2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
提供:DIVE DIVERSITY SUMMIT SHIBUYA実行委員会
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ハイエン・チャン氏:私たちが得た最終的な結論は、「テクノロジーを使うには、その技術自体では足りない」です。
ソフトウェアでも、ハードウェアでもない、「エンターテインメント」が必要なのです。人々を楽しませ、創造的にさせ、また他の人にも使ってもらいたくなるようなエンターテイメントです。
そこで、イギリスのトップ大学の学生たちにハッカソンに参加してもらいました。コンピューターサイエンスの修士学を持っている生徒たちでゲームをつくってもらうのです。
ヴィッキーの子どもたちだけではなく、すべての子どもたちに向けて楽しんでもらえるようなゲームです。彼らは、新しいテクノロジーをつくること、そしてたくさんの人々に会えることになにより興味を持っていましたし、それに1つの目的に向かっての意欲もありました。
(動画が流れる)
いま、嚢胞性線維症の2人の男の子に、この機器を試してもらっています。
イノベーションに必要なことは、より多くの施設や機関にこのことを知って使ってもらうことだと気が付きました。
そこで、ロンドン大学のGreat Common Hospitalに協力してもらい、イギリスの約150人の子どもに機器を配ってもらいました。より多くの子に試してもらい、統計を得ることが非常に重要でした。
統計として数を集めることができ、この機器を使用した際の治療法など臨床医たちにとっても貴重な情報を得ることができました。この機器を使った治療が、子どもたちの平均寿命を延ばすことに役立つかもしれない、という関係も見えてきました。
この生徒たちは、一緒にゲームをつくってくれた子たちです。
もう1つ例をご紹介しましょう。
エマというパーキンソン病の女性に出会いました。彼女は28歳の時にパーキンソン病だと診断されました。これは非常に稀な病気で、若いときになると壊滅的なほど進行性が高いです。
彼女は私に、今までの生活を取り戻したいと言いました。病気のせいで「手で描く」ことが困難になってしまいました。それを今まで通り、手で描けるようになりたい。彼女はグラフィック・デザイナーだったんです。
(動画が流れる)
エマも言っていたように、この研究での大きなチャレンジは、パーキンソン病について理解を深めるということでした。
これは非常に重要なことです。もしテクノロジーによって少しでも、彼女の生活を良くすることができるなら、今までの生活を取り戻し、前に進む力を与えることができるなら、それは小さな進歩でも、かなりのインパクトを与えることができるのです。
パーキンソン病は、世界で何千万人いると言われており、こういった体の痺れや揺れといった症状に対する治療法は、脳の刺激と深く関わりがあるとされています。
脳のある一部分を電気信号によって刺激すれば、その揺れが抑えられるのでは、と考えられています。
これは私の研究ラボチームの願いでもあるのですが、こういった確実で頼れる治療法が確立され、なんのリスクもなく、今までの生活を楽しめるようになれば素晴らしいと思います。
現在進められているパーキンソン病に対する画期的な試みがあります。これは、パーキンソン病の別の症状から着想を得たもので、デザインプロセスとテクノロジーを組み合わせています。医学的な見地を超えた全く別の観点から取り組みをはじめたものです。
このケースで焦点を当てているのは、自力で立つことや歩くことが難しくなる筋肉の固縮という症状です。非常にもどかしい症状です。
この解消法ですが、はじめ私にはとても変わったものに思えました。メトロノームです。実際には、こちらのアナログなものではなく電子のメトロノームでした。この「チッチッチ」という音のリズムが脳を刺激し、歩く能力を促してくれるのです。
これを初めて見たとき、「これをどう発展させていけばいいのか」「メトロノームを利用してどのように彼女の手の震えを抑えることができるのか」と考え、まずスケッチを始めました。
デザインリサーチを行ううちに、他のいろいろな症状に対する緩和治療から着想を得えることができました。脳は常に、片方の脳が活動になんらかの問題があったとしても、もう片方の脳がそれをサポートしようと動いているのです。
描く時の手の震えを抑えるためになにができるでしょうか。アイデアをどう昇華すべきでしょうか。
私たちは本当に運がよかったのですが、この実験から実用的な結果を得ることができたのです。実際にエマに着用してもらっています。彼女のサポートには本当に感謝していますし、彼女もこの機器にとても満足してくれています。
研究者たちは、この機器がどれほど手の震えに対して効果的なのか研究し続けています。最終的な目標は、このテクノロジーでより多くの人の生活を、より良くしてもらいたいということです。
とても長い道のりでした。この新しいテクノロジーをどのように発展させていけばいいのか、どれくらいの人たちに使ってもらえるのか、またどのように新しいテクノロジーを生み出していけばいいのか。
私たちは研究を続け、ロンドンで神経学の医療調査を行っているチームと共同研究して、新しいソフトウェアのプロトタイプを作成しています。
既存のものと比べ、手の震えを抑制するためにどのような方法がいいのかなどテストを続けています。
ここでの効果的な結果が得られて、近い将来、皆様にシェアできる日がくることを、期待しています。
最後に、私が最近まで従事していた研究プロジェクトを紹介します。
10歳の女の子で、3年前の交通事故によって脳に大きなダメージを負ってしまいました。そのダメージによって、歩いたり、自力で食べたりすることが難しいという障害を負いました。
歩く、ということに関しては、彼女のリハビリと驚異的な回復力でなんとか学校に通えるまでにはなりましたが、重大な記憶障害が残りました。記憶を維持することが難しい、という症状です。
例えば、先生が5分、10分前に言ったことが覚えていられないのです。
学校で授業についていくのが非常に難しくなってしまいました。先生が練習問題をやるように指示しても、彼女はそれを忘れてしまうのです。
子ども時代のことを覚えていない、というのはかなりのストレスでした。家族が休日に、この前行ったピクニックの話をしていても、彼女はピクニックのことを覚えていないので、会話に参加できない。なので、ドアを乱暴に閉めて、自分の部屋に行ってしまう。
私たちは「彼女の症状を救うためにテクノロジーにできる最もシンプルな方法はなんだろう」と考えました。家族の思い出を忘れずに、高校や大学に行けるような教育を受けられるように、そして、彼女自身のアイデンティティを築く、子ども時代の思い出を守っていけるように。
(動画が流れる)
いま、短いビデオを見ていただきましたが、これで人工知能がどのようにこの小さな子が他の子と同じような教育を受けいれられるようになったかお分かりかと思います。
将来的には、事故で障害を負った子どもやそのほかの障害を持つすべての子どもたちにとって、新しいテクノロジーが生活をサポートできるようになればと思っています。目に見えるような大きなものではなくても、生活の根幹を支えてくれるような。
最後に、私たちにとって「多様性」とはなにを意味するか。それは物事を創造する際の、会話など全てのプロセスです。将来的には、全ての人々にとってテクノロジーが身近で使いやすいものになっていることを願います。全ての人の、生活をより豊かにできますように。
ありがとうございました。
DIVE DIVERSITY SUMMIT SHIBUYA実行委員会
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