2024.11.25
「能動的サイバー防御」時代の幕開け 重要インフラ企業が知るべき法的課題と脅威インテリジェンス活用戦略
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青木耕平氏(以下、青木):もう(次の方が)来られたから。初めまして。
質問者6:初めまして。話題がすごく変わるんですけど、自分は旅が好きで、海外で生活していたこともあって。けっこう旅に行っていたんですけど、比喩的な旅でも良いので、人生がガラッと変わったような、衝撃を受けたような旅のストーリーをお聞きしたいなと思いまして……。
小野裕之氏(以下、小野):3人でなにか(笑)。
青木:3人でね。
小倉ヒラク氏(以下、小倉):せっかくだったら、3人での旅芝居でいく? そこまでしなくても良い?
小野:質問の意図と変わってくるから。
青木:でも、我々が仲良くなったきっかけというのがまさに旅なんですよ。この二人を僕が知っていて、少しご飯を食べるような関係だったんですけど、もう少し仲良くなりたいなと思って、2人を旅に誘ったんですよ。「3人で一緒に旅しようよ」と言って、2泊3日だったか、3泊4日だったか……。
小倉:3泊4日ですね。
青木:3泊4日か。それぐらいの旅を、中国地方ですけどね。
小倉:ぜんぜん仕事関係ないのに、おじさん3人で3泊4日だよね(笑)。
青木:平日に仕事休んで行ったんですけど、途中で大雪の中、山を越えるということを試みた結果、遭難しそうになったんですよ。
小野:行くところ行くところ、次々通行止めになっていった(笑)。
小倉:唯一空いている下道みたいなところをずっと通って……。
青木:畑と道の境界線がわからなくなっているから、途中途中で「ガサッ」と突っ込んでしまうというのを何回か繰り返しながら、なんとか生還したんですよね。それですごく仲良くなったんだよね。
その時に美しかったのは、3人が3人誰のことも責めないの。だいたいそういう時は「なんでこっちの道選んだんだよ」とか「運転下手だ」とか「お前も少し手伝えよ」とかなるじゃないですか? 10分に1回はみんなで外に出て、素手でワイパーの氷を取ったりするわけですよ。あれで関係がぎゅっと(近く)なりましたよね。
小倉:僕が運転していたんですけど、僕は当時、運転免許を取得したばかりで、運転下手で……。
小野:僕がね、(運転を)やればよかったね。
小倉:がんばって僕必死になって一応抜けて、疲れ果てて、小野っちと高速入って替わったら、小野っち運転がすごく上手で、「なんでさっきまで運転しないんだよ!」みたいな。
(会場笑)
小野:僕、運転好きだから、「自分がやりたい」と言ったんだよ。
青木:しかも「免許とって半年」と言わないからね。乗ったらなにかおかしいな、みたいな。
(会場笑)
「なにか変な運転だな。ちょっとまごついてるからなにか怖いな」と思ったけれど、まだ関係性が出来上がっていないから「ちょっとお前大丈夫か?」とかも言えなくて。まだ旅も始まったばかりだったから、(雪道を)抜けてから半年と聞いて「ドヒャー!」となるというね。
小倉:そう、いい旅でした。
青木:いい旅でしたね。あれを年に2回ぐらい。
小野:年に2回ぐらい。多いときで3回ぐらい。
質問者6:最近はどこに行かれたんですか?
青木:最近は、小倉さんは参加できなかったんですけど、我々はつい先週ぐらいに北海道の根室に行って、その時は別のおじさんがもう1人参加してくれて、3人で行ったんですけどね。2人ってなんとなく辛いじゃないですか? 3人がいいんだよね。
質問者6:その旅のテーマみたいなものは決めていくんですか?
青木:毎回一応ある……。
小野:たぶんその土地土地で、自分がおもしろいな、と思っている人たちに会いにいく。それは自分が知っているだけで、他の人に紹介したりとか、景色が素晴らしいとか、美味しい物を食べるだけではなくて、この人おもしろいから、夜に一緒に飲もうよ、みたいな感じ。
旅ですごく良いのは時間をあまり気にしなくていいというか、「終電だよね?」とか気にすることが少なかったり、都会から離れるので少しだけスマホを見る回数が減るとか、物理的なことも含めてという感じで……。
ヒラクくんはかなり刺激的な旅をしているタイプなので、次に話してもらったら良いと思うんですけど、僕と青木さんは旅自体に刺激を求めているタイプではなくて、会社経営という荒波で疲れ切っているので「なにか癒されたいな」と思って……。
だからといって、箱根に3人で行くか? と言われたら行かないんですけど、おしゃべりが好きだから、おしゃべりする材料を土地土地に求めて(笑)。
小倉:たまに現地のおもしろいおじさんとかお姉さんが来て、それがまた足掛けになって。
小野:すごい圧で来られるんだけれど、「まぁいっかー」と思って従うという(笑)。
青木:身を任せるというかね。
質問者6:すごく興味があるのは、最近あったおもしろい人ってどんな人でしたか?
青木:「シゲチャン」じゃない?
小倉:あー「シゲチャン」来たかー!
青木:「シゲチャン」について語るべきじゃない?
小倉:いや、僕じゃなくて良いよ。小野っちに話してもらおう!
小野:あの人はアーティストですか?
小倉:もともと伝説的なデザイナー、イラストレーターなんですよ。ポンキッキーズのロゴとかやっていたりとか。
青木:あとはYMOのジャケット作ったりとか。
小倉:伝説のドラフトの宮田(識)さんと一緒に、モスバーガーのブランディングをずっとやっている人。
小野:北海道の阿寒湖のそば。自作の作品を展示する場所を求めて、自分で廃牧場を買い取って、ギャラリー化したという。周りの人はテーマパークのような感じで言っているんだけれど、1個のアート作品としての廃牧場ギャラリーみたいなことをやっている人なんですよね。
小倉:シゲチャンランド!
青木:シゲチャンランド! 極楽美術館! シゲチャンランド!
小倉:シゲチャンに「これはディズニーランドを意識しているのでしょうか?」と聞いたら、「まぁ、それもあるよね」みたいな(笑)。
(会場笑)
あ、否定はしないんだな、みたいな(笑)。
青木:70歳なんですよ。18年間ぐらいかけて最強の作品を詰め込んでいるんだよね。圧倒されるわけですよ。作品の質も、「シゲチャンランド」っていう名前で、なんとなく僕はなめていたんですよ。変わり者のおっさんが、手作りの延長で民芸っぽいのかアートっぽいのかなんだかよくわからないけれどやっているのかな? というような。
でも、MoMAとかに置いた方が良いんじゃないか? というくらいの本当に質の高いアート作品なんです。本人はただの機嫌のよいおっさんなんだよね。シゲチャンランドは本当に行ってほしいですよね。
小野:「シゲチャンランド」でググっていただいていいですか?
(会場笑)
青木:Webサイトからは本当の意味での爆発する良さが伝わらないのよ!
小倉:「シゲチャン」は、今年あった僕らの1つのハイライトでしたね!
質問者6:その人はすごく変わっているんですか?
青木:変わっていないです。そういうものを思い浮かべるじゃない? シゲチャンランドをやっているシゲチャンという、本当に変わり者のおじいさんがやっていて、「とっつきにくいわ!ー」みたいな。ぜんぜんそんなことないんだよね。もうこれじゃあ分からないよね。
小野:謎の経済ってなんのこっちゃ? ってね。この後、町と組んでいるアート拠点というのもぜんぜんレベル低くなくて。レベルが低いもの多いじゃないですか? 「これ良いですね!」と言われるためにやっているんだろうな! と言うのがあまりにも多いなかで、この人は純粋にやっているし、クオリティもすごく高くて……。
青木:しかもポップなんですよ。僕みたいなアートの素人が見ても、「これは純粋に欲しいな」と思えるようなポップさと言うか、プロダクト感がある人なので。僕はぜんぜんアートとか興味ないですけど、シゲチャンに一瞬で魅了されて。
小野:いろいろな経験をされて来た上で、アートに行き着いて、すごく説明されるわけでも、すごく突き放されるわけでもなく「これがわからないなんて、アートわからないですね」という感覚もないし。
アーティスト志向がただ強いデザイナーって、自分の作品をすごく説明するんだけれど、そういうこともなく、ただ一緒にアトリエを見せていただいたり。彼はけっこう廃材を使ってアートに仕上げたりするので、そのストックを見せてもらったり。「じゃあ次、シゲチャンランドに行こうか」と言われて、冬の閉園時期に入るタイミングだったのが、すごく良かったですね。
青木:この写真じゃ伝わらないんだよなぁ~!
小倉:伝わらないなぁ~! 行ってほしいなぁ~!
(会場笑)
小野:俺のInstagram見たほうがいい!
小倉:僕も少しあげていると思う。
青木:本当に人生変わる可能性があるくらい。本当に旅が好きなら行ってください!
質問者6:わかりました! ぜひ行きます!
小倉:僕、シゲチャンと2人で小雨降る中、森の中で、いろいろな話をしていたんです。その時、20人くらいの集団でいたんだけれど、ちょっといろいろあって1人抜け出してシゲチャンに会いに行ったんですよね。
シゲチャンはそれを察知していて、次の日にグループで行くことになったんだけれど、僕が1人で来たから、最後、帰り際にぽつっと「ヒラクくんは1人でどこかに行くのが好きなんだね」と言われて。「そうですね……。それは僕の生き方か」というふうに、すごくその言葉が胸に刺さるんだよね。シゲチャンはなんだかすごく、本当の意味での仙人というか……。
青木:仙人と言ってしまうと、また変わった感じが出てくるから。変わってないんだよね。
小倉:変わってないんですよ。最初に来たラジオのお兄さんの話に戻ってくるけれど。
小野:いま、回収しはじめましたね。プロデュースおじさんとして(笑)。
小倉:回収しはじめたい癖が。シゲチャンは本当に変わってないんだよ。
青木:そう。変わってないんだよなぁ。本当に機嫌の良いおじさん。小ぎれいなおじさん。でも別におしゃれ感を出しているわけでも、イケてる感を出しているわけでもない、絶妙な佇まいなんだよね。
小倉:とにかく言語化しづらいから……。
青木:しづらいから、もう行ってください!
小野:良い旅みたいな話で言うと、最近、世界一周するチケットが安いよ! とか言ってみんな世界一周したりとかして、Instagramとかに上がっているのも、もちろん旅なんだけれど、期せずして知り合った人と「感覚を共有できた!」とか「あぁなにか良い思いしたな!」とお互いに思っていたり。
なんだか、そういうタイミングに出会えることが東京ではなかなかないので、僕にとって旅は、特別な場所に行ったり、すごいものを見ることではなくて、その過程で会った人と「なんでこんなにバックグラウンドも年齢も違うのに同じ感覚を持っているんだろう?」ということに出会えた瞬間がすごく楽しくて、ぽつぽつと出張に行ってみたり、みんなで旅してみたりとか、ある意味その行為自体は伏線でしかなくて。
たぶん3人とも共感ポイントも違うので、グッと来ているところも違うんだけれど、なにか、「あぁ来てよかったな!」と思える瞬間があるものを。別に旅の途中にInstagramとかあげなくて良いんですよ。なにか自分で持って帰るのが良い旅だなという感覚が僕にはあるので、そういう旅ならけっこうたくさんしたいな、と思いますね。
小倉:今、2人の前提を覆す話をしてもよいですか? 旅は、その土地の威力にぶっ飛ばされることですね。最近一番やばかった旅は、東京の南にある伊豆諸島と小笠原諸島の間にある青ヶ島という島が本当にすごくて……。
小野:青ヶ島でググっていただいてもよいですか?
小倉:青ヶ島全体が見える写真があると良いですね。青ヶ島に都の方の仕事で、そこで謎の焼酎というか、けっこう不思議な、青酎の調査に行って……。
小野:リアル鬼ヶ島ですよね。
小倉:どの写真が良いかな、この右上! 右上にしましょう。ここはどういうところかと言うと、大火山が吹っ飛んでできたんだよね。大きい火山が吹っ飛んでできて、大火山の吹っ飛んだカルデラの中に小火山があるの。だから火山on火山みたいな。
(会場笑)
マトリョーシカ人形みたいになっているの! そういう土地にあるから、浜とかがないの。ビーチがないの。
小野:いきなり切り立った(ところがある)。
小倉:そう! そういうところがあって、なかなか(島まで)たどり着けないんですよ。八丈島まで飛行機か船でたどり着いて、そこからまた船かヘリで行くのね。今の時期は、船の出航率が40パーセントくらいなの。
小野:波が高いと出られないんだよね。
小倉:本当に海の気候だから波が荒くて、船が通れなくて。あとはヘリがあるんだけれど、ヘリが1日1便で定員9名なんだよね。いつもキャンセル待ちが何十人も出ているから、実質乗れないという。だからたどり着けない、選ばれたものしか行けない島と言われている。
(会場笑)
人口150人なんだよね。ここで僕はフィールドワークしてきたんだけれど、観光で景色がすごいというのもあるんだけれど、僕がそこで触れたのは、とにかく完璧に閉鎖系なわけ。外からなにかを持ってくるということができなくて、しかもこの島の致命傷なのが、水源がないの。だから雨水をためるしかない。
その中で人がどう生きてきたかに触れていくわけ。今、僕らはコンビニもあるし、なんでも外から持って来られるじゃないですか? でも、この人たちはそういうことが現代においてもけっこう難しいの。飲み水は本当に雨水で確保しているから。
小倉:その中で僕がすごく感銘を受けたのが、牛・麦・芋のトライアングルなんですよね。僕が調査していた青酎という焼酎をどのように作っているのかと言うと、お酒の素になる糀というのを麦で作って、そこにふかした芋をドバドバかけて、雨水と一緒に仕込んで焼酎にしていくんだけれど、菌も外から持って来られない。
今の発酵は工業的な菌を外から持ってくるんだけれど、本当に島の菌しか使えないので、「オオタニワタリ」というソテツとかに寄生している謎の植物があって、そこから菌を採集しているんですよ。それを使って発酵させるというような、信じがたいことをやっているんです。
そこの焼酎を作っている人は、焼酎専業の人がいなくて、みんな牛を飼って、麦を育てて、芋作って、ガソリンスタンドを経営してたまに港で働いて、焼酎作っています、という人たちなの。なんでこんなに百姓やるんだろう? という話なんだけれど、百姓をする、いろいろな仕事をするということは、単純に食べていけないからではなくて、いろいろやらないと閉鎖系の生態系に置いて循環が起こらないということになってくるんですよね。
わかりやすい例が、1年のサイクルを見るとわかるんだけれど、冬の終わりから春先にかけて麦を作ります。大麦を作って、大麦が収穫できる最後のタイミングくらいでサツマイモの苗を植えます。だけれども、すごく風が強いので、苗が飛ばされるのを防ぐために、一番お尻の方の麦の穂が防風になるんですよ。
それでサツマイモの最初の一番難しい着床の時期を、麦で防いで芋ができていきます。麦が取れたら糀にして、ある程度保管しておく。芋が取れたらまず人間が食べるんだけれど、芋はお尻のところとか頭のところとか、はすっぱなところが出てくるんですよ。それをきれいに蒸かして焼酎の原料にするんだよね。
小さい芋もとれるから、それは牛にあげるの。牛にあげたら牛が育つでしょう? 牛が育つ過程で便をするでしょう? それをまた畑に蒔いて、肥料にしていくんだよ。現代人の僕らからしたら、牛・麦・芋ってまったく意味が分からない。「牛・麦・芋・焼酎? なにそれ?」みたいな。
でも、その島の中に入って見ると、その3つ、4つの話は、生態系をすべて循環させていくために非常に美しいサークルを描いている。そういうのって、外から持ってくることがぜんぜんできないことに対して、僕たちがあまり見えていない具体的ないくつかの作物や発酵物や家畜を組み合わせて、その土地が永続的に続いていくサークルのようなものを作っていく、土地の人たちがみんなもっている知恵のようなものなんですよね。
小倉:なぜ(そういう知恵を)持っているかと言うと、1850年代に1回小火山が爆発していて、島で生き延びている人は全員逃げなければいけなくて、何百人か八丈島に逃げたんだよね。逃げたらもう、この島を引き上げるじゃないですか? でも、佐々木次郎太夫という人がいて、10歳の時に渡ってきたんだけれど、40年後に島の人全員をひきつれて帰ってくるんですよね。
全員だよ? 全員! 行く人も行かない人もいるのではなくて、全員青ヶ島のルーツの人を連れて帰ってきて。火山が爆発する前は水源があって、米が作れたらしいんだけれど、帰ってみたらその池が全部干上がっていて、米がなくても生きていける方法を全部いちから作るようなことをやっていき、その人たちが今でも、その島の名主なんだよね。
その人たちがリーダーで、その土地のことを自分たちでほぼ自治しているという。民俗学とか文化人類学を知っている人ならわかると思うけれど、宮本常一さんという人がいて、その人が『忘れられた日本人』という名著を書いているんだけれど、まさにこの21世紀に忘れられた日本人に会った、という。
その末裔で有名な奥山一族というのがいるんだけれど、「フリージア・マクロスグループ」わかります? IT企業の黎明期の人たちなんだけれど、奥山治・佐々木ベジ・奥山一寸法師という3人兄弟がいて……。
小野:どこまで本当でどこまでが……(笑)。
(会場笑)
小倉:日本昔話みたいになっている(笑)。この話はいいや。青ヶ島の話はすごかったです。みなさん行ってください、と言っても、みなさんたどり着けないと思うので……。そういうところもあります。
小野:1回行きたいです。
小倉:日本にもそういうところがあります。
小野:あと3分!
小倉:OK。じゃあラスト1人いこう。どうもありがとうございます。
(会場拍手)
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