2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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鎌田華乃子氏(以下、鎌田):(「中心から外に広がっていくように連携している組織を目指していく。それをどうやってやっていくのかを考えていくのが、コミュニティ・オーガナイジングです」という話に続いて)そのために5つのステップ+コーチングが必要になってきます。コーチングはご存知の方も多いと思いますけど、質問することによって相手の力を引き出していくものです。
コミュニティ・オーガナイジングは、リーダーをたくさん育てていくんですね。スノーフレークリーダーシップもたくさんのリーダーが育って広がっていくことを目指していきますから、リーダーを育てるためには答えをあげ続けていては人は育たない。質問をして投げかけることで、その人を育てていくことがとても大事になります。
なのでチームがベースにあり、5つのステップの1つ目がパブリックナラティブ、2つ目が関係構築、3つ目がチーム構築、4つ目が戦略作り、5つ目がアクションになっています。
ざっと内容をお話ししていきます。1つめのパブリックナラティブですけれども、「ストーリーを語る」ことになっています。
まず「私のストーリー」として、なぜこの行動をしているのかという私自身の話をします。それから「私たちのストーリー」として、私たちが共有しているストーリーや価値観について話して、一体感を作っていく。
そして「今、行動しなければ」という話をすることで、行動を促していく。まず「私」と関係性を作ってもらい「私たち」のコミュニティを作って、そして「今」行動していく。これがとても大事になってくる「ストーリーを語る」です。
鎌田:次が関係構築なんですが、こういったボランタリー(自発的)な活動って、お金をあげるからとか上司だからやれというものとは違い、フラットな関係になっていくと思うので、価値観でつながって、共通の関心の下にお互いに資源を出し合って関係を作っていくのがとても大事になります。
それを1対1の対話を通じてどうやって作っていくのかを、特にコミュニティ・オーガナイジングで大事にしています。
そして、人が集まってきた時に、構造がないとやっぱり活躍できないと思うんですね。どういう構造を作っていくといいのか。簡単に説明していますけれども、特に一番大事なのが、左側の3つの条件と3つの決定です。
3つの条件は、チームに境界があり誰がメンバーか分かること。毎回メンバーが入れ替わるんじゃなくて、安定していること。そして多様性があることですね。
3つの決定は、チームが集まった時に、この決定をして大事にしていくとチームが強くなっていくというものです。1つ目が共有目的。私たちはどんなことするのかを話して共有していくこと。
2つ目がノームですね。誰か偉い人が決めて「やりなさい」というのがルールですけど、コミュニティ全体で決めていくことをノームと言っています。
そして相互依存に基づく役割が大事になってきます。これを決めて大事にしていくことで、ゴールを達成して、能力が向上して、リーダーシップが成長していくと考えています。これは、いろんな組織学の人たちがまとめた結果に基づいて作っています。
鎌田:そして4つ目の戦略。同志というキーワードがありますけれども、コミュニティ・オーガナイジングでは同志をすごく大事にしています。
同志は簡単に言うと、課題の当事者と、当事者と同じぐらい課題意識を持っている人たちということ。サービスを提供しているだけでは、やっぱり人は強くなっていかない。課題の当事者がアクションを起こすことで強くなっていくと考えています。
戦略も、課題の当事者である同志たちが持っている資源を活かして、どうやって欲しいものを得ていくかを考えていきます。その時にNPO活動や社会運動はすごく大きなビジョンを持ちがちで。例えば「子育てしやすい社会を作りたいんだ!」と言うけど、それは大きなゴールすぎて、どうしたらいいかわからない。
例えば「こども食堂を自分の街に作ろう」とか、明確で達成できるようなすごくわかりやすいゴールを置いて活動をしていくことが大事だと考えて、そういう戦略の作り方を大事にしています。
そして最後は、アクションです。戦略をそのままにしてたら何も起きないので、アクションをしていかないといけないんですけれども、その時に大事なのが、多くの人が参加してくれるようにすることです。
“ツキコイ”とありますけれども、たくさんの人を短時間に誘わなきゃいけないので、つながりを作り、緊急性を語って、コミットメントをとって、勢いをつけて人に来てもらうことを大事にしています。
ざっとお話ししましたけれども、本に丁寧に書いていますので、もしよろしければら読んでいただけたらと思います。
鎌田:ここから湯浅さんとお話をしていきたいなと思います。湯浅さん、今日はよろしくお願いします。
湯浅誠(以下、湯浅):よろしくお願いします。お疲れさまです。
鎌田:お疲れさまです。本当、湯浅さんには2014年からお世話になっていて、長いお付き合いになっています。
湯浅:ガンツのワークショップを受けたのが2012年?
鎌田:2013年の12月ですね。
湯浅:ちょうど最初に、私と鎌田さんの写真が出たじゃないですか。あの写真を撮ったのがその頃なんですよ。年をとったなと思いますね。
鎌田:(笑)。でもずっと応援してくださって、とてもありがたいなと思っています。
湯浅:いえいえ。
鎌田:今ご紹介がありましたけれども、私たちコミュニティ・オーガナイジング・ジャパンが最初にワークショップをやった時、ハーバードでコミュニティ・オーガナイジングを教えているマーシャル・ガンツさんを招いて、湯浅さんが最初の参加者になってくださって。
湯浅:おもしろかったです。パブリックナラティブのところがすごく印象的で。
私も、多くの人がそう思ってるんじゃないかと思うけど、ガンツが「誰でも自分のストーリーで人を動かすことができるんだ」みたいなことを言うじゃないですか。でも、自分に特別なストーリーがあるなんて、まず思ってないですよね。
なので「本当か?」という感じから入るんだけど、やってみると、まぁ確かにそうだという感じがあって。
あの3日間のワークショップは、本当にそういう体験ができる時だったと思いますね。私、翌年から大学で教え始めたから、ワークショップを一部ですけど授業で取り入れてやっていたんですよ。
そしたらやっぱり学生さんたちも、自分のストーリーをちゃんと話せるんだよね。最後、スピーチコンテストみたいなのをやりましたけど、みんなから推挙された人が、200人の前でしゃべるんですよね。
鎌田:すごい! 200人の前で。
湯浅:そうですね。学期の間で2回やるんですけど、みんな、私がしゃべるよりも遥かに真剣に聞くからね。
鎌田:(笑)。
湯浅:同じ年齢の学生さんみんなが影響を受けあって考えて、自分のストーリーを語ることが人を動かし、人の気持ちに働きかける。実際そういう面がとても多くて、すごく印象的だったんです。もとを正せばガンツのワークショップのおかげなので、とても助かりましたよ。
鎌田:本当ですか。でも湯浅さんも、自分にそんなにいいストーリーはないと思ってたんですね。私も、そんなに話すべきことはないだろうって思ってた(笑)。
湯浅:自分の話をするって照れくさいし「俺が、俺が」みたいに見えるのも嫌だし、話す前に、もう控えちゃう。慣れてないから余計に話さなくなる感じがありますよね。
鎌田:そうですね。
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