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エンジニアキャリアにおける焦燥感との向き合いかた(全1記事)

エンジニアキャリアにおける焦燥感との向き合い方

2019年7月6日、株式会社サイバーエージェントが主催するイベント「Battle Conference U30」が開催されました。30歳以下のエンジニアによる30歳以下のエンジニアのための技術カンファレンスである本イベントには、さまざまな領域で活躍する若手が登壇。企業の枠を超えて、自身の技術・事業・キャリアに関する知見を発表しました。「エンジニアキャリアにおける焦燥感との向き合いかた」に登壇したのは、LINE株式会社、ElevenBackの花谷拓磨(potato4d)氏。登壇資料はこちら

エンジニアキャリアにおける「焦燥感」

花谷拓磨氏:ではさっそく「エンジニアキャリアにおける焦燥感との向き合いかた」というテーマで、私、花谷拓磨が話させていただければと思います。

まずはじめに、簡単に自己紹介をさせていただきます。私、花谷拓磨と申します。ネット上ではpotato4dという名前で活動してるので、そちらをご存知の方もいらっしゃるかなぁと思います。

プロフィールは見ていただければと思いますが、今はメインの肩書きとして、LINE株式会社でフロントエンドエンジニア兼、エンジニアのミートアップの支援をしたり、技術関連のエバンジェリスト活動やエンジニア向けの採用PRなどをやるDeveloper Relations室にいます。副業としてフリーランスでElevenBackという屋号で、技術顧問を行ったり、サービス開発を行ったりしています。

さっそく今日の本題に入っていきたいんですが、今回は「焦燥感」という話をさせていただければと思います。まず「焦燥感ってなんぞや?」という話だと思うんですけど、焦りや不安とか、エンジニアで仕事をしていたら「今の技術の磨き方でいいのかな?」「今の仕事をやっていていいのかな」「それでずっと生きていけるのかなぁ」みたいなことを考えると思うんですけど、そのへんの焦りや不安を「焦燥感」として、今回は話していければと思います。

これは、時にはプラスになることもあって、時にはマイナスになることもあると思います。みなさんも考えると出てくるかなと思いますけど、自分はこれのおかげでエンジニアとして成長できたこともあります。

一方で、これから考えるにあたって、枷となったこともあったので、そこを話していければと思います。

技術者としての生存戦略で感じた焦り

今回、取り扱う焦燥感の取り扱いケースとして、2つあげたいと思います。まず前編は、まず自分は今21なんですけど、去年末まで、高校生になってからフリーランスをやっていた間の話を焦燥感がプラスになった経験として、後半に焦燥感が枷になってしまった経験として、今の会社、LINE株式会社に入社したときの話をしたいと思います。

まずはプラスの話からしていければと思います。はじめに私のバックグラウンドについて説明させていただきます。私ですが、中学校の時から普通に学校行くのがめんどくさくて、家でプログラミングしがちだったんですけど。

そうなったら「俺はプログラマーになるぜ」みたいな、調子に乗ったことで、通信制高校行ったというのがあったんですけど。どうしても、いわゆる学業放棄したみたいなかたちではありますので、そんな感じでやっていって、結局CSの学位とかが取れるわけでもないとなった時に、常に技術者としてこれから生きていくにあたって、ミスったらどん詰まりになるよなと思ったので、そこでエンジニアとしての技術力を上げたり、もっと生きていくための生存戦略を考えないといけないと思ったのが、焦燥感を感じた始まりでした。

そしてその結果、高校時代もスタートアップで仕事することが多くて、もともとは自分はバックエンドのPHPerだったんですけど、そこから今フロントエンドエンジニアやってるみたいに、他の領域にも手を出したり。

フロントエンドで入ったけど、「今フロントエンドのタスクないから、iOSやって」みたいな感じでiOSやったり、スタートアップだったら「このプロジェクト全部任せていい?」みたいな話が出てきたりはするんで、そのへんのマネジメントをやったり、デスマーチしたりもしてたんですけど、そういうところで、短期間で密度の濃い時間が過ごせたりしました。

あと、エンジニアとなると、コミュニティとのつながりも大切だと思うので、関西で300人ぐらいのカンファレンスも主宰させてもらったりして、技術力も上げないといけないし、コミュニティとのつながりも持ってないと「死ぬよなぁ」と思って、そういった経験を積むようにしました。

短期的なキャリアアップができた

その結果、高校を卒業してそのまま社会人になるんですけど、その時点でWebエンジニアとして特定の技術に依存しないようなかたちで、知識や経験を積むことができてたと思いますし、またコミュニティでのイベント運営の経験もあるので、要は、ツテやコネみたいなものもあるので、イベントなどをやるとなったら助けてくれる人もいる状態でした。

また、その時に仕事してたスタートアップとかと継続的に関わることになってたので、新卒の時点で副業みたいなものができていて、新卒の価値観に凝り固まらない、フェアな視点で仕事できるようになったのが、焦りベースでがんばってきた成果かなと思っています。

その後、新卒は諸事情あってすぐ辞めて、またフリーランスとしてやっていくみたいな感じだったんですけど、こっちも結局請負だったら案件が終わったらその仕事はいったん終わりですし、業務委託でも、たぶん3ヶ月とかスパンの契約があるので、そこの時点でいったん仕事が終わるところがあって。

どうしてもIT業界は村社会ですから、そこで成果を出していないと今後どん詰まりになると思って、常に要求以上のアウトプットを出さなければいけないという気持ちで臨むことによって、密度の濃い時間が過ごせたりしました。

また平行で、どうしても仕事してるだけだったら、とくに社員じゃなかったら成果を出せないこともあるので、外向きになりました。その時に、市場価値を落とさないように、外向きに情報発信したり、何かに記事を書いていきました。

その結果、フリーランス時代も、多面的な仕事のやり方……例えば請負することもあれば、チームに入って開発をすることもあるし、自分が人に発注するようなことも経験できたり、ただエンジニアをやってるだけ、普通に開発としてこのままでいいんだろうなぁと思ってやってたんだったら、得られなかったキャリアが手に入ったり。

外向きに活動することによって、スライドに書いてあるような活動などがいろいろあって、とくにReact.jsの日本語ドキュメントとかは、日本語の情報発信が実って、React.jsのオーナーから直々に連絡が来たので、いいことだったと思います。

という感じで、総合すると、高校時代はオーバーワークしていて、短期的に技術のスキルアップをして、カンファレンス運営とかで、つながりを得ました。フリーランスのほうは、フリーランスとしてやっていかなきゃいけないプレッシャーとか、危機感を持ってやっていけたのがよかったと思っています。

ということで、焦りとか、「このままじゃいけないんだ」という焦燥感にかられて仕事をすることによって、短期的なキャリアアップができたと思っています。

エンジニアキャリアとしてのサンクコスト

ただ、この話は就職、転職を機にちょっと変わってくることになりまして。それは、エンジニアキャリアとしてのサンクコストという話をしたいんですけども。

自分は「将来的にずっとエンジニアやっていくぞ」というタイプじゃなくて、EM的なキャリアというか、技術組織を持って、プロダクトの改善という目標のために技術的にはどういうアプローチができるのかを考えていきたいなと思ってるんですけど。

そうなった場合に、例えばマネージャーやリーダーみたいな人が焦燥感で切羽詰まって仕事してたら、「それって頼りやすいんだっけ?」「エスカレーションしたいけど、あの人忙しそうだから、相談できないよな」みたいなことはよくないと思っていて。

そのためには、本当はピープルマネジメントなどを勉強したほうがいいと思うんですけど、「エンジニアとして」を考え出すと、どうしてもそこが疎かになっちゃうので、そこで焦燥感という概念は抗わなきゃいけないと感じました。

私の場合、そうやって将来的には組織構築をしたいと思っていたので、そこでフリーランスから転職をしようと思ったというのはあります。どうしてもフリーランスでも発注とかはしてるんですが、ドライな関係になるので、もっと人に近いところでやっていきたい感じでした。

ただ、エンジニアとしての仕事もやりたいので、そこはこれまで通りフリーランスも継続していって、そっちで心理的安全を担保していこうと思いました。

そうやった結果、正しい焦燥感との向き合い方は、キャリアアップを目指す場合と、キャリアチェンジを目指す場合で、どっちにするかが変わると思っています。

まずは、キャリアアップをする場合は、要はがむしゃらになれれば仕事のスキルアップのチャンスはいくらでも回ってくるので、そこで目前の課題に追われていることは、視野が狭まる反面、選択して集中していくことができます。

たぶん、これからエンジニアとして、今フロントエンドやってて、もっとフロントエンドに詳しくなりたいとか、もっと上手くなりたいみたいな時は、そこの焦りみたいなものを原動力にやっていくのがすごくプラスになると思います。

自分の場合は、フリーランス辞めるまではここがプラスになって、情報発信とかもぶっちゃけ書くのがめんどくさいことはあるんですけど、やっていくことによってどんどん自分の頭の中も整理されていくので、やってました。

今、どのフェーズにいますか?

ただ、今みたいにキャリアチェンジしていきたい、マネジメントとか開発組織を見ていく立場になりたいことを考えると、ここは克服しないといけないと思っています。とくに、絶対コードを書かないようになっていくので、今のプロジェクトも、どっちかというとあんまり手を動かさないで、他のチームメンバーを見たりすることが大きくなってきてるので、どうしてもプレーヤーとしての活動量は下がります。

ただ、それは確かに狭い視野の中で見ていたらマイナスなんですが、それをやることによって総合力で上回ることはできると思うので、そこはそういうふうに考えていくことが大切だと思います。

それでも焦る場合は、心理的な安全性を担保できる仕組みとして、個人事業や個人開発とかでもいいと思うんですけど、そういうことをやっていくといいと思っています。

最後に、今どういうフェーズで、どういうことを考えているのかを話させていただければと思います。

私は今は、キャリアチェンジを目指す時期だと思っています。本当に個人的な話なんですけど、前から将来友人が起業する話を何度も受けています。私はそこの船に乗ることができる、そこで信頼できる人間であるためにやっていかないといけないと思っているところがあって、それを目標として活動しています。

その時に、CTOやテックリードとして組織づくりに挑戦できるように、開発組織を見ていけるようになりつつ、DevRelの活動もやっていければと思っています。

ということで、私は焦燥感を克服するフェーズでしたが、みなさんは今どちらにいますでしょうか?

ということを考えていただければと思います。以上で発表を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)

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