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meet CTOs vol.10 - なぜ、あのスタートアップはグローバルな開発体制を構築したのか(全7記事)

海外に開発チームを作る時、どんなリスクが存在していたか? CTOとマネージャーが考えていた文化・言語・品質の不安

「外部グローバル開発チームの活用」をうまく行いながら事業成長を重ねてきたスタートアップCTOたちを招き、さまざまな場面における意思決定について生の話をする「meet CTOs vol.10 - なぜ、あのスタートアップはグローバルな開発体制を構築したのか」。ここでキャディ株式会社の小橋氏、株式会社マネーフォワードの中出氏、株式会社Voicyの山元氏、株式会社Sun Asteriskの斎藤氏が登壇。まずは、海外に開発チームを作る時のリスク、不安視していたことについて話します。

登壇者の自己紹介

司会者:今日ご登壇いただくみなさんに自己紹介してもらいながら、さっそく本編に入りたいと思います。では小橋さんからお願いします。

小橋昭文氏(以下、小橋):キャディでCTOを務めている小橋と申します。私は長年アメリカに住んでいたので、今でもカタカナがすごく苦手で、プログラミング用語はカタカナが多いのでひたすら苦労しています。2017年に日本に来てキャディを創業し、5年目に入ろうとしているところです。本日はよろしくお願いします。

(会場拍手)

司会者:では、中出さんお願いします。

中出匠哉氏(以下、中出):こんばんは。私はマネーフォワードでCTOをしている中出と言います。私は言うことが何もないんですけれど、マネーフォワードには7年と少し前ぐらいからジョインしています。マネーフォワードは2022年5月にちょうど10周年になりました。ベトナムなど、海外に拠点の立ち上げなどやっているので、何か少しでもお役に立てればと思っています。よろしくお願いします。

(会場拍手)

司会者:では、山元さん。お願いします。

山元亮典氏(以下、山元):はい。みなさんはじめまして、株式会社Voicyの山元と申します。やまもとの“もと”が元気の“元”で、“やまげん”と呼ばれています。今日“やまげん”でとおそうと決めたのも、Sun Asteriskさんのオフィスに着いた瞬間に、「こいつは“やまもと”なのか“やまげん”かわからん」という扱いを受けたので、今回は“やまげん”で突き通したいと思います。みなさん、Voicyという会社を知っていますか?

(会場挙手)

ありがとうございます。けっこう知っていただいていますね。あのサービスを運営している会社で、僕は2年前ぐらいにVoicyにジョインして、Sun Asteriskさんでお世話になったのは3年前ぐらいですかね。当時の話も聞きながらお話ができたらと思っています。

僕自身は、今はVoicyのエンジニアリングマネージャーですが、(Voicyには)CTOというラベルがなくて。(ですが、)実質の技術の統括をやっている者です。本日はよろしくお願いします。

(会場拍手)

司会者:山元さんありがとうございます。では、斎藤さんお願いします。

斎藤幸士氏(以下、斎藤):はい。本日ファシリテーションを務めます、Sun Asteriskの斎藤と申します。Sun AsteriskにCTOはいませんが、CTOsというよくわからないチームがあります。

(会場笑)

過去にスタートアップでCTOをやっていたり、ベンチャーで開発責任者をやっていた人たちが、今は13名ぐらい在籍していて。その人たちの間でCTOsというチームを作って、クライアントの事業立ち上げでCTO人材が不足している時に、僕たちが“助っ人CTO”というかたちでお手伝いをするという感じのことをしています。あとは、Sun Asteriskは今、常に100個ぐらいプロジェクトが動いていて、開発プロセスをどうやって改善していくのかの横断的な役割でも動いていたりもします。

僕自身はもともとSunのクライアントで、5年以上Sunの人たちと一緒にプロダクト開発をしてきた経験があります。なので、僕もみなさんと同じように、ベトナムや海外で開発チームを作りたいと考えていた人間です。そちら側の立場としてもいろいろ話せたらと思っています。

(会場拍手)

海外のどの国に開発チームを持っているか?

司会者:ありがとうございます。では今日のテーマである、「なぜ海外開発のチームを構築したのか」を掘り下げていきたいなと思います。さっそくよろしくお願いします。

一同:お願いします。

斎藤:ではさっそくいろいろお話を聞いていこうと思います。今日来ていただいている(参加者の)みなさま(の中に)は、海外で開発チームを作りたいと考えている方や、すでに開発チームを持っている方もいるのかなと思いますが、もうすでに海外に開発チームを持っている方はいますか?

(会場挙手)

(参加者を指して)ちなみにどちらの国で。

参加者1:ベトナムです。

斎藤:ベトナム。(別の参加者に)ちなみにどちら?

参加者2:今までいろんなところでやっていましたが、アメリカ、中国、ヨーロッパ、アフリカもベトナムも。現在はフィリピン(もあります)。

斎藤:いろいろなところで。

参加者2:はい。

斎藤:なるほど。(さらに別の参加者に)どちらで?

参加者3:ウクライナです。

海外に開発チームを作る場合、どんなリスクが存在しているか?

斎藤:すでに持っている方も、これから海外でチームを持ちたいと思っている方も、なぜ海外にチームを持とうと思ったのかと言うと、たぶん日本でなかなかエンジニアを採用できないからというところが大きいかなと思っています。僕もそうでした。

では、海外に拠点を持とうと思った時に、最初は「どんなリスクがあるんだろう」とか、すごく不安になるかなと思っていて。このあたりについてみなさんに聞いていきたいと思っています。小橋さん。

小橋:ありがとうございます。私はずっとしゃべってしまうので、早めに言います。1つは言語的な観点です。これはプログラミング言語というよりは、コミュニケーションがちゃんと成立するかというところです。これは人間の言語という意味と、時差の関係が出てくると同期的なミーティングがやりにくいということで、言語や時差といったところです。

あとは、存在としてどうチームに関わってもらうかというところで、雇用形態ですね。雇用しないとチームの一員になれないのか。あるいは業務委託的なかたちだったり、どういう関わり方があるのか。これがちょっと不安で、わりと検証しました。この話はこのあとできればと思います。

そのあたりを最初に心配したのと、最後のポイントが、事業との親和性です。純正アウトソースだとたぶんモチベーションが少し下がりやすかったり(する)。

「なんのためにこれをやっているんだろう」ということを理解してもらうためにも、コミュニケーションもそうですが、できればなるべく彼らの国に近い存在である事業やプロジェクトを提供できたほうが、みんなモチベーション高く仕事ができるかなと。

このあたりを模索するところが、最初にいったん止まった領域ですかね。

斎藤:ありがとうございます。一番気になるところがコミュニケーションで、確かに英語でコミュニケーションが取れるのかというところがありますが、文化的に意思疎通ができないとけっこうつらいので、そこらあたりは確かにみなさん気になるところかなと思います。これはいろいろトライしてみたというお話だったので、あとで掘り下げます。

小橋:そうですね。ぜひ。

斎藤:中出さんはどうですか? どんなリスクを考えましたか?

中出:あまり考えていなかったんですけれど。

(会場笑)

多少気にしたことはやはり同じかなと思います。プロダクト開発に対してどれぐらい興味を持ってもらえるかや、モチベーションを持ってもらえるかはやはり気になりましたね。あとは、実際の離職率みたいな事情がわからなかったので、どれぐらい長く開発に関わってもらえるのかはわからなくて、そこは不安といえば不安でした。

斎藤:ありがとうございます。山元さんは?

山元:そうですね。弊社は最初にオフショアのチームを作ろうとなった時が、まさにシリーズAの調達をしたタイミングだったので、7億円ぐらい集めて。

プロジェクトの開発に力がほしいとなった時に、やはり日本の採用が難しいのが大前提としてあって、(海外採用をすれば、日本の採用だけよりも)もっと大きいチームを作れるんじゃないかというところで。リスクを考えたかというと、正直「えいや!」と(いう感じでやりました)。

(会場笑)

そこから見えたことで考えたほうが良かったなというのは、まさに2人ともが言っているようなコミュニケーション面です。弊社はスタートアップでエンジニアも少ない中、ベトナムでけっこう大きいチームを2、30人ぐらいでいきなり立ち上げてやった結果、ぜんぜん回らないんですよ。

エンジニアを何人も入れて。いろいろなコミュニケーションもかなり円滑にできるようになったのは、弊社のプロダクトの特徴をちゃんと説明したり、あとは飲み会でもしっかりコミュニケーションを取ったり(したから)。そういったところは気を付けなければいけなかったな。やる時のリスクとして気を付けたほうがいいなと考えてました。

斎藤:なるほど。ありがとうございます。

品質面での不安はなかったのか?

斎藤:みなさんやはりコミュニケーション部分や文化的な部分にちゃんと興味を持ってもらえるのかという、そういうウェットなところを気にしていたのかなと思いました。

品質面は、最初はそんなに心配していなかったんですか? 「本当にちゃんと思ったとおりにできあがるのか」とか。このあたりの心配は、みなさん特になかった感じですか。

小橋昭文氏(以下、小橋):なかったかというとあったけれど、なんでしょうね。例えば、日本国内で採用をする時に「優秀な人が採用できるかな」とは疑わないじゃないですか。がんばれば絶対にいるので、信じていたというところはあるのかもしれないです。

斎藤:そうですよね。日本に比べてエンジニアはたくさんいるから。

小橋:いるでしょ? と、ちょっと楽観的なところはあったかもしれないです。でもそういう考え方ができるのは、海外に開発チームを作る利点かもしれないですね。たくさんのエンジニアに出会えて、この中から本当に合うエンジニアを得られるかもしれないということは利点かもしれないです。

斎藤:ありがとうございます。中出さんや山元さんは特に品質面での心配はなかったですか?

中出:チームを作る時に、QAの方を入れる前提で最初に話を聞きました。最初の海外開発チームはSun Asteriskさんと一緒に立ち上げましたが、その時のチームはQAのメンバーを必ず入れる前提で説明を受けていたので、そこはそうなんだと。

当時、日本で開発をしていた時はQAのメンバーがたぶん1人もいない感じで、エンジニアが自ら精査することが当たり前でした。しかし、ベトナムではQAのメンバーを入れてやるのが当たり前ということでQAのメンバーを増やしていたので、クオリティをコントロールすることはできるのかなと。

斎藤:ありがとうございます。

山元:弊社では良い点・悪い点があって、良い点から言うと、先ほどお話されていたように、Sun AsteriskさんのチームではQAや出てくるソフトウェアを、ただ言われた要件を実装するだけではなく、しっかりと内部のことを理解しながら書いてもらっているので、そういうところはすごく助けられたと思っています。

悪かった点は、弊社が未熟だったところもあるのですが、成長フェーズで機能開発をすごく優先していたので、そのあたりの品質のマネジメントは、やはりこちらがしっかりと見ておかないと、それ以上のものはなかなか作れない。成長している時にいろいろ機能開発をしていくところから、安定フェーズにだんだん戻っていった時に、そこのあり方をしっかりと見直さないといけないよねと。

これは(日本拠点、)海外拠点に関わらずですが、そこを常に変えていく必要があるかと。やはり海外は品質が担保されないまま進んでしまうことがあるので、そこはしっかりコントロールしていくべきだったということです。

斎藤:ありがとうございます。品質コントロールをする上でも、最初に話していた、みなさんがリスクだと思っていたコミュニケーション(の部分)がクリアされていないとなかなか難しいかなと思います。

(次回に続く)

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