
2025.04.02
働く人が増えても、日本の「人手不足」問題は解決しない “労働力=人手”という捉え方の盲点
What Really Goes Into Storing Food for the Winter?(全1記事)
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マイケル・アランダ氏:冬に備えて動物たちがせっせとエサを隠しているさまを目撃すると、「何ヶ月も後までどうやって覚えておくのだろう」と不思議に思ったことはありませんか?
学者たちも同じことを考えたようで、「エサをため込む動物たちが、どのように隠し場所を記憶しているか」を複数の実験で調べています。
ある生き物は、毎年エサを貯める時期になると脳が変化することがわかりました。また、別の生き物は、私たち人間が大事なことを覚えておくのと同じ手段を用いることがわかりました。生き物はみな、1年を通して空腹を満たすために驚くべき発達を遂げているのです。ここでは、その巧みな手段をいくつかご紹介しましょう。
鳥は、新鮮なエサが見つからない冬に備えてエサを貯蓄します。ホシガラス、ハシブトガラやアメリカコガラは、広大な地域に広くエサを隠します。これを“分散型の「貯食行動」(scatter hoarding)”と言います。
あちこちに分散してエサを貯蔵し、冬を乗り越える糧とします。アメリカコガラは特に貯食の能力が高く、1日で100個以上ものエサを少しずつ分散して貯蔵し、トータルでは年間で数千個にも上ります。
アメリカコガラが貯食するエサの数は、生息地によって異なります。冬が厳しい地域に生息するアメリカコガラは、温暖な気候の地域の個体よりもエサを多く貯蔵します。
厳冬地域のアメリカコガラは、貯食したエサに頼って越冬する必要性が高いためだと考えられています。
アメリカコガラの貯食行動で興味深いのは、単に量だけではありません。なんと、貯食行動が起こる秋になると、記憶を司る「海馬」という脳の部位が発達するというのです。ネバダ大学リノ校が2010年に実施した研究によると、アメリカコガラが貯蔵したエサを回収するなどして記憶を喚起すると、その行為によって脳内で新しく生成される細胞の数が変動することがわかりました。
貯蔵したエサを回収する機会を多く得たアメリカコガラの方が、そうでない個体よりも、海馬で生成される細胞の数が多いのです。
海馬の細胞には、古い記憶を保つ働きと、新たな記憶を取り入れる働きがあります。古い記憶を保つ細胞が多ければ多いほど、新しい細胞が多く生成されると唱える学者もいます。
アメリカコガラは、年間のうち秋に一番多く貯食行動を行います。そのため、海馬は10月に発達します。研究によりますと、アメリカコガラの海馬は、貯食したエサの量に比例して発達することがわかりました。
1989年の研究では、アメリカコガラの海馬に自身の細胞を自傷させたところ、アメリカコガラは貯食した場所を見つけることができなくなりました。コガラはまるで、エサを隠した記憶をたどるのではなく、あてずっぽうでやみくもに探し回っているようになりました。
また別の研究では、アメリカコガラと他の生き物でエサの隠し場所を見つける様子を比較したところ、アメリカコガラは他の生き物に比べエサを見つける精度も速度も3倍であることがわかりました。つまり、アメリカコガラは偶然によってエサを回収しているのではなく、貯食と記憶想起のエキスパートであることがわかったのです。
アメリカコガラは、脳の一部を任意で発達させられるわけではありません。しかし、次にお話しする生き物は、もっと簡単に制御できる領域でエサを貯蔵するテクニックを得ています。
分散して貯食行動するのは、eastern fox squirrel(トウブキツネリス)も同様ですが、その海馬は季節性の変化は遂げません。貯食したエサを探すには、「チャンキング」という記憶補助テクニックを使います。みなさんも、長い桁の数列を記憶する際にこの「チャンキング」を使ったかもしれません。一定年齢以上の人であれば、電話番号の暗記に活用したはずです。
数字は、個別にではなく、グループ化することで記憶しやすくなります。作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する能力、ワーキングメモリの負担が軽減されるからです。
頭の中で覚える素材をグループ化してまとめることにより、記憶するべきトータルの量が減ります。すると、複数の記憶をワーキングメモリで一度に扱えるようになります。トウブキツネリスは、これを空間的に行います。
トウブキツネリスは、木の実の種類と隠し場所を記号化します。つまり、木の実の種類を判別できるので、それを情報源として分類するのです。そして同じ種類の実を特定の場所に貯蔵します。つまり、木の実の種類ごとに隠し場所を変えているのです。
1997年、『Animal Behaviour』(動物行動学会誌)に発表された論文では、ハイイロリスが特定の場所を記憶する様子が調べられ、リスは特定の場所を1ヶ月後まで記憶し、60パーセントの精度で木の実を回収できました。さらに数ヶ月経過後も、ハイイロリスはエサの場所を覚えていました。仮にリスが電話を使うとしたら、越冬後にも電話番号をたくさん覚えているかもしれませんね。
脳を発達させたり記憶補助テクニックを使ったりと、小動物は私たちが考えるよりも遥かに柔軟性に富んでいます。多くの動物が、越冬するために貯食したエサを覚えておく独自の仕組みを持っているのです。
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