
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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司会:本日はまず鎌田さんより書籍『コミュニティ・オーガナイジング―ほしい未来をみんなで創る5つのステップ』について説明いただいた後、鎌田さんと湯浅さんの対談に移りたいと思います。それではさっそくですが、鎌田さん、よろしくお願いいたします。
鎌田華乃子氏(以下、鎌田):ありがとうございます。書籍の紹介に入る前に、私がなぜこういった取り組みをしているかをご説明しますね。
私は父母弟の四人家族で、楽しく子ども時代を過ごしていました。しかし、私が5歳のとき、母が急に体調を崩しました。いつも元気だったのに、動くのもやっとの母をみて、とても不安でした。父は会社で夜遅くまで働いて家にいない。小さな弟がいるから、母と弟を守らなくちゃと必死でした。
でも小学校に行っても、勉強はついていけないし、ドッジボールもできない。そんな中、自分が誰よりも得意なことをみつけました。木登りです。近所の公園に鬱蒼と木が茂っていて、そこにある大きな木が大好きで、高いところまで登っていけました。毎日公園に行っては、すごく自信と安心を与えてくれる存在だった、その木に会いに行っていました。
私が小学校2年生の時に、いつも通っていた公園に工事が入ってしまって、大好きな木も切られてしまったんです。大事な存在を失って悲しかったんですが「なんで毎日使っている子どもたちの声を聞かないんだろう?」という怒りと疑問がすごく湧いていました。
大人になって環境や社会を守る仕事がしたいと思い、環境コンサルタントの仕事についたんですけれども、すごくビックリしたことがありました。欧米などの海外と比べると、日本のNPOがすごく弱くて、政策決定に参加しないことです。
海外ではNPOが作った法案が通ったり、意見が政策に影響するのに、日本では見たことがないと。子どもだから意見が通らないんじゃなくて、日本社会の構造がそうなっているんだなとに気づきました。
市民参加を強くしたいと思ってアメリカに留学し、その先で出会ったのがこの「コミュニティ・オーガナイジング」です。人々の力を引き出して一緒に行動していくことで、社会変化を起こせる。本の帯にも「『仕方がない』から『仕方がある』へ」と書いていますけれども、そう思えるような世界をみんなで作っていけるんじゃないかなと思い、このコミュニティ・オーガナイジングを広げようと決意をして、帰国して、COJ(Community Organizing JAPAN)を立ち上げました。
私は実践もしてたんですけれども、さらに実践もしつつ研究もしたいと思って、今、博士課程で研究をしています。
COJはワークショップをずっとやっていたんですが、それだけだと年に200人ぐらいしかトレーニングできないんです。本にすると、今回6,000部ほど刷っていただいていますけれども、やっぱりバッと広がるパワーを感じています。より多くの人に伝わるといいなと思っています。
鎌田:まず本の概要を説明します。序章が「『仕方がない』から『仕方がある』へ」ということで、日本社会って声を上げづらい社会だと思うんですね。それがどうしてなのかを私なりの経験と学術的な研究も少し合わせて、わかりやすくまとめています。それからどうやったら変えられるのかをお話ししています。
パート1が第1章から第6章まで「変革の起こし方」ということで、実際にコミュニティ・オーガナイジングとは何か、その5つのステップを丁寧に説明しています。
パート2では理論だけではなく、実践もすごく参考になると思うので、私たちコミュニティ・オーガナイジング・ジャパンの仲間たちや、実践に伴走させていただいた事例を紹介しています。
パート2の最初の7章は、ヨルダンとセルビアという海外にいる、私たちの仲間が実践したものです。ヨルダンはパレスチナ難民の人たち、セルビアは母親たちが立ち上がった事例をご紹介しています。
8章は「身近なことから変化を起こす」ということで、東京の杉並でおやじの会を立ち上げた人の話とか、岩手で産後ケア施設を立ち上げた人、岩手で成人式を冬から夏に変えた人たちの話をしています。
小さなことも変えられるし、大きなことも変えていけるということで、最後の9章では、私自身も関わった、法律を変えた事例です。日本では110年間、性犯罪に関する刑法が変わっていなかったんです。今も継続的にキャンペーンをやっていますが、2017年に大きな節目があったので、本ではその時の話をしています。
このような内容になっていますが、読んだ後に「何か自分もできるかもしれない」と思ってもらえるような本が書きたいと思い、がんばって書いてみました。
鎌田:湯浅さんはこども食堂の活動に、すごく力を入れてやっていらっしゃるので、それをコミュニティ・オーガナイジングの視点で見るとどうなるのか? をお話ししていきたいんですけれども。まず、コミュニティ・オーガナイジングとは何か、用語や考え方が共有されているとお話ししやすいと思うので、1章から6章までをおさらいしていきます。
1章から6章まで、コミュニティ・オーガナイジングについての話をしているんですが、普通に淡々と書いてしまうと、すごくつまらない、堅い文章になってしまうんですね。どうしても私はそれが嫌で。もっとアクセシブルというか、読みやすくてわかりやすいもの、楽しく読めるものにしたいと思った時に、小学生がコミュニティ・オーガナイジングをやったらおもしろいんじゃないかって。
社会を変えるアクションは何歳からでもできると思ったので、小学校5年生の“カナメ”が、困難に直面したというお話にしました。ある日突然、小学校から昼休みがなくなっちゃったと。どうしよう、困るということで、クラスメイトや友達と一緒にアクションを起こして解決していくという内容になっています。
コミュニティ・オーガナイジングを一言で言うと、みなさんご存知だと思いますが、『スイミー』ですね。小さな魚たちが力を合わせて大きな魚を追い払う。私たち一人ひとりの力は小さいんだけれども、力を合わせることで大きな変化が起こせるというのが、まさにコミュニティ・オーガナイジングです。
鎌田:コミュニティ・オーガナイジングではどういう組織を目指していくのか。今日参加している方の中には、グループやコミュニティを持っている方がいらっしゃるかと思うんですけれども、たぶん責任感や意志の強い方が多いと思うんですね。
そういう人はドットリーダーシップという状態になりがちだと思います。全部の責任を引き受けてしまって、わーって縮んでしまっている感じですけれども、その人がいなくなったら活動がなくなってしまう。これは続かないと。
逆にバラバラリーダーシップという、みんなやる気はあるけれども見ている方向が違う状態も、やっぱり続いていかないと思います。目指したいのは、スノーフレークリーダーシップ。スノーフレークとは雪の結晶という意味ですけれども、中心から外に広がっていくように連携している組織を目指していく。それをどうやってやっていくのかを考えていくのが、コミュニティ・オーガナイジングです。
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