20代の頃は、目先の仕事に時間を使い過ぎた

冨田阿里氏(以下、冨田):次の質問は、時間の使い方について。みなさんの個人的な時間の使い方について、どんな生活をしているか、インプットなのかアウトプットなのかを考えてるのか、20代の頃はどうだったか、今はどうなのかなどについて教えてください。

高宮慎一氏(以下、高宮):これ、自分自身すごく反省してるんです。

冨田:反省?

高宮:20代の頃って、マジで仕事しかしてなかったんですよ。週100時間ぐらい働いて、土日も働いて、金曜日の夜だけ飲みに行く感じ。

コンサル時代目は先の業務に時間を使いすぎました。人と繋がるとか、中長期的な、Googleの2:8の2みたいなところがぜんぜん足りてなかった。目先の受験対策がんばります、みたいになっちゃっていたんです。ぜんぜん人間力がつかない感じです。

一周回ってみて思うことは、デザインとかアートとか、投資にはならなそうなソーシャルアントレプレナーの話を聞くほうが、大局観みたいなところでいうと、いろんな業界で違う言葉で同じことが説明されているので、そのほうが大きな流れがわかるというか、人間の幅が広がる。

投資家として、いかにイケてる起業家に選んでもらうかというのが大事だと思っているので、選んでもらえるための自分になれるというか。

結局、好きなことでないと続けられない

冨田:みんな高宮さんは成功者だと思っているので、高宮さんは反省してるけど、その20代は実は正しいんじゃないかと。そういう時間やそういう仕事に対する真摯な向き合い方があったから、今の高宮さんがあるんじゃないかと思います。

高宮:どうなんですかね。僕はナナロク世代で、2000年代のちょうどインターネット第1次ブーム、Amazonとかが出てきたときに大学生だったんです。まわりがみんな起業してたんですよ。今になって思い出してみると、あのとき面白かったなって人たちは、ネットエイジに起業してました。そのときリスクを取ってちゃんとやった人は、一廉の人物になってる。

僕は変に思い悩んでいて、「経営って何だろう」「何をやったらいいんだろう」みたいな。起業のテーマはコンサルに行ったら見つかると思ってたけど、実は見つからなくて。

そうするとやりたいことが見つかってないから、昇進が早いとか、そういう一般論的な幸せ軸での評価でしか、自分が幸せだと実感できない。そんなラットレースに自分で陥っちゃって、精神的にしんどかったんです。

好きなことをやらないと、やり続けられないんだなと。今の仕事って、あまり仕事とは思ってないんです。家入さん、亀山さんと対談して、直接リターンが出るわけではないけど、楽しいからやっとくぐらいのほうが続けられる。

旅路を楽しむ、旅の目的地に効率的にたどり着くのが目的でない、みたいな感覚でいることで、気が楽になるというか。逆にそうすることでやり続けられて、結果がついてくる。

冨田:かっこいいですね。やり続けた結果ですね。

会社はとにかく、潰さないことが大事

亀山敬司氏(以下、亀山):俺なんかも、20代の頃はとにかく働きまくってたから。自分で露店の商売も始めて、ビデオレンタル、バー、麻雀荘もやってたかな。だから24時間働いてた。

冨田:24時間(笑)。

亀山:とにかく、まず資金を貯めなきゃなにもできないと思ってた。そのころはとりあえず資金を貯めないとなにもできないから、とにかく目先の「今日はいくら稼ぐ!」だけ。

今は働き方改革って言われてたり、働く時間が問題になることもあるけど、起業というやつは、自分でブラックにやるしかない気がする。その時間内に、とにかくやれることをやる。

ただ俺は、1年に1回、2月だけパッと休んで、1人で世界を旅してた。11ヶ月は休まないけど、1ヶ月まとめて休むんだよね。そのときに仕事を離れて、なにか生き方が間違ってないか振り返ったりはする。でもそれ以外はほとんど休まなかったし、ずっと資金貯めるか、その資金で新しいビジネスやるかのどっちかだった。

最近はもう歳だから、ちょっとのんびりもしてるし、生活も楽しんでるけどね。ちょっとお金に余裕ができてきたら、「すぐにお金にならなくても、5年先にブレイクするかもしれないものに投資しようか」とか、ちょっと長めの投資もできるようにはなってきた。

でも、たぶん今ここにいるのは、明日倒産するかもしれない会社ばっかりだと思うんだよね。だから、ゆっくり時間を考えて配分しようなんて暇はないと思う。会社は、とにかく潰さないのが大事だから。

潰さないためには、やるときはやるしかなくて、時間なんて関係ない。今日中に納品しないと明日お金もらえないなら、とにかく徹夜で納品するしかないと思う。俺の20代はそういう感じかな。

じゃあ、次は20代ダメダメだった家入くんの話で。

(一同笑)

徹夜してサービスをローンチし、反応が出始めたときの喜び

家入一真氏(以下、家入):僕、あれです。ダメダメなのは上場した後の30代前半から……。

亀山:そっか(笑)。

家入:よく嘘だって言われるんですけど、29歳まで酒が飲めなかったんです。だから会食とか人と会うとかぜんぜんしていなくて、とにかくコードを書きまくっていました。

21歳で起業して「ロリポップ」とか「カラーミーショップ」、「JUGEM」とかを始めた。そういうtoCのサービスのコードって、最初の立ち上げは僕が書いて、ある程度回り始めたらバトンタッチしていくスタイルだったので、とにかくコードを書きまくっていた。

20代後半になると、会社とは別に個人ワークでいろんなサービスを作り始めました。「ブクログ」っていう本の管理をするサービスとか、ブログができたタイミングでブログパーツを作るサービスとか、RSSリーダーとか、全部自分で作っていた。

だから変な話なんですけど、会社の代表をやりながら個人ワークで自分のサービスも作っていて、そこは明確に分けていた。ある程度回り始めたら移管していくというやり方でした。

ビジネスとかサービスを作るのは、ある意味で自己表現の1つなんです。みなさん、エンジニアの方もいると思うのでわかると思うんですけど、ローンチ前に徹夜でみんなで頑張って、いざローンチして反応が出始めるあの感じって、一度味わうとハマってしまう。

ローンチしたあとは運用に入っていくわけですけど、運用ペースももちろん大事だし、改善を重ねる日々だけど、その中でもまた新しいサービス作ろうと思うのは、徹夜してみんなでローンチするっていうあの経験が、中毒みたいになってる。20代はそんな感じでした。

亀山:その頃は金もないし力もないから、身を削るしかない。

家入:そうそう。

亀山:まわりの社員たちに、徹夜が当たり前だと思わせるしかないわけ。もう自分がやるしかない。しょうがない、ボスが帰らないなら俺たちも残るか、このボスについて行こう。そこからだよね。

産業は成熟するとエリート化していく

家入:僕にとってのインターネットは、農民一揆の竹槍みたいな存在なんですよ。僕は中卒だし、学歴もない。そんな自分でもサービスを作ることで声を上げられる。それまでの産業に対して、竹槍で戦いにいくことができるようにしてくれた存在なんです。

それを駆使してウェブサービスを作りまくっているのが20代なんだけど、じゃあ現代における竹槍ってなんだろうってことはすごく考えます。

IT業界やスタートアップ業界も高学歴化していると思うんです。それが悪いとか、ポジションで言っているわけじゃなくて。産業って、成熟するとエリート化していくんですよ。権威化していく。そこに対して、力もない、声を出せない、お金もないような若い人が、次のテクノロジーを竹槍として戦いにいくという構図がずっと続いている。

じゃあ、インターネットやスタートアップっていう、ある程度権威化してきたものに対して、次なる竹槍はなんだろうって考えると、もしかしたら起業とかスタートアップとかITじゃないのかも、という感じはある。

それが何かは今の僕にはわからないけど、次のそれを掴んだ人が結果、勝つ気がします。それはなんなんでしょうね。

高宮:竹槍が何かわかって見つけたとか、亀山さんがさっきおっしゃった、とにかく動くしかないじゃんという話って、お二人が起業家だからそうだと思うんです。僕は、起業家に憧れてたけどなれなかった感じで、修行と思って就職しちゃったんですけど、そういう人も多いと思うんですよ。

たぶん本当はたいしたリスクじゃないのに、起業するのはリスクだなって思っちゃって、動ききれない。そういう人たちの背中を押すとしたら、なんですかね? Youやっちゃいなよ、みたいな。

亀山:とりあえず1回刺してみることだよね。

高宮:竹槍(笑)。

亀山:刺して、「イテッ!」てなることを怖がらないってことかな。