2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
kintoneが研究室の一員になるまで(全1記事)
提供:サイボウズ株式会社
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大嶋智子氏(以下、大嶋):本日はこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。私は大阪産業大学デザイン工学部情報システム学科4年の大嶋智子と申します。よろしくお願いいたします。
小さい頃から飛行機が好きなんですけど、展望デッキでただひたすら滑走路を眺めていて、気づいたら1時間がとうに過ぎていたことや、着陸だけをただひたすら下から眺めることもあります。
さて、理系の大学を卒業するためには、卒業研究をして論文を提出しなければなりません。私はテーマとしてkintoneを選びました。
学会での発表は体験いたしましたが、その発表をここでしてもなにもおもしろくありませんし、私も難しい話はしたくありません。ですので、私と研究室の仲間たちで考え、去年10月からのできごとをお伝えすることにいたしました。
2016年10月、私たちは研究室に配属されました。研究室に配属されてすぐの頃は、まだ研究に関して右も左もわかりませんでした。週に1度、週間報告が行われるんですが、先輩が研究に対して先生に怒られているのを訳もわからず見ていただけです。
正直、今でも思いますが、私は卒業を認めてくれさえすればよかったんです。ですが、課題を探して研究を進めないと、先生たちは認めてくれません。kintoneのポスターにあるように、「結果を出さんかいおじさん」「はよ帰ろうやおじさん」も大学にもいます。
まだ課題をずっと探していたのですが、課題を探しているうちに年は明けて、落第してしまった先輩が出ました。
それとほぼ同時に、先輩のコナミさんの研究成果が発表されました。なんと、「kintoneのログイン数と卒業研究の成果が相関関係にある」というのです。落第という現実を目の当たりにした私は、ただ単純に現実が怖いと思いました。私の同級生たちも、落第という現実を受け止められずに落ち込んでいる先輩の姿を見て、恐怖を感じていたようです。
同じように先輩のモリタさんのことも報告されました。モリタさんは家庭の事情で、半年ほど大学に来ることができませんでした。しかし、こまめにkintoneにログインし情報をインプットしていたことで、大学に来ることができるようになってから、それまでテレワークで勉強していたことを活用して研究を続け、卒業されました。
ログイン情報と研究成果の関連があるということから、「つくる」より「つかう」。ログイン数を促すことを課題とし、私は研究を始めました。
大嶋:その頃、天敵のT先生にも変化が見られました。「これからはチームで研究を進めていってよ」と言い始めたのです。どういう風の吹き回しかはわかりませんが、それまで相撲部屋のような「親方弟子の関係」から、共同して研究を進められることが認められました。
4月、私は同級生たち4人とハッカソンに挑戦しました。イベント参加までの準備や、大会内で作成したアプリのデータ共有にスペースを活用しました。後々、ここでkintoneの大きな役割を担うことになるキャラクター「ピヨちゃん」が生まれました。
また「朝、研究室が開いてなかったとき、鍵を取りに行くの面倒だよな」「kintone上で研究室の状況がわかったら、鍵を取りに行く手間も省けるよな」という声が聞こえてきました。
確かに、鍵を取りに行くためだけに建物の中を昇り降りするのは面倒です。そこで生まれたのが「もしもしピヨちゃん」です。IoTによる入室確認アプリのことで、研究室を利用する際は常に照明を点けているので、照明が点いているか否かで状況を判断できます。照度センサとラズベリーパイで作成しました。
これで、ポータルのお知らせ部分で、ピヨちゃんが在室か不在かを知らせることができました。kintoneでは、わざとメールの通知機能を付加させていません。状況を確認するにはログインするしかないので、ログインを促すことができます。
朝起きて、kintoneにログインして状況を確認するとともに、自分宛てのコメントが届いていないかどうか、タスク漏れがないかどうかなどを確認することになります。この機能1つで、鍵を取りに行く手間を省くこと、ログインを促すことの2つの目的を果たすことができました。
大嶋:1月から2月は、就職活動を行っていました。就職活動が終わった頃、当時運用していた日報アプリに不満がありました。卒業研究と就職活動の内容を混在して記入していたためです。
卒研内容であれば知識のインプットに使用したいですし、就活内容であれば企業研究やその企業の採用フローなどを把握したいです。先輩がストックした情報は、私たち後輩にとっては大変貴重なものです。それが混在して閲覧しにくいため活用されないのはもったいないなと思ったんです。
そこで10月、私は新規配属された後輩のために、就活報告アプリを改良しました。どの先輩がいつ、どの会社でどんな活動をしていたのかがわかります。私は、就活企業リストを作って、過去にメンバーがアクセスした企業の情報と連携させました。
就活報告に入力する際、企業名欄はルックアップで選択でき、入力ミスを防ぎます。また、就活企業リストの詳細ページにはその企業の報告が一覧表示され、活動日付順に並んでいます。ネット上にあるきれいな情報よりも、後輩にとってより身近で、よりリアルな情報源となるのが大きな特徴です。
改良の際、私なりに少し苦労しました。まず日報から19人、約15ヶ月分のデータを引き出します。今まで混在していただけあって、それはそれは面倒くさかったです。しかし後輩のためと思い、1ヶ月ほどで洗い出しを行いました。
いざCSV入力と思いましたが、すべての報告者が私になってしまったのです。どうやら、このフォームでユーザー名の入力を自動入力にしていると、CSV入力した私になってしまうようです。
さてどうしたものかと思ってさらに調べてみると、ユーザー選択であれば補えるということだったので、これを使って完成させました。今後このアプリは、後輩の就活実践に役立つことと思います。
大嶋:また、こんなこともわかりました。これは、チームで研究を進めているアオヌマくんの分析です。日報では、先生のコメントに対して、普通は「早く返事しなければ」と思いがちですが、ただ早く返事をすればいいのではなく、きちんと返事をすることが成果につながるということを示しています。
本研究室では、学生一人ひとりが学会など、対外で研究発表をすることが目標であり、卒業条件となっています。去年に比べ、今年の発表件数は増加する見込みです。私も8月末、学会で研究発表を行いました。しかしそのときは、こんな質問を受け、こんなことを思っていました。
IoT連携による「もしもしピヨちゃん」や「就活報告アプリ」など、親切機能を紹介しました。しかし、kintoneのログイン情報と卒業研究の成果の関連、テレワークはkintoneの標準機能で十分実践できたわけです。
今日もっともお伝えしたかったことは、「つくる」より「つかう」。kintoneの実践は、大学でテレワークでも研究する、学び方改革なのです。
今日は私のために、研究室の仲間たちが応援に来てくれています。チームで就活の、卒業の壁を越える。kintoneは、そんな私たちの仲間なのです。
今年10月に、3年生が新たに配属されました。今後kintoneを後輩に引き継いでいくことになります。卒業研究や就職活動を円滑に進めたいはずです。kintoneを今よりもよりよく改善し、より質の高いコミュニケーションをしてくれることと思います。
以上になります。ご清聴ありがとうございました。
(会場拍手)
伊佐政隆氏(以下、伊佐):大嶋さん、ありがとうございます。ちょっと質問してもいいですか?
大嶋:はい。
伊佐:ログインをしっかりしている学生さんは卒業しやすい。
大嶋:そうですね。今までの分析だと、ログイン数が多いほうが。
伊佐:なので、ログインをするようにもしもしピヨちゃんを作って、研究室の鍵が開いてるのか開いてないのかというのをわかるようにした。そうすると、みなさん毎日ログインして全員卒業できるよという、そんな流れだったんですか?
大嶋:そうですね。だから、研究室が開いているか開いていないかをまず確認して、私のモチベーションとしては、「研究室に誰かいるわ、じゃあ行こうかな」という気持ちにもなるので、そういうメンタル的な意味では、卒業研究を進める糧にはなるんじゃないかなと。
伊佐:でも、すごくおもしろいなと思ったんですよね。kintoneにログインをすると、先生からどんなことを言われているのかとか、仲間がどんな活動をしているのかが見えてくるので、必然的にやる気になるんでしょうね。活動意欲が湧いてくるというか。だからログインすると卒業に結びつくんだろうなと思ったんですけど、「来年はこんな取り組みがしたい」ということはありますか? 来年は後輩に託していくところだとは思いますけれども。
大嶋:やっぱり、リアルのコミュニケーションでは勝てないところがまだあるので、コミュニケーションをもっと円滑にできるような機能を作ってもらえたらなと思っています。
伊佐:スマートフォンとかは使ってるんですよね、もちろん。
大嶋:はい。
伊佐:そうですか。どんな機能がいいですかね?
大嶋:どうでしょう。それは、後輩とかがまた使ってみて、新たなアイディアが出てくるかもしれないです。
伊佐:そうですね、ぜひ教えてください。今日は、仲間はどのへんに座ってるんですか?
大嶋:あそこです。
伊佐:すごい、垂れ幕が用意されてますけど、見えます? (垂れ幕を読んで)「おおしまがんばれー!!」。
ありがとうございます、みなさん。緊張しましたよね、本当にお疲れさまでした。改めまして、ありがとうございます。大嶋さんに拍手をお送りください。ありがとうございました。
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