
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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亀山敬司氏(以下、亀山):(家入氏に向けて)もうノリで投資するのはやめたの?
(一同笑)
家入一真氏(以下、家入):それは、すごいノリで出してます。
亀山:ノリがうまくいってるようなところもあったじゃない。
家入:まあ、何が正解なんて僕もいまだにわからないですけど。本業を横にして難しいけど、僕のところに相談に来てくださる若い子たちって、社会企業寄りの子も多いんです。
社会課題を解決したい社会企業とかはすごく応援したいから、そういう子に出してあげたい気持ちがある一方で、「この子はエクイティでは対応すべきじゃないな」という子もいる。
要は、僕以外のところから出されたとしても、エクイティでファイナンスしてしまうと、そのあとのストーリーはだいたいエクイティによる。
もちろん、エンジェルにいったほうがいいから、ということもあるとは思うんだけど。やっぱりある程度経済圏を選んでしまうということでもあるから。それなら最初からエクイティのファイナンスは考えないほうがいいんじゃないか、と言うようになったんです。
ちょっと真面目な話になったかもしれない。
高宮慎一氏(以下、高宮):投資基準の話からは飛びますが、家入さんが最近すごく大事なポイントだって言ってて、すごく共感することがあって。
いい事業が必ずしもVCからのファイナンスに適しているとは限らないし、逆にいうと、それぞれ事業に合った最適な形のファイナンスをするのが大事だと思っています。
成長率はあんまりないけど定性的に意味がある。例えば、漆の事業を300年伝承していて、のちの世に技術を継承してるというような、めっちゃ意味がある事業なのに、そこにVCのお金を入れて「5年後に10倍にして返せ」って言ったら、事業が破綻しちゃうわけです。
最近のスタートアップブームでは「VCからお金を引っ張ってくるのがかっこいい」という、それが1つの成果になっちゃってるけど。それは急成長を目指すスタートアップにとっての道というだけで、それだけがいい事業じゃないということは、みなさんもご理解いただければと思います。
亀山:そうだね。こつこつした事業なら、なるべく信用金庫で借りたり、自前の金でやるほうがいい。何年以内に上場しろとかうるさく言われないし。(高宮氏に向かって)最近はうるさく言ってるの?
高宮:そうでもないですね。まあ、さっきの目線みたいなさっきの話もそうなんですけど、どれぐらいの期間で、どれくらいの規模を目指す、最初の握りが起業家と投資家で相互にあって、初めてスタートラインに立てるのかなと思っています。
高宮:VCからファイナンスをしなきゃいけない事業は、信用金庫からこつこつ借りることができない事業。最初にリスクを取って、ずっと赤字を掘って、あとあと黒字が出るけどそれまで我慢しなきゃいけないから、銀行はお金を貸してくれないというパターンです。
もしくは、競争が激しすぎて、お金の力で早く面を取らないと、そもそも競合との勝負にならないというパターン。その2種類だけだと思うんです。事業としてはある意味で歪んでいる、特殊ケースのような気がしますね。
亀山:そうだね。
家入:株式型クラウドファンディングとか、最近ちょっとあれですけどICOとか、調達の手段がいろいろ出てきていることは素晴らしいんだけど。例えば、株式型クラウドファンディングで調達したあとに、VCからは断られてしまうなんて話もあるわけです。
あと、ICOしたら上場できないとかもよく聞く話で。それにロジックがあるのかというと、なかったりする。あるのかもしれないけど。
家入:例えば株式型クラウドファンディングだと、一般株主がめっちゃ増えるので、そのあとのラウンドにはVCは乗りづらい。だから1回でも株式型クラウドファンディングをやると、2回目以降も同じ方法で調達するか、1回目の調達だけで自走までいくかが前提にある。
ICOで調達すると上場できなくなる理由は、ロジックでできないわけじゃないと思うけど、今の上場の仕組みからいうと、あなたたちはICOっていう別の経済圏選びましたよねということで上場させてもらえない場合がある……というとあれだけど。
高宮:(ICOを)どう取り扱うかが決まっていないから。
家入:だから、どの経済圏を選ぶかが大事だと思うんです。ICOという手段か、株式型クラウドファンディングか、VCからするのか、調達とかせずにデットでやっていくのか。
一度選ぶと、違う経済圏には移行しづらい。そこで挫折してしまうスタートアップも多い。だから僕らは……僕ももちろんそうですけど、「スタートアップ最高! みんな起業しようぜ」って言った功罪みたいなものに、ちゃんと向き合っていかなきゃいけないんじゃないかと思っています。わりと真面目な話になってる。
亀山:まあそうだね。
高宮:ちゃんとしてますね。
亀山:迷っている間はなるべく自分の金を使ったり、あとはスタッフたちもなるべく安給料でがんばってもらったり。今は二束三文の株だけど、将来うまくいったら(大きく)なるかもしれないぐらいのほうがいいよね。方向が決まってから、バッて進めばいい。
高宮:ファイナンスのそろばん的な話でも、銀行とか信金からだと、ゼロコンマ数パーセントとか1パーセントの金利で借りられる。でもエクイティだと、VCからお金を入れるというリスクが高いフェーズでお金を集められる一方で、期待する利回りは2、30パーセントです。
金利がめっちゃ高いので、高いお金を引っ張ってきてでも早く成長して競合に勝たなきゃいけないというケースには合っていますが、普通の中小企業のようなケースを考えると諸刃の剣だと思います。
冨田阿里氏(以下、冨田):ありがとうございます。参加者の方からも調達したいという質問が多いので、こういうことをやってる人や事業に自分のところに来てほしい、という具体的なイメージがあればぜひ一言ずつお願いしたいです。
亀山:新しいことやろうとしたら「ゼロイチ」っていう話があるじゃない。ゼロイチ(の部分)は起業家が作るべきだと思うんだけど、1を10にしたり10を100にするのは別の才能なんだよね。
そこから先は財務とか経理とか法務とかいろんなものが要るし、そのあとに何人もサポートを用意して、いろんな組織を組まないといけない。
たぶん自分たちがやってるときは、まだ2、3人で起業することが一番多いと思うんだけど。その段階だと、自分でアイデア考えて「これやろう」って感じじゃない? そこから先、大きくしようと思うと別の才能になってくるかな。
例えば毎月10万でいいから稼げるようになって、それ自体がビジネスとして未来が見えるようになってきて、それを1億、10億、100億にしたい、もっと大きいことやりたいと思ったときに、うちは組織のエンジニアとか経理の専門家とか、そういう人間をつけることができるので、それで一緒にやっていこうというやつに来てほしい。
逆に、社内からゼロイチはなかなか生まれにくいのでね。もちろん出てくるときはあるけど、なかなか難しい。だから、スタートアップたちの中で生き残ったやつらは貴重。ほとんど赤字で終わっちゃう。8割方は赤字で死んじゃうパターンが多い。
そこから毎月10万、20万を稼げるようになる確率はすごく低い。そういった中にはそういう才能があるわけよ。その才能に対して、別の才能をくっつけるということが、俺たちがやろうとしてることかな。
冨田:ありがとうございます。家入さん、お願いします。
家入:ポジショントークになっちゃうけど。NOWのサイトにも書いてありますが、亀山さんの話に近いかな。
起業家って、社会に適合できなかった分、その社会を自分側に寄せようとする存在だと思っているんです。すごく独善的なその力が、違うほうにいったら良くないことになっちゃうんじゃないかというくらい、社会を変えようとする力が強い。
根底に怒りを持っているのが起業家だと……もちろん、いろんなタイプがあると思うんですけど。そんな怒りを持った人に来てほしい、ということは常々言っています。もちろん、怒りを持っているから全部出しますというわけではないですよ。前提として、怒りを持った起業家が僕は好みで、応援したいなと思ったり、支えてあげたいと思うケースが多い。
じゃあ怒りって何かというと、自分が感じてきたこの世界の理不尽さみたいなものとか、いまだに変わらずまかり通っている非人道的な仕組み、あとは個人的な劣等感でもいいかもしれない。
そういう過去のつらい体験とか、非人道的な仕組みのようなものに対する怒りを持った起業家を、僕は支援したい。
家入:なぜそういった起業家を支援するのかというと、僕自身のストーリーももちろんそこにはあるんだけど、僕が出資するのってシードとかの段階の、まだ事業も始まってない、ビジネスも立ち上がっていないようなフェーズの子が多いんです。
みんな事業計画とか持ってきてくれますけど、計画通りにうまくいくならここにいるみんながうまくいっているわけなので、基本的にはいかない。
じゃあどこを見るかというと、何度三振しても打席に立ち続ける力を持っているかどうか。それを見極めるならやっぱり、なぜ自分が起業する必要があったのかというところです。
これだけビジネスが世の中に溢れているんだから、僕も含めて大半の人たちは、わざわざ自分が新しい一歩を踏み出す必要なんてないんですよ。それでも自分がやらざるを得ないくらい怒っている人は、何度三振しても、つまり何度ピボットしても打席に立ち続けると僕は信じています。
最終的にそれが1年後にヒットを打てるかもしれないし、3年後にホームランを打てるかもしれないし、30年三振してそのまま退場する人もいると思う。
いつ当たるかわからないけど、打席に立ち続けられるかどうかを見極める基準として、起業家の心の底にある原体験みたいなもの、それを僕は怒りって呼んでるんですけど、怒りを持った起業家に1人でも多く会いたいという感じです。
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