
2025.02.26
10年前とここまで違う 落とし穴だらけの“ERP to ERP”基幹システム刷新が抱えるリスクと実情
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1つ、先ほどのフェイクニュースの話にもありましたが、私は新聞社のほうに勤めておりまして。先ほどの古田さんのお話にもあったんですけれども、誰もが情報を発信できる時代になって。そういう意味では、個人の情報発信も、それから組織ジャーナリズムとしての情報発信というのも、並列する時代になっていってるのは誰もが認めるところかなと思っています。
とくにフェイクニュース、日本はまだそれほどでもないというところではあると思うんですが、フェイクニュースのうんぬんが出てきたというところでいくと、誰が情報に対して責任を負うのかというところが今、問題になってるんじゃないかなと考えています。
組織ジャーナリズムの場合は、会社の看板とかがある意味そこを守ってくれたり、そういうところもあると思うんですけれども、そういった責任の所在というのを、いわゆる文責といいますか、どう取っていくべきなのか。
そして情報発信をする立場として、ファクトチェックですとかオピニオンですとか、そういったものに対してどういうふうに責任の所在を、あるいは責任を取るためにどういうふうにチェックしていくべきなのか。そういったところに関して、みなさんのお考えといったものがあれば、ぜひ聞かせていただければと思います。
ヨッピー氏(以下、ヨッピー):責任かぁ、なんだろうな。僕は勝手に……これ、いまのところそういう事例はありませんけど、僕がもしなにか紹介した商品とかでなにかしらの被害が出たとか、なんかその被害者にお金を全部払おうと思ってますけど。
徳力基彦氏(以下、徳力):あれですよね。ペニーオークション詐欺的なもの。
(会場笑)
ヨッピー:でも、そうですね。
徳力:当然、あれは見ればわかるんだけど、筋が悪いのかどうかわからないものの片棒をかついでしまうリスクをどう回避するかとか。
古田大輔氏(以下、古田):責任の所在って、すごくクリアだと思うんです。それは今、まさにヨッピーさんが言ってたように、発信者が悪いんです。間違いなく。読者の責任じゃないですよ。
その嘘を発信してるやつが悪いに決まってるんですけど、問題は、フェイクニュースを発信してる人の多くは確信犯だから。「いや、いいよ。金稼げれば」って思ってるわけですよ。だから、その人たちに「責任があるだろう!」って言っても仕方ないんですよね。そうではなくて「こいつはフェイクニュースだ!」とハッキリと示すしかないと思います。
あと、フェイクニュースを出す人って、いくつかパターンがあると思うんです。お金を稼ぎたいとか、それによって自分が政治的な利益を得たいとか。例えば、対立候補を陥れるとかですね。あと3つ目は、もう本当に信じちゃってる。「これは正しいに決まってるんだ!」と。その3パターンがあると思うんですね。
どれも責任はその人にあるんだけれども、もう1つ責任があるところがあるんですよ。なにかと言ったら、それの流通経路になってしまったところ。ウィーンで話題の中心になっていたのは、FacebookとGoogleの責任でした。
さっき世界のほうが状況が圧倒的にひどかったって言ったじゃないですか。一番クリアな理由は、Facebookなんですよね。日本は、Facebookのパワーが諸外国に比べてそこまで強くないんです。シェアの数が違う。
ユーザーの数はけっこう多いですけれども、諸外国の人みたいにあんまり政治的なニュースをシェアしないじゃないですか。でも、諸外国の人はけっこうするんですよね。それによってめちゃくちゃ蔓延してるという状況があると。
そうしたら、「ちょっと、Facebookがんばってよ」という話になりますよね。今、実際にFacebookもがんばろうとしているわけで。
まあ、その発信者と媒介者がなんとか やらないといけない。今、媒介者はそれをがんばろうとしてるけれど、発信者は確信犯だからやろうとしない。なら、やっぱり他のメディアがやるしかないですよね。
それはヨッピーさん が戦ったりしたり、僕らもふだん検証、僕らはデバンキングと呼んでいるんですけれど、情報を検証して、これは嘘だと認定されたら「ここはダメですよ」と。「少なくともこのニュースは絶対ダメですよ」というのを認定していく。というのを、やっぱり地道にやっていかないとなと思っています。
僕、ウィーンのあとフランスに行ってきたんですけれども、フランスの大統領選があったじゃないですか。アメリカの大統領選であれだけフェイクニュースがバズったから、フランスの人たち、すごく気合が入っていたんですよね。もう「俺たちがやってやるわ。フェイクニュースと戦ってやるわ」と。
フランスでは「CrossCheck」というサイトが立ち上がったんですよ。そのCrossCheckというサイトは、もともと運営元はFirst Draft Newsというところなんですけど、そのFirst Draft Newsというのはアメリカで生まれた連合体で、中心となっているのはGoogle Newsなんです。
Googleも、やっぱり戦わないといかんと思ったから、CNNとかニューヨーク・タイムズとかワシントン・ポストとか、あとBuzzFeedとかと組んで、First Draft Newsを作ったんですよ。
その人たちが世界中に呼びかけて、「戦おうぜ」って言って。フランスでは、First Draft Newsに入ってるのが確か5〜7社ぐらいあったと思うんですけれども、でも5〜7社じゃまだまだ足りないということで、世界のメディアに呼びかけて、CrossCheckというサイトを立ち上げて。確か、最終的に47社がそこに集って。
一般人から、「フェイクっぽい情報があったら教えてくれ」と。それを投稿させて、それを47社がよってたかって検証するというのをやって。それによって、かなりの情報が検証されたんですね。だからフランスでは、そこまでアメリカほどフェイクニュースがバズらなかった、と言われています。
ここで、さっき日本は状況はそれほどひどくないって言いましたけれども、日本が諸外国に比べて遅れていることが1つあります。それはこういう動きなんですよね。
さっき言ったFirst Draft News、もともとフランスだけで確か5社ぐらい入っていたんですよ。イギリスで、確か今14〜15社ぐらい入っています。アメリカだったら、もう30何社とか入っています。日本は何社入っていると思います? First Draft Newsに。
答えは1社なんですよね。どこかわかります? 答えは、たぶん今言ったらびっくりする人いると思うんですけど、ヤフージャパンさんなんです。知ってました? ヤフージャパンのみなさん。けっこう知らない人が多いんですけれど(笑)。
徳力:ヤフーの人のほうが知らないんじゃないかみたいな(笑)。
古田:でも、これってすごくないですか。新聞社とテレビ局が1社も入っていないんですよ。
これって危機的な状況です。今はまだ大丈夫でも、フェイクニュースがバズり始めたら、本気で確信犯の連中が「よっしゃ、金儲けしたろ」とか「よっしゃ、政治的に対立する陣営を貶めたる」と思って始めたら、これはバズりますよ。戦う人たちがいないから。
だから、やっぱりそういうときに、そういうことに関心がある人たちが、早くFirst Draft NewsとかCrossCheckみたいな動きを、日本でもやらないといけないと僕は思っています。
徳力:いい質問をありがとうございます。最後にもう1個だけ、個人的に議論したかったのは、今の話ですね。
たぶん日本においては、結局WELQ騒動的な、お金儲けのためにがさつなサイトを作ってしまったというパターンや、ステマのようなお金を儲けるためにこっそり悪いことをしているもののほうが、どちらかというと中心なので、議論の中心がそっちにいきがちです。でも、実は確信犯で悪いことをやるやつというのが、フェイクニュースで一番むずかしい。
さっき、ちょっと記事を出したんですけど。あれ、年始でしたっけ? BuzzFeedさんの1周年記念……年末か。1周年記念パーティで、古田さんが「今年、我々はフェイクニュースと戦います」って宣言されていて。
さっそく、日本人が運営してるフェイクニュースの裏取りにいってたんですよね。実際取材したら、別にその人も「そんなに儲からないからもうやめます」って、「見つかっちゃったからやめます」って。だから、実は見つけにいったら終わったという。
そういう意味では、警察行為をBuzzFeedだけがやっている状況のバランスがいいとは思わないですけど、ちゃんと何かしら健全化の動きをすれば少しはよくなるよねと。
少なくともそれで1つ、ある意味有害なサイトが消えたんですよね。若い人が儲かると思って信じてやっちゃったら、あんまり儲からなかったから、やめどきを見つけられてよかったという話かもしれないですけど、そういうことはもっといろいろあるんじゃないかなと。
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