
2025.02.06
ポンコツ期、孤独期、成果独り占め期を経て… サイボウズのプロマネが振り返る、マネージャーの成長の「4フェーズ」
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司会者:今回セミナーをやるにあたって、女性のエンジニア約100名にアンケート調査を実施しています。大きく2つ、今後のキャリア不安というところで出てきたものをピックアップしたので、みなさんにもご意見をうかがっていければなと思っています。
20代から60代まで幅広く、女性エンジニアを調査したところ、「今後のキャリアで不安なことはありますか」という質問に対して世代問わず一番多く集まったのが「最新技術をキャッチアップし続けられるかどうか非常に不安を感じます」という回答です。この結果を見てお三方の感覚はいかがですか? そうだろうなという感じですかね(笑)。
千代田まどか氏(以下、ちょまど):そうですね。たぶん女性でも男性でも、これは本当に一番グッとくる。
司会者:エンジニアならではですか。
ちょまど:そうだと思います。日進月歩の世界なので、特にWebフレームワークはフッと目を離すと、今年の当たり前が来年には古くなっているというのはザラじゃないですか。キャッチアップし続けるのがメチャクチャ不安、というのは本当にわかります。
司会者:スピード感が年々速くなっている感覚もありますか?
松井菜穂子氏(以下、松井):そうですね。分野にもよるけど分岐が増えるので、全部やろうとするとたぶんスピード感が上がるんだと思います。
司会者:なるほど。ちなみにみなさんは技術の勉強は日々どうされているんですか? 大平さんはフリーランスで、ちょまどさんは会社員、松井さんは取締役の立場で、業務の中での学びというのはもちろんあると思うんですけど、技術の勉強を続けるということをみなさんはどう取り組まれているんですか? 大平さんから聞いてもいいですか?
大平かづみ氏(以下、大平):私は技術の勉強をするのが好きで、実際にコードを書くのが好きなので、興味をもったところは実際に書いているんですね。ただ好きなところばかりをやっていると偏っていくというか、他が見えなくなってしまうので、ひと通りは全部作ってみます。
私は環境を作るところの自動化が好きなので、まずそこでやって、それに載せるWebサービスのコードを書く感じです。私はだいたいこれぐらいまでしかできないけど、もうちょっと早くできるようになると、テストを書いたりできるので、自分で作っているとけっこう楽しいです。そしてメチャクチャ時間がかかる(笑)。
あとは私はアウトプットをすることでけっこう続いている気がしています。あまり時間をかけると無駄が多いときもあるんですけど、私はけっこう下調べして、ちゃんとこういう根拠で書きましたと、自分が納得してから書くことが多いんです。なので、自分がわかっていなかったところを自分でちゃんと調べた上で、言葉にして出すところまでやると、それなりに納得しながら学んでいけるかなと思います。
最新技術かはわからないけれど、興味の赴くままに辛くならないようにやっていくのが、一番ベストかなと思ってやっています。
司会者:ご自身の興味がある分野と市場のニーズが高い技術のバランスは、どうされているんですか?
大平:仕事に役立ちそうなところは先にやっておこうという興味が湧くので、それはそれでやります。あとは切り捨ても大事ですね。これ以上は私には無理だ、追えないみたいなものはTwitterとかでさらっと見て、「あ、バージョン3が出たんだ」と雰囲気だけをキャッチアップして、あとは誰かに任せるみたいな。実際にやるときにまとめてやるぞという心意気で、取捨選択は大事かなという感じはします。
司会者:なるほど。大平さんは以前は会社員をされて、今はフリーランスをやられているので、学習という意味での会社員エンジニアとフリーランスエンジニアの違いはどうですか?
大平:会社員でやっているときは内容が社外秘のものが多かったので、勉強をしてもこれは出していいのかわからないということがかなり多かったんです。そのときは諦めて、会社とはぜんぜん別のことを勉強しました。それならいくらでも出し放題なので(笑)。
(一同笑)
司会者:なるほど。
大平:出し放題と言っていいのかはあれだけど、そうやっているうちに(学習していることを)外で話せるようになって、転職に有利になったことはありますね。
司会者:なるほど。
大平:仕事ではAzureを使っていなかったのに、Azureの発信をしていたらAzureのMVPになれたし、今はAzureの仕事をやっているので。仕事をする上での勉強は必要だけど、必ずしもギチギチに仕事に結びつけなくてもいいような気はしています。
司会者:ありがとうございます。ちょまどさんはいかがですか?
ちょまど:そうですね。本当にその通りだよなと思って。
大平:(笑)。
ちょまど:私の場合、1社目はSIerだったんですけど3ヶ月で辞めて、正確には実務は2週間で辞めました。
(一同笑)
ちょまど:新入社員研修が1ヶ月半あって、配属約2週間で退職願を出して、それの受理に少し時間がかかって、という感じでした。だから実質2週間で辞めているんですけど、それでもすぐ次の転職先がスタートアップに決まったのは、大平さんが言っていたように、私もアウトプットをしていたからなんですね。当時は本当にまだ毛が生えた程度でしたけど、こういうのを勉強していますと言っていました。
例えばどんなどんなことを言っていたかというと、「三項演算子を学びました」とかそのぐらい(笑)。
大平:いいね!
ちょまど:そこから「今日はこれを学んだ」「次の日はこれを学んだ」みたいな。恥ずかしくて当時のは全部消しちゃったんだけど。
(一同笑)
司会者:残しておいてほしかった気もします。
ちょまど:当時は「じゃんけんプログラムを書く」といレベルの簡単なプログラムを書くというのを趣味でやっていて、本当にプログラミングが楽しくて仕方がなかったんだけど、でも当時の仕事だとペーパーワークのようなものばかりでプログラミングが仕事じゃないから悲しい。
仕事でもプログラミングがしたい、エンジニア方々に囲まれて職場でも学びたいと発信したら、TwitterのDM経由で「ブログを見ていて、自分で本当にメチャクチャ学んでアウトプットしているのがわかるし、新人も育てているから、うちでぜひ働かないか」と連絡をもらいました。
その中でメチャクチャいいスタートアップに転職して、コードもかけて楽しかったです。だから、どうして自分に合ったところに転職できたかというと、本当にアウトプットしていたからであって、大平さんの言うとおりなんです。
質問に戻って、どうやってキャッチアップしているかですが、私はTwitterでエンジニアと一部の腐女子と神絵師をフォローしているんですけど、エンジニアが「これいいよ」とか「これ気になる」とかツイートしてくれるやつをとりあえず調べて、「なるほどな」みたいな感じです。
それについて自分でググったりとか、もしくは教えてもらったりしながら「なるほど」と。特に興味を持ったものは、大平さんのようにブログに書いてアップしています。大平さんと同じように、コミュニティに属しているから、自分が学んだことをシェアしたい、みんなで共有したいという気持ちがあって、それは自分のためにもなるし、人のためにもなっていると願っています。
大平:なってる。
ちょまど:技術者として記事を書くときも嘘を書いちゃいけない。技術的に正しいことを書かなきゃいけない。自分で調べて、本当に嘘じゃないことを確認してから書くから学びがある。私は学校の授業で、メチャクチャノートを取るタイプだったので、今はその授業のノートを大公開している感じです。
だからTwitterを見たり記事を書いたりしてキャッチアップをしている、という感じだと思います。
司会者:なるほど。今日参加されている方の中には、これからエンジニアになりたいよという方もいまして、ちょまどさんは、技術に対する興味がそもそもあったと思うんですけど、勉強するのはお好きですか?
ちょまど:そうですね。興味があることを学ぶのはすごく好きです。今のお仕事はコミュニティマネージャーに似たものなんですが、私はオタクなので同じ推しを共有するオタ友とつるむのが好きで、オタ友コミュニティというか同じ推しを愛する者同士という感覚です。私はAzureが好きで、コミュニティの皆もAzure好きだしみたいな。
司会者:やっぱりそのあたりは楽しくやっているんですね。
ちょまど:楽しい!
司会者:すごくいいですね。松井さんはいかがですか?
松井:同じ女性だけど、2人と違うところがあって、けっこう勇気を出して言うんですけど、私はアウトプットが苦手です。
(一同笑)
松井:勉強も昔からすごく嫌いなんですよ。
司会者:そういうタイプだと思わなかった。
松井:技術はすごく好きで、学ぶことも好きなんですけど、睡眠時間を削って業務外の時間でやるのがすごく苦手。そんな私でもエンジニアを続けていますというメッセージになればいいなと思っていて、私は無理やりにでも仕事を自分の学びたいことに近づける努力は常にしています。
例えばイベント登壇でアウトプットするのが苦手なら、実際にユーザーからフィードバックが得られるものを作ることに全速力で向かっています。会社のメインのプロジェクトじゃなくても、社内のちょっとした管理システムや便利ツールを作ったり、こういうものを作ったらどうかなというアイディアを、絵とかを描く前にまずコードで立ち上げたりということをけっこうやっています。
私はNuxt.jsというフロントエンドの技術を使って、フロントエンドを作ることが多いんですけど、PCのtempフォルダにNuxt.jsのプロジェクトがバーッと並んでいます。
大平:すごい!
松井:作っていくうちにこれは役に立たないとか、やっぱり大変だから飽きてしまうとか、いろいろあるんですけど、そのうちにすごくコアなところの問題にぶち当たって、いろいろとissueを調べることで技術の勉強になったり、仕事につながったりすることがすごくあります。
それぞれのタイプによって、気の向くやり方は違うと思うので、そういうふうにキャッチアップの仕方を見つけていくのもありかなと思いますし、最近はけっこうそういうのを受け入れてくれる会社も多いんじゃないかなと。上司との1 on 1で、「私はこういうふうに学習を進めたいです」と言ったら、「そうしていこう」と言ってくれるところもあると思うので、私はそういう感じにしています。
司会者:松井さんは今の会社でCTOをされているということですけど、メンバーのエンジニアは何名ぐらいいるんですか?
松井:今は私1人です。
(一同笑)
松井:そうなんです。たまにちょっと手伝ってもらうことはあるんですけど従業員としてはいないですし、他の創業メンバーはぜんぜん違う畑の人間なので私1人でやっています。
司会者:じゃあ本当に松井さんが開発を担っていて、その業務の中でいかに学びをプラスしているかというところをご自身は工夫されているんですね。
松井:はい。
司会者:ありがとうございます。
大平:さっき「メチャクチャ調べて完璧を目指してアウトプットする」って言ったけど、アウトプットすることに尻込みをしてほしくないと思っていて、不完全でもいいと思います。適当なことを書いていなければ大丈夫ということを言っておきたい。不完全でも大丈夫。
さっきちょっと語弊があるなと思ったんですけど、調べられるものは絶対に調べるべきだし、自分の腑に落ちたことを書くべきだけど、完璧を目指す途中でも大丈夫。なんて言ったらいいんだろう。
(一同笑)
ちょまど:わかる! あれでしょ!? 私が「三項演算子を学んだ」という記事を書いたくらいでいい感じでしょ?
大平:そう! わからなかったら「わからなかった」と書けばいいだけ。完璧じゃなくても大丈夫。論文みたいにならなくても大丈夫ってことを言いたかったんですよね。ちょっと言葉にならなかった。
司会者:完璧なものを目指し過ぎると、アウトプットのハードルがすごく上がってしまって、出せなくなってくると思うので。
大平:そうそう。不安だったらツイートするぐらいで大丈夫。それでアウトプットをちょっとずつやっていくのがたぶんいいと思います。
司会者:さっきちょまどさんが言っていたアウトプットをするときのある種の責任というか、正しいことをアウトプットするという意識はもちつつも、そこまで自分のハードルを上げ過ぎずに、今の自分にできる誠実なものはこれというものを出していくということですね。
大平:はい。不安だったらCode Polarisの誰かに聞けば、みんなが優しく教えてくれるので大丈夫です。
(次回へつづく)
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