創業50周年の大阪の設備工事会社が挑んだ、業務効率化
藤原かほり氏(以下、藤原):「kintoneでつながるみんなの心とすべてのシステム ブルドーザー社長がぶっ壊したもの。私は負けません!」。ミヨシテック劇場、始まり始まり〜!
私たちの会社は株式会社ミヨシテック、大阪に本社を置く設備工事会社です。昭和47年創業で、今年で50周年を迎えます。
経営計画書を経営の道具とし、健康経営にも取り組む、そして応接室に手書きのグラフが残るような、デジタルとアナログのいいところ取りの会社です。
改めましてこんにちは、藤原かほりです。私はkintoneを活用した業務効率化の推進を行っています。特徴は、ちょっとおっちょこちょいかな? というところがあります(笑)。一緒に登壇させていただきます、永谷を紹介します。
永谷顕氏(以下、永谷):代表を務めます、ブルドーザー社長こと永谷顕と申します。よろしくお願いいたします。私はお城が好きで、日本100名城を回っています。今82城に行けており、もう少しで100城に行けるんです。また松江市の観光大使もさせていただいております。(会社では)今ITシステムの総責任者を兼務しております。
藤原:そうそう社長、今年は春から(kintone)hive三昧で、とても楽しかったですよ! 私は3ヶ所も行きました。
永谷:僕は全部行かせていただきました。コンプリートやで。北海道から福岡まで、めちゃくちゃ良い事例をたくさん見させていただきました。藤原さんも来たらよかったのに。
藤原:ちぇっ、ずるいなぁ。去年はAWARDしか見てなかったくせに……。
永谷:藤原さん、それはここで言ったらあかんって!
藤原:(笑)。
「不夜城」と呼ばれるほどの超ブラック会社
藤原:システム部はこの5人で楽しくやっています。でも私たちはプログラミングの経験がない、まったくの素人集団だったんです。
そうそう社長、この頃(1998年〜2008年)はうちの会社が超ブラックだったって、本当ですか?
永谷:そうやね。僕が入社した頃は、(退勤時間が)22時、23時、24時は当たり前。うちの会社は「不夜城」と言われるくらい、超ブラックな会社やったよ。
藤原:私はまだ生まれてなかったかも!
永谷:そんなんあらへんやん、絶対ないわ!
藤原:2008年、永谷が代表に就任。ブルドーザー発進です!
永谷:どんどんIT化を進めていくぞ!
藤原:ひー、ブルドーザー発進!
kintone大作戦が始まるも、クレームの嵐に
藤原:始まりは2019年の6月、サーバー更新により顧客管理システムが使えなくなってしまったことでした。基幹システムを入れ替えようとして失敗。便利なものはたくさんあるけど、使いこなせなくて消化不良。みんな疲れ果てていたんです。そんな時にkintoneに出会いました。
永谷:藤原さん、kintoneはiPhoneやiPadから簡単に使えて、クラウドでめっちゃ便利やで。やってみよう、kintone。
藤原:よくわからないけどおもしろそうなので、乗っかっちゃいました(笑)。これが私と社長のkintone大作戦の始まりでした。顧客管理システムを中心に、導入業者の手引きもあって、がんばって9つのアプリを作りました。社長、ミッションクリアです!
永谷:藤原さん、めちゃくちゃいい感じでできてるやん。よかったなぁ。どうなの? ちゃんと入力はできているかな。
藤原:それがあまり……聞かないでほしいんです。みんなはカンカンに怒っていました。入力しないし、二重入力も謝らないし、クレームの嵐です。私はアプリができたら終わりだと思っていたのに。
はぁ、どうしよう。もうイヤだ、こんなにがんばって作ったのに......。「マニュアルがない」「アンタの説明じゃわからへん」「使いづらい」「どうせ消えてなくなるアプリだから、今使わなくてもいい」と。みんな文句ばっかり……社長、どうしたらいいですか?
永谷:藤原さん、流れを変えんねん、流れを。
藤原:流れを変える? どうやってですか?
永谷:うまくいっている会社を真似してやったらええ。パソコンでちゃちゃっと調べたらええねん。
藤原:ちゃちゃっとですね、元気出てきました!
成功するkintone導入のポイントは「現状把握」と「考え方の共有」
藤原:(そんな中、)コロナで転機が訪れました。セミナーを受けまくり、情報収集しまくり。そこでパートナーとなるスマイルアップの熊谷(美威)さんと出会い、大きな気づきをいただきました。現状把握の大切さと、考え方の共有です。
1つ目は業務の洗い出しと現状把握。今使っている業務を一覧にして、利用ツールでまとめると、現状の問題点がよくわかってきます。ほら、わかりやすいですよね。
永谷:ほぉ、そうやね。
藤原:これを全社全部署で行ったんです。
永谷:たくさん出ましたね。
藤原:2つ目は「情報を1つにまとめる」です。
永谷:だいたい「IT化を進めていく」というと、効率化を求める人が本当に多いんです。でもまず大切なのは、情報の収集・集約、そして分類・管理、そして成果。そのあとにやっと効率化が生まれてくる。だからまず、情報の収集・集約をしていかないとダメなんです。
藤原:わかりました、カギは収集・集約ですね。
藤原・永谷:収集・集約ー!
藤原:集めることに決めました。
永谷:なにがなんでも集めるでー!
藤原:うわぁ、また始まった……でもいよいよ走り出しました。やったやった! 社長、成功です!
永谷:おう!
情報集約のために大切にした3つのこと
藤原:情報集約のために大切にしたことはこの3つ。「馴染み」「連携」「習慣化」です。みんな疲れ果てていたので、この3つは絶対に外せないと思いました。
それで改善したのが電話受付業務です。電話受付業務の流れはこんな感じ。紙にメモ、Chatworkに入力、そして時にはうっかり入力忘れもしていたかな。
永谷:藤原さん、それはあかんで、困るで。
藤原:大丈夫です。電話はカイクラさんにお願いして、ボタンで「電話伝言メモ」に、えいっ(と飛ばせるようになりました)。宛名と電話番号は自動登録されるようになりました。
担当者を入力して、Chatworkにドーン! と連携できるようになりました。
ここでの改善ポイントはもう1つ、URLを入れたことです。これでkintoneに戻り、誰が対応したかチェックできるようになったんですよね。
永谷:このことによって誰が対応してないか、どんな状況になっているかがわかるようになって、お客さまから「電話がかかってきていないよ!」というクレームがだいぶ減ったんだよね。
属人化の原因になるJavaScriptカスタマイズは使わない
藤原:社長、でもまた事件です。どうしましょう……。
永谷:どんなことが起こっているの?
藤原:みんなが「もっともっと便利に使いたい」と文句を言っています。
永谷:ええことちゃうの?
藤原:えぇ? だって先立つものが……。
永谷:藤原さん、ケチやなあ。どんどんお金をかけてやったらええねん!
藤原:本当にいいの? やったやった! プラグインもJavaScriptのカスタマイズも、使い放題ですよね!
永谷:藤原さん。いろんな人から聞いてると、JavaScriptのカスタマイズはその人の属人化になることが本当に多くて。「JavaScriptが使えなくなってkintone使えなくなった」っていうような話をよく聞くねん。それだけはせんといて。
藤原:わかりました。私たちはJavaScriptカスタマイズNGを今も守って、プラグインとAPI連携で進めています。
情報収集のために、データ入力は評価と連動
藤原:次に作ったのがお問い合わせ登録です。問い合わせ登録は従来、手入力でkintoneにデータを入力していました。でもハウスメーカーさんからのお問い合わせはメールが多いので、メールワイズ。そしてWebからのお問い合わせはフォームブリッジを使って、kintoneに自動登録していきました。
流れはこんな感じです。フォームブリッジからお客さま情報を入れると、基本情報は全部自動登録されます。
そしてkintoneで工事の内容にチェックを入れると、Chatworkにドーン! と飛ぶんです。そして作業が終わるとkintoneに戻り、(情報収集のために)「活動履歴に活動内容を入れてください」とお願いしました。ここは手強かったですよね。
永谷:そうなんだよね。kintoneにデータを入れろと言っても、なかなか入れてくれないんです。だから評価と連動させて「入れないとダメですよ」と一生懸命教えて、やっと入れてもらえるようになったかな。
藤原:そしてお問い合わせ登録には、受注の進捗も入れてくださいとお願いしたんですけども、「kintoneは1レコードをずつ開けたり閉めたり、だるいわ」と言われてしまったので、krewSheetを使いました。
こんな感じで登録できるよう改善しました。そしてkintoneに情報が集まったので、見積もりもkintoneでできるようになりました。これで営業の効率が大幅アップです。
複雑な受注チェックも自動化
藤原:そして次に社長に頼まれたのはこれ(受注チェックの自動化)です。
永谷:krewDataを使って、見積もりに「受注」とチェック入れたら、自動的にチャチャチャッと受注アプリに飛んでしまう。めちゃくちゃいい感じ。
藤原:作ったのは私です。
永谷:お金出したのは会社やんか。
藤原:でも作る人がいないと使えないと思いますよ!
永谷:藤原さんにはかなわんな〜。
藤原:複雑な受注チェックも自動化できるようになりました。問い合わせからの活動をkintoneに集約。
kintoneにあらゆる情報を……。
藤原・永谷:集約~!
あらゆる壁をぶっ壊して、さらなるスピードアップを図る
藤原:次は「育てる」ですか?
永谷:まずは考え方の共有が大切なんだよ。
藤原:何かあるかな……そうだ、イノベーションアカデミーに参加しよう!
8名参加をさせていただき、kintoneの考え方を共有できるようになりました。
永谷:ケチるな! 集める! 育てる! うまくいくぞ! あらゆる壁をぶっ壊してスピードアップだ!
藤原:さらなるスピードアップです。
永谷:もっともっとスピード上げて進んでいくで!
藤原:ひー、ブルドーザー発進!
すべてをつなげることに決めました。プラグインだけではつながらない。そして作業の自動化もRPA - Robo-Patが行いました。
kintoneにいろんなアプリを優しく包み込んでいったんです。kintone、あらゆる情報を……。
藤原・永谷:集約〜!
藤原:実績情報をkintoneにドーン! そして状況把握だってこうです、社長!
永谷:藤原さん、(社内の情報が)本当に見やすくなりましたし、外からでもデータを見られる。システム課や藤原さんががんばってくれたおかげで、ほんまに良くなったわ。
アプリを400種類作り、社内から挙がった「いいこと」も100以上に
藤原:最後に伝えたいことをどうぞ。
永谷:コロナのおかげで、いろんなデータがkintoneに全部集まるようになって、めっちゃ便利になってきた。お城もあと少し回るし、海外へ世界一周旅行にでも行ってくるから、藤原さん、あとはよろしくお願いしますよ。
藤原:あれあれ……。私たちは社長に頼まれて、アプリを400種類もがんばって作りました。本家サイボウズさんからも「そんなに作って混乱しないですか?」と心配されています。
ノンノンノン。「スペース」を活用していますよ。こんな感じでアイコンを並べたら、わかりやすいでしょ。
永谷:おぉー。
藤原:本日登壇するにあたり、会社のみんなに「いいね!」を聞いてみました。あんなに怒っていたので、1件も出なかったらどうしようかと思いました。でも社長、見てください。こんなに、こんなに、こーんなに「いいね!」が!
永谷:ええっ、こんなに。
藤原:文句を言っていたメンバーが活用してくれているのはうれしい。そしてアプリを作成する人も大事ですが、もっと考え方を共有する人を増やしたいと思っています。いいこと100以上、ミヨシテック流です!
kintoneを活用して今年7月にDX認定が取れました。そしてRPA - Robo-Patの活用により、Robo-Pat販売代理店になりました。
kintoneの成功事例を、大阪から……。
藤原・永谷:発信〜!
藤原:ミヨシテック劇場、おしまいおしまい〜!
永谷:ありがとうございました!
(会場拍手)
「ブルドーザー社長からの無茶ぶり」に応えた業務改善
平川紗夢氏(以下、平川):藤原さま、永谷さま、ありがとうございました。それではまずお二人のZoom応援団の方をお呼びいたしましょう。たくさんの方が見てくださっています。会場にもいらっしゃいますね。ありがとうございます。
それではお二人に1つずつ、ご質問させていただければと思います。まず永谷社長、そのご衣装はブルドーザーでよろしいですか(笑)。
永谷:そうですね、ブルドーザーです。kintoneカラーで出来ております。
平川:kintoneカラーで、ありがとうございます(笑)。そして藤原さま。途中で「ブルドーザー社長からの無茶ぶり」というワードがございましたが、ブルドーザーの無茶ぶりはいかがでしたか(笑)。
藤原:ここだけの話、いつもなんです(笑)。
平川:日常茶飯事なんですか(笑)。その無茶ぶりにも応え、kintoneを使って業務改善を行っていただいたということで、とても参考になる活用事例でした。ありがとうございました。
永谷・藤原:ありがとうございます。
(会場拍手)