2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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クリスティア・フリーランド氏(以下、クリスティア):シェリル、番組にお越しいただいてありがとうございます。
シェリル・サンドバーグ氏(以下、シェリル):こちらこそ。お会いできて嬉しいです。
クリスティア:早速だけどシェリル、あなたは最新作の著書でなぜビジネスのトップに立つ女性がこんなにも少ないのか、ということについて書いていますね。
シェリル:はい。私がこの本『LEAN IN(リーン・イン) 』を書いたのは、リーダーシップを取るべき社会的立場にいる女性が少ないことについて皆に考えてもらいたい、そしてこれについて多くのディベートが生まれることを願う、という気持ちがあったからです。
30年ほど前から、大卒の女性が増え始めました。大学院卒の女性の数は57~58%もアップ、そしてエントリーレベルの仕事の数も増え、ジュニア・マネージメントの仕事の数も毎年増えつつあります。
しかし、直近10年の女性のトップ進出は停滞しているのです。この10年、ビジネスのトップに立つ女性の数は毎年14%と変わりません。そして、女性議員の数は全体の17%。これに関しては3%減少しています。トップに躍り出る女性の数が"停滞"しているのです。
多くの要因から、女性トップの誕生が妨げられていると感じています。制度上の縛り、性差別、そして政策上の差別等が例に挙げられます。しかしそれ以上に、私たちにこれまで植え付けられてきた女性に対するイメージの固定観念にも、邪魔をされているのです。
私の友人のヘギーには、5歳になる娘がいます。この娘が言うのです。
「ママ、ちょっと困っているの」「どうしたの?」「私、大きくなったら宇宙飛行士になりたいの。そして、私の好きな男の子も宇宙飛行士になりたいんだって」「それがどうして問題なの?」「だって、私たちが一緒に宇宙に飛び立つことになったら、私たちの子供は誰が面倒を見てくれるの? やっぱり、それは私が面倒を見なくてはならないと思うの」
この娘はたった5歳です。このような性の固定観念、ステレオタイプは幼少期に植え付けられ、私たちはその固定観念と共に成長します。そしてまさにこのステレオタイプによって、私たち女性が自身をトップに立たせることから一歩引かせている、と強く感じるのです。
クリスティア:リーダーシップを取るポジションについてフォーカスしましょう。私があなたの本の中で特に興味深いと思ったのは、女性がトップに立つことが、ある一定の分野では特に難しい、というポイントです。更に、女性がトップに立ちにくいこの分野に、社会的地位やお金が集中しているということ。
例えば会社を経営したり、テクノロジー会社をスタートしたり、ヘッジファンドを経営したり、という分野のことです。女性が大学を運営したり、上院議会に現れたりしてはいますが、私が思うに、社会的権力が集中する分野になればなるほど、女性の数が減っていく。これは変える事ができないんでしょうか?
シェリル:女性が直面する問題は、どんな業界でもどんなセクターでも同じです。あなたの言う通り。女性上院議員数は全体の20%で、割と高めであると言えますが、たった20%です。
前の11月のニュースの見出しに、「上院議会が女性に乗っ取られる!?」なんていう意味合いのものがありましたが、私に言わせれば何を言っているんだか……。たった20%でどうやって乗っ取ると言うのよ!? という感じですね。
NPO団体でもそうです。NPO、非営利団体は女性が大半を占めているイメージではありませんか? 実際に、NPOで働く人々の70%が女性です。しかしそのNPO業界の中で、トップに立つ女性というのは全体のたった21%なのです。テクノロジーやウォール・ストリートが男性社会であることは、誰でも容易に想像できると思いますが、NPOを含めどの業界でもそうなのです。
どの業界でも、トップに立つ人々全体の中で、女性トップは10%から20%だけなのです。
私たちの社会は、「男の子はリーダーであれ、女の子は家庭的であれ」と教育しているのではないでしょうか。そしてこのような性差の固定観念、ステレオタイプから抜け出すことは、非常に困難です。
赤ん坊のつなぎの服、おくるみには、大抵こう書いてありますよね。男の子の服には「パパみたいに賢く!」女の子の服には、「ママみたいにキュート!」。私は1950年代の話をしているのではないですよ、たった2年前の事です。男女の性のステレオタイプとは、本当に厄介です。
染みついた性差の固定観念が、仕事のやり方や、次に昇進させる人の選び方に影響を与えます。例えば次に昇進させる人を決める時、男性の候補者の場合には、「彼は仕事が出来ないからダメだ」で済むところを、女性候補者になると「彼女は仕事は出来るけど、皆から嫌われているからなぁ」「彼女はちょっと政治的過ぎる」「彼女は気が強すぎる」そんな風に言うのです。
こんなこと、男性に対して言いませんよね。私の著作『LEAN IN(リーン・イン) 』の中で言いたいのは、私たちの娘に対し、「偉そうに威張り散らさないの!」と言っていませんか? 同じことを息子に対して注意しますか? ということなのです。
私たちはバリバリ働く女性に対して「彼女は攻撃的で気が強い」と言いますが、バリバリ働く男性に対しても同じことを言うでしょうか。これが、私たち女性がリーダーになることを妨げる原因かつ、問題なのです。
クリスティア:少し、成功と人気についてお話しましょう。女性はどうしたらいいのでしょうか? オバマ大統領がヒラリーに「あなたは政治には向いていない」と言ったことは有名です。あなたの本にも書いてありましたが、私たちが成功する為には、親しみやすさとアグレッシブさを兼ね揃えなくてはならない。親しみやすさとアグレッシブさ、両方持つことは可能なのでしょうか?
シェリル:そうですね。社会が、「女性がリーダーになることは可能である、そして女性がリードしていくべきだ」と理解し始めたら、そして性の固定観念が変われば、両方やることが可能になります。ここだけは明確にしておきたいのですが、成功と人当りのよさ・親しみやすさは、男性の場合は比例していくのに比べて、女性の場合は反比例するのです。
男性は成功するにつれ、権力を手に入れるにつれ、周りの皆--男性も女性も--が彼をもっと尊敬し、好きになるようになるんです。これが女性の場合、彼女が成功していくにつれ、彼女の人気は落ちていきます。つまり、仕事が出来る女性の周囲は変わっていくんです。この偏見に皆が気が付いてくれさえすれば、状況は変化するはずなんです。
数か月前、Facebookで360度評価を実施しました。ある男性がやってきて、私の下で働くある女性についてこうコメントしました。「彼女は攻撃的、アグレッシブすぎる」。私は皆の前でこの男性に聞きました。「彼女が攻撃的すぎるということだったけど、どんな風に彼女が攻撃的であったか、具体的にここで話してもらえますか?」。
そして彼は、彼女が攻撃的な理由を話しました。そこで私は皆に質問しました。「これがもし男性が取った行動であっても、彼女の取った行動は攻撃的すぎるとみなされたでしょうか?」。そこにいる皆の答えはノー、でした。
制度的な縛りはなくなるべきだと信じていますが、議論しているだけで状況が変わるとは思っていません。しかし人々がこのように、女性が仕事において成功を目指す上でハンデをおっている事に皆が気づいてくれれば、状況は変えられると信じています。
今回書いた『LEAN IN(リーン・イン) 』、そして「leanin.org」、この2つでやろうとしているのは、この問題についての議論を生む、ということです。
クリスティア:この問題に対して社会の意識を高める、ということですね。個々の女性についてはどうでしょう?
例えば、この本を読んだある女性が、「よし! やってやる! どんどん前に出てやる!」と意気込む。しかし多分、彼女にはあなたのようなボスはいない。つまり、彼女が「攻撃的すぎる」と男性同僚からみなされた時に、その男性に「本当にそうだろうか?」と問いかけてくれるような。
この不完全な社会の中で、個々の女性たちに対し何かアドバイスはありますか?
シェリル:ある経済研究所で、女性たちを集めてスピーチをしました。会場のある女性がこう言いました、「私たちは、あなたの本をとても良いと思いました。でも本当にこの本が必要なのは、私たちではなく、私たちの上司の皆さんです」。そこに実は、彼女の男性上司もいたんです。その男性上司は、私の著書を彼女たちの上司全員に送っておくよ、と言っていました。
冗談はさておき、このような議論に男性も参加してほしいのです。働く女性と彼女たちが抱える問題については、たくさんの議論がなされてきました。しかし近年まで、この議論に参加するのは女性のみでした。
そこにやっと、男性の姿も現れ始めたのです。男性が参加することこそが、本当に意義があることなのです、なぜなら男性も、女性が抱えるこのような問題を理解しなくてはならない。そして、多くの女性が上司に対して、彼女たちが女性であるだけで背負っているハンデについてきちんと説明できるはずだ、と思っています。
クリスティア:「私たち女性(we)」という時、あなたはとても素敵な顔をしますね。ご自身で気が付いています?
シェリル:そうかもしれません。本の中で、女性に対する偏見について語り、その偏見に対しどう行動していくべきかアドバイスをしていますが、アドバイスをするのはとても難しいです。
女性たちに、「物事を交渉する時には、"私たち女性は……"と言いなさい」なんて言いたくないです。だって男性は「私は・僕は」と一人称で語ることが出来るんですから。社会に変わって欲しいです。
その為にはもっと多くの女性にトップに立ってもらい、女性に対する偏見や固定観念を変える必要があります。その時が来るまで、どうして女性は女性であるが故に上に行くほど嫌われるのか、ということを、笑顔をつくりながら議論していくのが最も賢明なやり方でしょう。
充分な数の女性が社会・ビジネスのトップに立った暁には、「リーダー=男性」という方程式が崩れていることでしょう。その時が来れば、女性は女性であるが故のハンデ--成功するほど疎まれる--を背負う必要がなくなります。
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