東北コピー販売の「A+C=B」

高橋剛氏(以下、高橋):東北コピー販売代表取締役を務めます、高橋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

「A+C=B」という少し変わったタイトルをつけさせていただいております。そして今日みなさまにここでお話をさせていただきたいことは、ずばり「成長」、これに尽きます。最終的にここに着地ができるようお話を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

話に入る前に、簡単に会社の紹介をさせてください。福島県福島市に本社を構えております。郡山市にも事務所がございまして、この2拠点で福島県全域のお客様の対応をさせていただいております。ちょうどこの3月から39期目に入りました。主な業務内容としては、画像機器の販売とサポートをさせていただいております。

高速の飯坂インターチェンジからすぐ近くですので、もしお近くにお越しの際はお立ち寄りいただければ、弊社の若い女性が淹れるおいしいコーヒーが飲めるかなと思いますので、ぜひお立ち寄りください。

今日、2つお話をさせていただきたいと思います。今までのお話とは少し変わって、本当に地味ですが、一生懸命やってきた業務改革の話、そしてkintoneをどうして入れるか、導入したかの背景。2つ目は、その導入後の効果と工夫の部分。この2つに話をまとめていきたいなと思います。

コピー機の重要性に変化が生まれた

まず1つ目の背景の部分ですが、私たちを取り囲んでいる業界の環境。ここにいらっしゃる方はおそらく「コピー機を使ったことがない」という方はいらっしゃらないと思います。

コピー機が発売をされて何年経っているか想像がつくでしょうか? おおよそ40年以上が経過をしています。その間に、アナログからデジタル、モノクロからフルカラー、この機器の進化に伴って、この業界、そして弊社も大きく成長してまいりました。

紙文化はまだまだなくなってはおりませんし、ほとんどの企業様ではこの紙が情報の資産でとても重要なポジションを占めていたと思います。そして、その情報資産を出すアウトプットの機械、それはコピー機です。

このコピーは少し前まではオフィスの主役でした。そして必要不可欠なものでありました。しかし、ここおおよそ20年の間に、インターネットの普及、ITの劇的な進化によって、私たちが置かれる立場・環境はガラリと変わりました。おそらくまだコピー機は必要不可欠な存在ということは変わりませんが、主役では当然なくなり、脇役になっています。

ただ、私たちがコピー機を取り扱うだけではなく、このITが進化をすることによって、パソコン、サーバ、ソフトウェア、今となってはクラウド商品、取り扱う商品はものすごく増えました。そして管理をする情報も増え、今までとはまったく違う取り組みをしなければ生き残れない。そんな時代に差し掛かってきています。

そんな中でいろいろと問題・課題が出てきました。ここに赤文字で「?」で書いてあるもの、これは私たちが営業する上で必要な情報です。ただ、残念ながら私どもの会社ではこれを瞬時に出す仕組みがありませんでした。紙で残っている部分、誰かがExcelで打っている部分、あとは頭の中にある部分。これをまとめることは考えたこともなかったのかもしれません。

そして、先ほど言ったとおり、コピーだけでも大変なのに取り扱う商品はどんどん増えていきました。私たちが管理をする情報は2倍、4倍、8倍とどんどん増えていったのです。

そしてここに今書いてある「?」マークは、お客様からも求められることが多々あります。「うちのコピーいつ入ったんだっけ?」と聞かれたときにすぐに答えられない。ひどいときはお客様に回答するのに2〜3日時間を要する。そんな問題・課題が見えていました。

継ぎ接ぎの解決策では限界がある

弊社どもで今まで話してきた課題をなかなかまとめきれない。もちろん販売会議等々で「これからこんな戦略でやっていくよ。だからこのリスト出してよ」。もちろん営業をやられている方であれば、こんな業務があるというのは、重々ご理解いただけるのではないかなと思いますが、今までお話ししたとおり、紙のデータだったりExcelのデータだったり、まとめるのが本当に苦労をしていました。

ですので、営業はそれを指示するたびに、そのデータをまとめなきゃいけません。でも、なかなかまとまらないんです。結局、お客様に行く前に疲労感たっぷり。モチベーションは低下。一番最悪なのは、上司に提出をしたらやり直し。疲弊し、とてもじゃありませんが、仕事を前向きにやる、そんな状況ではありませんでした。

ただ、それを指をくわえて見ていたわけではありません。問題が起きるたびにその問題を解決し、潰しこんできたつもりでした。でも、よく考えると、継ぎ接ぎの解決策をやっているだけでなんの連携もせず、その連携から生まれる連動もありませんでした。もちろん、お客様に聞かれる質問・要望には答えられません。

このままではいけない。自分たちの働き方を変える必要がある。どうすればいいのだろう? 今まではお客様に向かうまでに一生懸命インプットをしていました。これを逆転しなくてはいけない。少ない時間・少ない能力でお客様に大きなメリット、最大限の提案ができる。そしてお客様からも最大限の対価をいただける。そんな働き方に変えていかなくてはいけない。そう思いました。

そこで導入にいたったのがkintoneです。今までのお話のなかで、すでにkintoneを導入されている方、検討されている方、いろいろだと思います。入れていてもなかなかうまく使えない、四苦八苦している部分はもちろん私にもあります。今も四苦八苦しています。ただ、そのなかで少しうまくいっていること、工夫をしていることをこれからお話をしていければなと思います。

kintoneの「クルクル回るアプリ」

「まずは会社の状況を把握する」。手前どもは販売・管理のシステムとkintoneが今連携をしています。ですので、今、会社の月次の売上が表示されるようになっていまして、一人ひとり、営業の四半期の売上がグラフ化をされています。

これでまず、今までなかなか「いま会社がどういう状況なんだろう?」というのがわかっていなかったことを共有しています。今、全体で約40〜50のアプリケーションが動いているのですが、今日は営業に特化してお話をさせていただきたいなと思います。

「クルクル回るアプリ」。これは本当にクルクル回るわけではありません。本当に回ったらそっちのほうがすごいなと思うのですが、あくまでも概念。弊社でもでこういう概念でアプリを使おうという意味の「クルクル回るアプリ」です。いろいろなお客様にお話をさせていただいております。

ここにある「お客様管理」が中心にありますけれども、この中心にここにあるアプリケーションが関連レコードやルックアップですべて紐付いています。

私たちの業界ですと、お客様の視点、お客様に入っている機械の視点。また、コピーには保守料が発生しますので、その保守の目線。また売上の目線。

こういった目線でお客様を見る。または機械を見る。これからの営業の展開を考える。そういったことができるように、この中で、ある意味ではネットサーフィンをしているような感覚で、営業はいろいろな情報を吸い上げています。

お客様管理アプリから1つのお客様を選択すると、一番上段にお客様の基礎情報がみれます。そして日報、今動いている案件、入っている機械。そして、1年間の売上情報が出るようになっています。

ですので、お客様管理でお客様を検索してみると、そのお客様の動きが全体的にすべてわかるように作り込んでいます。ここから気になる情報を見にいくと、機器の情報のアプリに飛んでいったり、ほかのアプリに飛ぶことができるように作り込んでいます。

機器情報のアプリで細かく仕分け

次は機器の情報の「機器の視点から見てどうなんだろう?」。機器情報のアプリを見ると、こと細かく色分けをしています。基本的に機械を売る、機器を売るのが仕事のメインですので、どうしても機器は壊れることがあります。それが入れ替え時でもあるのですが。

「その機械入れて何年経ったんだろう?」「どのぐらい経つだろう?」「いつ入れたんだろう?」ということがひと目でわかるように色付けをしていたりします。それで営業の頻度を転化するようなアプリケーションを作り込んでおります。もちろん、ここを開けば、いつ入ったか、売上はいくらで売ったのかなどがすべてわかるようになっています。

先ほど「機械には保守料金があります」というお話をさせていただきました。それをまとめたアプリケーションも作っております。何年の何月、あるお客様のこの機械が何枚プリントアウトしたのか、いくら手前どもで請求をしたのかがすべてわかるようになっています。

機器情報は基盤と連携をしております。ですので、この機器情報の基盤を叩くと、これから向こう3年間のデータが表示をされるようになります。これが過去3年分全部データで振り返えれるようになっています。ですので、お客様から問い合わせがきたときにすぐにこれを見ればお答えすることができるような環境に、今、私たちの状態はなっています。

リマインダ機能を有効活用

今、ここまでは今お客様に入っている情報をお話をさせていただきました。次はそのお客様に対して新しい提案をする際のアプリケーションです。「見込み管理」というアプリケーションですが、これはお客様の管理、お客様管理とルックアップで連動して表示をさせていただいております。

いつどのぐらいのタイミングで決定をするのかが、「決定予定時期」という時期が入っております。1日過ぎるとうちの営業に「決定時期が過ぎましたよ」とリマインダがあがるようになっています。ケツを叩くという意味でバーンとあがって「ああ、そろそろやらなくちゃいけないな」ということです。

また、決定済みのときに「祝」という赤字。自分で自分を褒めてあげたいというわけではないのですが、決まったときに自分で「祝」にチェックをすると赤くなる。

それを見ると自分も少しうれしいし、周りも「あっ、決まったんだな。よかったね」という少し和やかな雰囲気、モチベーションがみんな上がってくるのかなということで、こんな仕事のなかでも楽しさを忘れないように作り込みをさせていただいております。

冒頭に「一人ひとりのIDに顔写真がついていますか?」という話がありましたが、写真も一応ついております。今日ここにうちの社員1人だけ来ているのですが、その社員は十数年前の写真を使っているので「お前ずいぶん太ったな」みたいなことを言ったりすることもあるのですが(笑)、そんなことで多少のコミュニケーションが取れていたりするのかなと思います。

こんなかたちで「クルクル回るアプリ」を使いながら業務改善をしてまいりました。結果として、ここに入ってきます。今まで非常に時間がかかっていた情報のまとめをすること、これがkintoneを使うことでだいぶ緩和されました。お客様に向かう姿勢が整いました。

クリエイティブな時間が増加

アクティブな部分。いろいろな情報がミックスをされ、それを見ることで創造性が湧き、「このお客様にはこんな提案をしたらうまくいくのではないか」。そんなクリエイティブな仕事。このA+Cを足すことで、これは言い方がもしかしたら間違えているかもしれませんが、東北コピー販売バージョンのビッグデータが少しずつ増えてきています。

このビッグデータをしっかりと分析、今することで、一人ひとりの営業のパフォーマンスが変わってきています。そのパフォーマンスがよくなり、私たちの今あるお客様にはベストパートナーとしての認識、意識が芽生え始めてきているのではないかなと自負をしております。

このA+C=B、「そして、成長へ」とあります。このkintoneを使って業務改革したことで、社員の成長を感じることができました。それは、今まで疲弊していた部分がこのkintoneを使うことでいろいろなことができるようになったこともそうですが、「自分はもっとこうしたい。こういう業務改善はできないのか?」。

そういった問題の意識を持ってくれるようになりました。そのことでコミュニケーションが生まれ、こうすればもっとお客様にお役に立てるのではないか、そんな成長を感じ取ることができました。

それが最終的に私たちが今担当しているお客様にも響いてきています。自分たちががんばってやった業務改善、業務改革。その自信をそのままお客様に生の声でお伝えをすることができています。今までは「伝えたつもり」でしたが、このkintoneを導入してからはお客様にしっかり伝わる営業活動ができていると自負をしています。

これからしっかりkintoneを使い込んで、さらに成長して、この業務改善の場を福島から広げていきたいなと思っております。

拙い話になりましたが、ご清聴いただきまして、誠にありがとうございました。

(会場拍手)

スタッフたちと活発なコミュニケーション

伊佐政隆氏(以下、伊佐):ありがとうございました。先日訪問させていただいたんですけど、すごく社員の方が若いですよね。

高橋:そうですね。平均年齢が今34歳ですかね。

伊佐:そうですよね。20代の方も多い印象だったんですけど、みなさんが成長して問題意識を持ち始めているのは、すごい話だと思いました。

高橋:やはり変わってきているので、お客様にも聞いてきている部分もあるかもしれないのですが、自分でも「もっとこうなったら」「うちの場合どうなるんですか?」「こういうふうにできないですか?」という疑問を本当にぶつけてきてくれます。

それですぐkintoneでは解決できたりするので、自分の言ったことがすぐ反映することでもモチベーションが変わってくると思っています。

伊佐:なるほど。たかだかシステムなんですけど、その成功体験というか、若い従業員の方の成功体験につながっているのはすごいおもしろい話だなと思いました。

高橋:ありがとうございます。

伊佐:最初は高橋社長が自分で全部アプリを作っていたんですよね?

高橋:そうですね。

伊佐:今はまた変わっているんでしたっけ?

高橋:はい。今は社員が自分で作れるようにもしてありますし、逆にお客様から聞いてきたものを「そのままkintoneのアプリで作ってみたらどうなるの?」といって、お客様向けを作ってみて、それをお客様にお見せして、ということをしています。

伊佐:なるほど。じゃあもう思考のトレーニングとしてもkintoneを使っているので、業務改善だけじゃないんですね。

高橋:はい。

伊佐:この発想はおもしろいかもしれないですね。僕らもパートナーさんが主催された「キッズワークショップ」という小学生向けの問題解決のロジカルに考えるワークショップをやった時に、お手伝いにいったことがあるんですよ。

小学生でも簡単に、「この問題を解決するための情報共有の仕組みを作ってください」と言うと、kintoneでバーっと作ってスマートフォンでなにかデータ入れることをやります。やはり発想のブロックを用意してあげるようなイメージで使ってもらうのがおもしろいのかもしれないですね。

高橋:そうかもしれないですね。

kintoneの輪を福島でも

伊佐:今日うかがってて思ったのが、まとめる作業がすごく無駄だなと僕自身は思うんですけど、やっているとなんかまとめることはすごい仕事した気になるじゃないですか。

高橋:(笑)。

伊佐:なにかお客さんから聞かれて、「あー、うちは入れたんだっけ?」とか聞かれたのをバーっとまとめて、「わかりました。全部わかりました」みたいな感じでまとめるのは、仕事としてはすごい充実感もあると思っちゃうんですよね。

高橋:違うところで達成感を味わってしまって。

伊佐:そうなんですよね。

高橋:まだ今月始まってないのに達成感を味わってしまっているので、それはよくないなと思いながら。

伊佐:これに気づくのが難しいなと思うんですけど、高橋さんはどこで「こんな仕事をやめさせたい」「もっとクリエイティブなことに仕事の時間使わせたい」と思ったんですか?

高橋:震災の前ぐらいからは少しずつ感じていて。「もう時代が変わっているのに自分たちがぜんぜん変われないのはなんでなのかな?」と感じると。

伊佐:やはり少し目線を外に外に向けて情報収集されているんですかね。

高橋:kintoneにいたるまでもいろいろなところに行っていろいろな話を聞いて「どれが一番いいんだろう?」と考えた時に、一番はやはり直感力で「これだったらいけるな」というのがkintoneだったのは大きいですね。

伊佐:なるほど。ありがとうございます。次にチャレンジしたいことがもしあれば、1つ教えてください。

高橋:そうですね、今少しずつこの福島にもkintoneを導入しているお客様がいらっしゃるので、福島でもkintone Caféのようなものをやって、業務改善の場をどんどん広げていきたいなと思っています。

伊佐:いいですね。kintone Caféは有志の勉強会です。どなたが主宰いただいてもかまいませんし、誰かが主宰しているところに参加するのでもいいと思うんですけど、有志の勉強会というのも全国で広がっていて、ぜひそれも福島でやっていただけるとありがたいなと思いました。本日はありがとうございました。

高橋:ありがとうございました。

(会場拍手)