2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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秋山真氏(以下、秋山):みなさんお待たせしました。
寺口浩大氏(以下、寺口):はい、お願いします。
秋山:さっそく始めていきたいと思います。まずはスパイスボックスからお話をさし上げます。ワンキャリアさんとは、今日初めてこうしたセミナーを開かせていただきます。僕らスパイスボックスは、SNSのデータ分析を活かしたマーケティングが得意領域です。
若者を中心とした、生活者の傾向が顕在化しやすいSNSのデータを分析することで、今のユーザーのインサイトや世の中の傾向をデータから掴んできて、それをビジネスに活かしています。
私は2016年にスパイスボックスに新卒入社をした、今年27歳の1993年生まれ。新規開拓営業を担当しており、入社3年目の25歳の時に今の採用コミュニケーション事業部を立ち上げました。
僕が就活をしている時代から「就活の在り方」が大きく変わってきました。事実、僕自身もSNSとか、ナビサイト以外の口コミを収集するサイトを見ながら就活をしていました。
これからの時代は働き方が多様化していきますが、そのぶん、仕事の情報もすごく多様化していきますし、増えていくことが予想されます。情報流通構造が複雑になっても、就活生や転職者が求めている情報に巡り合えるように、スパイスボックスが強みとするコミュニケーションやマーケティングの力を活かした事業が世の中に必要と考え、事業を立ち上げました。
スパイスボックスは博報堂グループの会社で、これまでの実績としては、デジタルマーケティングの領域や、SNS・インフルエンサーマーケティングの実績が多いです。ただ最近は、通年採用・オンライン採用・ジョブ型採用・大手ナビサイト離れなどの市場背景から、採用市場でもマーケティングの力が求められています。私の事業部ではこのようなニーズに答えるため、デジタルマーケティングやSNS分析を基点としたサービスで、ニューノーマルな採用で課題を抱える企業さんのサポートをしています。
秋山:その中で今日、ぜひ我々の「THINK」というビッグデータを分析するツールを使って、新卒採用の担当者さんが知らないんじゃないかと思うようなことを、どんどん伝えていければと思っています。
このTHINKというツールは、スパイスボックスが独自で開発したソーシャルリスニングツールです。主にWebメディアや、個人が公開しているソーシャルのアカウントのデータを見ることができます。なので、このTHINKを使って、学生の声や市場の傾向、企業の自社競合の比較をデータで分析してレポーティングをすることで、採用活動に活かしてもらうということが、僕らの一番の強みになっています。
なので、事業としても一番の強みはデータ分析を活かした採用戦略の策定や、コンテンツ・メディアのプランニングですね。
データを収集してデータドリブンに、採用戦略を練っていったりとか。あとはワンキャリアさんとの協業でいうと、ワンキャリアさんが作るコンテンツの中身ですね。そこの示唆になるようなデータを出していく、みたいなことをやっています。
制作クリエイティブの実績は主にWebコンテンツが多いのですが、作ったあとにデリバリーするところの情報流通まで行います。コンテンツをつくるだけでなく「SNSを使ってどうやって今の学生さんや若い人たちに届けていくのか」までを考えることが僕らの強みであり、今回のこの「採用マーケティング」というテーマの中でもポイントになっています。
秋山:今日のセミナー、僕らの視点ではSNSのデータ基点や、マーケティング視点からのトークになるんですけど。Z世代やミレニアル世代は日常的に(SNSに)アクセスする環境ですし、僕は職業柄(必要なこと)になっちゃっていますが(笑)、同世代や周りでも、本当にもう、起きたらまずインスタのStoriesを見る人がけっこういたりするくらい、今の若者はソーシャルネイティブだと思います。
最近、大学生の子たちと話をすると、TikTokとかを使いながら日常をアクティブにエンタメ消費している、なんて人たちもいるので。採用に限らず、日常的にアクセスをする環境であるというのが、SNSの特徴です。なので、情報収集のスタンダードになりつつある環境であるということを理解していただければなと。
これはすごく世の中の大きい出来事なので採用に限らずですが、今、スタンダードと言いましたけど、世の中でも若者に限らず、今って「SNSの印象=社会的印象」みたいなことにもなっているとも思うので。それぐらいパワーのあるメディアと言いますか、プラットフォームかなとも整理しています。
秋山:採用市場でそれがどう使われているかという話ですが、(スライドを指して)すごく簡略化して書いているのですが。つい先ほどお伝えしたように、僕もすごい変換期に就活をしていました。やっぱり従来、リクナビ・マイナビのようなすごく大きいナビサイトの中で、情報収集を3月に解禁されてからするとか。あとは僕も行ったことがありますが、合同説明会に足を運んで、企業のブースを回って。
これも3月以降からやっていく、みたいなことがメインだったりもしたと思うのですが。今ってデータから見ても、自分にフィットする媒体とか、あとは見やすいコンテンツというのも、学生さんが(自分で)たくさんの媒体から選んで情報収集をするという構造になっています。なので、学生が見るメディアが分散しているという話もありますが、分散しているだけじゃなくてすごく増えていますよね。
どんなもの、どんな情報が欲しいか。あとは自分がどんな情報収集の仕方をしたいかによって、メディアを取捨選択して情報収集をしているような傾向にあります。また、僕らが、採用マーケティングをやる時に「採用ファネル」を使ってツールを整理することもあります。
こういう認知……その企業を知ってから採用にたどり着くまでに、ファネルがいくつかあると思うんですけども。ここで使われているツールというのも、先ほど申し上げたように、すごく変わってきていて。(スライドを指して)従来こうであったものが、現在でいうと、SNSとかで「こんな企業があるんだ」とか「実はここってこういう印象があったけど、こういうこともやってるんだ」みたいなことを知るきっかけになったりとか。
まさに今日、一緒にお話をさせていただくワンキャリアさんのように、さらにそこで企業理解を深めていくみたいな、興味・検討のところを使うメディアがあったりとか。その中で、エントリーシートはまだ活用されている、みたいな風潮はまだあるのですが、昔に比べて現在って、この認知から検討のフェーズで、すごくツールが多様化しています。
企業さんの「誰に何をどこで届けたいのか」という、採用マーケティングの必要性がすごく高まっています。今みたいな市場背景がある中でいうと、多くの企業が、学生が活動する媒体とかプラットフォームを横断して活用する事例が出てきています。3年ぐらい前から採用サイトや合説、ナビサイトだけでは、「なかなかエントリーが集まらない」といった相談を、僕らもよく受けてきました。
ここ数年でナビサイトだけ・採用サイトだけすごく充実させても、ぜんぜんエントリーが集まらなくなってきた、なんていう企業さんが一気に増えてきました。それには、こうした背景があったというわけなんです。やっぱり、学生が日常的に見るメディアからちょっと踏み込んでいって、興味が出てきた時に調べにいくメディア、最終的に企業を検討したりとかエントリーしていくメディア、みたいなかたちで分かれているんですね。
一例をお伝えしていますが、(昔とは)違ってきているので。しっかりとこういった「どこで、何を伝えるのか」によってタッチポイントを選んでいくということが、とても必要になってきます。
秋山:今日のパネルディスカッションでは「僕らはSNSのデータから、こんなことが見えてきたよ」というようなことをお伝えしていければと思います。なぜ僕らがSNSのデータを見るかというと、SNSというのは今の情報構造の中でも、一番生活者の傾向が掴みやすい媒体なんです。
例えばこのスライドでいうと、一次情報や二次情報が発信、シェアされ、更にSNSで拡散します。オフラインでの体験や口コミでさえも、SNSで情報共有がされる構造になっているのです。なので、先ほどTHINKのところで「SNSの個人アカウント、あとはWebメディアの記事がSNSでどう反応されているかなんかも見られますよ」という話もしましたけど。SNSのエンゲージメントデータとか口コミデータを見ていくことで、そこの情報のソースがどこなのかとか、誰がこの情報にどう反応してどう広がったのか、というところも見える化できるんですね。
なのでしっかり、今、若者が日常的に使って反応しているデータやそれを使って発信している人たちのデータを拾いに行って、世の中の傾向を掴みにいくことを僕らはしています。
秋山:もうちょっと新卒採用に落とし込んで「SNSで学生の何がわかるのか?」みたいなことを、このあとのパネルディスカッションで紐解いていきます。
(スライドを指して)SNSのデータを見る重要性についてです。まず1つは、学生が企業に抱く印象。今年、オンライン採用なんかもすごく増えるなかで、オンラインや、SNS上でのエンゲージメント、口コミも増えています。なのでしっかりと、自社競合の印象みたいなものをSNSからキャッチする。
2つ目が、学生が共感する文脈ですね。逆に共感しない文脈みたいなのも見えてくるんですけど、どんなテーマ・どんな切り口に興味を持っているのか? ということをちゃんと把握することができます。
最後がタッチポイントです。学生がどこで情報収集をしているのかって、先ほど申し上げたようないろんなメディアがあるなかで「どこにどんな人たちがいるのか?」を、SNSのデータから分析しています。今日、寺口さんとも共通して語っていくテーマでもありますが、採用マーケティングで大切なのは、特にリサーチの部分だと僕らは思っています。
「3C分析」というマーケティング用語を使っていますが、(スライドを指して)下に補足が書いてあります。市場とか顧客、あとは自社競合のことをしっかりと把握してから打つ手を考える。そのあとに、何を伝えていくか考えていくところがすごく重要ですし、これまでサポートさせていただいている企業さんの成功の秘訣かな? とも思っています。
僕のスライドは最後になりますが、学生が日常的に、アクティブに使用するSNSというフィールドで、どんな傾向があるのかを、データからお伝えできればなと思っています。
SNSデータという視点から、学生のリアルな声を聞くということの大切さや、そこから見えてきた事実をお伝えできればと思っています。一旦、スパイスボックスの紹介と、今日、僕らがこんな視点でお話しできたらいいかなということをお伝えさせていただきました。寺口さん、今日はよろしくお願いします。
寺口:よろしくお願いします。ありがとうございます。秋山さん、めちゃくちゃおもしろいですね。個別にも聞いていたんですけど、僕自身も採用のマーケティングにおいて、スパイスボックスさんのノウハウは教えていただいています。初めての情報も多かったかなと思うので、ぜひ後ほど深堀りできればなと思っております。
あと1個、さっそく質問をいただいているんですけど。もうこの場で新鮮なうちにご回答いただいてから、僕のほうに行ってもいいですかね。
秋山:そうですね。忘れないうちに。
寺口:「学生の認知としては『大手媒体で企業を発見、そのあと各SNSから詳細な情報収集』というフローと想像していましたが、SNSが最初なのでしょうか? 知名度がある企業に限定されるんじゃないかなと思っていました」と。
ご質問いただきありがとうございます。ここについて、一旦僕、時間があったのでチャットで僕なりの見解をお返ししてみたんですけど、秋山さんからコメントをいただけたらうれしいなと思います。
秋山:僕も寺口さんのコメントを1行しか読んでいないんですけど、まさにこれを最初にお答えしようと思っていました。実はこのあと、パネルディスカッションでこれだったらいいかもと思って、データを用意していたんですけど(笑)。
寺口:すみません(笑)。
秋山:誰でも使えるもので、Googleの検索量とかを見るツールがあります。例えば「2004年から2020年までのナビサイト」を中心とした検索結果。これは一般的にニュースでも言われていますが、ガーっと(数が)減っていってるんですよね。それと比例するかのようにSNS上でのコミュニケーションとか、ワンキャリさんのようなメディアもそうなんですけど、さっきのSNSエンゲージメントもそうです。ガーッと増えていってるんです。
みたいな感じで、全体の傾向としてもそうですし。まさにここに寺口さんも書いていますけど、学生さんって就活している時間が学生時代全体の時間に対して短い、というのももちろんあるんですが。どちらかというとアクティブに、どっち(ナビサイトなのかSNSなのか)でより多くの時間を過ごすかというと、SNSで。全部が全部、採用にまつわる情報からその企業に対して興味を持つわけではないんですけども。
フォローしている友達やインフルエンサーがシェアしている情報も見ているので「こんな企業あるんだ」とか「ここの企業いいかも」と思うのって、けっこうSNSの情報であったりとか、WEBコンテンツから興味を持ちましたという学生さんもすごく多いので。(質問に対して)「この逆です」というような、寺口さんの回答が僕もしっくりきています。SNSが一概にすべてというわけではないのですが、かなりのきっかけにはなる。
知名度がない企業さん、あとは世の中一般の知名度とファクトが乖離してしまっている企業さんとかは、SNSをうまく使っていけるとすごくチャンスにもなると思っています。こんな感じですかね。ちょっと長くなってしまってすみません。
寺口:ありがとうございます。大きなマーケティングの流れの潮流として、たぶん1980年代後半に「届けば売れる」なんていう、広告の世界ではそういうことが言われていたと思うんですけど。今まさに、そこから広告ってアドテックとかで進化してきたのが、この30年ですかね。1990年ぐらいから、30年かけて広告って進化してきたと思うんですけど。
HRの求人のマーケットって実は、広告の「届けば来る」みたいな感じで、めちゃくちゃ“量”に対してフォーカスが当たってしまっていたものが“エンゲージメント”に変わろうとしている。それがまさに今なんですよね。なのでこれからたぶん、消費時間であったりとか、エンゲージメントのいわゆるそういった「吸着度合い」とか「信頼度合い」とか。
学生がどのメディアに「多く」ではなく「長く」存在していて「どのメディアに対して信頼度が高いのか?」と選ばないと。いわゆる「会員がいっぱいいます」と言っても、実はほぼ幽霊会員みたいなこともけっこうあったりするんですね。なので「アクティブ率ってどれぐらいなんですか?」というのを、人材会社の営業担当の方に聞いてみるといいと思います。
アクティブ率とか時間とかの概念で採用担当の方々も聞いてもらえると、これからどういう(採用)メディア、SNSを使っていったらいいのか、わかると思いますので。また後ほど、これも詳しくお話していければなと思います。
秋山:そうですね。
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