『部下を持ったら身につけたい! リーダーのためのコーチングがイチからわかる本』出版を記念して開催された本イベント。著者であり、国際コーチング連盟認定のプロフェッショナルコーチ、税理士業界トップクラス(上位0.5%)の総合事務所代表でもあるあべき光司氏が登壇しました。本記事では、やらされ感が強く被害者意識の悪循環に陥っているタイプの特徴をお伝えします。
前回の記事は
こちら 部下に仕事を頼めず自分で動いてしまう…
あべき光司氏:今回はここまでお話ししましたけれども、事前にいただいた質問にお答えします。簡単にいきますよ。「自分を受容する技術って何ですか」ということですね。ぜひ
さっきお話ししたアカウンタビリティ、自分で選んだ状態になってください。ここで大事なのは「無理なく」ですよ。
落ち込む必要はありませんから、「自分で選んでいるんだな。でも選ぶにはトレーニングがいるんだな」と思ってもらえるといいかなと思います。
次です。「あまり(部下に)お願いができず、自分で動いてしまいます」。それこそ「自分がやったほうが早い病」であったりとか、頼みにくい感じですね。
先ほどNHKと『日刊スポーツ』の例で、「部下にとって信頼できる人になりましょう」という抽象的なことを言いましたが。ここさえ意識ができたら、みなさんが相手に良い影響を与えることって簡単ですからね。
さっきの例です。みなさんが小学生だとしたら、なんで(モテるために)中学生が髪の毛をいじっているのか、高校生が勉強しているのかってことに気づけないですよね。そういう時は、中学生や高校生、(この質問の場合は部下)に話を聞いてみるといいんじゃないかなと思います。
ぜひ本を読んでもらったりするといいと思うんですけど、今回はどちらかと言うと、「中学生になりましょう」とか「ラポールを築きましょう」という、抽象度の一番高いところをお話ししています。
部下に言いづらいことを伝える時の心得
次は「部署を異動したくないと言う年配の部下に、快く異動してもらうためにはどうしたらいいか」。細かなテクニックはあるんですけど、「相手にとってのメリットを考えてみましょう」と言っています。相手にとってのメリットを考えた上で伝えるのが大事なんじゃないかなと思っています。
「こういう質問をしましょう」「こういうコミュニケーションの取り方がありますよ」とか、オープンクエスチョン・クローズドクエスチョンみたいなコーチングのテクニックもありますが、それよりも大事なのは「ラポールを築きましょう」ということです。
「リーダーが部下に接するにあたり、基本となる考え方」。これも繰り返しで、ラポールが大事です。「あなたの話やったら聞いてみよう」と思えるようになるために、相手からラポールを築いてもらいましょう。
そのためにどうしたらいいか。繰り返しですけれども、「ずっと笑顔でいる」「言い訳しない」「ヴィクティムでいない」「アカウンタブルでいる」というのが必要なのではないでしょうか。
「良い集団形成のために必要なこと」は、「これ、何のためにやっているんですか」という、みなさんが一番最初にやったゴールの設定だと思います。
集団にとってゴールは1つじゃないから、みんないろんな方向を向いています。こうなると、良い集団にならないんじゃないかなって思っています。ですので、みんなでゴールを決めて共有するのが大事なんじゃないかと思っています。
信頼関係をつくる質問のテクニック
今、3つくらい質問がありました。まず「他の章も簡単に概要を教えてください」。さっきの話ですね。「『聞く』にはコツがある」とあります。これは何の話かと言いますと、ほとんどの方が聞いているようで聞いていません。
僕も含めて多くの人間が、自分が聞きたいように聞いて、自分が見たいように見るんです。みなさんはこんな経験がありませんか? 僕は奥さんとのやり取りでよくあるのが、奥さんが何か話している時に僕はスマホをいじっていて「へー」「あ、そう」「ふーん」みたいな。「聞いてんの?」「聞いてるって」。これはよくあることだと思うのですが、ちゃんと聞いてあげましょう。
それで「30分で信頼関係を築く」ためには、まさに「ラポールは相手から築いてもらうんですよ」という話。さっきお話しをしていたミラーリングだったり、バックトラッキング、オウム返しみたいな具体的なテクニックがいくつかありますけれども、「質問を極める」。
ここがコーチング的な感じですね。
「どんな種類の質問があるんですか」という話をしています。例えば、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンみたいな質問の種類がありますよね。相手に「はい」と「いいえ」で答えさせるような質問のことを、クローズドクエスチョンと言います。
オープンクエスチョンは、「いつ」「どこで」「誰が・誰と」「なんで」「どうやって」という5W2Hみたいな質問。こういった質問のことをオープンクエスチョンって言います。
主にコーチングの場ではオープンクエスチョンを多用しますが、時と場合によってはクローズドクエスチョンを使うケースもあります。そんなことをやって質問をして、クローズドクエスチョンも活用しましょうねという話でした。
100回に1回「アカウンタビリティかどうか」を振り返る
あとは「質問の作り方」。フィードバックってめちゃくちゃ大事です。「これがあって初めてコーチングは機能しますよ」という話をしています。あとは「実際にコーチングをする時にどんなことをするの?」ということが、これ(第8章)です。
最後の「PCCマーカー」。これは個人的にめちゃくちゃ好きなんです。ぜひこの言葉だけでも覚えて帰ってくださいね。何かと言いますと、「コーチングがうまくできているのか、ちゃんとできているのか」という、国際コーチング連盟が出しているチェックリストです。
ただ、国際コーチング連盟が出しているPCCマーカーは、実はちょっと難しいんですよね(笑)。なので、あべきなりの解説を入れています。それが最後の付録という感じですね。
で、「アカウンタビリティを身につける方法って何ですかね」ということについては、リーダー自身が「今、被害者意識の悪循環で誰かのせいにしているな」と気づくこと。そして、必要以上にアカウンタビリティを追求しすぎないことも大事ですね。

「自分ではどうしようもない、コントロールできないことがある」とわかった上で、どうするかっていう選択肢を増やしましょうねと。この6項目が大事かなって思います。ただ気をつけなければならないのは、「ヴィクティムは普通です」というのをわかった上でどうなるかと言うと、例えば今日1日を振り返ってみた時。
「アカウンタビリティじゃなかったわ。あの時、部下にこんなこと言うてしもたわ」「なんであの時、お客さんにこんなこと言うてしもたんやろ」という感じで、できていないことにへこんでいませんか。
そうではなくて、「これって普通」と考える。そのうえで、例えば後日振り返りをした時に「あのお客さんにクレームをもらった時に、どうしたらよかったんだろう」と考えられたら、それだけでアカウンタブルになったということです。
100回に1回でいいから「アカウンタビリティかな?」とチェックをする。これができたら、アカウンタビリティをどんどん身につけていけるんじゃないかなって思います。
そうすると、アカウンタブルの状況はみなさんの部下や同僚、組織、チームに良い影響を及ぼし始めます。みなさんが1日10回アカウンタブルだったら、みなさんの部下は1日に1回アカウンタブルだったりするんですね。
アカウンタビリティと当時者意識はどう違う?
あともう1つありまして、「カッツモデルの中で『ヒューマン・スキルは全部同じくらい大事だよ』という話を聞いた」ということですね。これには2つ考え方があると思います。人によっては全部大事って思ってもらったらいいかなと思いますが、主にこれ(コンセプチュアル・スキル)のほうが大事ですよ、と本の中では解説をしています。
最後は「アカウンタビリティと当時者意識って違うんですか?」。僕は当時者意識、ないしはさっきの自責というのは、アカウンタブルに包含されていると思っています。
なぜかと言うと、例えば自責。さっきも言ったみたいに「自分が悪い」というのがダメなわけじゃないですよ。当事者意識も「これは私の責任です」。これも似通っていますね。ただ、「で、何しはりますの?」というのが大事なんですね。
繰り返しですけれども、「選択肢を増やすのが大事」です。ここに書いていたように当時者意識もほぼニアリーイコールだと思うんですけど、その上で「すみません、ごめんなさい」ではなくて。「で、どうするんか」と、選択肢を増やし続けることが大事なんじゃないかなと思いました。今回はここまでです。ありがとうございました。