2024.10.10
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Why Do Fish School(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:シンクロナイズドスイミングで圧勝するのは、「魚の群れ」以外には考えられません。何千何百匹もの魚が、指示を出すリーダーが一切いない中で、あれだけの「演技」を行うのですから。
ところで、魚が群れるのは「外敵に捕食されないため」だと思っていませんか。実は、これは理由のほんの一部に過ぎないのです。魚の群れについて真に理解するには、生物学だけではなく、物理学や心理学についても深く理解する必要があるのです。
専門的には、魚の群れは2種類に分けられます。「スクール(school)」と「ショール(shoal)」です。
スクールは、単一器官であるかのように統率の取れたグループを指します。一方、ショールはより緩やかで統一感の薄い群れを指し、その大きさは一つの都市ほどにもなります。
相違はありますが、実は捕食される確率を減らすこと以外にも、両者のメリットがあるのです。
複数の研究によりますと、共同体を成す魚は単独の魚に比べて、代謝率が低い傾向にあります。つまり、日常生活を送るにあたり、消費されるエネルギーを低く抑えられるため、健康状態は良好で、スタミナにも優れています。
事実、群れで暮らす魚は成長率も高く、単独で暮らす魚よりもコンディションは良好です。ここで、心理学と物理学の話に移ります。
科学者たちは、魚が群れを成すのは、「多くの目がある方が、外敵を見つけるのに有利なため」だと長らく考えてきました。また、たくさんのヒレや尾に紛れるため、外敵が魚を個別にターゲットにしづらいことが考えられます。
数が安全をもたらすことを知っているのは科学者だけではなく、魚も同様です。2016年の研究によりますと、群れの魚の方が単独の魚よりも落ち着きがあり、ストレスも少ないことがわかりました。ストレスが少ないということは、ストレスで消費するエネルギーも節約できるため、その分を成長や繁殖に割くことができます。
群れることによりエネルギーを節約できる理由は、ストレスの低減だけではありません。流体力学による節約も挙げられます。
群泳する魚の持久力は、単独の魚よりも2倍から6倍にも上がります。そのため、鳥がV字フォーメーションで飛んでエネルギー節約をするのと同じように、魚も群れを成してエネルギー節約をしていると長年信じられてきました。
簡単に説明しますと、鳥の群れは、先頭の鳥が気流を変えるため、後続の鳥が受ける空気抵抗が減るのです。しかし、魚が同じ効果を得るためには、鳥と同様に決まったパターンの隊列を形成し、他の魚と一定の距離を保つ必要があります。観察したことがある人ならわかりますが、魚はそんなことはしませんよね。
問題は、野生の魚のフローパターンとエネルギー消費の測定が難しい点です。そのため、魚の群れを科学的に解析することは困難でした。
ところが、2020年の研究では、科学者たちはあるソリューションにたどりつきました。それは、ロボットによるシミュレーションです。科学者たちは、魚のコイを模したロボットを作り、水槽に入れ、泳ぐパターンを1万回以上も計測しました。
これを元に、魚が群れることによって、泳ぐスピードと消費エネルギーを最大限にできる予測をたてました。こうして得られた数値を、自由に泳ぎ回る金魚に適用したのです。
すると金魚は、前にいる魚が近くにいる時には尾を振るタイミングを同期させず、遠ざかった時には同期させることがわかったのです。
金魚は、他の魚によって作られた小さな渦の水流を最大限に利用していたのでした。尾を振るタイミングを調整することによりエネルギーを恒常的に節約し、仲間と一緒にのんびりと泳ぐことができるのです。
つまり魚には、外敵がいなくても、群れることによって得られる利益があったのです。
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