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meet CTOs vol.10 - なぜ、あのスタートアップはグローバルな開発体制を構築したのか(全7記事)

「ベトナムで開発チームを作る」と決めた三者三様の理由 それぞれの立場から考えた人材確保のための打開策

「外部グローバル開発チームの活用」をうまく行いながら事業成長を重ねてきたスタートアップCTOたちを招き、さまざまな場面における意思決定について生の話をする「meet CTOs vol.10 - なぜ、あのスタートアップはグローバルな開発体制を構築したのか」。ここでキャディ株式会社の小橋氏、株式会社マネーフォワードの中出氏、株式会社Voicyの山元氏、株式会社Sun Asteriskの斎藤氏が登壇。さらに、ベトナムで開発チームを作ると決めた理由を話します。前回はこちらから。

ベトナムで開発チームを作ると意思決定した決め手

斎藤幸士氏(以下、斎藤):その上でみなさんが一番気になるところなのですが、最終的にベトナムで開発チームを作ってみようと意思決定をしたのは、何が決め手だったのかなというところです。じゃあ先に山元さん。

山元亮典氏(以下、山元):先ほどお話しましたが、Voicyは立ち上がった時に「開発力もほしい」というところで最後は決めました。

ただ、けっこういろいろ助けられたなと思っているところもあります。実はVoicyはこの1年ぐらいで組織崩壊をしています。これは公開している情報で、「組織崩壊 スペース」と調べるとVoicyが一番上にサジェストされる。

公開している情報なのでアレですが、その時は日本に25人いた社員が翌月に16人になったりして。エンジニアの方がけっこう離れてしまう時期があったんですが、その時にSun AsteriskさんのチームにはずっとVoicyのシステムを作ってもらっていてというところで、そこのリソースを柔軟に調整しながら開発を続けてもらいました。

柔軟にリソースを確保しながら一定のアウトプットをし続けることができたところ(がよかった)です。その目的で(Sun Asteriskさんを)取ったんですが、それがすごく(いい)レバレッジだったかなと考えています。

斎藤:ありがとうございます。中出さんは(どうでしょうか)。

中出匠哉氏(以下、中出):正直、意思決定はあまりちゃんとしていなくてですね。

(会場笑)

もともとSun Asteriskさんのオフィスに遊びに行ったのが最初で、その時もどうしてもオフショア開発がやりたくて行ったというよりは「いいから見に来てくださいよ」と言われて「そうですか」と。

(そうやって)見に行ったのがきっかけなんです。日本でも採用がそこそこできていて、どうしてもやらなきゃいけないというわけではありませんでしたが、ただ、エンジニアの方を実際に見たりいろいろなお話を聞いて、「これはなんかいけるな」「じゃあちょっとやろう」と思いました。そこから、先ほどの話にあった英語を話せる人にベトナムに行ってもらうまでに半年ぐらいかかりました。

ベトナムにいくデモンストレーションをあとでやろうと決めて、あとはもう日本に帰ってどうやって開始しようかを決めたわけです。

斎藤:なるほど。やはり現地に行くと考えが変わりますよね。

中出:そうですね。日本で悩んでいるよりかは、実際に行ったほうが正しい意思決定ができるんじゃないかなと思います。

斎藤:ありがとうございます。小橋さんが最終的に(ベトナムで開発チームを作ると)意思決定をしたポイントはどのあたりですか?

小橋昭文氏(以下、小橋):そうですね。意思決定にもたぶんいくつかありますが、私たちは法人を立ち上げるという判断をしました。キャディは製造加工品の製造業が関わっていて、実際にものを作っています。

例えば、車会社から「こんな部品がほしいです」と言われて、特注品の設計図を基に作って届ける仕事をやっています。その裏を支えるソフトウェアを作っていますが、実際にものづくりをしている製造業自体も、ベトナムのほうが強いと気付いたんです。

その時に、事業とソフトウェアの開発が同じところにあることでシナジーが掻き立たせられると(気付き)意思決定に踏み切りました。(でも、)法人を立ち上げるのはいろいろ大変じゃないですか(笑)。

その2つをアラインして、2022年の3月ぐらいに法人を立ち上げたばかりです。

斎藤:ありがとうございます。中出さんと山元さんが言われたことも、僕が自分が開発チームを作ろうと思った時や、作ったあとにすごく近いことを感じています。海外でチームを持つことのいいところは、日本のパートナー会社でもこんなに急に人を増やそうとか減らそうとかはなかなか難しいことです。

でも、やはりチームを作って開発をしていると、このフェーズにはアクセルを踏みたいし、逆に「ここはブレーキを踏まなきゃ」ということは当然起こると思います。そのあたりの調整ができたのが、個人的にはすごく助かりましたね。

その点と、あとは中出さんが現地に行かれて気持ちが変わったということが、僕もすごくよくわかります。

現地に行くと、「思っているよりも自分たちのプロダクトとして開発してくれているんだな」ということが、伝わるのはありますよね。それがどこの会社でもそうなのかとは私はわかりませんが、最初は「請け負った仕事だ」という感じで仕事をやってくれているのかなと思っていたんですが、現地に行ってみるとぜんぜんそんなことなくて。むしろ「俺たちのプロダクトだ」みたいな感じで(笑)。

「俺たちのプロダクトの品質をどうやって良くしよう」というマインドで働いてくれているのを目の当たりにして、「このチームを大きくしていこうか」と思ったことは僕が個人的に感じていたところなので、今のみなさんのお話を聞いてすごく共感しました。

小橋:勢いがありますよね。国とかチーム次第ですが、確かにベトナムの場合は平均年齢が29歳とかで。

斎藤:そうですね。

中出:活気がありますよね。日本の高度成長期みたいな感じで、「明日のベトナムはもっとよくなる」という自信しかないという。ベトナムの人たちに会って、ベトナムの人はだいたい元気で、日本に戻ってくるとまた元気がなくなってくる。

(会場笑)

このままならベトナムの活気に乗ってしまったほうがいいなという感じです。

ハノイとホーチミンで違いはあるか?

参加者4:すみません、1個いいですか?

斎藤:どうぞ。

参加者4:ハノイ、ホーチミン、ダナンなどのどこでチームを持っている感じですか?

斎藤:ここにいるみなさんはたぶんハノイですね。

中出:私たちは、最初はSun Asteriskさんに完全に乗っかりました。Sun Asteriskさんは当時ハノイとホーチミンに拠点を持っていて、今もそうなんですけど、ハノイのほうが(拠点が)大きかったんですね。なので、私たちはハノイからスタートしました。

参加者4:場所的には特に違いを感じたりはあまり無い印象ですか?

中出:私たちは今もSun Asteriskさんにお世話になっていますが、そのあと実際に現地で法人を作っています。最初はホーチミンに法人を作って、今は100人ぐらいの人間がいます。そのあとにハノイに(拠点を)作りました。

だから今はハノイの両方の現地に開発拠点がありますが、やっぱりホーチミンのほうが欧米企業がたくさん来ているので、そういう人材の流動性は高いと思うし、おそらく給料は高いです。ハノイのほうがたぶんリテンションというか、定着率が高いのかなと。

参加者4:ありがとうございます。

斎藤:そうですね。それはけっこう昔から聞く話ではあります。ホーチミンのほうがハノイと比べると人が多い。それでもお話されたとおりで、流動性が高いというのがありますけれど。ハノイは本当に昭和の日本という感じ。

中出:会社に入ったらあまり辞めようとはしないで、そこに居続けるという考え方の人がまだ比較的多いかなと。

ベトナムの超高齢化社会はどう見ているか?

参加者2:すみません。

斎藤:はい。

参加者2:ベトナムが世界中から心配されているのは、日本は25年かけて超高齢化社会になったのが、ベトナムは世界最速の16年で(超高齢化社会に)なったんですね。そのあたりは影響しないのかが気になっていて。フィリピンのほうは本当に若いんですよ。

人口統計的にもしばらくずっと(平均値が)若いので、エンジニアをどんどん育てやすいですが、ベトナムはけっこう年数が短い、迫っている感じがあるのですが、そこに投資をするのは、人口統計を見てもしばらくは大丈夫と考えられているからでしょうか。

中出:私も各国の人口ピラミッドとかを見るのが好きでよく見ています(笑)。ベトナムはベトナム戦争があってだと思いますが、極端に高齢の方が少なくて、今は20代、30代の方がメチャクチャ多い感じだと思います。(将来的には)たぶんそれがそのまま上にスライドしていくと思うんですけど、今はむしろ若い方が日本から来ていて、メチャクチャ多いという。

参加者2:日本と中国からですかね。

中出:はい。今後どうなるかについては、そこまで深刻に考えていないというのが正直なところかもしれないです。ただどちらかというと経験があるシニアな方を採用することが難しい印象があります。若い方が多いので。なので、少し年数が経っても人口問題はまだポジティブかなと思います。ただこれは5年10年の話で、あと15年、20年にはどうなるかはわからないです。

ただ日本も放っておいてもというか(笑)。エンジニアもいないですし、高齢化(している)というのと、日本も深刻な問題なので、今はベトナムでやっていますけれど、いずれ他の国に拠点を作るのもありなのかなと思います。

参加者2:いろいろな国がある中でベトナムだったのでちょっと気になりました。ありがとうございます。

斎藤:ありがとうございます。

(次回に続く)

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