社員の本音を聞き出すことは難しい

高山達哉氏(以下、高山):そうですね。トークセッションはいったんこの時間で切り上げて、この後、質問タイムにいきたいなと思ってます。

……が、その前にですね、いったん今日のお二人のお話をみなさん聞いていただいたと思うので、またもう1回前後の方、もしくはお隣の方と、聞いてみての感想や、この後質問コーナーがあるので、「こういうこと、ちょっと聞いてみたいよね」ということなどを、改めてシェアしていただけるとうれしいなと思います。これもお時間3分ほどでけっこうですので、どうぞよろしくお願いします。

(3分経過)

高山:はい、ありがとうございます。

青木耕平氏(以下、青木):ありがとうございます。

高山:たぶん今いろんなアウトプットが、すごい生まれてると思うんですけれども、よろしいでしょうか?

青木:ありがとうございます。

高山:では、みなさんお隣の方とおしゃべりもしていただいたところで、ぜひお二人にこういったことを聞いてみたいということがあれば、手を挙げていただければマイクをお渡しするので、どなたか質問のある方いらっしゃいますでしょうか?

青木:こういう時に最初に手を挙げる人って、めちゃくちゃありがたいんですよね。

(会場挙手)

青木:はい、きた!

高山:じゃあ。

質問者1:今日はお話ありがとうございます。

青木:ありがとうございます。

質問者1:このファンっていうものは、一番最初はやっぱり社員だという話がすごく印象に残っています。それこそ社員の声をしっかり傾聴して、しかもオーガニックな声を引き出すって、社外の人より難しいと思っているんです。

青木:あー、確かに(笑)。

質問者1:ヒエラルキーというか、雇用関係であったり。

青木:確かに。上司に「どこが好き?」と聞かれたら、言わなきゃいけないみたいな(笑)。

質問者1:はい(笑)。「これ言ったらなにかに響くのかな」とか、なにかそういう怖さみたいなものとかもあったりするじゃないですか。なので、社内のメンバーがいかに本音をさらけだせるか、社員の安心、安全みたいなものを確保できるかが、やっぱりファンベースをする時にすごく大事になってくるなと思っています。

そもそも社長とかに対して、「いや、今年、増収増益する必要があるんですか?」とか、「売上ここまでいく必要あるんですか?」とか、けっこうそれ、そもそも……みたいなところが。

青木:NGワードみたいなことになっちゃいますよね(笑)。

質問者1:そうですよね(笑)。でも、(社員は)けっこう思ってたりすると。

青木:わかります、わかります。「そっちが先じゃないですよね」みたいな話ですね。

質問者1:そうですね。それで、青木さんたちの『クラシコムジャーナル』で、長尾彰さんとかの記事を見て。この1年間でリーダーシップの取り方をけっこう変えたというか、これまでは自分が決めて、それを社員さんに投げてこなしてもらうスタイルで、任せることがあんまりできてなかったけど、最近はちょっとそのスタイルを変えていこうと思ってる、みたいな青木さんの書いた記事があったんです。

結論から言うと、青木さんの社員の方に対する接し方は、今、変わってきたりとか、こういう『ファンベース』の本とかを読んでそうしてるんですか、という質問です。

『ファンベース』

わからないことはわからないと言える上司が必要

青木:これね、さっき「上司から聞かれたら、部下は答えにくい」というのがあるじゃないですか。これ、社員が聞いてる場でそれに答えるって、けっこうなプレッシャーですよね(笑)。

(会場笑)

質問者1:公開処刑みたいな感じなんですけど(笑)。

青木:これ、「おまえ、調子いいこと言ってんな」と思われたらちょっとイヤだな、みたいな(笑)。

(会場笑)

青木:それで、さっきおっしゃっていただいたことは、要は「任せる」とか「任せない」というよりも、本当にわかってないことをわかってるふりしない、というふうにしようと思っただけなんですよね。

わかってることは「いや、わかってるからこうだよ」と指示もしますし。自分でわざわざクイズみたいに、正解を知ってるのに「はい、じゃあ、考えてごらん」みたいな、「なーんだ?」みたいな感じで。

(会場笑)

それで、答えたら「ブー」みたいなのって、ちょっと失礼じゃないですか。だから、わかってることは言うんですけど、実際わかってないことがどんどん増えていってるんですよ。それはやっぱり10年以上経営してきて、当初想定してたことから今の状況って、ずいぶん変わってきていて。

市場環境もどんどん不透明になっている中、わかってることが多いほうが嘘くさいじゃないですか。だから、わかってない時に「いや、わかんないんだよね」というだけの話かなと思っています。なので、それはそうしようと思ってます。

思ってるけど、どのぐらいできてるかは、ちょっと正直自分で言っちゃうと恥ずかしい場なので。ただ、そうしないと僕も不幸になっちゃうというか、僕が(わかってる)ふりを続けて不幸だと、みんなにも(わかってる)ふりをさせることになりますよね。

「俺もさ、こんなにがんばって、わかんないものをわかってる体でやってんのに、おまえ、俺の下のマネージャーとか、なんですぐ『わかんない』とか言ってんの?」となっちゃうじゃないですか。

でも、僕がもし「わかんないんだよね」ということを共有して、みんなが許してくれたとしたら、その下の人たちもわからないことは「わかんない」と言えるし、僕も自分が言っちゃってるから責められない。

という関係で、さっき言った心理安全性みたいなことで言えば、連鎖すると思っています。でも、みんなが心理安全性を感じてるかは、たぶん社員の人がいるので、後でちょっと個別に聞いてください(笑)。

質問者1:ありがとうございます。

周期的に入れ替わるファンを継続するにはどうしたらいいか

高山:他はいかがでしょうか?

(会場挙手)

高山:はい、じゃあ。

質問者2:今日は貴重なお時間ありがとうございます。業界柄、ちょっとクラシコムさんのように、お客さんが20代から60代までいて、すごく長い期間でファン(になっている)というような状態ではなくて。まあ、ベビー業界のところなんですけど。

お客さんが3年おきに新しく生まれ変わるというところで、どうやったら短いその3年の間のファンを継続していけるのかを、ちょっと佐藤さんにうかがってみたいんです。

佐藤尚之氏(以下、佐藤):……俺か。

(会場笑)

青木:僕が答えられないんで(笑)。

佐藤:あ、そうか(笑)。でも、クラシコムさんから始まったからさ。ごめんなさい、何業界?

質問者2:ベビー業界。

佐藤:ヘビー?

質問者2:はい。

佐藤:あ、ベビー。はいはいはい。

質問者2:なので、やっぱりお父さんとかお母さんが3年ぐらい子育てをしていく中で。

佐藤:ベビー業界は、本当にファンを大事にしてたほうがいいですよね。もちろん3年でみんな卒業していっちゃったりするんですけど、未経験者がどんどん参入してくる。その時に、経験者に必ず聞くじゃないですか。

ということは、「絶対これがいいよ」と薦めてくれる状況をつくっておくのはとても大事です。ベビーとか、家とか、車とか、そういうものは本当にファンをつくっておいたほうがいいと思います。

いい経験を残すことで後続のファンを獲得できる

佐藤:そのファンをずっと継続する必要はないと思います。ただ、3年間の「これはすごくいい」という感情的なことも含めて、とくにベビーに対するその企業、ブランドの考え方をちゃんと共有できるようにして、根強いファンにしておくことがすごく大きなことだと僕は思います。……そういう質問じゃない?

質問者2:いや、すごい、やっぱりファンを大事にしていくというところなんですけど、(スライドを指して)このAからIのところで、どれが大事なんでしょうか。

佐藤:どれが?

質問者2:3年のファンをその後に継続させるという意味では、どのポイントが大事なのかというような。

佐藤:3年のファンというか、すごくいい体験を残しておくことによって、その後、次のお客さんたちが聞いてきたり、自分からも子どもが生まれたら「あそこのあれを使うといいよ」と言いたくなるとすると、どこなのか。というふうに見ていくと、たぶんいくつもありますね。……だと思います。

質問者2:ちょっとざっくりした質問になってしまいました。

佐藤:いえいえ。

青木:学校のマーケティングとかと近いような気がしますよね。OBとかOGみたいな人たちを大事にすると、結果論として学校ってマーケティング的に良くなるじゃないですか。そういう意味では、卒業した人を、卒業後は関係のなくなる人としてとらえないことが、入口としては1個ある気はします。

佐藤:そうですね。

高山:ありがとうございます。

ファンミーティングが上手くいかない時は

高山:では、他の方いかがでしょうか?

(会場挙手)

高山:じゃあ、あちらの方お願いします。

質問者3:今日はありがとうございます。今、刃物メーカーに勤務しておりまして。

佐藤:ハモノ?

質問者3:刃物メーカーですね、包丁とか。一昨年ぐらいから、うちでもファンミーティングを開催しております。だいたい10人ぐらいの規模で、各地方を回って、このへんにいるメンバーでやってるんです。

先ほど、「ブランドの価値はファンに聞くのが一番いい」とおっしゃってたんですけど、短いファンミーティングの中で「なんで好きなんですか?」と聞いてもなかなか出ない、というのが現状としてあります。

先ほど奥さんに例えられてたと思うんですけど、奥さんに「僕の何が好きか?」と聞いても、たぶん2、3時間で出てこないのかなと思うんですけど(笑)。

(会場笑)

青木:「忙しい!」とか言われてね(笑)。

(会場笑)

質問者3:「好きだからこそ出てこない」ってあると思うんですけど、そういう時の魔法の言葉じゃないですけど、引き出し方みたいなコツとかあれば。

佐藤:それ、どういうふうにファンミーティングやってらっしゃいます? 最初の入口とかどうやって……、入口というか、最初は例えばクイズしたりとかいろいろやるんですか?

質問者3:そうですね、クイズはやってますね。

佐藤:クイズをやった後、何をやりますか?

質問者3:クイズの前に、家庭用品を出してるので料理教室を簡単にやります。最後、インタビューというか、グループディスカッションみたいなのをして、それぞれに聞いたりするんです。「いい会だったよね」とはなるんですけど、ブランド価値までは僕らも導き出せてないな、というのがあるんです。

具体的な質問をうまく投げて反応を引き出す

佐藤:一応もし……、そうですね、ブランドとかジャンルによるかもしれませんけど、ファン同士が会って、普通に放っておくと、意外と盛り上がるは盛り上がるんですけど、そこで「どういうあたりが好きか」という言葉があんまり出てこないのであれば、「実は私ってこうなんだけど、そこはどう思う?」と、奥さんだったらね(笑)。

(会場笑)

佐藤:なにか、「自分たちはこういうふうに考えています」と。それで、「こういう価値観で物をつくっています」、もしくは技術者なんか出てくると、「こういう思いで、毎日こうやって削ってるんだよ」みたいな話とかを、ちゃんとこう。

ある種のプレゼンテーション的なことを、堅苦しく上から登壇とかそういう感じじゃなくやっていくと、反応としてリアクションが出てくると思います。そこらへんですかね。

例えば、日用品とか飲食だったりするとリアクションは非常に出やすいんですけど、刃物でそういうのが出にくいのであれば、自分たちの非常に大事にしてる姿勢とか、そういったのを1回相手に当ててみて、そのリアクションから話を盛り上げていく、ということが必要かもしれないですね。

青木:さっきの奥さんの例えにすると、「俺の好きなところどこ?」と聞いて、「うるさい。忙しい」と言われて、「例えばさ、こういうとことか」と聞いていくと、明らかに「あ、そうかも」という反応をするみたいなことがあったら、そこはチャンスみたいな感じじゃないですか。

だから、今おっしゃったように、こっちから「これ、これ、これ」というよりは、うまく投げられると、人間ってすごく正直だから、当たった瞬間ってけっこう明確で、「あ、これかも」みたいなのは(あると思います)。

僕も今までいろんな、別にファンミーティングにかぎらず、社員とかでもそうですよね。ざっくりした質問で「うちの会社さ、今後どうなったらいいと思う?」と言ったりすると、もうフワッとしちゃうじゃないですか。

でも、「例えばさ、こうなったらどう思う?」というふうに深堀ると相手のリアクションとして、明確に違うものが出てくることはあるので、それは1つありかなと思いますね。

佐藤:本当にそう思います。

質問者3:ありがとうございます。

高山:はい、ありがとうございます。