【3行要約】
・初対面で好印象を与えるコミュニケーション術や、苦手な人や扱いづらい部下との関係に悩むビジネスパーソンが多くいます。
・「当たり前のことを当たり前以上に丁寧にやる」ことで、挨拶から商談まで幅広く信頼関係を構築できます。
・読者は感情的にならず相手の立場を理解し、具体的な質問や感謝の言葉を通じて、職場の人間関係を改善していくべきだと提案しています。
初対面で好印象を与えるコツ
西原亮氏:初対面の方と会う時って、誰でも少しは緊張しますよね。僕が一番大事にしているのは、「当たり前のことを、当たり前以上に丁寧にやる」ということです。
まず、元気な挨拶。これは基本中の基本ですね。あるデータによると、働く人の4人に3人、つまり75%もの人が「挨拶は大事だ」と感じているそうです。だからこそ、「こんにちは!」の一言を、相手の目を見て、少しだけ明るいトーンで言う。それだけで、最初の印象はぐっと良くなります。
そして、丁寧な言葉遣い。「ですます調」で話すのは、相手へのリスペクトを示す最低限のマナーだと考えています。それに加えて、「枕言葉」を意識的に使っています。「今、少しよろしいでしょうか?」とか、「もし差し支えなければ」といったクッション言葉を一つ挟むだけで、相手も心の準備ができますし、すごく丁寧な印象を与えられますよね。
何かをお願いされた時も、「できません」と即答するのではなく、「なるほど、まずはやってみますね」と一度受け止める姿勢を見せることが、信頼関係の第一歩だと思っています。
「愛嬌がある人」は絶対に相手の話を否定しない
言葉だけじゃなく、表情や態度といった「言葉以外」のコミュニケーションも、ものすごく重要です。特に「笑顔」は最強のツールですね。「ありがとう」って言葉や声で伝えるのはもちろん、そこに笑顔が加わるだけで、相手の心への届き方が全然違うんです。ある調査では、6割くらいの人が、相手の表情を見て「本当に感謝してくれてるな」って感じるらしいですよ。
周りから好かれる「愛嬌がある人」って、絶対に相手の話を否定しないんですよね。どんな意見でも「なるほど、そういう考え方もあるんですね!」って、全力で受け止めて、全力でリアクションする。これができると、相手は「この人には安心して話せるな」って感じてくれます。
例えば、テーブルで真正面に座るより、相手から見てちょっと斜めに座るだけで圧迫感が和らぎますし、相手の話が盛り上がってきたら、グッと身を乗り出したり、一生懸命メモを取ったりする。「あなたの話に夢中です!」というサインを体で示すんです。
会話中は、相手の話を途中で遮らず、最後までしっかり聞く。これも心理的な安全性を生む上で、めちゃくちゃ大事なこと。「多分…」とか「~だと思うんですけど」みたいなフワッとした言葉は、自信のなさや曖昧さに見えてしまうので、なるべくハッキリと言い切るように心がけています。
商談でお客さんに信頼してもらうには
商談の場では、「この人から買いたい」と思ってもらえるような信頼感が何よりも大切ですよね。
僕が一番意識しているのは、とにかく「結論から話す」ことです。忙しいお客様に対して、「要するに、このご提案のメリットは〇〇です」と最初に伝える。ダラダラと前置きが長いと、それだけで聞く気をなくしてしまいますからね。
続いて相手の背景を理解することです。背景とは置かれている立場のことです。例えばBtoBであれば、業界として人気が下降気味の業種で人事課長という中間管理職の立場に置かれている人は、どのような状況に置かれているのかを徹底リサーチすること。自分のことをよく理解している人に、人は胸襟をひらくものです。
意外に思われるかもしれないですけど、商品の良いところだけじゃなくて、「実はこういうデメリットもあるんです」とはっきり伝えることも大事にしています。そのほうが誠実さが伝わって、逆に「この人は信用できるな」と思ってもらえるんです。
その上で、「お客様の状況を考えると、『買わない』という選択肢も含めて、こちらのプランの方が合っているかもしれません」というように、相手の立場に立った選択肢をいくつか提示します。「絶対にこれを買ってください!」というスタンスではなく、あくまでパートナーとして最適な答えを一緒に探す姿勢が、信頼につながるんだと思います。
もし商談がうまくいかなくても、そこで態度を変えないこと。がっかりした顔を見せたり、急にそっけなくなったりするのは最悪です。長い目で見たら、その時の誠実な態度が、次の大きなチャンスにつながったりするんですよね。
商談の本質は「相手の問題」を明らかにすること
もちろん、話す内容(トークスクリプト)も大事ですが、それと同じくらい、声の大きさやトーン、話すスピード、相槌の打ち方といった「非言語」の部分も成果を大きく左右します。自信があるように聞こえる声のトーン、相手が理解しているか確認するような「間」、熱心さが伝わる相槌。これらを意識的にコントロールしています。
ただ自分が売りたいこと、話したいことを一方的にプレゼンするんじゃなくて、意識的に相手に質問を投げかけて、会話のキャッチボールをすること。商談の本質は相手の問題を明らかにすることです。だから話すよりも聞く分量を多くするのもコツです。
そして、当たり前ですが、どんなにすばらしい提案でも、お客様の予算に合わなければ意味がありません。「一応、資料はお持ちしました」とか、質問に対して「大丈夫です」といった曖昧な言葉は、不誠実な印象を与えかねないので絶対に使わないようにしています。