2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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アレックス・シュルツ氏(以下、アレックス):何かに2人以上の人が関わってくると、彼らひとりひとりの行動をコントロールすることはもう出来ません。絶対に。私は100人ほどをマネージメントしていますが、まったくコントロールすることが出来ません。
例えるなら、誰かひとりに「これをこういう風にやっておいて」と指示しながら、残りの99人は好きなように勝手に仕事をしている状態。会社にとって何が最も大切なことなのかを皆が明確に理解することを目指さなければいけません。
eBay内部で「よし、収益にフォーカスしよう!」「消費者の数だ」「販売者の数だ」と意見が分かれるのももっともなことでしたが、そこをリーダーであるピエール、メグ、ジョンが「いいや。グロス・マーチャンダイズ・ボリュームが1番大切だ」と取りまとめました。
これはどういうことかと言えば、ひとりひとりが「収益の問題ではない。グロス・マーチャンダイズ・ボリュームが重要だ。登録数を増やすことではない。登録数は彼らが長期的にアクティブなユーザーにならない限り意味がない」と理解している状態です。
アレックス:2004年、私がeBayにいた時に新規ユーザーへのアフィリエイトの支払い方法を変えました。最近ではアフィリエイトは最先端から外れてきましたが、アフィリエイトの考え方は押さえておくべきポイントです。
自分のサイトにトラフィックを流してくれる人に支払いをする。アフィリエイトに際し、eBayは登録を確認したユーザーに支払っていました。そこからアクティブユーザーであることが確認出来たユーザーに支払うモデルに変更しました。
まずはアカウントをセットアップする、更にオークションに入札する、またはアイテムを購入する、アイテムを載せる、いずれかをしなければアフィリエイト支払対象にしないことにしました。変更して1日でアフィリエイト目的だった登録済ユーザーの20%を失いました。
しかし、アクティブな登録済ユーザーで離れてしまったのは5%。アフィリエイト目的だけで登録していたユーザーと、登録済アクティブユーザーの比率が変わってきて、アクティブユーザー数が急速に伸びました。
例えばその人はトランポリンが欲しい。インターネットでトランポリンを検索した結果eBayにやってくる。トランポリンを入手する為にはユーザー登録してそれを承認しなければならないので、彼らは仕方なくそのようにするだけ。
しかしアクティブな登録済ユーザーになってもらう為には、eBayのトランポリン検索結果ページに来てもらい、商品ラインアップにわくわくしてもらう。そこで欲しいものを購入する時に会員登録をしてもらう。ただ仕方なく会員登録をする人達にはeBayの真の素晴らしさを経験してもらうことが出来ません。
アレックス:次に考えるべき重要なポイントは、どのようにしてサイトで素晴らしいわくわくするような経験をしてもらい、人々にハマってもらえるかです。皆さんがFacebookを使い始めた時、何に1番わくわくしましたか?
会場:友達を見つけた時。
アレックス:そうですよね。シンプルです。多くの会社で話をしてきましたが、彼らは物事を複雑にしすぎます。でも実は本当にシンプルで、Facebookに最初に登録し、自分の友達を見つけた時に、「わぁ! これがFacebookか!」となるんです。
ザッカ―バーグがYコンビネーターでひとりひとりが10人の友達と繋がることが出来るように14日ですると言っていましたが、それがまさに私達のフォーカスです。ソーシャルメディアをやる目的は友達と繋がることですよね?
友達と繋がっていなければ、サイトで特に見るものもないので、Facebookに戻ってこようなんて思わないはずです。通知も届かなければ、友達から「Facebookに載ってたあれ、見た?」なんてことも言われないですからね。
Facebookが人々の心をつかむ瞬間は、友達をサイトで見つけた時。LinkedinでもTwitterでも、WhatsAppでも、あらゆるソーシャルネットワークサービスでは、新規登録しようとする人に対し「この人を知っているんではないですか?」と知り合いの可能性が高い人々のリストを出来るだけ早い段階で出して人々の心をつかもうとします。このバーティカルではここが最も重要なポイントだからです。
アレックス:eBayを考えてみましょう。そこにはユニークなアイテムが揃っています。ペッツのディスペンサーだとかレアなアイテムであるとか、人々は喉から手が出るほど欲しがるものです。あるものをコレクションをしていて、まだ入手していないアイテムを見つけた時、これがeBayに心を掴まれる瞬間なのです。
Airbnbはどうでしょう。初めて宿泊検索をかけてみる。とても素敵な家に泊まることが出来ると知る。実際にその家に入ってみると「わぉ!」。これが彼らのユーザーが心を掴まれる瞬間です。
逆に、家を宿泊用に貸す人にとって、1番最初に支払を受けた時が「わぉ!」とAirbnbに心を掴まれる瞬間です。eBayでも、1番最初にアイテムを売りに出し、それに対して支払いを受けた時が心を掴まれる瞬間です。
皆さんも自分のつくるプロダクトが人の心をつかむ瞬間はどんな時か、いかに速く人々をプロダクトの常連にすることが出来るか考えてみてください。
人々がアクティブにプロダクトを使ってくれさえすればリテンション率を60%から70%に上げることが容易になるからです。
アレックス:もうひとつシリコンバレーの人々が間違いやすいポイントは自分達のグロースを考えて最適化することです。「通知機能」が良い例です。様々な会社で話をしてきたとは先ほど言いましたが、皆が口をそろえて「通知がたくさん届きますよね。通知機能を最適化すべきだと思うんです」と。
あなたはあなたのパワーユーザーが離れていく原因は、彼らに通知が多く届きすぎるからだと言っているんですか? と言いたくなりますが、実際そうではないですよね。ではなぜそれを最適化すべきだと言うのでしょうか? ユーザーはバカではないので邪魔なのであれば通知をブロックすることだってできますから。
皆さんがフォーカスすべきは限界使用者、通知をしばらく受けていない人です。素晴らしいプロダクトをつくる為に、パワーユーザーのことを考えるのは必要なことです。素晴らしいプロダクトをつくるとは、そのプロダクトを最も多く使っている人に対して最高のものを提供することだというのは当然です。
しかし成長を考える時、本当に気にかけるべきはすでに皆さんのプロダクトを使っている人ではありません。私達は新規ユーザー、Facebookを30日以上使っていなかったけれども後に戻ってきたユーザー、そしてチェーンユーザーについて考えます。
どんなプロダクトをみても、始めてから数年である一定のポイントを経過した時点で、しばらく期間を空けて後に戻ってくるユーザー数とチャーンユーザー数を合わせると新規ユーザーの数を超えます。
更にたまにログインするユーザー、チャーンユーザーの友達の数は少ない。彼らはFacebookの本当の楽しさを知らないままなのです。つまりFacebookとしてやるべきは、まずは彼らの友達を10人なりなんなり増やしてあげることでした。成長するには、メインユーザー以外のことも考えるとよいですね。
アレックス:成長する為に考えるべきは、会社が目指す「北極星」はどこかです。会社全体が同じところを目指していれば、その目標に向かって全員で行動し、最終的にはその会社は成功するからです。
多分これはどんな側面とも相互作用しているはずですから、ひとつポイントを絞って集中してやっていけば全体の成功に繋がるでしょう。
しかし、現実的にはデイリーアクティブユーザーは月間アクティブユーザーに比例します。私達はどちらにフォーカスすることも出来ました。シェアされるコンテンツの量と総ユーザー数は比例します。新規ユーザーが増えればその分シェアされるコンテンツも増えるからです。
多くの側面が相互比例していますので、どこか長期的に取り組むことが出来るポイントにフォーカスしましょう。そして「北極星」を忘れずに。ユーザーが喜べば、彼らが皆さんが目指すところへ連れて行ってくれますから。限界使用者を忘れずに、自分達の成功だけを考えないこと。これが成長する為の最も重要なポイントです。
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