクロソフト再興とテクノロジーの未来』という本の中にも出てきますけど、それがブレイクを起こすための第一歩だったんですよね。

Hit Refresh(ヒット リフレッシュ) マイクロソフト再興とテクノロジーの未来

だから、いろいろな会社を見ていても、「何のために、誰のために」ということを話している会社は強いし、継続的に成長するんじゃないかなと思いますけれどもね。

そうして話し合う時に大切なことは、上司の側が答えを持っている前提で「俺は答えを知っているけど、お前の答えはなんなの?」という態度にならないことです。そうすると、相手は話したくなくなってしまうので、問いを間において、みんなで話せる状態になるのが一番いいんです。

リーダーが「共創のコミュニケーション」を取れるとすごくいいですよね。それは、スキルよりもマインドの問題だと思いますし、コミュニケーションの目的をどう捉えているかだと思います。結局、自分の目的と会社の目的をどうつなげられるかは、本人が言葉にしたり自覚する以外に方法はないわけです。人から言われてつながりが生まれるわけじゃないですからね。

コーチングを受ける準備ができている人、できていない人

――コーチングが合う人・合わない人といった相性や、やるべきタイミングはあるのでしょうか?

鈴木:コーチングが合わない人がいるわけではないのですが、コーチングを受ける準備ができていない人はいますね。例えば、我々が経営陣にコーチをする時に、相手がどれぐらいコーチングを受ける準備が整っているかということを指し示す「コーチング・レディネス」という言葉があります。

コーチングは基本的に「もっと良くなろう、もっと会社を良くしよう、もっと変えよう」という人のためのものなので、「自分は自分のやり方でやるんだ」と強く思っていて、それを1ミリも変えたくない人にコーチングをすることは難しいだろうと思います。

問いを間において一緒に探索していくことは、自分のこれまでのやり方をちょっと脇において、「何か新しいやり方がないだろうか」と考えることなんですね。

また、マネージャーが部下をコーチングする場合も、コーチングだけで部下の開発ができるわけではありません。ティーチングやメンタリング、トレーニングといったものの中に、コーチングもあるといいということだと思うんですね。

つまり、新人に対して初日からずっとコーチングだけでやっていけるかというと、そんなことはないわけです。やっぱりティーチングやトレーニングが必要ですし、「自分の経験になぞらえるとこうだと思うよ」というようなメンタリング、いわゆる指導も必要じゃないですか。その中に、コーチング的なものをいかに織り交ぜていけるかということだと思います。

コーチングが機能しやすいのは、重要かつ緊急性が低い領域

鈴木:コーチングは、相手が自ら気づき、言語化していくきっかけを作っていくことなので、新人でも中途でも絶対にあったほうがいいと思うんですね。ただ、そのタイミングや場面は、上司のセンスが問われるところです。

――難しそうですね。

鈴木:とても簡単に言うと、コーチングが機能しやすいのは、重要だけれども緊急性の低いような領域のものですね。例えば、新人が目の前の社内システムの使い方がわからない時に、上司が「どうしたらいいと思う?」と聞いても仕方がないですよね。それはティーチングの領域なわけです。

けれども、「この会社の中で何を実現したいんだろう」「どういう営業マンになっていきたいんだろう」「お客さまとどういう関係を作っていくのがいいんだろう」という、非常に重要だけど緊急性が低くて、かつ自分の言葉にしたほうがいいもの。逆に言うと、そこはコーチングでないとできない領域なんですよね。

――ティーチングもトレーニングもメンタリングも、どちらかと言うと上から答えを教えるようなかたちですが、コーチングだけは正解もないし双方向の関わりというところが違っていますね。

鈴木:おっしゃるとおりですね。コーチングは双方向性をとても大事にしていて、どちらかが一方的にしゃべることはあり得ません。

問いを一緒に掘り下げ、言語化していく

――問いの内容は、新人や経営層など、相手によっても多少変えるのでしょうか? 

鈴木:対象者によって問いが変わることはないと思います。誰にとっても大事な問いというものがあると思うんですね。例えば「どんなキャリアを積んでいきたいんだろうね」という問いをおくとしますよね。それに対して、相手が「本当にお客さまと喜んでいけるような仕事がしたいと思っています」と言ったとします。

そこで「ああ、そうなんだね」と言って終わってしまうと、ぜんぜん深まりません。「お客さまに喜んでいただくというのは、どんな場面を想像しているの?」とか、「君は、具体的にどういうふうにお客さまに喜んでいただきたいと思う?」とか。

相手の話に対して、2次的あるいは3次的、4次的な問いをおいて、それを相手が言葉にすることで「こんなことを思っていたんだな」「こういうふうにしたかったんだな」と気づける。そこは問いかけの技術や練習も必要だと思います。

高圧的な上司が組織に及ぼす悪影響

――言語化が得意な人もいれば、そうでない人もいると思いますが、苦手な人にはどんなふうに対応したらよいのでしょうか?

鈴木:そうですね。コーチングでは問いかけて言語化するサポートをしますが、本当は自分にとって大事な問いを、繰り返し自分に問うてほしいんです。

これを「問いの内在化」と呼んでいます。きっかけは、上司が「なんのためにやりたいんだろうね」と問うことであっても、それが繰り返し話題になったり、対話をすることで、やがて部下自身がその問いを自問自答するようになっていく。

人が変わることは、実は自分に問いかけることが変わるとも言えるんですね。自分への問いが変わらないと、結局人の意識はあまり変わらないし、行動も変わらないんですよね。誰が数えたのか知りませんが、人は1日に1,000回も2,000回も自分に問いかけているとも言います。

つまり、人の思考の実態は結局Q&Aでできているとも言えるわけです。朝起きて、「何が食べたいかな? 卵を食べよう」とか「今日のスケジュールはなんだっけ? あぁ会議があるな」「どんな服を着ていこう? スーツを着ていこうかな」とか。

Questionの部分は無意識なので、自分ではなかなか認識ができないんですけれども、人が考えていることは、自分に投げた何らかの問いが刺激になってAnswerが生まれているんですね。

例えば高圧的な上司がなぜ良くないかというと、部下に「この上司を怒らせないようにするにはどうしたらいいんだろう」「どうすればこの上司は喜ぶんだろう」という問いばかりさせてしまうからなんです。そうすると、非常に受動的で受け身な組織になってしまいますよね。

それよりも、「どうしたらもっとお客さまに喜んでいただけるんだろうか」とか、「何のためにこの仕事をしているんだろうか」とか、「イノベーションを起こすために何が必要なんだろうか」という問いを、例えば100人の部下が1日1,000回問いかけてくれていたら、その会社は絶対よくなりますよね。

個人も組織をも変える「問い」の力

――確かに。誰がどんな問いを持っているかは外からは見えないので、とても難しいですね。だから、3年、5年かけて習慣化できるまで関わっていらっしゃるんですね。

鈴木:そうですね。個人の中で問いが変わることは、その人の意識が変わることであり、組織が変わることは、組織の中で共有されている問いが変わることだとも思っています。

例えば社長が社員を前にして、会議で「いいか、今年はCSが大事なんだ」と言ったとしますよね。ところが、会議の後にエレベーターホールで、社長がたまたま会った若手に「おい、売れてるのか」と聞いてしまうと、実際はそちらのほうが社員への影響が強い。リーダーはしゃべることが大事だと思っていて、「いいことを言えばきっと会社が良くなる」と思っているんですけれども、それよりも「問うこと」のほうが、周囲への影響が強いんですね。

そうすると「何を問うのか」「何がこの組織の中で問われているのか」「どんな問いが共有されているのか」ということがすごく大事なんです。

組織で共有されている「問い」をアップデートしていく

鈴木:例えば、ある会社では、「いかにミスをなくせるだろうか」とか、「いかに上司の期待に120パーセント応えられるだろうか」という問いが、何十年もずっと回っていました。でも、テクノロジーによって新興企業が台頭し、業界自体が変わっていかなければいけない中で、「イノベーションを起こすために何が必要なんだろうか」というような問いに変わっていく必要があるわけですね。

――「問い」が人や組織を変えるという考え方は、とても興味深いですね。

鈴木:だから、組織変革とはある意味、共有される問いが変わるプロセスだとも思っているんですよね。コーチの仕事は、問いを立てることだとも言えます。組織変革を生業にしているコーチ・エィという会社にとっては、「いかにその組織の中の問いを新しくしていけるか」ということが仕事の重要な部分なんです。そんなことばかり考えて仕事をしている集団だとも言えますね。

――コーチングを入れてうまくいった会社の共通点や法則のようなものはあるんでしょうか?

鈴木:大きく言うと「変わりたい」と思っている企業であることですね。例えば「もっといい組織にしたい」「もっとリーダーというマインドを持っている人材を増やしたい」という思いが強くないと、コーチングを導入してもあまり意味がないですね。

逆に、トップもしくはトップに準じる方が、本当に「組織の文化を変えていきたい」と思っていらっしゃると、とても親和性があると思います。

――一人ひとりが主体性を持つことで、組織として大きな変化に柔軟に対応できたり、個人としても仕事に前向きに取り組めるマインドを持てそうだなと思いました。お話を聞かせていただき、ありがとうございました。

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