2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
提供:SAPジャパン株式会社
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——今日は中堅・中小企業のクラウドERP導入に関する現状の課題と、新たな解決策についてお聞きしたいと思います。
クラウドERPは、オンプレミスに比べて短納期で低コストと言われていますが、数年前には、日本で基幹業務統合ソフトを導入している中小企業・小規模事業者は21.5パーセントほどという調査(中小企業庁「中小企業・小規模事業者のIT利用の状況及び課題について」2017年3月)もありました。
今、中堅・中小企業ではどのくらいERPの導入が進んでいるのかと、導入メリットについて教えていただけますか?
内田誠治氏(以下、内田):弊社も昔はERPというと大手企業さまでしたが、2010年代からは、お客さまの構成比率の80パーセント以上が中堅・中小企業さまです。年商100億円以下の企業さまも含め、幅広くERP、特にクラウドERPをご提供しています。
以前は本当に高価なものでしたが、今は製品の成熟度と、我々のシステムを導入するパートナーさまの習熟度、後ほどお話しする「Fit to Standard」という考え方の適用が進んだことによって、どんどんコストが下がってきています。
我々は、中堅・中小企業さまにERPシステムを利用いただくことで、企業の全体最適化や効率化を図り、ビジネス目標を達成していただけると思っています。また、中堅・中小企業さまに限らずですが、クラウドで導入することで、どんどん進化していく機能やサービスを使えることもメリットですね。
——「ERPと言えば大企業」というイメージは、もうなくなってきているということですね。一方で、なかなか導入が進まない、あるいはうまくいっていない企業に共通する課題はありますか?
内田:2つの観点での課題があると思います。1つはお客さま側によくある課題です。他社の方とあまり密に自社の業務の話をする機会がないこともあって、「うちはすごく特殊なことをやっている」と思い込んでらっしゃる方が多いんですね。
例えば、設計や製造などの自社特有の競争領域の業務は別として、どの企業でもやっているような会計や受発注の業務でも、特殊だと思われている場合があります。また、10年〜20年と同じような業務を続けてきて、「これっておかしいんじゃないか」というところに疑問を抱かれていないケースもあります。
システム全体の入れ替えは、たぶん中堅・中小企業さまのほうが(大企業より)多いと思うんですけど、それでも20年に1回とか30年に1回くらいのペースです。なので、クラウドERPの導入方法についても「昔のシステムと同じやり方なんじゃない?」と思っていらっしゃるケースがあります。
そうすると「これも作りたい、あれも作りたい」「業務のやり方を変えたくない」というところにこだわり、導入プロジェクトの期間が延びたり、新しい機能が増えたことでメンテナンスや運用が大変になりやすいです。
——確かに「これってもしかしたら思い込みかも」という視点を持ってみると、壁だと思っていたことも乗り越えやすくなりそうです。もう1つの課題ってなんでしょうか?
内田:お客さま側だけでなく、我々のようなクラウドサービスを提供する側にも問題があると思っているんですね。そこについては、我々もどんどん解決の方向に向けて動いています。
1つは、クラウドサービスとしてのERPをどう使っていくのか、プロジェクトを立ち上げたり運用したりしていくのか、という方法論がなかったことです。モノがあっても、さまざまな判断の部分でお客さまが困ってしまう。
この問題を解決するために、我々は、まず「クラウドERPサービスはどうやってシステムを検討して、導入して運用していくか」という方法論をセットで提供しています。
また、「システムに業務を合わせて、余分なことをしないようにしていきましょう」という、「Fit to Standard」と呼ばれる考え方があります。イチから全部カスタマイズするのではなく、標準システムに合わせることで、納期の短縮やコスト削減ができます。
この一番の肝は、ベースとなるシステムと自社の業務をどれだけ合わせられるのか。例えば、業務プロセスがこれしかないんだったら、我々の業務は合わせられませんよね、というのがお客さまの気持ちだったと思うんです。
ここに関しても我々は、お客さまに安心して業務プロセスを合わせていただけるように、全世界の26業種のお客さまが利用しているシステムをもとにテンプレートを用意しています。
そして、多くのお客さまにシステムをご利用いただいている実績等も踏まえて、「お客さまは、もっとこういうふうにシステムを使いたいんじゃないか」というものを、「SAP Best Practices」という業務テンプレートとして提供しています。これによって、お客さまの業務を標準のシステムに合わせる、Fit to Standardを実現しています。
——2024年7月からは、中堅・中小企業のERP導入を支える「クラウドERP導入塾」という新たなサービスが始まるとうかがいました。これはどんな特徴があるんでしょうか?
内田:「クラウドERP導入塾」は、先ほどのような課題を解決するために立ち上げたプログラムです。クラウドERPと導入方法論をセットで提供していることと、1社で悩まないように複数社で取り組めることが大きな特徴です。
塾ということで集合形式になっているので、「自社はあんまり特殊なことはやってないんだな」「ここは変えてもいいんじゃない」と、お互いに気づきを得られると思います。
——なるほど。Fit to Standardのお話もありましたけど、旧来の業務をアップデートできる一方で、慣れ親しんだ仕事のやり方を変えることへの抵抗感もあると聞きます。そこをほかの会社の方々とも情報共有しながら、「もっと便利なやり方があるんだ」と思えると、けっこうハードルが下がりそうですね。
内田:それもありますし、今までは紙の上で「こうやります」というふうにやっていくことが多かったと思うんです。でも、クラウドERP導入塾では、実際にシステムを見ながら取り組めるので、導入後のイメージがより湧きやすくなります。
また、ビジュアル化されていることで、「こういうふうにもできるんだ」と、自社の業務の内容をきちんと考えて変えていけると思います。
内田:あともう1つ、普通のシステム屋さんでは、導入を検討する時に機能や使い方の紹介をして、「お客さまは、それに合う製品やシステム屋さんを選びましょう」とお話しされることがあるんですけど。
我々の場合はまず、クラウドを使ったシステムの導入を検討するフェーズで、「クラウドマインドセット」を醸成するワークショップを実施します。そこでは、ERPのシステムが進化しても影響を受けないかたちで使っていただけるように、「既存のシステムや機能をいかに使うか」ということをお伝えします。
例えば、iPhoneは説明書がなくても、みなさん使えますよね。機能が追加されても、普通に受け入れて使っていると思います。クラウドERPは、それに近いマインドセットを企業のシステムとしてやるんですよ、と必ずお伝えしています。
この前提があると、「どうしても自社のやり方にこだわりたい」ということよりも、システムに合わせていこうというマインドが育っていくので。
——なるほど。今まではこういう方法論がない中で、クラウドERPを導入してきたんですね。それは大変だっただろうなあという気がします(笑)。このサービスは、内田さまが立ち上げに関わってらっしゃいますが、何かきっかけになった出来事はあったんですか?
内田:やっぱり、クラウドERPのプロジェクトがうまくいってないケースをけっこう見てきたんです。導入する時に「業務をシステムに合わせていくものなんです」というお話をしても、見てきた限り絶対失敗してるんですね。
なぜかというと、導入する製品を選んでから、現場の方に「こんなことができない」「この画面が嫌だ」「こんなレポートが欲しい」と言われても、やりようがないんです。でも、製品を検討する段階で、きちんと業務を見直す視点を持って選んでいくプロジェクトは成功しています。
なので導入中よりも、その前段となる検討段階。そこで、「どのようにして今あるシステムを使っていくのか」ということを意識しながら、製品を選定することを大事にしています。クラウドERP塾では、そうしたクラウドマインドセットを提供しながら、安心安全なプロジェクトを進められるようにしたいと思っています。
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