2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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記者1:共同通信のイガラシと申します。川邊さんに1点だけうかがいたいと思います。先ほど、スマートフォンの会社に加えてデータの会社になるというお話がありましたけれども。データの会社というのがちょっとよくわからない、わかりにくいものでして。
どのような事業を新たに手がけていくのか、どのようなコンセプト、指針を持ってらっしゃるのか。もう少しデータの会社について解説していただけますでしょうか?
川邊:ヤフーはこの21年間、サービスを通じて莫大なデータを蓄積してまいりました。この度そのデータの力をもっとより解き放っていきたいと考えております。
なので新規の事業を行うというよりかは、今あるヤフーのサービスをそのデータの力でますます便利なものにしていきますし、ますます効率の良いものにしていきたいと考えております。
おそらくこの20年で、さまざまなビジネスをされている会社の中でインターネットを取り入れなかった会社というのはないと思っているんですよね。
その中で、ここから先はインターネットを取り入れる上にそこに蓄積されたデータを利活用していく、いわゆるデータ・ドリブンなインテグレーションをしていくということが大変重要ですし、そちらに価値が移っていくと思っております。
なのでそういったデータの力を解き放って、今の我々のビジネスをより大きくしていきたいなというような構想を今持っております。答えになっておりますでしょうか? 大丈夫でしょうか?
記者1:具体的に「データの力を解き放つ」というのはどういった事業を念頭においていらっしゃるのか、もう少し具体的にお願いします。
川邊:はい。繰り返しますけれども、われわれが今お客さんに対して提供しているサービス、それ自体はデータの力でもっと便利にしたり、もっと効率的にしたり、もっと効果的にすることが出来ると思います。例えばわれわれの基幹事業の1つである広告事業ですけれども、この広告事業の広告主から見たときの効果をデータの力で最大化することが出来ると思いますし。
もう1つ、われわれが提供しているeコマース事業。こちらでも、「あなたが今欲しいものはこういうものなんじゃないですか?」というおすすめをする際に、現在のデータの利活用の力よりも、これからわれわれが具体的に行っていくデータの利活用を強めていくアプローチによって、「ちょうどそれが欲しいと思ってたんだよ!」ですとか、あるいは「今の自分にはこれはわからないけど、言われてみれば確かにこれも欲しいかも」といったような、サジェストをすることができるようになってくるのではないかと思っています。
それは、取りも直さず他の企業にも適用できるようなことですので、他社に対してもそういったデータの力を解き放つような支援をしていきたいと考えています。
記者2:日経新聞のモロトミともうします。お二方にうかがいたいと思います。先ほど宮坂社長のプレゼンの中で「新しい山」というフレーズがあったかと思います。これからヤフーが登ろうとしている山って、どういった山なんでしょうか? また、そこに行くために今ヤフーに欠けているもの、これから必要になるものというのはなんでしょうか?
もう1点、そこに関連するかもしれませんが、海外の事業の今後の見通しを教えてください。
宮坂学氏(以下、宮坂):じゃあ私のほうから。「新しい山」と例えで申しましたけれども、今川邊が言ったように「データで事業を伸ばす」という挑戦になります。もちろん今もデータを使って広告の商品を提案したり、eコマースにピッタリな商品を提案したり、ニュースを提案したり、検索結果の改善をしたりということをやっているわけですけれども。
今後ますます、せっかくいろんな種類のデータを持っているのがヤフーの最大の力ですから、いろいろ持っているデータの力を使って、事業・サービスをよりよくしていくと、もっともっと具体的にできるようにしていきたいというのが、われわれが今後挑戦すべき大きなテーマだと今は思っております。
2つめは海外ですか? ちょっと聞き取りにくかったんですけれども。
記者2:1個目の関連として「データの事業をするめるために、今ヤフーに足りないもの、これから強化していくものはなんですか?」というのが1.5個目の質問になります。そして、2つめが海外の事業です。合わせてお願いします。
宮坂:わかりました、ありがとうございます。データで伸びる会社にしていこうと、スマートフォンのインターネットの会社からデータの会社になろうというのは、実は前々回の社員大会の時くらいからコンセプトとしては打ち出していました。それから着実に挑戦をしていて、社内の環境の整備とか、かなりいろんなことをやって来ましたが、まだまだ具体的な大きな成果を出すには、それこそあらゆることを挑戦しないといけないと思います。
2012年当時「スマホシフトをやろう」と言った時に、あの手この手で手数をものすごく出しましたけれども、多分新しいことを同じくらい手数を出していくことになると思います。そこについては、新しい社長の川邊のほうが今後じっくり戦略を練って、どう登るかということを決めていくことになると思います。
そして、海外のことについては、Z(ゼット)のほうではひょっとしたら、という気はしますけれど、今のところZコーポレーションのほうでどういう事業で具体的にやるかについては、今は検討中でございますので、決まり次第、サービスが始まり次第みなさまにご報告できればと思っております。
川邊:追加的に申し上げますと、足りないものと目指す山ですよね。まず、目指す山に関しては、スマートフォンにおけるインターネットの最も大きい会社に加えて、データ・ドリブンカンパニーになりたいと。これが1つの大きな山ですけれども、やはりITですとかインターネット産業というものの未来というのは、まだまだ可能性が大きいので、未来をとにかく作りに行きたいというふうに、今は考えています。
そして足りないところは、先ほど宮坂が申し上げた点に加えて言うならば、そういった未来を作りに行くというところにおいて、既存事業にこだわらない形でのヤフーの新しい戦略、これを策定する必要があるというように思っております。そして海外のところは、あらゆる可能性をわれわれとしては検討しておりますので、ぜひともチャレンジをしていきたいなと思っております。
記者3:日経BPのタマキと申します。宮坂さんと川邊さんに、1問ずつお尋ねします。
1点目です。データの会社になるという新しいミッションを、宮坂さんではできなかったのでしょうか? 宮坂さんではなく川邊さんに託す理由を、うかがいたいです。
2点目です。宮坂さんに比べて、川邊さんの強みを教えてください。とくに、このミッションを達成するにあたり、ご自身の強み・特徴・キャラクターといったものを、どういうふうに分析しているかをお聞かせください。以上です。
宮坂:新しい挑戦のテーマ「データで伸びていく会社になろう」にあたり、誰の指揮下でやるかという、いろいろな選択肢がありました。最終的に、複数の候補者の中から川邊健太郎を選んだわけですが。
自分が引き続きポジションをもってやっていくということについては、考えてはおりました。ただやはり、今から申し上げる理由によって、ここは変えたほうがいいと考えました。
まず1つ目は、組織というものは、放っておくと徐々に平均年齢が上がっていくものだと思っております。生き物みたいなものですよね。なので、自分自身も常に「迷ったときには、若い人の意見を聞こう」ということを、言い聞かせていたわけなのですけれども。
今回も正直、悩みや葛藤がゼロだったかというと、そうではないのですけれども。それでも今まで自分が思ってきたとおり「迷ったときには、新しいジェネレーションの人に任そう」と。
前の社長は1950年代生まれ、僕は1960年代生まれなのですが、今度の彼(川邊氏)は1970年代生まれなんですよね。そうやって、僕は44歳で社長になったのですけれども、当時の井上(雅博)さんも相当迷われたと思うんです。
彼(川邊氏)は43歳ですけれども、ここであえて時計の針を1つ進めることもできますので、あえて若い人に任せていきたいし、これからもそれをある種のカルチャーにしていきたいという意味で、(この人選を)しました。
宮坂:2つ目は、一方でスマホシフトといったEC革命・EC強化とありました。もちろんできたところもありましたけれども、私自身のリーダーシップ不足の課題も、正直あると思います。なので、そういったことをやるためには、いったんリーダーシップを交代して、私のやってきたことの否定も、当然必要になると思います。
新しいことをやるのと同時に、今やっていることの棚卸しも含めて、リーダーシップの交代をしたほうがいいのかと思いました。以上です。
3つ目は、私も今年、ちょうど50歳になったわけですけれども。ヤフーにもベテランの社員が徐々に増えてきています。これからの企業というのは、若い人もベテランの人も、ともにダイバーシティをもって働く時代がくると思います。
そのときに、自分自身としては、若い人は成功体験を積むことが大事だと思います。より成功確率の高い大きな事業を任せていく。ベテランというのは、私も含めて、ある程度の成功体験を積んでいますから。
成功体験を積んだ人は、むしろ失敗リスクの大きい、新しいチャレンジングなことをやっていくべきなんじゃないかなと思います。ベテランが成功体験にしがみついて、若い人だけが難しいことをやって失敗するということは、妙なことだと思います。
若い人は、成功体験の高いところで新しい挑戦をして、ベテランは、より難しい・未知の領域にチャレンジしていくということを、ぜひヤフーの中でもやっていきたいと思っています。ある種、率先垂範して、自ら手を挙げてやっていきたいと思っています。
最後に、川邊も触れましたけれども、インターネット・PCから始まって、フィーチャーフォン・スマートフォンときましたけれども、やはり気が付いてみると、もっともっと新しいサービスやデバイスが、世の中に出てきています。
非常におもしろいタイミングだと思っておりますので、「こんなにおもしろいものを、人に任せていられない!」という思いがあり、こういうことになったということが、私の背景です。以上です。
川邊:2点目のご質問の「私の強み」ですけれども。宮坂と比較してという意味ではなく、私自身が「自分をこう考えている」というところから言いますと、やはりインターネットというものを心底愛しているということが、強みかなと思っています。
インターネットによって自分自身も育てられたと思っていますし、この分野・産業・インターネットが社会を変える力を心底信じておりますので、その可能性を実現していきたいという思いは、誰よりも強いかなと思っています。
そしてまた、これは私というよりも、私が選んだチームの強みになるかもしれませんが、冒頭のご挨拶で申し上げたとおり、インターネットネイティブ世代の経営陣だと考えています。さすがに、「生まれたときからインターネットがある」というほど、若くないと思いますけれども。
少なくとも、今回の新体制のメンバーは、社会に出たときに、初めからインターネットを使いこなしていた世代です。そうすると、インターネットの活用の仕方を最も熟知している世代ということですので、そこが強みになっていくのではないかなと思っています。
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