2024.11.25
「能動的サイバー防御」時代の幕開け 重要インフラ企業が知るべき法的課題と脅威インテリジェンス活用戦略
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司会者:今回のセッションは「新興メディアはレガシーメディアに取って代わるか?」です。新聞、雑誌、テレビといったレガシーメディアは、発行部数や視聴率が低迷し、ユーザーの高齢化という問題に直面しています。
一方で、若年層に利用されている新興メディアが続々と誕生しています。新興メディアに関わる3人の論客を招いて、新興メディアとレガシーメディアについてディスカッションしていきます。
モデレーターを務めますのは、ワールドビジネスサテライト解説キャスターの山川龍雄さんです。
山川龍雄氏(以下、山川):よろしくお願いします。レガシーメディアという言葉がちょっとどうなのかなという感じもしますけれども(笑)。いわゆる伝統的なテレビ、新聞、ラジオ、雑誌、こういうものを超えられるか。佐々木さんとかは、「もう超えてるよ」って思ってるんじゃないですか?
佐々木紀彦氏(以下、佐々木):いや、そんなことないですよ。あんまり煽らないでください(笑)。
山川:今日はメディアがコロナで激変してきている中、これからどうなっていくのか。その未来を語っていただきたいと思っています。
私の自己紹介は簡単に言うと、レガシーメディアの中で、雑誌、新聞、それからいまはテレビ中心なんですけれども、その3つを経験させていただいたということで、本当に幸せな経験をしています。その中でも、いろいろとデジタル化、デジタルシフトをやっていく中でも、少し経験を積んできました。
ただ、今日ここにお越しのお三方は、いわゆるレガシーメディアに最初籍を置いていらっしゃって、そこから独立なさった3人なんですよね。ですから、どういう経緯でレガシーメディアから転身なさったか。そのあたりから話を聞くと、今日の主旨に発展していくんじゃないかなということで、そこから話を伺いたいと思います。佐々木さんは、いまのNewsPicksでの役割は?
佐々木:NewsPicksの「NewsPicks Studios」という映像のプロデュースの会社がありまして、そこのCEOです。あとNewsPicksの取締役をやっています。
山川:もともとは、NewsPicksのメディア事業の創刊の編集長ですよね?
佐々木:そうですね。最初に編集長をさせていただいていました。
山川:もうずっとやっていらっしゃるということで。私が日経ビジネスで、(佐々木さんが)東洋経済で、前は飲んだこともあって(笑)。
佐々木:銀座で飲みましたね。お久しぶりです。
山川:それ以来なんですよ。こういうかたちで再会するとは思いませんでした。佐々木さんは、東洋経済で東洋経済オンラインを相当活性化なさって、そこから独立というか、NewsPicksに移られたわけですよね。どういう経緯だったんですか?
佐々木:ちょうど6年前ですけれども、東洋経済でも本当にいろいろやりたいようにやらせていただいて、すごくやりがいがあったんですけれども。ちょうどそこにいらっしゃる古田さんに、私がNewsPicksに移る時の記事を朝日新聞で書いてもらったんですが、当時はやっぱりエンジニアであるとか、デザイナーであるとか、テクノロジーカンパニーの中でメディアを作っていかないと、これからの時代はちょっと厳しいんじゃないかなと。
コンテンツの力もすごく大事なんですけど、同じぐらいデザインとかテクノロジーも大事なので、そこが充実しているNewsPicksという場所があったので、そこでチャレンジしてみたいなと思って移ったのが6年前になります。
山川:古田さんがそそのかしたみたいな感じなんですか?
古田大輔氏(以下、古田):僕がスッパ抜いたんです。
山川:スッパ抜いた? 仲介役だったんですか?
古田:いやいや、違います(笑)。東洋経済オンラインの編集長が代わるっていうプレスリリースが流れてきたんですよね。それを、当時朝日新聞記者だった僕が見て、「あれっ? 佐々木さんが次に行く場所が書いてないぞ」と思って、もうピンと来て。「あっ、これは行くな」と。
佐々木:すごいバレバレでしたね(笑)。
古田:それで裏を取って、記事をバーンと。
山川:そういう2人の関係だったんですか。もう本題に行っちゃいますけど、古巣を抜いちゃったんじゃないですか?
佐々木:何をもって抜くかですよね。今日の問いに答えると、新興メディアって過大評価されているなと思いますね。特に、日本だとやっぱりレガシーメディアが圧倒的に強いわけじゃないですか。
東洋経済オンラインも3億ぐらいPVありますよね。毎日のようにやっぱり見ますし。メディア業界の人が見ている視点と、一般の読者の方とか視聴者の方が見ている視点はぜんぜん違くて。テレビもいまだに影響力が圧倒的だと思うんですよ。ここがテレビ東京なので持ち上げているわけじゃなくて、そう思うんですね。
ただ一方で、未来感があるかというとまた別の話だと思っていまして。未来感がどこに表れるかといいますと、1つは株式市場に表れますよね。それで見た時に、テレビ東京とかってめちゃくちゃ影響力があるのに、時価総額とかやっぱり低いじゃないですか。みなさんいる前で失礼なんですけど。
山川:どんどん言ってください(笑)。
佐々木:それってやっぱり未来感がないっていうことだと思うんですよね。われわれのほうが小っちゃいですよ、企業としては。人も売上高とかも。
山川:まぁ、テスラの時価総額がねぇ。
佐々木:そう、トヨタを抜くのに似ている。
山川:トヨタどころか、日本の自動車メーカー全部合わせて抜いちゃってるっていうね。やっぱり株式市場というのが確かに未来を見ている。
佐々木:そうですね。株式市場だけが大事という意味じゃなくて、未来の指標といまの影響力ってまたちょっと違う軸だろうなと思っていまして。最初に今日の答えを言うと、別に取って代わることはないと思いますよ。共存するんじゃないですか? そんな簡単に変わるものじゃないと思いますし(笑)。
山川:でもね、古巣の東洋経済って、いま100年ぐらい?
佐々木:120年ぐらいですかね。
山川:あの石橋湛山が編集長を務めたという。そこから出た人がですよ、おそらくいま、NewsPicksの有料会員数が……。
佐々木:最新で15万弱ですね。
山川:東洋経済の部数を抜いてますよね。
佐々木:それはそうですね、雑誌としては。
山川:収益もなかなか公開できないところかもしれないけれども、NewsPicksのメディア事業だけで言っても抜いちゃってますよね。だから影響力、収益、組織の人数がどうかはわかりませんけれども、120年の歴史があるところから出られて6年の佐々木さんが、少なくとも互角に近くなっている。これどうですか?
佐々木:私に聞かないでほしいですね(笑)。
山川:この状況というのは、下克上なのか、メディアのいちばん変わるときなのか。どうですか?
古田:佐々木さんがさっき「そんなに取って代わることじゃないですよ」って言ったのは、別に謙虚に言っているわけじゃなくて、本音だと思うんですよね。例えば全体の売上規模で見ると、やっぱり新興メディアが持っているものってすごく小っちゃいわけですよ。確かNewsPicksで、去年で通期50億円くらいですか? いまのQ1で伸ばしていくと50億円ぐらいですかね、年間。
佐々木:そんなもんですね。上場企業なので全部公開しています。
古田:年間50億円の売上なわけですよね。でも、新聞社は、いまきついとか言われているけれども、全国紙の売上って4,000億円あるわけですよ。なので、よく新聞社の方に「どうやったらNewsPicksみたいなの作れるのかな?」と聞かれたら、「80個作れるんじゃないんですか?」っていう話をするんですよね。
それぐらい規模感に差がある。だけど同時に、佐々木さんがおっしゃったように、未来感はどっちがあるかと。どっちが伸びていくって考えたら、みんなNewsPicksのほうを想像するわけですよね。
それって、僕は業界のプロダクトポートフォリオみたいなものだと思うんですよ。業界で、「メディア業界」とか「ニュースメディア業界」とかがある時に、いまお金を生み出しているのはどこかとなると、それは明らかに紙と地上波が圧倒的に生み出している。
でも、「そこが今後市場として伸びていきますか?」といったら、絶対に伸びないわけですよね。むしろ縮小していく。じゃあ、これから成長力のある、期待できるスターが誰かといったら、「それがデジタルですよね」っていう話なんだと思います。
山川:次は古田さんの話に行きますけども、古田さんは朝日新聞出身。そのあとBuzzFeed Japan。これは創刊編集長?
古田:創刊編集長ですね。
山川:いまはそこから独立なさって、ジャーナリストでありコンサルティング。
古田:そうですね。メディアコンサルティングをしていますね。
山川:朝日を経験して、デジタルを経験して、いまはもう俯瞰していろいろ見られているわけでしょう? この先、何をなさるんですか?
古田:将来的には自分でメディアを作りたいなと思うんですよ。だからNewsPicksとかはすごい勉強させてもらって、すばらしいなって。
山川:いまはその準備期間?
古田:そうですね、自分でいろいろ勉強しつつ。いまはアメリカの大学院プログラムに参加したりとかですね、そうやって勉強して、俯瞰して見ても、やっぱり新興メディアがレガシーメディアに取って代わるかという問いって、もうたぶん……。
山川:古い?
古田:古いと思うんですよね。なぜなら、新興メディアとかレガシーメディアっていう定義自体がすごく難しくなっているんです。例えば、東洋経済新報社でいうと、週刊東洋経済という雑誌は明らかにレガシーに属するわけですよね。でも、東洋経済オンラインは、むしろ新興メディアと定義づけてもいいと思うんですよ。つまり、1つの企業の中にレガシーメディアと新興メディアが同居している。
僕の中の定義で言うと、東洋経済オンラインやBuzzFeedは、新興メディアとはいえ、もう歴史が10年とかになってきている。そうすると、いまの時代の速さで言うと、新興メディアといっても「オールド新興メディア」という感じですね。ある程度、老舗新興メディアという定義ができると思うんですよね。
一方で、いま世界でデジタルをすごい勢いで伸ばしているのがニューヨーク・タイムズ。老舗中の老舗の新聞社ですけれども、彼らがいま取り組んでいることは、ものすごい世界の最先端。だから、彼らを「新・新興メディア」と定義付けてもいいと思うんですよ。
あるメディアや企業体が生き残るかどうかで言うと、企業ごとに比べるよりも、メディア事業としてどれだけ先端的なことをやっているかで比較したほうがいいんじゃないかと思います。
山川:川原崎さん、後ほど自己紹介はしていただきますけれども、これまでの話しを聞いてどうですか?
川原崎晋裕氏(以下、川原崎):言われてみればまさにそうだなとは思っていまして。メディアって、もう何百年前からやっていることは基本変わっていないと思っているんですよね。企画して、取材して、書いて、配信することをずっと繰り返している。あとはその時々のコンテンツの強さだとか、ブランドの強さで勝っているところがあると思うんですけれども、まさにニューヨーク・タイムズはすごいと思います。
山川:ニューヨーク・タイムズって、いまデジタル版の有料会員は500万人超えてるんですよね。日経新聞も電子版に力を入れて、日本の新聞社の中ではかなりチャレンジングでやってきたと思うんですよ。それでいま、70万を超えてるはずですけれども、やっぱりここは英語というか、フィールドが大きいのか。
われわれは日本語の参入障壁に守られている業界だってずっと言われてきて、だから安泰なんだという。ただし、今度は外には攻められないという課題はあったんだけれども。やっぱり英語メディアで1回火がついちゃうと、フィールドがぜんぜん大きいのかなっていう感じもするんですけど、どうですか?
古田:確かにニューヨーク・タイムズの場合だと、英語ってマーケットが大きいですよね。世界で10億から20億人ぐらいのマーケットがある。日本語だと1億人しかないと考えると、10倍〜20倍は大きいというのはありますね。
あと、僕が思うのは、根本的にやっぱりコンテンツがすばらしい。ものすごくおもしろいわけですよ。単に文字のコンテンツだけではなくて、映像のコンテンツもすばらしいし、いまのインフォグラフィックとか見せ方って、もう確実に世界一なんですよね。
そういったところが根本的に違うと思うんですけれども、同時に、今年やっとニューヨーク・タイムズはデジタルの売上が紙に追いついたわけですよ。ということは、紙のほうが、ユーザー単価、ユーザーあたりの売上単価がまだ圧倒的に高いんですよね。だから、ぜんぜん紙も捨てたもんじゃないというのは、改めて思いますね。
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