2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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クリスティア:今お話されたことは、かなり広い意味で捉えることができる話です。そして、あなたのメッセージが社会・コミュニティを変えていくことに繋がるということでもありました。自分の為に変わりたい、と願うのは自己満足なんでしょうか? 自分のことだけ考えて動いてもいいんですか?
シェリル:もちろん!
クリスティア:そうですか。
シェリル:男性がやっていることと同じです。「夢・願望・目標」、こういった言葉を男性に言う時、どんな感じがしますか? 別になにも変な感じはしませんし、ポジティブです。
同じ言葉を女性に対して使う時、ネガティブな意味合いが生まれます。子供の時によく使いませんでしたか? 「偉そうに威張ってんじゃないよ」と女の子に。「男のくせにめそめそするなよ」と男の子に。男なんだから、女なんだから、というような性の偏見をなくさなくてはなりません。
女性が自分の夢の為に大志を抱き努力しても、何もおかしくありません。
クリスティア:あなたの本には色々書いてありますが、少なくとも2つのポイントがありますね。
まず第一に、私は既存のルールを破ってトップに立つことが出来た、これを皆とシェアしたい。このような問題に女性は直面しています、こんな風にリサーチのデータが出ているし、私もこんな経験をしました、なので女性が前にどんどん出ていくことは素晴らしいと思う、ここでこんなアドバイスがあります。
次のパートは、グローバルに社会を変えていこうというメッセージ。あなたの本を批判する声の中には「最初のパートでは自分だけにフォーカスして成功しろ、と言っているくせに、次のパートでは社会全体の為の改革について話している。まったくかみ合わないじゃないか」というものがあります。
シェリル:私はすべて繋がっていると思います。社会を変える為には、より多くの女性に社会的権力を持つように、つまりトップへ上り詰めてもらわねばならない。
レイマ・ボウィのブックパーティを主催する機会がありました。彼女はリベリア共和国に貢献したノーベル賞受賞者です。参加者は誰も彼女のことを知りませんでした。パーティで、リベリアの女性の悲惨な境遇、レイプや建物の崩壊などについて語りました。
参加者から、「アメリカ人の女性として何かできることはありますか?」と質問が出た時に、レイマが言ったことに衝撃を受けました。てっきり「寄付してください」「権利について議論してください」「国連本部の前でデモを行ってください」のようなことを言うかと思ったら、彼女はこう言ったのです。
「地位と権力を持った女性の数を増やしてください。別にリベリアに限った話ではありません。皆さんの議会に、皆さんの勤める会社に。企業のトップに女性が増えることで、彼女たちが私たちを助けてくれるから。アメリカですら女性トップが少ない状況では、リベリアの女性の地位向上など到底見込めない」
すべてが繋がっているのです。より多くの女性がトップに行けば行くほど、女性に対する固定観念は変わっていき、全ての女性が直面する問題解決も容易になるだろうと私は強く信じています。
クリスティア:女性に対する偏見が変われば、女性がより優れたリーダーになれば、女性がより家庭的になれば、状況が良くなるんでしょうか? マーガレット・サッチャーは間違いなくトップに上り詰めた女性の一人ですが、人々は彼女の事を必ずしも……。
シェリル:女性に対する固定観念を変えた人とはみなさなかった?
クリスティア:いえ、女性に対する固定観念は変えたと思いますよ、女性が取るリーダーシップのあり方だとか。でも……。
シェリル:以前も公の場で言ったことがあるのですが、職場で泣いたことがあります。皆に、職場で泣け、と言っているわけではありません。トップに上り詰めたね、ハンカチ要る? という話ではなく、私たちの前の世代の女性は「職場で泣いちゃった」なんて、口が裂けても言えなかったと思うんです。
彼女たちは仕事の場に入った最初の女性です。あるグループが殻を破って主流の中に入っていく時には、主流の真似をするという研究結果が出ています。あとから来たグループは、主流と同じくらいやれるんだ、ということを証明しなくてはなりません。女性の誰かが始めれば、次の世代もついてくる。後の発展につなげてくれるはずです。
そして男性も女性も能力を合わせて、社会を良くしていく。女性の特徴であるお世話焼きなところと、男性性のあるリーダーシップ。この2つを合わせれば、私たちはもっと人に優しくなり、もっとリーダーシップを発揮することが出来るように進化するのではないでしょうか?
この世代ではそれを叶えることができないかもしれません。私たちの世代も、前の世代の女性たちがやりやすくしてくれた世界をよりやりやすくなるように、次の世代に繋げていこうとしています。男や女等、色々なことの「定義」の幅が広がればと思います。
クリスティア:女性はリーダーでありながらも女でい続け、女性的な性質を保つことが出来るということでしょうか?
シェリル:そうだと思います。洋服を考えてみてください。アメリカで最初に企業で働き始めた女性たちは、男性のようなスーツを来て、髪の毛もオダンゴにまとめて働いていました。私たちの時代ではもうそんなことしなくてもいいんです。小さいことかもしれません、これは進化したところと言えるでしょう。
クリスティア:本当に不思議に思っていることがあるんですが、ちょっとお知恵を貸してください。これが本当に引っかかるんですが、スタートアップ、特にテクノロジーのスタートアップやファイナンススタートアップ。このジャンルに来ると、女性は本当に蚊帳の外です。
マーク・ザッカーバーグもセルゲイ・ブリンも、ジョージ・ソロスなんて移民で英語にアクセントがある。素晴らしいアイディアがあれば、なにか出来るということなんでしょうか?
シェリル:そうだと思います。
クリスティア:女性でそれをしている人はいるんでしょうか?
シェリル:それはいますよ。
クリスティア:でもほんのごく一部ですよね。
シェリル:その通りですね。それにはテクノロジー企業がほとんどいつも、コンピュータ・サイエンスの学位を持つ技術者によって始められるということに原因があるでしょう。
この国のコンピュータ・サイエンスの分野に属する女性の数は、驚くほど少ないです。リーダーシップを取ることと同じ要領で、性の固定観念が女性がコンピュータ・サイエンスの世界に入る邪魔をします。80年代、コンピュータ・サイエンスの分野で活躍する女性は大体35~20%ほどでした。
7歳の息子を2週間のコンピュータ・キャンプに送りました。7歳の子供であれば、まだ親がどんなことをやらせるか決定出来る時期ですね。クラスには35人の子供が参加していましたが、うち30人が男の子、5人だけが女の子。しかもその女の子のうち2人は私の姪と友人の娘で、私が参加するようにけしかけたんです。
私はといえば、実は企業で働くことは視野に入れていなかったんです。NPOで働こうと思っていました。そのように育てられたので。大学を出て仕事を探している時、役職だとか地位だとかに全く興味がありませんでした。その代わり、社会に影響を与えたいと思っていました。
職探しをしながら気が付いたのですが、社会に影響を与える為には成功する必要があるのですね。女性が陥りがちな最大の失敗-これは男性よりも明らかに女性のほうが多いです―、それは完璧な人生を送るために、完璧にプランを練りすぎることです。
よく皆に言います。「自分が何をしたいのか夢を持ちながらも、それに対しておおまかにやっていこうという気持ちを持つことよ」。
これをやるにはこれしかない、という気持ちで組織に入ろうとすると、たいていの場合安定志向で、変化のない組織を選ぶことになります。私もそうでした、やりたいことをやる為にはこうしなければ、とがんじがらめになっていました。当時はインターネットもグーグルもなかったですから……。
クリスティア:そう言えば、ロースクールに入学しようと考えていたこともあったんですよね。
シェリル:はい、行きそうになりました(笑)。一度組織に入れば、組織がリタイアするまでどのように仕事をして、どのようなキャリアを形成していくかということを指し示してくれますね。
でも、そのような働き方がどんな人にも合うわけではないと思います。
逆に、一度組織に入ることが、私たちの今後のキャリアを決定してしまうとも思いません。キャリアプランはある程度あいまいにしておくこと、そしてチャンスが来たらすぐに飛び込むことができるようにしておくことが大切です。
クリスティア:今の時代、私たちは変わり続けなければならない、とよく言われています。そして男性は女性に比べ、変化を厭わないように思いますが、いかがですか?
シェリル:そうだと思います。私の経験から言っても、多くの研究結果を見ても、女性と比べて男性のほうが一か八かの賭けに出ることが多いです。
クリスティア:それは、女の子は「良い子」でいなくてはいけない、っていう信条からですかね?
シェリル:そうですね。
クリスティア:この本を書くことであなたは変わりましたか?
シェリル:はい。今やっている取り組みを通じて、私は変わったと思います。大学の時には、自分をフェミニストだなんてこれっぽっちも思いませんでした。5年、10年前に、「フェミニストなんですね」なんて言われたら、「そんなことないわよ!」と否定していたと思います。
でも今はそう言われたら、「ありがとう。それはお褒めの言葉として受け取ります」と言いますね。私がやろうとしていることは、自分が発言していくことで前に進みたい、そして女性と男性が一致団結して世の中をもっと住みやすくしていきたい、ということです。
私には7歳の息子と5歳の娘がいます。そして彼らは今の私たちの状況を見て学ぶのです、私がそうだったように。
子供たちに、なぜ今回の本を執筆しているか説明しようとしたんです。1年半くらい前に娘がアメリカの歴代の大統領について勉強していました。娘が言います、「ママ、なんで大統領は皆男の子なの?」私は、「ママがこの本を書いているのは、みんなに女の子でも大統領になれるってことを教えてあげたいからなのよ」と言いました。
息子は先週の週末に、「ママ、女の子でも大統領になっていいの?」と言いました。私たちは今まさに変わろうとしているのです。そして変わって欲しいと願っています。
クリスティア:この本を執筆することで、子供たちとの関わり方も変わってきましたか?
シェリル:執筆にあたり、リサーチしましたし、本執筆の際にはスタンフォードの研究者の方とも一緒にやりました。
息子にスターウォーズのライトセーバーで遊んじゃダメ、娘にお人形で遊んじゃダメというつもりはありません。彼らはそれがとても好きなようですし。でも数か月前に息子が娘に対して、「偉そうに威張っている」と言ったときはきつく叱りました。息子はそう女の子に言うことがどれだけ問題なのか理解していませんでした。
「ママ! なんでそんなに怒るの? そんなに悪い言葉なの?!」、「そう。それは絶対に言ってはいけません! 家族のルールです!」と私は言いました。今やっていることが多くの人を変えることになるきっかけになれば、と思っています。
私たちは変わらなければなりません。私がリーン・インを執筆しながら自分の中の変化を感じるように、leanin.orgに入会している皆さんにも変化が訪れることを願っています。55,000人もの方がleanin.orgのコミュニティに入会しています。これはとても嬉しいことです。少しでも皆さんに変化が訪れれば良いな、と思っています。
クリスティア:最後の質問です。ロングタームゴールを持つべきだ、そしてフェミニスト的マニュフェストのようなことも本に書かれていますよね。シェリル、あなたのロングタームゴールはなんですか? 政治的活動も視野に入れていますか?
シェリル:私は今Facebookでとても幸せです。今の仕事にとても満足しています。あと1,2週間で 5年目になります。マークと一緒に仕事が出来て、そしてチームの皆と一緒に仕事が出来てとても幸せです。Facebookにいたいですし、Facebookでまだまだやることがたくさんあると思っています。でも女性の活躍の為の仕事もとても好きです。
Leanin.orgの仲間たちも大好きです。Leanin.orgが続いていくことを願っています。なのでFacebookも Lean Inの活動も両方やっていくつもりです。
クリスティア:ありがとうございました。
シェリル:ありがとうございました。
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