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Lecture 7 - How to Build Products Users Love(全4記事)

「“沈黙”は別れのサイン」 カップルが破局する4大原因からみた、カスタマー・サポートの最適解

ブラウザ上でのフォーム作成サービスWufooの創業者であり、Yコンビネーターのパートナーを務めるKevin Hale(ケビン・ヘイル)氏が起業家育成講義に登場。スタートアップにおいてカスタマー・サポートを疎かにすることがいかに危険であるか、カップルが別れる原因を例に挙げながらわかりやすく解説しました。

初めての出会い方を差別化する

ケビン・ヘイル(以下、ケビン):Wufooが3番目のAPIをローンチしようとした時、「これでやっと世の中に送り出せる十分なものができた」と思いました。個性を前面に出しながら世の中にローンチする良い方法はないものかと頭をひねりました。

多くのプログラミングAPIコンテストがiPadやiPhoneをプレゼントしていますが、私達も同じことをやっては他と差別化することが出来ないと思いました。

私達の共同創業者には中世風の趣味があるので、毎年創業記念日は中世風に祝っています。そこでArmor.comにコンタクトし、「カスタムメイドで戦闘用の斧をつくってくれませんか?」と頼み、私達がやるプログラムコンテストで優勝した人にはもれなく戦闘用の斧をプレゼントすることにしました。

(会場笑)

結果、世間はこのおかしなコンテストの噂話をするようになりました。面白いでしょう、「今僕は斧をゲットする為にプログラミングしているんだ!」なんて。

(会場笑)

ありがたいことに25以上のアプリケーションが私達の元に届きました。予算や時間的制約の問題でこれらに対して支払いをすることは出来ませんでした。iPhoneのアプリ、アンドロイドのアプリ、WordpressのPlugin等です。たくさんの方がコンテストに参加してくれましたが私達がやったことは、人々と私達との初めての出会いを既存のよくある話とは違う風にした、これだけです。

ケンカからカップルの関係性がわかる

Little Big Detailsをサブスクライブしましょう。要はこれでたくさんのソフトウェアのスクリーンショットを見ることが出来るのですが、これらをチェックすることでユーザー、顧客の視点を勉強しましょう。

長く安定した交際または結婚についての研究結果についてですが、私達はジョン・ゴッドマンのものだけを読みました。彼は「This American Life」で特集されたり、マルコム・グラッドウェルの著作の中にも登場します。シアトル在住で、結婚の研究者です。

彼には面白い特技があります。カップルがあることで言い争いをしているビデオを15分見れば85%の確率で4年後そのカップルは一緒にいるか、別れることになるかを予測することが出来るのです。

カップルの様子を撮影するビデオを1時間にして、彼らの想いや夢を語ってもらえば、その確率は94%まで上がります。まったく同じビデオを成功している結婚カウンセラー、社会学者、精神科医、神父等々に見せても、彼らはジョンと同じようにカップルの4年後を予測することは出来ませんでした。

つまり、ジョン・ゴッドマンはカップルが長く付き合っていくとはどういうことなのかを真に理解していると言えるでしょう。簡単に言えば、私達がパートナーと口論・喧嘩をする時、例えそれが短い時間であったとしても、そこからそのカップルの関係性の真実が見えてくるということです。

ローンチ後に直面する現実

彼の面白い研究結果の中のひとつがこれです。上手くいくカップルは喧嘩を全くしないという話ではなく、どんなカップルも喧嘩を避けることはできません。更にどんなカップルも同じことで喧嘩をします。

お金、子供、セックス、時間、そしてその他。この他の中には、嫉妬、親戚関係等があります。プロダクトをつくる際のカスタマーサポート的観点で抱えることになる問題と照らし合わせて、まったく同じことが言えるのです。

(会場笑)

そうでしょう? 「これは高すぎる」と言われるのがお金のポイント、子供はユーザーのクライアント、セックスはパフォーマンス、どのくらい出来て、どのくらい早く対応できるか。

(会場笑)

その他については嫉妬と親戚関係と言いました。これは競争とパートナーシップです。カスタマーサポートの視点から考えることが大切なのは、これらの全てのステップに関わってくるからです。これを考えなければ成長を続けることは出来ません。そしてこれをしなければコンバージョンは起きることはありません。

これらのポイントを考えると、どのように会社を始めるか、そしてどのようにエンジニアチームをつくり上げていくかに大きな課題があることに気がつきます。フィードバック・ループが作用していないのです。

エンジニアやデザイナーは、彼らのつくったプロダクトのその後の結果に深くかかわっていません。これはどのように多くの人が会社を始めるか、特に技術者出身の創業者達の既存のあり方の結果自然とこうなったと言えるでしょう。

ローンチの前は、至福の時、心は落ち着き、そしてこれからどうなるかわくわくする時です。どんなことをしても間違いにはなりません。自分で書いたすべてのコードが完璧で、すべてが上手く行っている気になります。

しかしローンチ後は現実に直面します。プロダクトをつくるだけではなく、他にもやるべきことが山ほどあることに気がつきます。技術者出身の共同創業者はそれを面倒に思い、他の人に任せて、自分の好きなプロダクトづくりだけをやるという初期のステージに後退するのです。

技術者が気を配るべき「SDD」

自分の仕事ではないと思っているカスタマー・サポートが実は会社を成功させるのに必要なことであるにも関わらず。技術者出身の創業者にとって、このような仕事は自分がやるべきではない、「劣っている」仕事です。他の人にやらせればいいと思いがちです。

ソフトウェア・ディべロップメントの世界に責任、信頼、謙遜、謙虚さのような現在ではあまり話されることがない価値観を浸透させる為にどのようにしたらよいでしょうか? 私達はこれを「SDD」、(それぞれの頭文字で)サポート、ドリブン、ディベロップメントと呼んでいます。

これはTDDに似ています。つまり高品質のソフトウェアのつくり方です。これをするのはとても簡単です。社内全員にカスタマーサポートをやってもらうのです。これによってフィードバック・ループをあるべき形に戻します。ソフトウェアを実際につくっている人がカスタマー・サポートをすれば必ず良い結果に繋がります。

その中のひとつは責任感あるディベロッパーとデザイナーの仕事をサポートすることに繋がることです。プロダクトをつくる人が最も顧客の相談事をサポートするのに適しています。

しかし、このように考えるのは私達が最初ではありません。Kayakのポール・イングリッシュはこの考え方を強く支持していました。彼はエンジニアルームの真ん中に、カスタマー・サポート専用の赤い電話を引き、エンジニアがカスタマー・サポートの電話を取るようにしました。

「なぜ12万ドルも支払っているエンジニア達にカスタマー・サポートなどやらせるのですか? 他の人にやらせれば良いものの」と人からよく聞かれたそうです。彼はこう答えました、「それはですね、2回目、3回目のカスタマーからの相談の電話で1回目とまったく同じことを相談されたからです。そこで彼らはすぐさまその問題解決に取りかかりました。するとどうでしょう。相談の電話がかかってこなくなったのです。」これはエレガント且つスマートなQ&Aなのです。

カップルが別れる原因とカスタマー・サポート

ジョン・ゴットマンの話に戻ります。彼はカップルが別れる原因は大きく4つあると説いています。これらは別れを予期する警告です。彼が呼ぶ「4つのホースマン」とは、「批判」「軽蔑」「言い訳がましさ」「沈黙」です。

「批判」とはあるひとつの特定した物事に対してでなく、総体して相手を「いつも○○しない」と責めること。例えば「いつもユーザーの意見を聞かない」「どうして私達のことをいつも真剣に考えてくれないの?」という具合です。

「軽蔑」とは意図的に誰かを貶めようとすること。「守りに入る」とは責任を取らずに、自分の行動にいつも言い訳をすること。

「沈黙」とは簡単に言うと、もう何も反応しなくなるということ。ジョン・ゴットマンによると、「沈黙」はカップルが関係を続けていく中で、最も危険な別れのサインです。

カスタマー・サポートにおいて、「批判」と「軽蔑」はそんなに気にならないですよね。「言い訳がましさ」は会社が成長するにつれ頻繁に出てくるようになります。しかし、「沈黙」。これがスタートアップによく起こる問題です。

カスタマーへの迅速な対応がスケールにつながる

カスタマー・サポートに電話がかかってくる。そこで「そんな質問に答える必要はない」と思ってしまう。更にそのように思うので、顧客にまったくメールの返信をしない、折り返し連絡をしない。これは初期のスタートアップにとって致命的なことです。

Wufooのサポートはこのような感じです。合併当時、私達は50万人のユーザーをシステムに抱えていました。Wufooのフォームを使っている人は500万人いて、彼らの問い合わせすべてに10人で対応しました。

シフト制、交代で1日1人は必ずカスタマー・サポートだけに集中して取り組むようにしていました。これが1週間に400の問題、メールにして約800通のやりとりという結果になりました。

それでも朝9時から夜9時の間のカスタマーへの返信までの時間は7分から12分。夜9時から深夜帯は大体1時間ほどで返信。週末でも24時間以内に返信。これがスケールに繋がります。

※続きはこちら!「結局、手書きの手紙がイチバン」 シリコンバレーのIT企業が実践する、顧客とつながるシンプルな方法

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