2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
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白潟敏朗氏(以下、白潟):少しまとめさせていただきます。(人事評価シートについて)じゃあ私どもとしてどうしたらいいのかなというのを、一覧表示してみました。まずは業績連動賞与、いわゆるインセンティブに関しては、従業員の人数関係なく、ある意味計算式でやれる世界ができれば、評価が一番楽なのかなというふうに考えます。
社員が20人になるまでは評価シートはなく、我々は「頭評価」とか「脳みそ評価」という言い方をしているんですが、社長や上司の頭評価、脳みそ評価でいいんじゃないのかなと。
でも、20人を超えてくるとさすがに社長が全部を見ることは不可能になってくるので、まずは評価シート作りに入るんですが、私どもは昇進か昇格の評価シートから先にこしらえたほうがいいんじゃないかなというふうに考えます。
固定賞与や給与の評価に関して人事評価シートを使うんですが、これは40人とか50人くらいになってからでいいんじゃないのかなということです。
ご覧いただくとイメージが湧くと思うんですが、例えばマネージャーの昇進要件。まだ会社として等級制度やグレードを整備しないで役職だけでいっちゃっているような場合は、先に「何をしたらマネージャーになれるのか」を5個から7個くらい言語化しちゃうんですね。
逆に「何がダメだったら降格するのか」も合わせて作って、これをクリアした人がマネージャーになれます。20人になったらこういったものを作るという話になります。
白潟:等級制やグレード制を引いている場合。(スライドは)私どものレベル1からレベル2に昇格する時の昇格要件なんですね。レベル1だと年収いくら、レベル2だと年収いくらと決まっていまして、レベル1とレベル2の間にピッチがあって細かい給料が決まっている。レベル2に昇格がなされる条件は、共通要件としてはこの5つです。
職種によって選択要件がありますというくらいの、昇格要件の言語化から最初に入ります。レベル1の人はこれをクリアしたらレベル2になれるので、みんなこれを目指してがんばる。1A、1B、1C、1D、1E、1Fと細かいピッチに関してはこれをベースに頭評価をすることで、そんなにブレない昇給評価ができちゃうんですね。
なので、昇格・昇進要件までの言語化から入って、これが回らなくなったら昇給評価用の人事評価シートを作るというやり方でもいいんじゃないのかなというふうに考えています。こういったやり方もご紹介しているという感じでございますが、ここまでのところは田所さん、いかがですか?
田所雅之氏(以下、田所):いいですね。3番の「上司としての最高の熱意がある」って、すごくいい。
白潟:ああ、これですね。ありがとうございます。
田所:でもスタートアップの場合だと、やはり年間で2(倍)、3倍成長するので、20人になってからだと遅いと思うんですね。20人になっていると、1on1をやっていると基本的にプロダクト側とか資金調達ができなくなる。
なので、僕のお勧めとしては10人くらいに達してきて伸び出すと、「人がボトルネックになる」というのがわかりだすんですよ。PMFしたということは、ある意味水を入れたらバケツに水が貯まる状況だと思うんですよね。そうなった時に、当然プロセスとオペレーションというのに(限界が来ると)予測しつつあるので。
PMFの段階では、まさにお客さんと話す、プロダクトを作ることにフォーカスするんですが、それができたらそこから僕は「起業家から経営者へ」という言い方をしています。プレイヤーであることは外せないかもしれないですが、プレイングマネージャーになっていくのは大事かなと思っていますし、10人くらいになったらそのあたりを考え出すのが大事かなと思っています。
白潟:ああ、そうですね。PMFしたら10人でやっちゃってもぜんぜんいいかもしれませんね。ありがとうございます。そんなかたちで我々は考えていますとお話ししています。
白潟:最後に「社長の好き嫌い評価をやってはいけない!」。もちろん感情論や相性で「俺は○○さんが大好きだから良い評価」ということではなく、例えば田所さん、今、自分の会社で好きな社員ってどんな社員ですか?
田所:好きな社員ですか?
白潟:はい。「こういう社員が好きだな」という。
田所:好きな社員は……。みんな好きですけどね。
白潟:ああ、なるほど。例えば条件を1個出すと、「こういう条件をクリアしている子が好きだな」みたいな。
田所:なんですかね。すごく成果を上げようとしている人ですかね。
白潟:やはりそうですよね。それが出ますよね。
田所:あとは、やはり成長欲が強い人ですね。
白潟:いいですね。
田所:好奇心と成長欲が強い人と、成果にこだわる人ですかね。
白潟:なるほど。こんな感じで「社長、どういう社員が好きですか?」と社長に質問すると、今の田所さんのように、みんなポンポンって答えていただけるんですよね。私はそれで評価しちゃえばいいんじゃないかと。それであれば社長の好き嫌い評価は賛成、いいんじゃないかなというところです。
白潟:今、田所さんからも出ましたが、ここらへんがやはりよく出てくる言葉なので、社員の人数が少なければ、社長が毎日これを発信・会話するコミュニケーションをとって、「こういう人間を評価するぞ」と言っていれば、社員も理解できる。「これをがんばれば給料が上がるのか。昇格できるのか」というイメージも湧く。
なので、ある程度人数がいってきたら、PMFをクリアしたら10人ということでしたが、20人超えたくらいからは言語化しちゃってもいいんじゃないか。我々は好き嫌いで評価することをある意味推していると言いますか、というかたちで捉えています。
もちろん人事評価シートや昇格要件の紙を1枚社長が作っちゃって、「私はこういう人を評価しますよ」と宣言だけして回すのもありなんじゃないのかなというところです。こちら、田所さんはいかがですか?
田所:こういう宣言をするのは、確かにわかりやすくていいですよね。基本的に、社長はある意味すごく偏愛があって、こだわりがあってやっている人なんですよね。
白潟:そうですね。
田所:たぶんベルカーブ(正規分布)で言うと端にいるちょっと特殊な人だと思うんですよ。今、職業選択の自由があって、どこでも働きますよねってところになると、やはり「こういう世界を達成したい」というビジョンの偏愛だと思うんですよね。
そこに賛同するのがすごく大事かと思います。僕はあんまり言語化していないんですが、他のメンバーが見たらもう言語化されているかもしれないんですけど、言語化はいいかもしれないですね。
白潟:そうですね。こういう方をちゃんと評価していく。これがいずれ昇格要件とかに言語化されてくるという流れが一番いいんじゃないかなというふうに考えます。
白潟:最後に、「人事評価制度の構築・改良の成功ポイント」を少しまとめさせていただきます。
前提条件をクリアしていない時に構築・改良するとうまくいきませんので、まずはこの前提条件はクリアしましょう。冒頭も申し上げましたが、腹八分の年収がない状態では人事評価制度は無力なので、給料を上げてあげることはできない。
誰かの(給料を)目いっぱい下げて、誰かにあげるということであれば可能かもしれませんが、それでは組織が崩壊してしまう。なので腹八分の年収がある状態で、「オープンにする」「自己評価ができる仕組み」「評価結果の給与の反映方法が明確である」という前提条件の中でやればいいんじゃないのかなというところです。
あとは「給与と賞与に対する考え方」。これはフレームワークなんですが、人事評価は過去と将来しかないんですよね。なので、過去の成果をどうするかという話と、将来の貢献をどう見るか。これは一昔前は同じだったんですよね。「今期パフォーマンスを出している人は、来期も再来期も良いパフォーマンスが出せる」と。
ただ、今ですと、今期パフォーマンスが出ている人が来期もパフォーマンスが良いのかというところはクエスチョンになってくる時代になってきた。併せてこれを別々に考えて、過去の成果は業績連動賞与、インセンティブで精算しちゃおうということで、「今期がんばったから給料を上げるね」という世界はなし。「あなたは来期に貢献できそうだから、今期の成果は良くなかったけれども給料を上げるね」と。
これは極端な話ですが、社長が将来の貢献と過去の成果をどうするかという考え方をしっかりされた上で、改良・構築に臨まれるといいんじゃないのかなというのが(人事評価制度の構築・改良の成功ポイントの)2番目ですね。
抜本的な改革は失敗するのでおすすめしていません。20人を超えたら(人事評価制度を)作ったらどうか(については)、PMFをクリアしていればスタートアップさんですと10人ということでございます。
白潟:あと、人事評価制度の大幅改良がうまくいくタイミング・条件は1個だけありまして、業績がめちゃくちゃ好調な時は全員の給料を上げてあげられるので、抜本改定のチャンスではあります。我々のほうで、もしかしたら抜本改定がいいんじゃないでしょうかというのはこの時だけですね。
ほとんどは6番の運用改善。評価者・評価面談をベースに改善していくという、先ほどご紹介したこのあたりをやっていかれれば、人事評価シートで落とし穴に落ちることはないのかなということです。
私のお話は以上でお開きになりますが、最後に田所さん、何かございましたらお願いいたします。
田所:ありがとうございます。非常にわかりやすくて。最初にあったんですが、僕も最初のキャリアでコンサルにいて、白潟さんもデロイトトーマツグループにいらっしゃったということなんですが、やはり賢者の沼ってあるんですよ。
何かと言うと要はコンサル病なんですが、言い方が悪いんですけど、やはり紙を作って複雑な制度を実装すると、それにハマらせる沼になるんですよね。
白潟:そうですね。
田所:それをマッチポンプでやっちゃっていて、言い方が悪いんですけど、ある意味コバンザメモデルになっちゃう感じなんですよ。特にスタートアップ経営者や中小企業ベンチャーの経営者とかは、偉そうなコンサルがすごく分厚い紙を持ってきたという感じになって。
すごく細かい評価制度を持ってきて、「200項目あります」とか「全部時系列でチャート分析をしています」と持ってこられて、フンフンってやって、「こうしないとやはりMECE感がないので」と言われたら、そこを受け入れてしまうことがあると思うんですよね。
田所:ただ、白潟さんの本のポイントは、まさにそこのすごいアンラーニングだと思うんです。特に先ほどあったんですが、日本が倍成長している40年前とかだとめちゃめちゃ好景気なので、抜本で変えていってもみなさんもイケイケドンドンで、「リゲイン」の「24時間戦えますか」が良かったと思うんですよ。
もう文脈としてはないですし、僕が先ほど話したんですが、100年時代でいわゆる学びと転職、起業、副業と、ライフがパラレルで動く中で、ファンクションなところの意味づけってすごく大事になってきたと思うんですよね。どうしても僕がこの本をすばらしいなと思うのは、アンラーニングのことばかり言っているんですよ。
白潟:ありがとうございます。
田所:いろんなコンサルが書いた分厚い人事評価の本とかあるんですが、基本的に圧倒されますよ。圧倒されて、なんかめちゃめちゃチェックシートが30ページくらいあるんですけど、「いや、これ使えるか?」という話ですし、賢者の沼にハマっている。そもそもコンサルは実際紙だけ置いて風のように去っていく仕事なんで、その後は運用できないと思っています。
そういった意味で、そういうのはたぶん「守破離」の「守」として起きつつも、この本は意外と「破」と「離」をものすごくわかりやすくやっているのかなと思っています。
先ほど楽屋で話していたんですが、実はこの本の作り方って僕も似ていて、(白潟さんは)1万2,600社を見て、僕も年間500社、600社をメンタリングする中で、実務上使えるフレームワークとか、実務上使える考えを集約して、本にしているんですよね。
『中小ベンチャー企業を壊す! 人事評価制度 17の大間違い』(すばる舎)
僕もアドバイスするんですが、結局そうしておかないと、コンサル業ってけっこう表裏一体で賢者の沼になると中長期的な成果が上がらないと思うんですよね。
当然、CHRとか人事制度の型はすごく大事だと思うんですよ。いろんな理論を学ばれていいと思うんですが、ただ、そこによりメタ認知するために、ぜひこの本、めちゃくちゃわかりやすく載っていますし、今日の説明を聞いたらさらに立体的にわかったと思うので(読んでいただければと思います)。今日、非常に学びが多くてありがとうございました。
白潟:ありがとうございます。
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