2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会者:これに関連してキャリア不安の話をもうちょっと年代別で見たときに、20代の方で未婚の方が非常に多く回答していたのが、「結婚・出産後も続けていけるのでしょうか?」というところで、不安が大きいですと回答した方が割合として多くいました。
このあたりは、さっきの技術について勉強をしてキャッチアップし続けていけるのかとか、勉強時間を確保していけるのかとか、そういうことにも関連しているかなと思うんですが、この回答を見てお三方はいかがですか? そもそも女性エンジニアのロールモデルが少ない中で、ライフステージが変わってからの働き方は20代女性だとイメージしづらいよねというところはありますか?
千代田まどか氏(以下、ちょまど):菜穂子さんがちょうどご結婚されたところなので、これはぜひ菜穂子さんに。
司会者:ぜひ経験からうかがいたいです。いかがですか?
松井菜穂子氏(以下、松井):「結婚・出産」とまとめられていますけど、この2つにはたぶん大きな違いがあると私は思っています。自分自身がまだ20代で、出産に関しては不安ももちろんあって、ブラックボックスな部分なんですが、私は昔からけっこう結婚・出産を見据えてキャリアを築いてきたタイプです。
まず結婚でいうと、パートナーとの関係性によっては、結婚前とぜんぜん変わらないキャリアになることも可能だと思っています。私も実際まったく変わっていないというか、むしろもっと応援してもらっていますし、私のキャリアが成功するということは、生活がよくなるということなので、同じところを目指せるので、私はあまりネガティブなインパクトは感じていないです。
ただ友だちからは、「やっぱり女の人は家庭に入ると、当然のようにそうなる(キャリアが変わる)」という話も聞くので、もちろん(変わることは)なくはないんでしょうけど、ここ数年で考え方の文化自体が変わってきていると思うので、「女だから結婚したら家庭に入る」とガチガチに思うよりは、「もうそんな時代じゃないよ!」と私は言いたいです。関係性によっては大丈夫だと思います。
司会者:世代によっては男性側の意識も変わってきていますしね。むしろ共働きで一緒に働いてくれないと困るというのが、大多数なんじゃないかなという感覚です。
松井:そうですよね。辞めちゃうという人のほうが、周りでも少ない気がするので。
司会者:結婚のハードルは、パートナーの価値観にもよるのかもしれないんですけど、共働きという前提の世の中にもだいぶなってきているのかなと思いつつ、出産となったときにみなさんのこれまでの過去の職場を思い返して、子育てをしながら働いている女性エンジニアは決して多くはなかったかなとは思うんですけど、いかがですか?
大平かづみ氏(以下、大平):そうですね。エンジニアの例じゃないんですけど、過去一緒に働いていた方で、一緒に働いていた期間の中で出産をして、1ヶ月後ぐらいに戻ってきた人がいるんですよね。すごくビックリして、ネガティブな理由だったら辛いなと思っていたんですけど、メチャクチャ本人はメチャクチャポジティブで、働きたいし、子どももかわいいし、預けることに対して愛情が足りないとは何も思っていなくて、どっちもやりたいからどっちもやるというな人がいました。
人によって体調も違うから、1ヶ月後に戻ってくることを誰も強制はしていなかったと思うんですけど、本人はすごくやる気満々で戻ってきて。エンジニアは座っているほうが多いと思うんですけど、その人は営業だったので、そのまま出掛かけて行きましたね(笑)。
(一同笑)
ちょまど:パワフル。
大平:パワフルですよね。産後動き回るのは大変と聞いていたからビックリして、「完全に人によるんだな」と思いました。その職場はスタートアップで私だけがエンジニアで、他にはお子さんが大きい人や、生まれたばかりの人がいたんですけど、その人たちは時短で働いていて、何かあったら家に持ち帰って家で働くということをやっていて、やっぱりそれはITだからこそできるんだと思いました。
その人たちはエンジニアじゃなかったけれども、エンジニアリングを主にやっている開発の会社だったから、コロナ前からIT技術を駆使してリモートでも働けるようになっていたんですね。なのでその人たちは活躍していました。今ここには、エンジニアになりたい人が多くいると思うんですけど、エンジニアになりたい人はだいたいITに強いので、みなさんリモートワークをしていて、時間の配分なども他の職種に比べてやりやすいのかなと思います。
子育てをしながら仕事を続けることは、多少縮めたり、分散させたり、やれることは少なくなるかもしれないけれども、そのときのシチュエーションに合わせてうまくバランス取りながら仕事を続けることは、IT全般においてはやりやすいんじゃないかなと思います。さらに開発をしている会社の場合は、そのあたりの理解もあると思うので、結婚・出産について家族と相談しながら、バランスを取ってエンジニアリングを続けるというのは、けっこうやりやすいんじゃないかなと思っています。
自分の経験じゃないけど(笑)。そう思って自分の未来を決めようと思っています。
司会者:ありがとうございます。ちょまどさんはいかがですか?
ちょまど:すごく納得できます。私自身、まだ結婚も出産も経験がないけれど、菜穂子さんが言っていたように、もともとそれらを見据えて考えていて、結婚にしても「結婚したら仕事辞めてね」と言う人とはたぶん結婚しないと思います。
(一同笑)
大平:わかる(笑)。
ちょまど:私は出産したことはないけど、職場では「出産後のブランクがあって戻れるか不安」という人の話もすごくよく聞くし、気持ちもすごくわかるんですよね。1つ目の質問でも、技術のキャッチアップができるか不安ってあったけど、特に出産は物理的に体に負荷がかかるので大変なのはわかるし、自分の健康のためにもお子さんのためにも、しばらくお休みしたほうがいいというのはすごくわかる。
例えば技術のキャッチアップも含めて「1年間のブランクがあって、職場の方々は迎え入れてくれるだろうか?」「今さらこの子帰って来てとか言われないか?」と思う不安や気負いもすごくわかるんですけど、現場組から言うとめっちゃ忙しいから、1年はけっこうあっという間。
司会者:そうですよね。
ちょまど:現場の1年はけっこうあっという間なので、「帰ってきた! お帰り!」以外はないので、そこは心配しなくていいよというのは言いたい。現場組からすると、「産休に入ります」と言われたときに「おめでとう!」以外はないですし。
大平:ない(笑)。
ちょまど:「復帰します」と言われたら「うれしい! 久しぶり!」みたいになるし。だいたいFacebookで近況も知っていて、セパレートされている気もしないから、あまり気負わなくていいのかな。技術のキャッチアップはすごく大変なのはわかるけど、それまで働いていて基礎知識はあるので、そのディフ(差異)だけをがんばって勉強したらなんとかなると思います。周りもいっぱい助けてくれると思うんですよね。
出産の話で言うと、大平さんが紹介してくれたとおりCode PolarisのSlackに子育てチャンネルがあるじゃないですか。あれはメンバーは3人とも出産の経験がない中で、コミュニティの方々のリクエストによって生まれたものなんです。
その中でお悩み相談があって、「こうしたらいい」という助け合いがあって本当にうれしい。私は何もコメントやアドバイスはできないんだけど、いつも見守っているんですね(笑)。助け合いが見れて、やっぱりうれしいですよね。ぜひそういうお悩みがあったら、来てくれたらうれしいなと思います。
大平:うれしい!
ちょまど:私も今からすごく予習をしています。
司会者:予習になるわけですね。
大平:そう! 予習させてくださいという感じです。
司会者:その子育てチャンネルの中では、例えばどんなやり取りがされているんですか?
ちょまど:例えば出産された方が「出産後にこれを用意すればよかったと思うことはありますか? 私は手首サポーターでした」と投稿すると、「これいいよ!」「これがあったらよかったよ」みたいにレスがパーッとなる。育児チャンネルでは、今妊娠中のプレママの方や、2人目を出産しましたなどいろいろなステージの方がいるので、悩み相談やアドバイス、弱音や励ましがあって、「Clubhouseで話しましょう」みたいな感じ。
大平:あれはすごいです。
ちょまど:すごく「あぁ、うれしい」って思う。
大平:このメンバーは手放しで、完全にみなさんが自発的に参加しているので、私たちも勉強させてもらっている感じですよね。すばらしいコミュニティがそこにできていて、メチャクチャうれしい。「これだよ、これ!」みたいになっている。
司会者:そこから先に生まれていく感じがいいですね。
大平:子育ての先輩がいっぱいいるので安心ですね。みんなに聞けば大丈夫、安心して技術のことをやっていられる(笑)。
司会者:みなさんは過去にキャリアの不安を乗り越えたことがあると思うんですけど、今思い返してみて、みなさんが20代半ばの頃にこんなことで悩んでいたなみたいなのはどうですか?
ちょまど:私はあまりに自分がへっぽこ過ぎて、超悩んでいました。今はそれを受け入れてしまったので、だいぶ楽になったんですけど、当時は理想が高すぎて。私は津田塾大学という、私立の女子大の英文科出身なんですね。
だから周りにプログラミングの話ができる友だちがいなくて、見ていた世界は全部Twitterだったんですね。りと今は一般の人もTwitterを普通に使っているけど、当時、二千十何年とかの前半あたりは、けっこう濃い方々が使っていて、どこぞの大学の教授とか。すごい人がプログラミングについて話し合うコミュニティがあったんです。
そこしか見ていなかったから、私はプログラミングの世界はこれなんだと思って。
(一同笑)
ちょまど:何を言っているのかまったくわかんないと思って。私は当時大学生とか新卒何週目とかの時点でそれこそ「三項演算子でif文が1行になった! すごーい!」とか言っているようなレベル。学習曲線みたいなやつで、「なんか理解した!」って最初思い上がるんですよ。
最初はテンション高かったんだけど、新卒からスタートアップの間で徐々に「あ、ぜんぜんわかっていない」って気づいて、あまりにも周りが凄すぎて「私は何もわかっていない」「私はプログラムの適性がない」「本当にくそやろうだな」みたいな感じで、プログラミングをやめたほうがいいって、本当に理想が高すぎて思っていたんですよね。
だけどそのうち私が好きだからやってるでいいや、という感じになって。
大平:それでいい。
ちょまど:「好きだからやっているでいいや。私は確かにへっぽこでだけど、それでいいや」みたいな。私は好きだから勉強して私なりのアウトプットをする。もちろん完璧じゃない。「ここまでわかった」という状態。嘘は書かないように気をつけているけど、「ここまでわかった」みたいなことをやって、それで楽しい。楽しいというのをアウトプットしていけばいいやと思うようになったんです。
ほかにも女性のロールモデルが少ないという問題があると思うんですけど、私は楽しそうにやることで、ロールモデルがいっぱいできればいいと思っています。楽しそうに技術界隈でやっている人がいるというのを発信し続けられたらいいなというスタンスに、頭を切り替えて、マッチョエンジニアじゃなくて好きだからやっている感じで、ロールモデルの1つになれればいいなって思いました。もっとライトな感じでやっていこうとマインドシップが変わった瞬間が、20代の半ばにありました。
司会者:マインドチェンジのきっかけってあったんですか?
ちょまど:確実に2社目のスタートアップで変わりました。私が入ったスタートアップでは、スマホアプリを自社開発していて、そのアプリのリリース前だったんですね。かなり初期の段階から関わらせてもらっていて、先輩に助けてもらいながら当時はかなりの部分を私が作っていたんです。
スタートアップだから本当に人が少なくて、私を引き入れてくれた先輩はいたんですけど、先輩はすでに他のプロダクトの面倒を見ていたんです。だから私が今リリース前のいろいろやっていて、わからないことがあったら聞いてと言われて、その都度聞きながら、コードがりがり書いていました。自分の書いたコードがプロダクトで走っているのは本当に達成感がありますね。
大平:かっこいい。
ちょまど:コードも人に見せられるものじゃなかったんですけど、へっぽこながらがんばって、サーバーサイドもアプリのクライアントも全部自分でC#でやって、それでリリースしたときに、ユーザーからフィードバックをもらったんですよ。そのときに「うれしい! 使われているんだ!」となりました。
私が作ったものを使ってくれているんだと、ものすごく感動しました。当時は「へっぽこ過ぎる」とすごく自分を責めていた時期で、Twitterのすごすぎるエンジニアの人たちと比べて、自分は本当にクズみたいに思っていて。本当に何を言っているかわからないと思っていたんだけど、どうでもいいやと思い始めたんです。今楽しい、うれしい、それでいいやと思いました。
司会者:なるほど。最近は文系からエンジニアになる方もすごく増えていますし、仕事が好きか嫌いかと、向いているか向いていないかという話はけっこう混同されがちかなと思っています。例えば松井さんは、あまり勉強が好きじゃないし、アウトプットも他のお二人ほどではないと言っていたと思うんですけど、エンジニアの仕事が自分に向いていないんじゃないかなとか、これまでに悩んだことはありましたか?
松井:2年前ぐらいに初めてアウトプットが大事だという文化を学びました。それまでは外に出ることをあまりやっていなかったので、コミュニティ活動を始めたのも2年半前ぐらいだったんですけど、そのときにやっぱりエンジニアは今の時代はこうしないといけないと思ったことがいろいろとあって。私は向いているのかな? とけっこう思いました。
ソースコードを書くことは、がんばっていればいつかはできるようになるんですけど、登壇することが苦手だったり、ブログを書くときに手が震えたりする。
(一同笑)
松井:そういうのは何回やっても、どうしても直らなくてダメなんじゃないかと。エンジニアはけっこうTwitterをやっている人が多いけど、自分はうまくつぶやけない。うまく話に乗れないということを、最近すごく悩みました。
(一同笑)
松井:今はもちろんそういうことにも挑戦しようという気持ちもあるんですけど。自分が好きなことでがんばっていくことは、むしろ使命なんじゃないかと思ってきています。ちょまどさんや大平さんが得意なことを見習うと同時に、自分が得意なことを自分がやらなくてどうするという気持ちがけっこうあって。女性が少ない中で実績を作るということは、みんなに影響を与えることでもあるし、そこをすごく前向きに考えるようになりました。
こういうところで働きたいとか、有名な企業で働きたいとかエンジニアとしていろいろなキャリアを描きたい、という気持ちもあったけれど、私はたぶんそうじゃなくて、自分で経営から携わって、なにかものを作ったほうがみんなのためになると思えたので、スタートアップの創業に踏み切りました。そこにマインドチェンジがありました。
ちょまど:すばらしい。私は経営とかそういうのはステータス振り分けのときにたぶん0しか振っていないから、本当に助かる。本当にメチャクチャ尊敬する。
松井:これはお互い本当に尊敬していると思います。ステータス振り分けのとき(笑)。確かにね(笑)。
松井:ステータスが生まれたときに振り分けられたのかと思うぐらい、みんなモチベーションが上がるところが違いますよね。
ちょまど:このメンバーで言えば完全に同じ人が3人だと、それはそれですごく楽しいと思うけど、違う感じのメンバーがいて、それで同じ方向を向いてやっていて、しかもコミュニティのみんなも楽しくやっているという今の状態が本当にいいなと思います。
大平:そうですね。メチャクチャ思う。
司会者:続いては、今視聴している方々の質問にも答えていこうかと思います。
(次回へつづく)
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