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人工の血液を作れるかもしれない3つの方法

人工の血液を作れるかもしれない3つの方法

人間の血液はとても複雑な役割を果たしています。それゆえ、人工的にだいたい血液を作ることはできていません。しかし、もしも輸血などの際に人工の血液で代替できるとしたら、保存のきかない本物の血液よりもはるかに便利なのです。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、人工的に代替血液を作る試みについて解説します。

シリーズ
SciShow
2017年5月18日のログ
スピーカー
Hank Green(ハンク・グリーン) 氏
参照動画
Why Is Fake Blood so Hard to Make?

代替血液は作れるか?

ハンク・グリーン氏 もしみなさんが映画監督なら、偽の血液を作るのは簡単です。コーンシロップを少々と、食紅があれば望みの血糊ができ上がるでしょう。でもそれを静脈に注射して、「おぉ、これは助かる!」なんて言いたくないですよね。 sss01 本物の血液は、傷口を塞いだり、細菌と戦ったりするなど、多くの働きをする細胞からできています。けれど、私たちが血液を必要とする本当の理由は、酸素の輸送のためなのです。 輸血は人の命を救いますが、献血が足りているわけではありません。なんとか探せたとしても、42日程度しか冷蔵保存ができません。ですから冷蔵機能がないような場所の場合、すぐに腐ってしまうということです。 だからこそ、血液の代替を作りたいという希望は多いのですが、とても難しいことです。実験室では良さそうに見える人口の血液があったとしても、実際の世界で使える安全性を保証することとは、全く別の問題なのです。医療のプロたちには代替血液を使ってやりたいことがたくさんあるのです。 何よりもまず、酸素を運び、細胞の中に届けることができなくてはなりません。そして人工の血液はさまざまな温度の環境下でも、ダメージを受けずに数週間存在し続けられねばならず、かつ簡単に大量生産できるものでなくてはなりません。しかも安全でなくてはいけないのです。血液由来の病気を広めたり、異なる血液型を持つ人々に危険な免疫反応を引き起こすようなことがあってはいけません。 ここ数十年で、このなかのいくつかの基準を満たす代替血液を作る3つのアプローチ方法が見つかりました。そのうちの1つは、パーフルオロカーボンと呼ばれる合成化学物質です。 これはほとんどが炭素とフッ素原子からできており、化学反応は起こりません。パーフルオロカーボンは酸素や二酸化炭素のようなガスと結びつき、赤血球細胞が行うようにそれらを運んでいきます。でもパーフルオロカーボンは疎水性分子であり、水で満ちた血流とは簡単には混ざりません。つまり、私たちの体に注入される前に、エマルションと呼ばれるものになるように、他の化学物質と混ざり合わなくてはならないということです。 現在では、パーフルオロカーボンを基とする代替血液のいくつかはありふれたものですが、多くの臨床実験が行われているわけではなく、失速気味なのです。パーフルオロカーボンは普通の血液のようには酸素を運ぶことができないため、インフルエンザに似た症状を起こす治療やその他の合併症、患者が酸素を余計に吸う必要がでるなど、安全性に関する懸念もあります。

ヘモグロビンや幹細胞を活用

2つ目の理論は、ヘモグロビンという、実際に血液中で酸素を運ぶプロテインを使う方法です。 gazou1- 残念ながら、ヘモグロビンを追加で人々の中に注入して、問題解決とはいかないのです。私たちの身体はある理由で、ヘモグロビンを赤血球細胞の中に留めておきます。それはヘモグロビンがただ漂っているだけの状態だと毒素になる可能性があるからです。 ヘモグロビンはとても化学反応を起こしやすく、異なる細胞にくっつくことができます。このことが細胞の働きを混乱させることになります。過去の試みでは、ヘモグロビンを化学的に改造し、毒素を生み出さないようにしようとしましたが、その多くはいまだに安全ではなく、臨床試験の段階でもうまくいきませんでした。 最近では、いくつかの研究グループが赤血球細胞の働きと同じ、ヘモグロビンを安全に保つ異なる種類の合成化学物質の袋を造ろうとしています。しかし、それは扱いにくいプロセスなのです。この袋が小さすぎると血管の外に逃げてしまいます。 ただ、この技術が魅力的なのは、合成分子の外側には血液型の問題は存在しないということです。そして他の人間の内部に存在したことがないため、病気がうつる心配は低くなります。 あるチームは、分子で覆われたヘモグロビンは凍結乾燥でき、水の中で元に戻ることができるとさえ考えています。つまり、貯蔵寿命がかなり長いということです。しかし、このヘモグロビンを基礎とする代替品は、いまだに人体への試験が行われるには至っていません。 3つ目のアプローチ方法では、そんなことはありません。イギリスのナショナル・ヘルス・サービスは今年の始めに本物の赤血球細胞から作られた、代替血液の試験を進めることになりました。作るのは大変ですが、幹細胞技術のおかげで不可能ではありません。 みなさんの体は、赤血球細胞や脳細胞など、多くの特別な細胞を持っています。幹細胞は化学的なカクテルから物理的な接触まで、さまざまなシグナルにさらされると、より特別なタイプに変わることができます。 人工の血液の中の幹細胞は、大人の骨髄、またはさい帯血などからできています。ちょうど合うシグナルがあれば、幹細胞は私たちの体内にある赤血球細胞と機能的には一緒になります。 初期の段階では、成熟した幹細胞を作ることは困難で、大量に作るのもまた大変です。それで研究者たちはこれを、1つのサイズでどんな血液不足を解決する方法にも適応する、というような大衆向けのものにするつもりはないと言っています。専門的アプローチのようなものです。 医者たちは珍しい血液型や輸血に特殊な要望がある患者のために、小さな血液袋をつくることができました。 今のところ、人工の血液に対する要望を解決する絶対的な方法はありません。なぜなら私たちの赤血球細胞はとても多くのことを、とてもうまく行うものだからです。しかし、他にも科学的なアプローチ方法を試す余地があります。願わくば、そのいくつかが早いうちに始まってほしいですね。

  

SciShow

Hank Green(ハンク・グリーン)たちがサイエンスに関する話題をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル。

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