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女性エンジニア特有の課題、どう向き合う?(全4記事)

伸ばしたいスキルは「これいいな」で決めよう 異業種×ITの組み合わせで自分の個性は強くなる

働く女のワーク&ライフマガジン「Woman type」が女性エンジニア限定コミュニティ『Code Polaris(コード ポラリス)』とともに、女性エンジニア向けオンラインイベントを開催しました。テーマは「女性エンジニアのキャリアのお悩み相談室」。女性エンジニアの「長く働く」を阻む壁、自分らしいキャリアを築いていくための秘訣について、大平かづみ氏、松井菜穂子氏、千代田まどか(ちょまど) 氏が自身の経験も踏まえて話しました。全4回。4回目は伸ばしたいスキルの見つけ方と今後のキャリアプランについて。

伸ばしたいスキルはやってみてから決める

司会者:参加者のみなさんにはsli.doに聞きたいことを書き込んでいただければと思います。今集まっている中から、1つ質問しますと、「ざっくりとした質問になるんですけど、伸ばしたいスキルをみなさんはどう決めていますか?」という質問が来ています。いかがでしょうか?

大平かづみ氏(以下、大平):私はこの3人の中で、一番広い分野でIT技術に関わっていると思っていて、なぜかと言うと組み込みエンジニアから始まって、このままだといけないなと思ってクラウドの世界に来て、クラウドの世界では何回か挫折をしているんですよ。

クラウドいいなと思って来たんだけど、Rubyはちょっと私には向いていなかったり。組み込みとまったく違って1回挫折をして無職でボーっとしていたり。そのうちにPHPならいけるかもしれないと思って、PHPをずっとやっていたんですけど、私はコードを書くのが遅くて(笑)。仕事ができるぐらいは書けていたんですけど、速くコードを書けないのがすごく悔しいなと思っていました。

悔しい中で、もっといろいろなことができるようになりたくて、どうやったらデプロイできるのか考えたり、自分のコードを動かす環境を作るためにクラウドの仮想マシンの勉強をしたり、PaaSと呼ばれているサービスを使うにはどうしたらいいかを調べたりするようになりました。

そしたら自分はコードを書くことに専念して、他のことはクラウドに任せることで、コードを書く勉強がもっとできるようになったし、何なら自動化させるところが逆におもしろくて、そこを自分で書いているうちに、自動化の仕事をするようになりました。私の周りにはすごい人たちがいて、菜穂子さんとも完全に同じ仕事ではないんですが、ほぼ同じ場所で仕事をしています。菜穂子さんは、あんなに勉強嫌いと言いながら、実はメチャクチャコードを書くが速くて、めっちゃ尊敬しているんですけど(笑)

コードを書くのがすごい人も、設計がメチャクチャすごい人も周りにはすごくいっぱいいて、私なんかは誰の足元にも及ばないとメチャクチャへこむけど、私はみんなが嫌うこの自動化の部分が好きだし、好きでいっぱいやっているからこそ、それなりに知識も付いてきたので、私のボスはその自動化の仕事を私に任せてくれるようになったんですよ。

それが今はすごくうれしいです。私の場合は、いろいろなところをまずいっぱい触ってみたので、時間もかかっちゃったし完全におすすめはしないんだけど、今しっくりこないなと思っていてもきっと大丈夫です。ただちょっとした努力は必要で、必ず見つかるとは言い切れないけど、探すことで見つかる可能性はあるよということ。

あまり人気のない穴場みたいなところが、実は重宝されるから、好きだったらそこを伸ばしてもいいとは思います。数打ちゃ当たる戦法だけれども、スキルを探していくというのでいいと思います。人気のあるところができないとか、フロントエンドがかっこいいのにできないとかはあまり気にしなくてもいいんじゃないかなと思っています。ハードウェアを触るのが好きとか、ネットワークには強いとかあると思います。

好きじゃないけど得意というのも大事なので、そのあたりを見極めて、自分を大事に活かしてあげられるところに会えるように動いたらいいんじゃないかなと思います。

松井菜穂子氏(以下、松井):すごくわかる。

(一同笑)

大平:うれしさが出ちゃった。

松井:わかります。私からもいいですか?

司会者:はい。

松井:ある程度慣れてきたら、たぶん自分の心の赴くままに「ここをやりたい」というのが出てくると思うんですけど、最初のキャリアが浅いうちは、何からやったらいいのかわからないと思います。しかも選択肢がある状況もあって、私のケースで言うと、最初はサーバーサイドをやることにすごく憧れていたんですけど、今はフロントエンドをけっこうメインでやっていて、得意なのがフロントエンドになっています。

それはなぜかと言うと、最初SIerで入った会社にいたのが私よりもお年を召していらっしゃる方で、そのとき使っていた技術からするとフロントエンドはすごく新しい技術だったんですね。若い人のほうがキャッチアップが早いということで、「フロントエンドはわからないから松井さんに任せよう」という状況があって、要するに自分はサーバーサイドをやりたかったけど、必要に迫られてフロントエンドを選んだんですよ。

でもそれは、すごくいい選択だったと思っています。すごく踏ん張って勉強しないといけなくて、「やってくれて本当にありがたいよ」と、周りから言われるスパンをキャリアの中でも短くもつこと。それが積み重なって、自分の価値だと言えるところにするためには、周りからフィードバックをもらって存在意義を感じながらやることがすごく大事だと思います。

なのでみんながやっていないことをやったり、みんなにありがたがってもらえることを最初に選んだりするということはすごくありだと思います。もちろんそれだけじゃないですけど、もし迷っているんだったらそれはけっこういい選択だと思います。

司会者:ありがとうございます。ちょまどさんはご自身が伸ばすスキルを今までどう選んできましたか?

千代田まどか氏(以下、ちょまど):本当にお二人の言ったとおり、とりあえずいろいろやってみる。とりあえずいろいろやってみて「これいいな」というものが、自分の心や周りの環境からあると思うんですね。私の場合は、もともとWebサイトを作ることから入ったので、JavaScriptから始めて、そこからプログラミング言語自体に興味を持ち始めたんです。情報ソースがTwitterというのが、またまたアレだったんですけど。

(一同笑)

ちょまど:最初にプログラミング言語の自作から入ってしまって(笑)。みんなサクサク処理系を作っているんですよ、プログラミングで(笑)。

大平:Twitter界隈はね(笑)。

ちょまど:だから当時から間違えていたんですけど、何もわからないから「あ、プログラマというのは処理系から作るものなんだ」って思って、構文木を学び始めて(笑)。でも処理系はわからなくて。次にみんなが黒い画面でカタカタやっているから私もやるべきだと思って、Linuxのシステム構成とかすごく深いところから学び始めて、まったくわかんなくて。そういう紆余曲折があって、最終的に「私はもともと何が好きだったんだっけ?」って思いました。

仕事でスマホアプリを作ったときに、ユーザーからフィードバックがあって、それがうれしかったと言ったけど、私が作った動くものがあって、それを誰かに動かしてもらって感想をもらうのがうれしいんだということが途中でわかって、自分はそういうのが好きなんだなということに気づきました。

気づいたのはいろいろ触って迷走したからであって、いろいろとやるのは教養がつくと面でもとてもいいと思う。私は途中OS自作とかも勉強していたから(笑)。本当にいろいろと迷走するべきだと思う(笑)。

松井:すごい。

(一同笑)

司会者:迷走は無駄じゃないですよね。

ちょまど:心が折れそうになることもあるかもしれない。「これはみんながわかって当然なんだ」というマインドでやると心が折れるけど、それを楽しむといいと思う。

大平:確かに。私は昔組み込みをやっていて、Webサービスを作れるようになったときに、組み込みとWebサービスをつなげたら今で言うIoTじゃんってなって、IoTでいろいろ活動をし始めたときに、アウトプットをけっこう増やせてよかったというのがあるので、過去にやったことはまったく無駄にならないと思います。組み合わせが次の新しいステップになることがけっこうあって、ITの中だけじゃなくて異業種とITを組み合わせると、すごく強くなるんですよね。

例えば弁護士業とか経理とか医療とかですね。それらとITを組み合わせたときに、まだその分野に広まっていない使い方ができるようになるから、ITの話もIT以外の話もすべて無駄にならない。むしろつなげていったときに、あなたの個性が生きるよと言いたいです。

ちょまど:魔法戦士みたいなものだよね。

大平:本当にそれ!

(一同笑)

ちょまど:上級職がある。

(一同笑)

大平:そんな感じでスキルは見つけられると思います。

司会者:ありがとうございます。続々と質問が集まってきています。

未経験ならまずはなにかを作ってみる

司会者:フロントエンドエンジニアへの転職について質問がいくつかあるので、そこをまとめてうかがいたいと思います。「転職」というキーワードでいくつか質問がきていて、具体的には「今コーダー兼デザイナーで経験1年半です。デザインよりコードを書くほうが楽しいと感じているのでフロントエンドエンジニアへの転職を考えています。1日でも早く転職したいのですが、このくらいの経験でフロントエンドエンジニアへの転身は厳しいでしょうか?」という質問です。

ほかにも「異業種からフロントエンドエンジニアになりたいと思っています。どうしたらいいですか?」という質問もきていたので、こちらもうかがいたいと思いますが、いかがでしょう?

松井:もちろん職場にもよると思うんですけど、フロントエンドの求人は未経験歓迎が他に比べて多いかなと思っているので、探せばけっこうあると思います。Webであればブラウザがあれば動くので、フロントエンドは環境を構築するのが、サーバーサイドやクラウドよりも簡単にできて、独学でもかなり始めやすいと思います。

私もtempフォルダにいろいろ溜めていると言いましたけど、すぐにできちゃうものがけっこうあるので、何かを作ってみてポートフォリオとして出すということを考えてみてもいいかなと思います。まったく未経験で転職の面接を受けるよりも、何か作ったことがありますというのがあれば、面接官にも響くと思います。それ(ポートフォリオ)は単純に自分の理解度を表すためのもので、業務に入ったら教えてもらえるような環境はたくさんあると思っています。やっぱり、サーバーサイドよりもフロントエンドの情報ほうがネットでも見つけやすいですし。

一概には言えないんですけど、ぜんぜんナシじゃないと思います。むしろ会社にとっては、デザイナーの経験があるというのがすごくプラスになって、エンジニアだけをやってきた人よりも有利になるかもしれないし、そこは諦めずにご縁を探していけばいいんじゃないかなと思います。

司会者:デザイナーの経験とエンジニアが掛け算になったら自分の強みになるし、エンジニアの経験は浅いけど、そこは気にせず未経験採用をしているところとか、教育体制がある程度あるところとかを選んで転職するのがよさそうですね。

松井:そう思いますね。長く勤めているからといって給料が上がり続けるとは限らない。むしろその厳しさを私が今感じているぐらいなので。若くして活躍できる場では絶対にあるので、ポジティブだと思います。

松井:フロントエンドを統括的にサポートする無料のコミュニティを開こうと思っているので、もしサポートが必要であればそちらに。

ロールモデルといて恥ずかしくない人生を歩みたい

司会者:ありがとうございます。次はたくさんいいねが付いているものからピックアップします。社会人2年目のSEの方からの質問です。「みなさんが社会人1年目、2年目ぐらいの頃は5年後、10年後のキャリアプランを描いていましたか?」というもの。なかなか先の見えない時代なので、みなさんの今後のキャリアプランについても併せてぜひうかがいたいです。

5年後、10年後を考えるのはなかなか難しいなとは思うんですが、そもそもみなさんはキャリアプランを考えるタイプですか? 大平さんいかがですか?

大平:私はまず社会人1、2年目ぐらいのときは、何も考えていなかったです。

(一同笑)

大平:わりといい会社だったけど、私の特性とは向いていないなと6年目ぐらいに気づいて、7年目で辞めました。これはちょっと遅かったなと思うんですけど、気づくタイミングは人それぞれなので、2年目の今から考えていてもいいし、多少遅くてもなんとかなると思ってはいます。

私はあまり組織の上に立とうとか、大きいものを作ろうとか、メチャクチャ稼ごうとかあまりそういう気持ちはなくて、エンジニアとしてすごい人になりたいと思いながら生きていて、自分に自信がもてるようになったのは、本当につい最近です。

それまではがむしゃらに、自分が胸を張れるぐらい自立できるようにがんばろうということしか考えていなくて、その先のことは考えていなかったんです。今やっと1段上がって「私はエンジニアとしてやっているぞ」と、胸を張って言えるようになったぐらい。やっとなった私は今37歳なんですけど、そのくらいになっても楽しくはやれています。

私は個人的には子育ての経験もしたいし、このままずっと1人で生きて死んでいくのは嫌だから、パートナーはほしいなと思っています。さっきみんなでお話をしたように、まずはエンジニアでありたい。一言で言うなら、将来はコンピューターおばあちゃんみたいになりたい。やりたいことを止めるつもりは毛頭ないので、今の自分がかっこいいと思う。

私の中ではかっこいいエンジニアというのがあって、これから先はそれになる努力をずっと続けていきたい。それを応援してくれたり、一緒にやったり、お互いよい影響を与え合える人にどんどん出会って、進んでいきたいなと思っています。

ただ自立するまでにちょっと長すぎたという気持ちもあるので、もしちょっとだけでも焦りがあるなら、先にちょっと努力をしておいてもいいかも。私も努力はしてきたけど、不器用過ぎたので。何とかはなるけど、考えることに越したことはないと思います。ただマネージャーになって、何千万円稼がなきゃいけないと決まっているわけではないので、思うように生きたらいいんじゃないかと思いました。

司会者:ありがとうございます。ちょまどさんはどうですか? 新卒の会社をすぐ辞めたお話もありましたけど、プランは立てていますか?

ちょまど:最初は漠然としたプラン。文系の大学にいて「プログラマーになりたい!」と言ってIT業界に入って、漠然と「Twitterのすごすごエンジニアの方たちの仲間に入りたい!」と思って、すごくがんばった。「すごすごエンジニアの方々に混ざりたい」という気持ちがありました。

大平さんの場合は、自分の理想とするエンジニア像があって、それにどんどん突き進んでいきたい。最終的にはコンピューターおばあちゃんのような目標がある。私も自分が好きなものをやり続けられたらいいなと思っています。あとは今のエンジニア業界は本当に女性のエンジニアが少ない。たぶん2割ぐらいですかね。

IT業界全体で見るともうちょっといるけど、エンジニアに絞ると本当に少ない。だからこの現状を変えていきたいです。ロールモデルが少ない問題があるので、どんどん精力的に発信して、IT業界ですごくがんばっている女性がいるということが、あらゆる世代の人たちの目に止まるように今後も活動していけたらなと。

一言で言うと、みんなのロールモデルや憧れの対象の1つとしていられるような、恥ずかしくない人生を歩んでいきたいという気はします。あとはみんながそれぞれアウトプットできる場を作りたいです。菜穂子さんみたいにガツガツプロダクトを作って実績を積むという人もいて、それはメチャクチャかっこいいと思うし、技術的なことを学んだらシェアしたいと思う人もエンジニアはけっこう多いと思います。私はゲームするときに、まずゲーム実況動画を見るんですよね。ゲーム実況動画を見て学んだあとにやると、「なるほど、これはチャレンジでやったヤツや」みたいにサクサク進むじゃないですか。

出産後も、IT業界でちゃんとやれるというのをどんどんアウトプットしていけたら、みんなの不安も薄れていくと思うので、そのためにいろいろやっていきたいなという気持ちが大きいです。

司会者:お二人ともガチガチの何年後にこうみたいというプランよりは、自分がどうありたいかとかどうなりたいかという目標をしっかり持っているんね。

大平:ふんわりですよ、ふんわり。

ちょまど:ふんわり。

(一同笑)

司会者:方向はどこなのかというのが特徴かなと思いますが、松井さんはいかがですか?

松井:私はけっこうずっとプランを真面目に考えてきた人です。

司会者:いいですね。

松井:ただやってみて思ったんですけど、やっぱりパッションには勝てない。

大平:(笑)。

松井:今のところの私の結論です。このご時世でいろいろと社会の情勢も変わってきていて、何があるかがわからないです。実際、私も5年前に思っていたことと全然違うことを今やっていて、予定していたとおりにいくことはあまりないです。でも大きな方向性を決めておくのは私もすごく大事だと思っていて、特に私は昔からやりたくないことを避けるという方向性をもっていました。

こうなりたいとガチガチに決めるよりは、これだけは絶対にやらないぞというのを決めてやってきたのはすごくよかったです。例えばここの会社でこういう役職についてこのプロダクトのこの側面に関わってみたいという細かいキャリアプランは、正直自分でコントロールできる範囲を超えているから、それは自分を納得させるレベルに留めていいかなと、今となっては思います。

教えるときのNGワードは「どうしてこんなこともわからないの」

司会者:ありがとうございます。最後にうかがいたいのが今までとは違った主旨で、エンジニア3年目の方からの質問です。「人に教えなければいけないことが増えてきました」ということで、みなさんはこうやって登壇したり、コミュニティの中でも学び合ったり、教え合ったりしていると思うんです。

会社でのシチュエーションもあると思いますが、「自分の知識を人に教えるときのコツはありますか?」というところで、エンジニアならではのこんなところを工夫しているよというところを教えていただければと思います。大平さんからうかがってもいいですか。

大平:私はギリギリチームリーダーになったことがあるぐらいなんですけど、そのときはその子の心を折らないように一番気をつけていました。(笑)。プログラミングが嫌だとか自分は向いていないとか思わないように、どうやって教えるかがすごく難しいなと思っていて。

うまくいったかはわからないんですけど……理屈というかこれがこうなっているといいよね、みたいな言い方をしていました。変数の付け方は別に何でもよくて、動くといえば動くんですけど、こうなっていると見やすいよねとか、こうなっているとここから使いやすいよね、と小さいポイントでやっていました。あとは「今書いているコードいいね。でもこうやってやるともうちょっといいよ」みたいに、ポジティブに捉えてもらえるように、一生懸命話をした記憶はあります。

マンツーマンで張り付いて教えるのはなかなかないんですけど、エンジニアは、いかに自分の体に身に着けて、それを活かしていくかで、ただ聞いているだけでは絶対に抜けていくだけなので。

私が運営するところで、コミュニティをやるとき、手を動かすのを重視する傾向が最近は強いですね。セッションを聞くんじゃなくて、ワークショップをやるほうにシフトして、自分たちでやってもらうことをけっこう大事にするようにしています。

司会者:ありがとうございます。ちょまどさんはどうですか? 会社の中でご自身が教える立場に立つときもあると思いますし、過去を振り返って、こう教えてもらったらしっくりきたみたいなこともあると思うんですけど、いかがですか?

ちょまど:対面で教える立場だとしたらまず褒める。褒めて伸ばすタイプ。

(一同笑)

ちょまど:大学のときに4年間塾の講師のアルバイトをしていて、講師マニュアルに「とにかく褒めてください」とか、小学生でも中学生でも「絶対に言っちゃいけないNGワード」が10個ぐらい書いてあって、1個目に書いてあったのが「どうしてこんなこともわからないの」で。

大平:怖い(笑)。

ちょまど:ちょっとでも相手に「これは自分は苦手なんだ」という意識をもたせちゃうと本当に相手は苦手になってしまう。「僕はこれが苦手なんだ」となってしまうと、本当に苦手になっちゃうし、やるのが嫌になる。だから褒める。「よくできたね! すごい!」って褒めながらやる。これは別にエンジニアに限らず、たぶん基本的なことだと思うんだけど、それでもこれが一番大事だなと思いました。

司会者:ありがとうございます。松井さんはいかがですか?

松井:今会社で手伝ってくれるエンジニアの人がいて、その人がわからないことがあったときに教えているんですけど、やっぱり人によっていろいろなことに対する認識が違って、勘違いがあったりして、そこで伝えるのが難しいんですけど、その人がどれだけ理解をしていてどこを噛み砕いてあげればわかりやすいかを教える側がわかっていれば、すごく効果的に伝わると思ったんですね。

自分の説明が悪いんじゃなくて、そこの認識のズレがけっこう大きいと伝わりづらくなることが多いと思ったので、現状を把握するのをまずはやるようにしています。あまり高圧的にならないように、今までどう考えて、どうトライして、こういう結果になって今詰まっているのかを順序立てて聞くようにしています。こっちとしては、「あなたはどこがわかっていないの?」というのを聞きたいんですけど、それを聞いても本人はわからないから、聞いているわけなので。

(一同笑)

司会者:わからないところがわからない状態。

松井:そうなんですよね。そこから救ってあげるには、もちろん質問者の努力も大事なんですが、聞く側はこういうステップで、この状態にしましたというのを1つずつ説明してもらって、それをとりあえず聞くことをやらないといけないなと。それがわかれば、拙い説明でも言いたいことはけっこう伝わるなと思いました。

司会者:なるほど。今だとそれこそ対面で教えるのが難しい状況ということも、この質問の背景にあるのかなと思いつつ、リモートオンラインコミュニケーションで人に教えるときの今までとはちょっと変わった点はありますか?

松井:そうですね。特にコミュニティで何かを教えるときに大人数を相手にするのは、一方向になってしまって難しいと思います。みなさんがどれだけ理解をしているのかがわからないので。なのでリモートでも、双方向のやり取りは大事だなと思っていて、最近はツールが進化して画面共有もスムーズにできるようになったし、チャットでとめるということもやりやすくなったので、そこを最大限に活用しています。

自分の好きなことを自分らしく人生を輝かせてほしい

司会者:ありがとうございます。まだまだみなさんにうかがいたいお話がたくさんあるんですけど、終わりの時間が来てしまいましたので、最後にみなさんから一言ずつメッセージを頂戴できたらなと思います。

今参加している女性エンジニアの方、エンジニアになりたいと思っている方に向けて、これからよいキャリアを築いていくにあたって、エンジニアの仕事の楽しみ方や今後のキャリアの築き方など、ぜひここは持って帰ってほしいなとみなさんが思うことを一言ずついただければと思います。じゃあ松井さんからお願いします。

松井:私はキャリアはそんなに長くないんですけど、数年前に私がエンジニアを始めたときと比べて、女性エンジニアの状況がとても変わっていると思っています。もちろん女性はがすごく少ないので努力をしないと状況をよくできないんですけど、「え!? エンジニアをやるの!?」みたいな空気はほとんどなくなってきたと私は思っています。

なので、今までよりももっと前向きに女性には参加をしてもらいたいし、女性を増やす活動をやれるのは、むしろ今しかないので、そこに興味がある方も、ぜひ参加してもらいたいなと思います。私たちのコミュニティでも手助けできたらなと思うので、そこが伝わっていればいいなと思います。ありがとうございました。

司会者:ありがとうございます。じゃあ大平さんお願いしてもいいですか?

大平:私の場合は仕事でエンジニアをやっているし、エンジニアリングが好きすぎて何なら自分で勝手にコードを書いているんですけど、好きだったらやってみていいと思います。菜穂子さんが言ってくれたように、今は性別は関係なくて、確かに女性の人数はまだ少ないけど、増えてはきているし業界全体としては比較的若い人が多いので、これからも変わっていきやすいと思います。自信を持ってどんどん進んでほしいなと思います。

これまでの女性が働く中で置かれていた苦境とこれから先は少し違うと思います。変わってきていると思っていて、今まで私たちが踏んできた地雷や苦しさをもう1回再生産する必要はまったくないと思っています。過去の先輩たちを頼ってどんどん上がっていったり、面倒くさいところはスキップしたりしていいと思うんです。

もっと自分を輝かせて、自分の自立と自分を大事にしている自己肯定感をメチャクチャ上げて人生楽しんでほしいなと思っています。私がCode Polarisを立ち上げたのはそういう意図があって、私は自分がちょっと遠回りしたなと思っていて、本当にもったいない時間の使い方をしたので、それをみんなには体験してほしくない。

エンジニアリングを仕事でやりつつ、好きな趣味をやるのもいいと思っているので、すごく楽しんでやったらいいなと思います。そのためのお手伝いを私たちはしたいし、他の先輩たちもそうだと思うので、頼って……頼りすぎはよくないけど(笑)。人生を楽しんでみんなで協力していけたらいいなと思っています。

司会者:ありがとうございます。最後にちょまどさんからもお願いします。

ちょまど:本当にお二人の言ったとおりなので差分だけ言うと、まずこれをご覧になっている方は女性でエンジニア、もしくはエンジニアに興味がある女性の方々なんですよね。それが私はすごくうれしい。今日何十人も聞いてくれて、本当にありがとうございます。sli.doでも質問をたくさんしてくれて、Twitterでもたくさんツイートしてくれて本当にありがとうございます。

何度も言っているとおり、現状だと女性のエンジニアは少ない。私も新卒でSIerだったときに一応システムエンジニアというロールで入って20人ぐらい同期がいたのかな? その内女性が私を含めて2人だけだったんですね。20人中2人だとすごく少ない。女子高、女子大で男女比0:10だったのが急に9:1ぐらいになって本当に孤独だったんですね。

同じような思いをしている人もいると思うんだけど、でもやっぱりエンジニアは楽しいから、今後もみんなが楽しいと思うことを大平さんも言っていたように片手間でもいいからやればいいと思っています。

とにかく自分が好きなことを自分らしくやってくれたらうれしいです。今日は本当に貴重な機会をありがとうございます。

司会者:こちらこそ、ありがとうございます。

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