2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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斎藤幸士氏(以下、斎藤):さて、今まででたくさんお話を聞けましたが、もう1個みなさんにお聞きしたいと思ったのが、先ほど小橋さんがお話されていましたが、海外拠点を持つことによって発生するマネジメントコストは、実際どんなものなのと。小橋さん(のお話で)は、けっこうマネジメントコストがかかっていそうな感じがしますけど。
小橋昭文氏(以下、小橋):そうですね。でもまだまだ始まりなので、これから上がっていくと思います。まだこれが始まりだと覚悟しています。覚悟するというか、それだけの事業価値があると信じて投資をしています。でも中出さんが先ほど言ったように、年に3、4回ぐらい現地に行くとか、エンジニアの方々を送り込むとか、立ち上げる意思を持って取り組むことがすごく重要だと思っていて、マネジメントコストは継続運用です。
評価をしてフィードバックをしてというところもあるし、あとはコミュニケーションを担保するコミュニケーションマネジメントとピープルマネジメント。あとはテクニカルマネジメントですよね。技術という観点でも、日本の技術者と現地の方々のギャップがある場合は、そこをどう埋めるかもやっていかないといけないので、キャディとしてはたぶん全面的にまだまだこれからだと思っています。あとはもう先輩からもぜひ(コメントをしていただいて)。
一応、私もこれから(現地に)行ったり、他の拠点を立ち上げたりで、ひたすら飛行機に乗っているとかもありえると思います。私たちは、一応日本を本社とは呼ばないようにし始めています。“日本支社”と“ベトナム支社”と(呼んでいる)。じゃあ本社はどこだという話なんですけれど。
(会場笑)
「でも立場上は対等だから、みなさんにも責任を持って動いてほしい」という意思表明をしたりとか、代表の全社ミーティングでの発言を英語に切り替えてもらったりしているんですよ。「これだけ重要だと思っています」という雰囲気のマネジメントも、全社で取り組んでいます。
これはやはりわりと経営層トップが信じていないとやりづらいところかなと思います。マネジメントという観点では、これからもまだまだ強化していくことが成功につながるかなと思っていますが、どうですか?
中出匠哉氏(以下、中出):そうですね。私たちはフェーズがあるかなと思ったんですよ。最初は、マネジメントメンバーも含めて、日本からベトナムに行ってもらってやっていました。ベトナムでマネージャーを採用して、その人たちに少しずつ権限委譲をしていって。
なので、ベトナムの運営はベトナムの現地の人である程度回せるようにすることを、まだ途中ですが、日本にいるメンバーもベトナムに対してもですが、少しずつやっています。
あとは、ベトナムのマネージャーメンバーと日本のマネージャーメンバーとの意思疎通が次の命題になっています。実際にベトナムのマネージャーのエンジニアが日本の合宿などに参加したり、実際に(日本の社員が)現地に行ったりして。
先週あったことですが、ベトナムのマネージャーたちに日本に来てもらって日本のマネージャーたちの合宿に参加してもらったりとか。今はそういうことをやり始めています。
あとは、私たちは日本チームの開発組織を英語化をしようとしているので、そうなるとますます意思疎通がしやすくなると思います。今は日本とベトナムでマネジメント体制が別々になっていて、それをインターフェースで(つなぐ)感じになっていますが、さらに良い体制にできるんじゃないのかなと思います。
斎藤:ありがとうございます。山元さんはマネジメントにかかるコストについてはどうですか?
山元亮典氏(以下、山元):そうですね。弊社の場合だと、海外拠点を立ち上げる選択肢も考えたりはしました。しかし、やはり弊社のプロダクトの特性でいうと、まだまだしっかり事業化をできるかを探っているフェーズで。価値・創造のフェーズだと言っているんですよ。
しっかり稼げるところが見えていない中で、ベトナムの方々を、責任を持って職を付けてあげるところまでは見切れないというのがあります。海外拠点(の開発チーム)をやるためには、やはりピープルマネジメントやベトナムのマネジメントをしっかりとしてあげないといけないのですが、そこまでのコストは払えないだろうというところで、(今は)Sun Asteriskさんの開発チームを貸してもらっている状況になっていると思っていて。
マネジメントコストは必ずかかるので、そこはしっかりと考えた上で選択をするのがいいのかなと考えているところです。
あとは、やはり一緒に働く以上はチームだと思っているので、そのチームを最大化することで、例えば文化やコミュニケーションの違いを接続するようなマネジメントコストはかかるといえばかかるのですが、その上で、どうやって今のフェーズでアウト化の最大化をするかは常々考えています。
弊社はわりとベトナム側のメンバーもプロダクトの性質をすごく理解していて、今もずっと働いて活躍してくださっているので。タスクベースにミッションを1つ決めて、「タスクをやり切ってください」みたいなコミュニケーションで今はアウトプットをどんどん高めていくかたちになっています。
弊社は成長期なので、そこのフェーズに合わせていきながら、チームで最大化していくコストも必ずかかると思うんですけれど、そこにしっかり向き合うことも大事なのかなと思っています。
斎藤:ありがとうございます。
斎藤:弊社で開発拠点を作っていただく場合に、弊社で肩代わりできるところでいうと、ピープルマネジメントの部分に関しては、弊社で肩代わりすることもできるんです。先ほど小橋さんがお話されていたように、コミュニケーションのマネジメントだったりとか、あとはテクニカル面ですね。
そういうもののマネジメントは当然発生すると思います。弊社で拠点を持つ場合にもそこ(のマネジメント)はやはり発生するところで。最初に立ち上げる時、そこはどうですかね。
立ち上げの時に日本側からどういう人材をアサインしたのかでいうと、どんな感じなんですか。例えばVoicyさんの場合だと、最初の立ち上げの時(にアサインした人材)はCTOということですか。
山元:そうですね。当時は窪田という、創業者でCTOをやっていた人がいるんですけれど、窪田が英語を話せて、かつどういう気持ちで開発をしていたのかがすごくわかる(人だった)という感じで。やはりそこのコミュニケーション面とカルチャーやプロダクトの性質を深く理解されている人が適任なんじゃないかなと思っています。
斎藤:それでいうとマネフォ(マネーフォワード)さんの最初は。
中出:最初は私も2週間ぐらいのつもりで行きました。実際に長く滞在してもらう人はずっと社内で集めていましたが、理想的な人がなかなか現れませんでした。理想的というのは、ある程度技術力があって、英語ができて、ベトナムに行きたいと言っているような人です。
それはなかなか出ず、実際に意思決定をしていったら開発が始められるまでに半年ぐらいかかったんですけど、途中で技術力はいったんいいかと諦めて。
(会場笑)
中出:英語ができてベトナムに行きたいと言ってくれる人を重視して、それで決めました。
斎藤:なるほど。やはり重要視するのはそこだと。意思がある人と、あとはコミュニケーションができる人。
中出:そうですね。モチベーションが上がらない人が行ってもしょうがないのと、あとはコミュニケーションが取れない人が行ってもしょうがない。
斎藤:それでいうとキャディさんは(どうでしたか)。
小橋:そうですね。そこでチームを立ち上げることは、やりたいと思わないと、(そもそも)環境は新しいし言語は違うしで、苦手な人は絶対に苦手だと思います。
やってみないとわからないというのはあると思いますが、キャディの場合、今は常駐していますが、実際に海外でのエンジニア経験、欧米とかに行かれたことがある人に行ってもらっているので、現地常駐でずっと採用活動から全部やってくれている状況です。
私たちは慎重すぎるのかもしれないです。私も日本国内で外国人採用、要は英語話者の採用もやっていて。(日本国内での外国人採用に)踏み切る前も、エンジニアリングマネージャーで英語を話せる人が一定数いないと、採用しても申し訳ないと思っていたんですよ。
ちゃんと情報伝達ができなかったらたぶん離れていってしまうので。そういうコミュニケーションが担保できることを優先してやっているので、今回もベトナムに来てくれている人、常駐してくれている人も、経営判断とか経営指標から開発まで一気通貫で話せて説明できる人。かつ海外に別に抵抗がない人に行ってもらっている状況なので、恵まれているというか。
斎藤:あと最初はできればエース人材というか、もう経営層とかが行ったほうがよくて。そこが難しかったら、やはりやる気のある人とコミュニケーションができる人ですね。そこがすごく重要なところですよね。
中出:日本からは技術的なことも支援しやすいですよね。コードレビューは日本からでもできるし、選考も日本からできますが、現地のコミュニケーションは日本から支援ができないので、支援できないことを現地のスタッフがすべてやる。
小橋:ちなみに、今はわりとみんなリモートで仕事をしていると思うのですが、リモートでどうしているんですか?
中出:ベトナムですか?
小橋:そうですね。
中出:ベトナムは今が週2ぐらいの出社になっていて。ベトナムに限らず、日本以外の国はオフィスに戻ってきている感じがします。(弊社は)リモートの時代に社員が倍ぐらいになったんですけど。
ベトナムで50人ぐらいの頃にコロナが始まって今は100人ぐらいで。コロナ禍でだいたい(人数が)倍になったんですけれど。やっぱりそこはつらかったですね。
斎藤:ベトナムの方のほうがチームみんなで寄り合って開発している感がすごく強いイメージがありますが。「中学校かな?」と。
(会場笑)
斎藤:開発からデプロイが「中学校かな」という感じのコミュニケーションの取り方をしている方がけっこう多くて……。弊社だけなのかな。でもそんな感じがしますよね。リモートで開発をするのは、ベトナム人からするとけっこうつらいだろうなというところを相当見ています。
(次回に続く)
海外に開発チームを作る時、どんなリスクが存在していたか? CTOとマネージャーが考えていた文化・言語・品質の不安
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