2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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中島聡氏(以下、中島):例えば、「なんで東京オリンピックを8月にするんだ」というような話もありますよね。どう考えてもおかしいじゃないですか(笑)。
小谷俊介氏(以下、小谷):ね(笑)。
中島:10月にすべきでしょ? 水を撒くとか、サマータイムを導入するとか、小手先のことじゃなくて、そもそも8月はやめて10月にやろうよ! ということを最初に交渉すべきだったのに、してないんですよね。あれはたぶん、IOCに押しきられたんですよ。僕のだいたいの理解で言うと、10月あたりに入るとプロスポーツが盛んになりますからね。
小谷:そうそう、そうらしいですね。
中島:プロの選手が出なくなっちゃうんですよね。まずいことにはオリンピックで5年、10年くらい前から、バスケットとかでプロの選手が出るようになったじゃないですか。だから(開催時期を)10月に移すと、プロ選手たちが出ないので盛り上がらない。そうすると儲からないから、IOCが嫌がるわけです。
でも、そんなのは向こうの事情なんだから、「8月だったらマラソン選手死ぬよ!?」くらいのことを言って説得すべきなのに、なんとなく、「もう決まっちゃったことだから」になってしまう。
小谷:そうなんですよね。
中島:どうして日本人はあんなにも交渉下手なんでしょうね。僕はちょっと許せないですね。
小谷:うーん、戦争のときからずっと続いているような気がしますね。(話が)戦争まで行ってしまうとキリがないですけれどね。誰も停戦交渉できずに戦争を続けて、結局は原爆投下まで行ってしまったような感じですよね。
中島:沖縄の件だって、僕は政治の研究者じゃないけれど、あれはいくらでも交渉の余地があると思いますよ。だってアメリカの軍部は別として、特に上院議員あたりの人たちは人権などにすごく敏感なんですよ。
要は「沖縄の人たちが反対するサンゴ礁を壊して基地をつくることは人権の蹂躙だよ」ということを、アメリカの上院議員たちに訴えれば、必ず変えられますよ。でも、日本の政治家はそれをしていないんです。これはおかしいですよ。
日米安保条約がどうのとか、あの交渉に出てくる軍人と話しても話がつかないのはわかりきっているんです。なので、その話ではなく、これは自然破壊の問題であり、人権蹂躙の問題だということをアメリカの議会に訴えれば、必ず通じる話なんですよ。それをしていない日本政府はなんなんだ? ということですよ。
それは交渉下手なのかもしれないし、悪く言うと、そういうことはどうでもいいと思っているかもしれないけれど、でもやっぱり……..。
小谷:票につながらなさそうな気がするんでしょうかね。
中島:そのセンスの問題を言ってもしょうがないんだけれど、どうして言いたいことを言ってくれないのかな。交渉というのはあくまでも(手段の)1つかもしれないけれど、交渉はいくらでもできるわけですよね。
小谷:そうですね。
中島:やっぱり自分が思っていることを通す、もしくは自分が守りたい人たちを守る、その手段としての交渉術を考えるといろいろあると思うんです。そういう意味で言うと、日本政府はアメリカ議会に対してロビー活動が少なすぎると思うんです。と、こんなふうにアウトプットをしてもいいなと思います。
小谷:いや、もう、国会にも売りつけたいくらいですね(笑)。ここからちょっと本題のほうに戻りますね。ちょっと本(『結局、人生はアウトプットで決まる 自分の価値を最大化する武器としての勉強術』)を開いていただけたらなと思うのですが、具体的に、この実利的なノウハウも含めて、18ページですね。
ここはもう、さっきもおっしゃっていただきましたけれども、いま便秘(情報をうまくアウトプットできない)状態に陥っていらっしゃる方は、結局アウトプットしても、実名でやる方が少ないのと同じだと思うんです。
炎上したり、からまれたり、あるいは会社に知られてしまったりすることが心配になってしまうんですよね。「損をしてしまうんじゃないか」「得より損のほうが多いんじゃないか」と尻込みをして、それを書かない言い訳にしている方も多いと思います。
そこを中島さんから、もう少し具体的に「むしろこんないいことがあったよ」というお話をお願いします。もちろん損をした話もあって大丈夫です。ぜひ、これだけ世界が広がったよ、得したよということを、ざっくばらんにお話しいただければと思います。一番はそうですね、メルマガでしょうか?
中島:いえ、最初はブログですね。私はマイクロソフトを辞めた後に、アメリカで会社を立ち上げました。そのあと日本に来て、資金を集めたり、営業もしましたが、そのときに本当にブログが役に立ちました。
会社をつくって少ししてから、日本で営業を始めたときに気が付いたのは、まず、「僕のことをどこかで聞いた人がいる」ということなんです。
例えば、営業をしている当人の部長さんは知らないけれど、その人の部下の1人がたまたま僕のブログを読んでいて、僕の名前を知っていることがありました。そんなことがあって有名な人扱いをされるようになり、しかも面白いことに、僕のブログがあるということを知ると、みなさんけっこう読んでくれるんです。
面白かったのが、僕が会う部長さんはブログを読んでいないんだけれど、その人が部下に、前の日ぐらいに「明日、中島という人と会うから、お前、その人のブログを読んでこい! 全部読んでこい!」と命じるようなことが何度かありました(笑)。
(会場笑)
聞くと本当に、徹夜しても読めないらしいんですよ(笑)。僕も全部読もうとしても1日じゃ読めないです。
小谷:そうなりますよね(笑)。
中島:でも、それぐらいしてくるんです。そうすると、本当にそこで、僕のことや思考を徹底的にわかってくれている人が来るわけです。それはプラスだけではなくてマイナスもあるんだけれど、やっぱりわかってもらえると楽ですよね。
僕の価値観とか、どういうことを大事に思っているとか、何が得意で何が不得意とかを全部わかって来ているから、すごく楽ですよ。僕としては自分をさらけ出したかたちで仕事ができるので、肩の力を抜いてできる。格好つける必要がないんです。
やっぱり実名でブログを長く書くと、そこに自分そのものが出てきます。得意なことと不得意なことがあるから、格好つけようとしてもつけられない。その中で実名で長く続けると肩の力を抜くしかなくなるので、そこで自分が全部出る。
ある意味、自分を全部さらけ出して、それを読んでもらったうえで仕事をすると、割と自分の本当の部分で勝負ができるから仕事がしやすいんですよ。例えば、ぱっと見て学歴や会社のタイトルだけで、「〇〇会社のCEOです」というものだけだと、ハリボテ状態で戦わないといけなくなるので、けっこうキツイですよね。それがなくなったのは、僕としてはすごく大きかったです。
小谷:きちんと腹を割って。
中島:ええ、腹を割ってしゃべります。あと、本を出した後は、今度は本を持ってくるんですよ。偵察というか、向こうの人が選ぶんですね。けっこう驚いたのですが、ちょうど2年、3年くらい前、うちの会社はトヨタさんと仕事をしていたのですが、トヨタの偉い人と会うと、本を読んでくれていて、「サインをください」と本を持ってきてくれるんですよ。これはすごく営業のプラスになりました。
それは別に狙っていたわけではないけれど、結果的には僕にとって、僕の会社にとってすごく大きなプラスになりましたね。コメント欄が炎上するようなこともありますが、これはしょうがないですよね。慣れるしかないと思っています。
小谷:それは税金みたいなもの、という感じでしょうか。
中島:結局は考え方だけど、やっぱりネガティブな人はいるわけですよ。100人中に、たぶん2人くらいはいるわけですよね。おそらくそういう人が攻撃してくるんだけれど、その人が攻撃してくる理由は、例えば自分がクビになったとか、どこかにそういう悩みがあるからだと思うんです。
小谷:悩みを持っているんですね。
中島:失恋したばかりだとかね。すごくコンプレックスがあるから、ああいうふうに攻撃してくる、と見て読むと、まあ、しょうがないかなと思えます。
小谷:まあ、相手にしても仕方ないですしね。
中島:まあ、例外的に。それで、下手をするとコメント10個ついたうちの8割がすごくネガティブだったりするわけですよ。その数だけを見ると、世の中の人8割が俺のこと嫌いなのかなと思ってしまうけれど、実はそんなことはないんですよね。
やっぱりサイレントマジョリティーと呼ばれる、何も言わない人がいっぱいいて、ごく一部の、本当に100人に2人くらいの変な人たちがいっぱい書いてくるんです。そこをちゃんと理解すると、そんなに気にならなくなります。
小谷:信念を持っているというか、ちゃんと軸を持って、そんなネガティブな人は気にするなということですね。ポジティブにコメントをくれる人たちと高め合っていけばいいということなんですね。
中島:でも、それは実名ブログなどを始めたときには必ず、誰でも直面するわけです。覚悟というほどではないけれど、そういうものだということを理解したうえで、ネガティブコメントを受け取るといいと思います。
小谷:割り切るといいということでしょうね。あと、ちょっと印象的な言葉があるのですが、今、「信用がお金代わりになる」ということを、けっこう言葉として聞くなあと思ったんです。
35ページのところですね。やはりこの本(『結局、人生はアウトプットで決まる 自分の価値を最大化する武器としての勉強術』)の通り、いい言葉だなあと思ったのですが、「信用はお金では買えないが、信用を高めておけば、それが仕事になる方法などいくらでもある」という文章が非常に印象的でした。
先ほどもおっしゃっていたと思うのですが、アメリカでの事例などをもう少し詳しくお話いただけますか?
中島:僕はエンジニアだから、本当は営業じゃないんですよ。でも結局、自分で会社を始めたら営業もしないといけないわけですよね。そのときに、相手の立場になってみると、いろいろ売り込みに来る人はいっぱいいるわけですよ。それで、みんないいことしか言わない。悪いことをわざわざ言いに来る人はいないです。
いいことばっかり言う連中の中で仕事をする相手を選ぶとしたら、選ぶ方法は1つしかないんですよ。要は、一番いいことを言った人を選ぶのは間違っているわけです。それは嘘かもしれないから。そうすると結局、相手が信頼できるかどうかを、人を見て判断するんですよ。最終的にはそうだと思う。
明らかに数字で割り切れるような、「うちの自動車の最高速度は100キロです」「200キロです」「じゃあ、200を買う」ならいいのですが、そういう感覚の話ではない場合です。「うちの会社の製品は世界で一番使いやすいです」というような、すごく曖昧な言葉だから、最終的には本当にその人を信頼できるかどうかなんですよね。
だから、信頼はものすごく重要です。僕は狙ったわけじゃないけれど、ブログを長く書くことが、実はその信頼を勝ち取ることに、ものすごく役に立ちました。
小谷:やっぱりブログなんですね。
中島:そういうことはありますが、別にそれと同じ方法をやりなさいという話じゃなく。他にもいろいろあるのかもしれないけれど、営業に限らず、信頼してもらえる関係を築くことがものすごく大事だと思います。
加藤純平氏(以下、加藤):僕がふと気になったのは、中島さんはよく、読者の方のツイートにリツイートされていますよね。(ツイートを)読まれてみて、ちゃんと伝わっているなと思うのか、それともなんだかちょっと違うふうに解釈されたなと思うのか、そういうことはあったりしますか?
中島:ありますよ。まあ、あんまりにも食い違っていると、リツイートはしないけれど(笑)。
(一同笑)
人によって解釈の方法もあるし、まあ、だいたい合っていればいいかなと思っています。あとは、(自著を指して)これをアウトプットの本と読み取る人もいれば、勉強術と読み取る人もいる。それは読む人の自由ですよ。
僕は好きですよ。僕のことや僕の本のことをコメントをしてくれることが。だから、Amazonのコメントもけっこう読みます。当然だけど、ブログのコメントやメルマガに対する質問を全部読むのは、こうやってアウトプットしてく中の最も大事なプロセスの一つだと僕は思っています。
別に格好つけてとか、せっかくもらったから読まなきゃ悪いとかではなくて、自分にとって、利己的な意味でのプラスになっているんです。
小谷:勉強になるんですね。
中島:そう。その一番のニーズの、本を書くにしても何にしても結局は読者がいるわけです。読者がどういう人かも含めて、どういうことを書くと喜ぶかを知ることは、ものすごくいいことです。
中島:実は、僕はそれを「はてな」のブックマークで勉強したんですよ。この本にもどこかで書いてあります。ブログを書いているときに、はてなというサービスでブックマークがつくということを知りました。そこでブックマークがたくさんくると、読者がたくさん来るんですよ。
はてなブックマークの数は、IT業界に偏った話なのですが、少なくともIT業界で評判になるかどうか、要はみんなに読んでもらったかどうかの一番の評価基準だったんです。だったらブックマークがたくさんつくブログの書き方はどういうものなのかをいろいろテストしました。やっぱり、そういうインプットがあるんです。これは、フィードバックがあるとわかるようになります。
ポンと投げても、何人読んでいるのかわからない状態ではものすごく難しいけど、ブックマークが100個ついた、200個ついた、じゃあなんでこっちに200個ついたんだろう? ということを考えると、だんだんそれがわかってくるわけです。
小谷:フィードバックやリアクションは、本当にわかりやすいですよね。
中島:だから、(僕は)はてなブログにはすごく詳しいと思います。
小谷:そこから始まりましたからね。というところで、最初もお伝えしたのですが、キャッチコピー、その人を表すわかりやすい言葉というものも、ブログなどでアウトプットをしていくうえですごく大事かと思います。その中で、中島さんの「永遠のパソコン少年」。とても耳に残る良いキャッチフレーズですが、これは中島さんご自身が(つけられたんですか)?
中島:そうですね。ブログを書いていて、たぶん、ブログのタイトルやサブタイトルをいろいろいじっているうちに、たまたま思いついたんです。すごくすっきり、しっくりきました。
小谷:「ひらめいた」という感じですね。
中島:うん。ひらめいたから使ったのもあるし、「これでいいんだ」と思ったところもあるかもしれません。だから、単にそのブログのサブタイトルとしてつけたというよりも、つけた瞬間に、「あ、こういう生き方でいいんだ」という感じになりましたね。実はなんだか人生観が変わったような気もする。サブタイトルをつけたことによって、「俺はずっと少年でいいんだ」みたいな(笑)。
小谷:(笑)。なるほど。自分も納得したんですね。
中島:わがままでいいんだ、というような(笑)。
小谷:そうですね、この69ページの「永遠の〇〇を見つけよう」という感じですね。〇〇少年なのか〇〇少女なのか、ハマることを見つけようというところですね。
中島:その本の中に書いた、ロックの、なんだっけ?
小谷:ハイロウズ。
中島:あの人が本当に同じことを言っていたときには感動しました。
小谷:甲本さんとかね、「ロックでいいんだ」と。
中島:そう。そういう意味では、僕の場合は高校のときに初めてパソコンに出合って、プログラム書いたんです。実は、そこから楽しみはあまり変わっていないんです。えらい勢いでプログラムを書くことでマイクロソフトに入れたし、会社もつくれた。
そういうこともあるけれど、それは別に、たまたまそうなっただけで、実は自分とプログラミングの関わりが「こうだ!」というものを発見したのは17歳のときだったんです。それと変わらなくていいんだと気が付いたのが、このサブタイトルをつけた日。
小谷:それがバチっと最後にはまったわけですよね。キャッチコピーはやっぱり大事ということですね。キャッチコピーというか、自分の発信する内容に関するサブタイトル。
中島:まあでも、そうかもしれませんね。
小谷:ブランドじゃないけれど、それがブランドになるくらいの。
中島:そういった外向きの話をしているかもしれないけれど、僕はどちらかというと内向きなんですよ。自分向けの話で、自分にとって何が大事なのかを、割とすっきり納得できたことが一番のプラスです。
小谷:僕もそうなんですけれど、サブタイトル、キャッチコピーを考えるとすごくいいのかなと思ったので、みなさんもぜひ。
中島:みなさんも自分のサブタイトルを(笑)。
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