2024.12.24
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プレゼン1:トンカツを作って食べる(全1記事)
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小城久美子氏(以下、小城):スライド間違ってません。「トンカツを作って食べる」という、まさかこれでキャリアの話を進めるのか、というタイトルで申し訳ないですが、ちょっとトンカツを作って食べる話をしていこうと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
「いきなりなにがトンカツやねん」という話からしたほうがいいかと思っています。本当はキラキラOL的な、すごくシュッとした感じでいこうかと思いましたが、やはり自分の本音、みたいな生々しい話を今日はしたいなと思って、ちょっと恥ずかしいですが、本音の話をしたいなと思っています。
さてみなさん、トンカツって何か知ってますか? もちろん、当たり前のようにこのトンカツです。なぜ今日トンカツの話をするかというと、座右の銘がトンカツなんです。「こいつ何言ってんや」と思った人がメチャメチャ多いと思います。私もこれを自分の座右の銘にしていること自体も恥ずかしいんですが、自分の胸にグッと刺さってしまったから、もう仕方ないと思っている言葉があって。ちょっとトンカツの話を少しさせてください。
ちょっとインターネット老人会、みたいな話を急にしますが、みなさん「2ちゃんねる」って知ってますか? パソコンにコピペ文化っというものがありましたよね。「この流れでこういうこと言って、めっちゃおもしろかった」みたいなテキストがコピー&ペーストされて、すごい人気になることがあったと思っています。私、これを座右の銘にしたかったわけではありませんが、ずっと心に刺さっちゃってる言葉があって、それがこれです。
「だっておめぇ、トンカツ食ったことない人が『トンカツなしじゃ生きてけねぇよ』なんて、言わねぇだろう」っていう有名なコピペがあります。
どういうコンテキストで使われたかというと、すごく品が悪くて。すごくマイルドに言いますが、“今まで恋愛をしたことがない方が、恋人がいないと生きていけないみたいなことは言わないだろう”というコンテキストで使われた言葉になります。
やっとキャリアの話をします。私、この言葉がいっつも心の中に引っかかってしまっていて。自分が一番好きな食べ物だと思っているものは、自分が食べたことがあるものの中からしか選べないと思っています。だから、仕事に関しても、自分の天職だと思ってやっていることも、もしかしたら自分がやったことがなくて好きになっている、もしかしたら将来的に好きになるかもしれないことっていっぱいあるんじゃないかなと思っていて、今日はトンカツの話をしようと思っています。
私、小城と言います。自己紹介が遅れました。仕事としては、もともとソフトウェアエンジニアをやっていましたが、その後プロダクトマネージャーを経て、今は“プロダクトマネジメントのアドバイザリー”といって、いろいろな会社のプロダクト戦略みたいなものを作るところの壁打ち相手みたいなことになったり、ちょっと偉そうですが、プロダクトマネジメントの研修の先生みたいなことをやっています。
本業がそれで、副業は「LUUP」という電動キックボードと電動アシスト自転車をシェアリングするサービスのプロダクトマネージャーをしています。「これが趣味なのか」というところはありますが「プロダクト筋トレ」というコミュニティもしています。あとでちょっと触れますが、みなさんで学ぶ場みたいなところで、わいわいしているような人間です。
今日はキャリアの話なのでちょっとプライベートなことも言っておくと、31歳独身、子どもなしなので、ちょっとライフステージの変化みたいな話はほかの登壇者の方にお任せして、私はひたすら仕事をやってきた人間の話をしていこうかなと思っています。
あと、最近『プロダクトマネジメントのすべて』という本を書きまして。共著で出しているので、興味ある方いればこちらも参考にしてください。
というところで、本題に入っていければと思います。今プロダクトマネジメントのアドバイザリーみたいなことをしているので、頭の中が常にプロダクトマネジメントでいっぱいいっぱいです。そんなことをしてる人だと、「人生ってプロダクトマネジメントできるんじゃない?」みたいなことを最近急に思い始めました。そんなところから話を始めたいと思います。
最近でもないですが、ウォーターフォールではなく、アジャイルな開発がいいとも言われています。今は変化の時代と言われていて、どんどん変化をしていきますと。その変化がすごくする中で、たくさん頭で考えて計画をして、大きなリリースをドーンと打つのではなく、ユーザーが何を求めているのかを小さく小さく仮説を検証して、それで最終的に目指すべきビジョンに向かっていきましょうというのがプロダクトマネジメントの基本だ、と思っています。
人生がプロダクトマネジメントというのは何かというと、最終的に私は“幸せになりたい”というビジョンをもっています。そのビジョンに向かってどう進んでいくかって、自分の人生の中でいろいろな経験をして、いっぱい失敗をしていかないとわかんないじゃないかと思っています。
具体的な話をすると、私10歳の頃は、23歳で結婚して若いお母さんになりたいと思っていました。それが、私が10歳のときに思っていた幸せです。そのあとソフトウェアエンジニアをやって、プロダクトマネージャーをやって、今思っていることは、もちろん結婚してお母さんになる幸せもきっとあったとは思います。
そういうところも通して、今は仕事をやるのが、私にとって一番楽しいと思っていて。ちっちゃくトンカツ食べてみることを通して、自分の幸せに向き合っていく。自分が思う幸せのかたちが、けっこう変わってきたなと思っています。
そんな私の今までの人生を、もうちょっと解像度を上げて振り返っていくと、こんな感じになります。私は新卒でソフトウェアエンジニアをやっています。そのときはもうひたすらコード書くのが楽しくて楽しくて仕方なくて、本業も副業もエンジニアをやっていました。「もう一生エンジニアとして生きていくんだろうな」と思っていました。このときはまだ、エンジニア辞める日がくるなんて、夢にも思っていませんでした。
エンジニアとしてよくなっていきたいと思っていろんなイベントに行って、DevLOVEやデブサミ(Developers Summit)などいろんなイベントに行っていると、“リーン”という考え方に出会いました。リーンに物を作って、ユーザーに価値届けるというのが、楽しそうだなと思って。そして、コードを書く人から、“何を作るか”を考える人のほうに、どんどん自分のキャリアが変わっていきました。
いきなりプロダクト作るほうの人になるのもすごい意思決定で、エンジニア辞めるのはメチャメチャ怖かったです。だけど、そのときはまだ、「1回ちょっとお休みしてみるけど、エンジニアのほうが楽しかったら戻ればいいし」と思って、しばらくなんでも屋さんをやっていました。
このなんでも屋さんが何かというと、プロダクトマネージャーでもない。とりあえず手当たり次第、企画っぽい仕事をやってみるような時期があって。このときは同じ会社の中で、エンジニアからそういうプランナーみたいな仕事に社内転職みたいなことをして移っています。
そのときにいろいろなことをやってみて、つまりいろいろなトンカツを食べて勉強してると、「自分がやりたいことって、プロダクトマネージャーなんじゃないかな」と出会いました。
出会ってしばらくは「私、これが天職だな」と思って、プロダクトマネージャーを何年かやっていて。まさか自分が現場を離れて、アドバイザリーのような、外からの支援するかたちになるなんて、まったく思ってもなかった。
やっていってみると、プロダクトマネジメントという分野が、体系化というか。エンジニアだと、いろいろな本などがあると思いますが、プロダクトマネージャーは勉強するのがメチャメチャ大変で。そうすると、どんな知識があるのか整理する仕事がだんだん楽しくなっていって、気づいたら次はアドバイザリーの仕事が楽しそうだと思って。ずっと物作って一生を終えていくと思っていたのに、いつの間にかアドバイザリーみたいな仕事になっていきました。
ここまでだと、私がいろいろなトンカツを食べて、いろいろなところのキャリアをしてきた人だというところが伝わると思いますが、“トンカツの食べ方”みたいな話をできればと思ってます。エンジニアからなんでも屋さんになって、プロダクトマネージャーになって、アドバイザリーになってみたいなところで、いろいろなところの勉強や、インプットが必要だったと思っていて。自分が知らないトンカツとどう出会うのか、みたいなところだと、やはりインプットが大事だと思っています。
そのためにはやはり本を読んだり、自分が知らない仕事をしている人に話を聞くなどがすごく重要だと思っていて。エンジニアだったときは、たくさん勉強会があって女性向けのものや、Androidのような分野ものだとか、たくさんあってすごくよかったです。ただ、エンジニアの外のところだとコミュニティや勉強会が少ないなと思い、立ち上げたのが、初めに話した「プロダクト筋トレ コミュニティ」です。
気づいたら1,250人くらい人がいたりして、すごくいいインプットの場になっています。Slackコミュニティの中で「自分がこんなことに困っているんだよね」みたいなことを共有すると、けっこういろいろな人から意見がもらえたり、他の人とディスカッションしてみる経験をとおして、「こっちにもいけるんじゃないか」みたいなところを学べます。自分で立ち上げて、自分が一番勉強しているような状態になっていて(笑)。おすすめしたいと思います。
ただ、インプットだけだと、なかなかそれを次のトンカツにして、自分の仕事にしていくのは難しいと思います。私が何していたかを振り返ると、けっこう副業していたことを思い出しました。今までやってきた副業を、なんとなく書いてみたのがこんな感じです。エンジニアだったときにも、自分の目の前にある仕事だけでなく、もう少しちっちゃなところで素早い開発をやってみたくてスタートアップで働いてみたり、あとエンジニアを辞めたタイミングでコードまったく書かなくなるのが怖かったので、知り合いのお手伝いのようなかたちでコードを書いたり。
あと今も、アドバイザリーをするために自分がプロダクトをまったくもっていない状態でプロダクトマネジメントを人に伝えるのはなかなか難しいと思い、Luupという会社で副業をやっています。
今まで作ってきたプロダクトは全部スマートフォンの中で完結してたなと思っていて。「LUUP」は電動キックボードと電動アシスト自転車をシェアリングする、街にたくさんポートがあるようなサービスです。今まで食べたことないトンカツだったので、やってみてすごく楽しいと思っています。
ここまでいろいろなお話をしました。聞いている方は、もしかしたら「こいつめっちゃアグレッシブでいろいろなことどんどんやっててて、めっちゃキラキラしてんじゃないか」と思っているかな、と思ってて。きっとそういうふうにインターネット上で見られるから、今日の登壇の機会ももらったんじゃないかなと思っているんですが、もうちょっとドロドロしているところのお話もしておこうかなと思っています(笑)。
「いろいろなトンカツを食べるのがいいよ」とっていうお話だけをしてきてしまったと思っていて。ただ、私目の前にあるトンカツをちゃんと味わって楽しむことも、すごく大事なんじゃないかなと思っています。
未知のトンカツは怖い、と書きましたが、新しいことするのは、基本的にメチャメチャ怖いと思っていて。すごくカロリーを使うと思っています。
私がエンジニアを辞めてプロダクトマネージャーになるというときに、1回辞めたらしばらく戻ってこれないんじゃないかな、みたいなところがメチャメチャ怖くて。それで「副業とかもちょっとしよう」みたいなことを考えてたんですが。そういったところがすごく不安で、取り掛かるか、取り掛からないかでけっこう悩んでいた時期もあります。
あと、やったことないお仕事だと、当然年収が下がるところもあって。そんな部分を副業でどう補うのか、それとも補わずに1本でやっていくのかを考えるのも、ドロドロしながらやってます。
先ほど、私はソフトウェアエンジニアをやって、そのあとなんでも屋さんをやって、プロダクトマネージャーをやったという話をしましたが、途中、ぜんぜん違うUIデザインを勉強したらおもしろいんじゃないかと勉強して、「私はUIデザイン向いてないな」と思った時期もあったりとか(笑)。そういうちっちゃな失敗をやったりもしています。
なので、全部成功するわけではなく、失敗する前提でとりあえずちょっとかじってみて、自分にとって一番好きな食べ物になるはずのものなのかどうかをやってみるのが、すごくいいんじゃないかなと思っています。
話をまとめていくと、私はトンカツを食べることはすごく大事だと思っていて。自分が今まで食べたことがない料理をどんどん食べることは、すごく大事だと思います。私はたぶん人生の途中で新しいトンカツを食べることが目的になっていたときもあって。それはそれで間違っていると思います。すごく労力がかかってしまうし、自分の目の前にある一番好きな料理、もしかしたら私はソフトウェアエンジニアが自分の人生で食べる一番好きな食べ物だったかもしれないのに、いろいろなところばかりよそ見していても、それはそれでいい人生にならないと思っていて。ちゃんと自分の目の前にあるトンカツを楽しむことも大事だったかな、とも思っています。
ただ「それだけが本当にそうなのかな」とちょっと疑うところでもあったら、人生は豊かになるんじゃないかな、と思っていて。私はこれからも心に余裕があるときときに新しいトンカツを探していくと思うし、10年後、自分がどんな仕事をしているかのはわからないと思っていて、それが自分の人生の楽しいところだとも思っていたりします。
ありがとうございます。
司会者:ありがとうございました。すごい。最初は「トンカツ?」っていうところから入って、「なんかいい話だな」というところから、どんどんと引き込まれていきました。1点質問が来ているんですが、ちょっと聞いちゃってもいいですか?
小城:もちろんです。
司会者:いろいろとキャリアを変えていく、ということで「どのぐらいのスパンでキャリアを変えていったのか?」と。何年、何年みたいのって、今パッとわかったりしますか?
小城:ミクシィがたぶん3年ぐらいです。合わせてエンジニアを5年やって、そのあとプロダクトマネージャーを4年ぐらいやっているかたちになります。
司会者:そんなに短くなく、ちゃんとしっかりやって次に進んでいる感じですね。
小城:そうですね。ただエンジニアの途中でも、スクラムマスターを挟んでみたり、そういうところはいろいろ手を出しながらの5年でした。
司会者:ありがとうございました。
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