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小池百合子氏 記者会見(全2記事)

「残業ゼロ、満員電車ゼロを目指す」小池百合子氏が掲げる“東京大改革宣言”

東京都知事選挙への出馬を表明している小池百合子氏が2016年7月11日に記者会見を行い、改めて自身の政策について語りました。

3つの新しい東京を作る

司会者:幹事の日経新聞のイワムラと申します。ただいまから小池先生の会見を始めさせていただきます。まず冒頭にご説明いただいた上で、質疑というかたちで。あと、先生は後ろに予定がありまして、会見全体30分程度を予定しておりますのでご協力お願いいたします。

小池百合子氏(以下、小池):みなさまこんにちは。小池百合子でございます。このたびの東京都知事選にあたりまして、私出馬をすることといたしております。

何度かすでにご説明させていただいておりますけれども、改めまして私の政策についてご説明をさせていただきます。

まず、基本姿勢としての「東京大改革宣言」でございます。

これまでご説明をしてまいりましたものをまとめたものでございます。

もちろん、政策を実行していくためには環境を整えてまいらなければなりません。

そのために、都政の透明化。オリンピック・パラリンピック関連の予算。そしてその運営の適正化。行財政改革の推進。そして身を切る改革ということで、都知事の報酬の削減。

これらをまず基本的に抑えた上で、最後に特区制度の徹底活用という項目を設けさせていただきました。

そして東京の課題解決をし、成長を創出していくと。そのために3つの新しい東京を作ってまいります。

その3つの東京というのは、セーフシティ。ダイバーシティ。もちろんこれは英語になりますとSに変わります。そして、スマートシティでございます。

セーフシティについては、より安心し、より安全で、より元気な首都、東京を作ってまいります。

ダイバーシティ。これは女性も、男性も、子供も、そしてシニアも、障害のある方々も、みんなが生き生きと生活してそして活躍できる都市、東京にしていくということでございます。

3番目のスマートシティでございますけれども、世界のなかの日本、そしてその首都、東京でございます。

世界に開かれて、そしてかつ環境・金融・先進都市東京を作ってまいります。

災害に強く、安心安全な東京へ

まず、セーフシティでございますけれども、もっと安心、もっと安全、そしてもっと元気な人東京ということでございますけれども、もちろん首都直下地震の不安もございます。

東京は案外水害が多いということもみなさまご存知の通りでございます。そのためにもさまざまな防災策を練ってまいらなければなりません。

例えば、住宅や建造物などの強震化、耐震化、そして不燃化。2020年までに加速をしていきたいと考えております。

それから、これを私は以前からこだわっておりますけれども、無電柱化でございます。電柱、なかでも都道の無電柱化を加速してまいりたいと考えております。

それから、オリンピック・パラリンピックにも関連いたしますけれども、テロという観点もサイバーテロを含めまして、情報の国際的な連携などを進めることによって、このテロの措置、対応策をしっかり練ってまいりたいと思います。

それから、東京のいろんな財産がございますけれども、それは町会でございます。

地域のみなさま方が作っているこの町会組織をもっとサポートしていく。最近は組織率も減っているわけでございますけれども、町会に参加していただくことによって、例えば災害時にどこのおばあちゃんがどの部屋にいるといったことにおいて、私は町会という機能をもっと高めていくことが有効ではないかと考えております。消防団も同じように有効でございます。

それから、もう1つの財産が実は商店街でございます。商店街は都民のみなさま方の生活を支えている動脈と言ってよいかと思います。

こういった商店街が廃れますと、生活するみなさま方にとって大変な不便が生じてしまうということで、商店街の空き店舗をもっと活用するとか、そもそも事業承継がちゃんとできるような制度を高めてまいりたいと考えております。

また、多摩地区の格差という点も言われるところでございます。これについてもしっかりと目配りをしたい。

さらには環境大臣も務めましたことで、島嶼(とうしょ)地区のすばらしい自然をどう守りつつ、そこで住んでおられる方々の命を守るにはどのようにしていけばいいのか。こういった具体策をつめてまいりたいと思います。

それから、小さなことかもしれませんけれども、災害時には水やお湯などが使えなくなりまして、粉ミルクが実は使えなくなるんですね。

これは今回、熊本の被災地のほうにもお持ちしたんですが、私、フィンランド議員連盟の会長をやっておりますもので、フィンランド製の液体ミルク、常温で使えるものでございます。

ほとんどの先進国には、これがございます。しかしながら日本にはございません。そしてこれは、替え用の乳首が付いたアメリカ製のものでございます。

ですから、大きなことをやらなければならないですけれども、一人ひとりの命を守っていくためには、非常に細かい、細部にまで目が届くようなそんな都政にしていきたいと思っております。

オリンピックを契機にユニバーサル化を

2つ目がダイバーシティでございます。今、申し上げましたように、誰もが活躍できるそんな都市、東京を作っていく。

パラリンピックが今回初めて東京でも行われるということは、これはまさにチャンスでございます。ユニバーサル化を進めるという意味では、この2020年、東京オリンピック・パラリンピックを契機として、さらにさらに価値の高い、みんなが安心できる街作りを進めていく。このことをぜひとも進めてまいりたいと思います。

それから、やはり問題となっている待機児童でございますが、できる限りゼロに近づけるという努力をしていきたい。そのためには、場所の確保。空き家などを利用した小規模保育所なども有効でございます。しかし、そういった外側のものだけではなくて、やはりそこで働く保育士さんの待遇改善ということも進めてまいらなければなりません。

高齢者の問題もしかりでございます。箱物だけではありません。そこで働く介護士のみなさま方の待遇改善ということをしなければ、これからますます増えていく高齢者、行き場がない。そして建物はあるけれども、お世話してくれる人がいないというのは、これは大いなる問題、欠陥ではないかと思っております。

その予算につきましては、私はどんどん膨れあがっていると聞いております、オリンピック・パラリンピック予算をよく精査をして、そしてそのお金はそういった都民のために使っていく。そのためにも、先ほど申し上げましたように、オリンピック・パラリンピック予算、運営の適正化ということを表に出させていただいたわけです。

お子さんの話に戻りますと、私の地元・豊島区には「こども食堂」がございます。私もその場にまいりました。これまでお勤めをしておられました家主さんが、子供たちを集めて、そしてレギュラーで食事を提供しているという、実際にその姿も見てまいっております。

こういったかたちで、子供の貧困といったような大きな課題にも、心が伝わるかたちで、そして制度的にも持続可能なかたちで進めてまいりたいと、このように思います。

そして、保育施設、介護施設については、先ほど「外側だけあっても……」ということを申し上げましたけれども、でも、外側も必要であります。

課題となっておます、市ヶ谷の東京の都有地、これを韓国人学校に貸し出すという話でございますが、先日も行ってまいりました。

近所の方々から反対運動で1,500筆の署名が集まったということもうかがいました。また、地域のニーズもうかがいました。

そのためにも、保育所・保育施設、そしてお年寄り、高齢者の施設と合体させていく。これは国政においては、厚労省、文部科学省との高い壁がございますけれども、むしろ東京都だからこそ、都民のニーズに合った、そういった縦割りを廃していく。そのリーダーシップを握っていきたいと思っております。

高齢者、障害者の方々のために、ソーシャルファームを強めていきたいと思います。ソーシャルファームはみなさんあまりご存じないかもしれませんけれども、ヨーロッパには1万社ほどございます。例えば、刑を終えた方々の働き場所を単に税金をつぎ込むということだけでなく、その方々が経営を学びながら、自分たちで運営をして、利益を上げていくというものでございます。

すでにそういった例もいくつかございますけれども、このソーシャルファームをしっかりと後押ししていきたいと思います。

それから健康問題でございますけれども、健康寿命延伸のための予防医療に努める。それから、オリンピック・パラリンピックもございます。受動喫煙対策を推進していかなければなりません。

私自身母を自宅で看取ったという経験から、地域包括ケアシステムの後押しもしてまいります。

それから、ワークライフバランスで申し上げますと、こんなに残業ばっかりして、みんなヘトヘトになってる国はございません。ということで残業ゼロを目指してまいる。まずは都庁の職員から始めたいと思います。

それから動物愛護の観点でございますけれども、ペットの殺処分ゼロということを東京都としても進めたいと思います。

さらにゼロの括りで言いますと、満員電車もゼロにしたいと思います。東京の満員電車は、みなさん当たり前だと思っていますけれども、しかしこの満員電車は、時差通勤であるとか、二階建ての電車にするとか、もっと知恵をしぼるべきであって、これで仕方ないと思うのは正しくないと思います(注:初出時「自車通勤」となっておりましたが、小池氏の正しい発言は「時差通勤」です)。

金融でもう一度、アジアNo.1の地に

最後のスマートシティでございますけれども、世界に開かれた環境先進都市、環境大臣を務めた経験を活かしまして、我が家の小さな家も完全なエコハウスになっておりまして、東京電力からむしろ料金をいただくという立場になっております。

メガソーラーなども有効ではございますけれども、むしろ一つひとつの家をそのようなエコで進めていく。街路灯もふくめてLED化を進めるというのも、飛躍的に省エネにつながっていく。

そういったことも、すでにいろんな策が練られておりますけれども、もう一度改めて。私、環境大臣を務めておりました頃も、地球温暖化対策を、国民のみなさんがその気になっていただいた時期ではなかったかと思います。

そのことを東京都知事として、国民のみなさまにお伝えして、みなさんとともにやっていきたいと考えております。

それから、これも環境大臣の経験上、老朽化しつつある廃棄物処理場が、今、幸いゴミが減っているということから、効率化ができておりません。ということは、これからは集約化といったことも必要ではないか。効率化と集約化と両方を進めていくことが必要ではないかと思います。

それから環境でいうと、ヒートアイランド対策、それから私、練馬でございますので、練馬大根も自分で育てておりますけれども、都市農業を守るということはヒートアイランド対策にもつながる、食育にもつながるということでございます。森林を守るということも1つでございます。

それから、もともと『ワールドビジネスサテライト』の初代キャスターでございまして、金融面については、若干の知識がございます。

かつての80年代・90年代は東京、ロンドン、ニューヨークのトライアングルで番組を回しておりましたけれども、もはやその東京の座はほかのアジアの都市、例えばシンガポールなどに奪われてしまっているのが現状でございます。

もう一度、アジアNo.1の地として、東京にその地位を取り戻していきたい。そのためには先ほど申し上げた特区の活用、これもかなり整っているのに、やっていないだけなんですね。強力なリーダーシップで進めていくことが必要だと思います。

そのためにも都の税収を活用していくことによって、海外からの企業を呼び込んでいくということでございます。

それからこれも小さな話かもしれませんが、ムハンマド・ユヌスさんという、ノーベル平和賞を受賞されたバングラデシュの方ですけれども、グラミン銀行というのをされましたね。

銀行と聞くといろんなことを想像してしまうんですけれども、金融、それも小口無担保融資というかたちで、仕事をやってみたい、自分で会社をやってみたいというような、大きくなくていいんです、小さくていいんです。そういった方々を、元気が出るような策をとってまいりたいと考えておりまして、フィンテックの活用を含めて、東京版のグラミン銀行ということをやっていきたいと思います。

それから、『下町ロケット』ではありませんけども、日本のものづくり、下町の小さな工場ががんばって技術革新のリード役を務めている。そういったところが円高などの状況によって厳しい局面に立たされたりする企業をしっかりとサポートしていって、中堅中小企業の事業承継等も支援していきたいと思っております。

また、新規の事業者の参入を支えるためには、都内の事業再生、そしてベンチャーファンドの育成といった金融の手法を使うという点も考えているところでございます。

(以前は)日本のブランディングを考えていたんですけども、東京をブランディング化するということも総合的に考えてまいりたいと考えております。

大きなコンセプトから時代背景、そしてまた企業、組織、個人、そういった方々みんなが参加し、そして都民の都民による都民のための都政をしっかりと取り戻す。

そして一部の方々によって、いつどこでなにが決まっているのかわからないといったような状況を脱出して、透明性のある都政にしてまいりたいと思います。

都政への信頼回復こそ、今申し上げましたいくつもの政策を実行する最大のエネルギーになると考えておりますので、都民のみなさま方一人ひとりのご理解、ご協力、そしてやる気を期待をしていきたいと思っております。

以上私からのご報告です。

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