2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
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小谷俊介氏(以下、小谷):またここで、政治的な話ではないのですが、やはりこのアウトプットの大切さというところで、(『結局、人生はアウトプットで決まる 自分の価値を最大化する武器としての勉強術』の)77ページに行きたいと思います。ベーシックインカムが導入されたら何をするのか。
やはり今回(参加された方々)の中でも、アウトプットに興味あるけれど何をしたらいいのかわからない、という人たちも多いのかなと思います。強制的にではないですけれども、実現可能性の高いベーシックインカムというものの中で、それぞれ何を考えているかが非常に大切ですよね。意外と考えていない方が多いのかな、と思うのですがどうでしょうか。
中島聡氏(以下、中島):まあ、そもそもベーシックインカムが何かを知らない人もいっぱいいます。
小谷:そうですね。
中島:知っている人の中でも、そんなものを導入するはずがないと思っている人もいます。「ベーシックインカムが導入されたらどうしよう」と真剣に考えている人はまだ少ないと思うけど、例え話というか考えるベースとして、ベーシックインカムみたいに働かなくても誰でも食えるという状況になったときに何をしますか? という話です。
もうちょっと付け加えると、働かなくてもいい時代になったときに、あなたはなにを、どの仕事を選びますか? なんですよ。別に、「遊ぶ」という人もいてもいいんだけど、なんとなく僕は、それは違うような気がしています。働かなくてもいい、別に給料のために働くのではない中で、何をして働きますか? もしくは、何をして世の中に役に立ちますか? でもいいけれど。
小谷:貢献する。
中島:そういう考え方をしていくと、自分にとって大事なものが見えてくると思いますよ。僕の場合のそれは、明らかにプログラムを書くことなんですね。儲かる儲からないは関係ないんです。そういうものに出会えて、しかもそれで食べていけたら最高じゃないですか。
(会場頷く)
中島:僕はね、食える食えないは別にして、これで生きていきたいとか、これだったら勝負できるとか、これだったら世の中の役に立つみたいなものを芯に持っておくと、そこがこう、なんていうのかな……。
小谷:自信にもなりますし。
中島:自信というか、自分の芯みたいなもの。なんていうのかな、支えというか、自分の実体かな? 実体とやっていることがずれていると、難しい。不幸せだから、じゃあその実体と合わせるにはどうしたらいいかって考える。例えば、本当に音楽とかが好きで、音楽で食えばよかったのに、なぜか親に説得されて音楽じゃない道を選んでしまったというような人はいっぱいいるわけですよ。
小谷:多いと思います。
中島:でも、こうやって突き詰めて考えると、もし、食うのを心配しなかったら俺は音楽やりたかった、という人は、そこにちょっと不幸せがあるわけじゃないですか。そこで本当にやりたいことと、食うためにする仕事をどうやって一致させていくかということに考えが及びますよね。
小谷:そうなんですよね、擦り合わせをしないといけないなどということがありますね。
中島:ひょっとしたら、そういう人は転職によって解決するかもしれない。あまりにもずれているのに、それで食うためだけに働くというのはなんだかもったいないと思いますよ。それもあって、僕はベーシックインカムみたいなものは(必要性が)ある、と思う。
小谷:あったほうがいいと思うんですね。
中島:でもあまり日本の政治家がやると、批判されるし(笑)。
小谷:(笑)。
中島:霞が関は仕事が減るからね。まあ、彼らに使ってもいいかもしれないですね。
小谷:参加されている方の中で、先ほど中島さんがおっしゃったように、自分の中に本当に好きな仕事とか趣味とか、自信となるものを持っておられる方は、どれくらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
小谷:やっぱり少ないですよね。では、本当にこの仕事で食っていくとか、食っていくためじゃない、楽しんでやっている、みたいな方はどうでしょうか。もう一回手を挙げていただいていいですか?
(会場挙手)
小谷:少ないですよね。日本人はなかなか、欧米と比べるものではないと思いますが、やっぱり好きを仕事にしているというか、ハマっている人は少ないなと思います。親のあれではないですが、レールに乗るとか食べるためにとか考えてしまいますよね。
中島:大学を出て2年くらい経ったときに、もう1回大学の連中が集まったときに、全員口を揃えて「大学時代は楽しかったなあ」と言うんですよ(笑)。
小谷:早いですよね。まあまあ、ありますよね(笑)。
中島:僕はそのときすごく仕事が楽しかったから、本当はけっこうショックでした。マイクロソフトに移っていたし、なにも言えなかったというのもあるんですけれど(笑)。
(会場笑)
でもなんだかみんな、「大学時代は楽しかったよなー」と言っているんですよ。
小谷:あーーー。
中島:僕はちょっと、それを見て悲しかったですね。
小谷:それがずっと続いていく気がしますよね。居酒屋の愚痴じゃないですけれど。そういう、仕事終わってからが本当の自分みたいな感じ。
中島:ひょっとしたら、新卒一括採用みたいなものが(原因かもしれない)、そこで一発勝負で決めないといけないから。
小谷:確かにそうですね。
中島:日本の場合は厳しいのかもしれない。
小谷:転職があまり良しとされていないのも、未だにあったりしますからね。生え抜きということがアドバンテージみたいな感じがありますよね。
中島:別にアメリカ人だって、学校を出たときに何をしたいか知っているということはないんですよ。アメリカ人でも、就職してみたら違うから辞めた、みたいなことはあります。それでもう1回学校に戻って、というのがけっこうあるんです。
小谷:あ、戻れるんだ。
中島:アメリカの場合は、別に30になろうが40になろうが学校に戻って、もう1回やり直して、そこから就職ができるから。やり直しがきくんです。
小谷:転職のさらに先で学校に行って学び直す。そしてまた再就職というのが普通にできる。本質的でいいですね。
中島:僕の息子のお嫁さんのお母さんだから、だいたい僕と同じぐらいの年だけど、3年くらい前に学校に戻ったかな。
小谷:3年くらい。
中島:そこで資格を取って、それで仕事を見つけてみたいなことをやっています。それを普通にアメリカ人はやっていますよ。それをしにくいのが日本ですね。
小谷:しにくいというか、できないというか、認められないという感覚ですよね。まあ、実際できたとしても、もう……。社会人大学のようなもので共に一緒に学んで、というようなイメージを持っていますが、地元で1回中座して大学に戻って、いかにそれが実学的なものであっても、聞いたことがないですもんね。
中島:それはダメだといって諦めちゃうと、何も起こらないから。
小谷:本当にそうですね。
中島:それはやっぱり、もしかしたらいくかも知れない。
小谷:改めて思いましたね。あとはやっぱり中島さんの活動で。これはまだ知らない方もいらっしゃると思いますが、エンジニアとしてアプリもいろいろと開発されていたと思います。最近のもので、みなさんに紹介したいアプリなどはありますか?
また話は飛びますが、アウトプットという意味から、アプリづくりのススメなどはありますか?
中島:そうですね。最近もプロジェクトがいくつかありました。1つはiPhoneアプリです。まだまったく宣伝もしていませんが。『バス2.0』というアプリ。
小谷:『バス2.0』、乗り物の「バス」ですね。
中島:乗り合いバスのシュミレーションです。一般の人がダウンロードして面白いものではありませんが、ものすごく真剣に作りました。
小谷:どういったアプリなんですか?
中島:地図上でお客さんが、僕はここからここまで行きたい、私はここからここまで行きたいといったように、それぞれが乗る地点と行き先を指定すると、町中を走っている乗り合いバスが迎えに来てくれます。乗り合いも含めているので、3人乗りであれば3人を拾って、それぞれの目的地に届けてくれる。要は、最適化ルートを見つけてくれるんです。
この問題というのは、これから10年20年後ぐらいに、自動運転車が実現されたときに必ず必要になるわけです。たぶんそれが実現されると、今あるタクシー、バスだけではなくて、電車や乗用車も全部入れ替えられるくらいかもしれない。誰も自分では運転しないし、車も持たないし、電車とバスもいらなくなる。それを全部やるという世界が来るんですよ。
そこで10年後20年後に、ものすごく重要になるアルゴリズムを作ろうと始めたのが『バス2.0』というソフト。取りあえずうちはまだ乗り合いバス会社を運営しているわけではないのだけど、そのアルゴリズムは誰かが解決しなきゃいけないので、僕がやろうと始めました。それはもうぜんぜん、うちの嫁さんには「なんでそんなことやってるの」と。
(会場笑)
だいたい、今やっても儲からないわけですよ。だけど誰かが解決しなければいけないから始めたのがその『バス2.0』というソフトです。それは伝えたいことですね。
Slackという仕事用のチャットアプリのサービスがあるのですが、すごくよくできている。僕も使っています。それはSlack用のアカウントを作って、ワークグループというグループを作って、そこにみんなが入ってディスカッションをするといった仕組みなのですが。
もうちょっと軽いものがほしいと思ったので、Slackよりも軽いアプリを作りました。それは未完成なのですが。Slackというのは、IT業界ではよく知られているアプリなんです。
「ユニコーン」という企業価値1千億以上でありながら未上場という会社が、たぶんほとんどがシリコンバレーにあるんですけど、そこの1つと平気で戦うソフトを僕と友達2人で創って、「いつかはSlackに勝とう」というようなこともやっています。
それも、うちの嫁さんに言わせれば「あなた勝つ見込みゼロじゃん」。
小谷:いや、良いですよね。ちなみに、この本(をつくるときも)もSlackを使ってグループでやっていたのですが。GoogleやLINEを使ってグループワークをしている方もいらっしゃると思います。もしご存知ない方がいらっしゃったら、グループワークにすごく便利なSlackというものがあります。
さらにその上を行くカジュアルなものを中島さんは作っていらっしゃるということですね。何という名前のアプリですか?
中島:『Chat to go』です。
小谷:これから公開された際には、ぜひご紹介ください。
小谷:まだまだ半分も質問ができていないのですが、もう1時間が過ぎてしまいました。これだけは答えておきたいというものはありませんか。参加者のみなさんもいいですか。いっちゃいましょう。もし終わられた方がいらっしゃいましたら回収しますが、大丈夫でしょうか。貴重な機会ですので、ぜひ。
では、最初から重いかもしれませんが(笑)、これいきましょう。
「人生において、死を意識して、ここまでのアウトプットやマネージメントを考えたことがありますか。先生の考えを人生に応用したいと思っています」。
加藤純平氏(以下、加藤):本の中では「人生は思っているほど長くない」と。
小谷:「長くない」とね、そうそう、(本の)初めにありますね。
中島:死の意識の仕方は、例えば死が怖い、死後の世界がどうというような重い感じではなくて、ばく然といつも意識しています。どっちにしてもいつかは死ぬわけですし。明日死ぬかもしれないし 。
小谷:そうですね。ひょっとすると。
中島:それなら、やっぱり取りあえずは楽しんでおかなきゃいけない、というものはあります。あとはむりやり長く生きていてもしょうがないという気持ちもあるんですよ。アウトプットとは関係ない話だけど、僕は薬などは飲まないんですよ。薬というか、サプリメント。
小谷:へえー。サプリメントも含めて。
中島:サプリメントはだいたい。僕、ものすごくその辺は科学者で、疑ってかかるわけですよ。ビタミンAを飲んでいいのか。それを調べれば調べるほど、実はあまりビタミン系のサプリは本当は役に立たないのではということが出てきます。
小谷:科学的にも、本当に役に立つのかと。
中島:逆に害があることの方が証明されていたりするので、飲んでもろくなことがない。かつ、今度は歳を取ると血圧を下げる薬なども、いろいろあるじゃないですか。それも実は副作用が多くて、そういった薬を飲んで、薬の副作用と戦いながらダラダラ長く生きるよりは、別に。
例えば僕はコレストロール値が高いんですが、コレステロールが高いせいでぽっくりと死ぬのと、コレステロールを下げる薬を飲んで長生きはするんだけど、副作用で苦しみながらズルズル生きるのと、どちらがいいかというと、僕はぽっくりと死ぬ方がいいと思うタイプなのです。
だから、コレステロールを下げる薬を医者に飲めと言われても、飲まない。でも、そのおかげで副作用はないし、別にコレステロールが高いからといって肥満ではないから、好きなことをして、事業展開をして、ぽっくり逝くまで生きようというような死の意識の仕方は昔からあります。
加藤:でも奥さんに、「そんなことはいいから飲みなさい」などと言われませんか?
中島:いや、言われない。
(会場笑)
小谷:そういう死があるから楽しもうと思っています。怖がるというよりは、目一杯アウトプットして、仕事も効率的にやって、好きなことに使おうということですよね。
中島:わがままに生きよう。
小谷:大層に考えることなく楽しもうと。
(質問を選ぶ)
中島:「公平に」と言いながら選んでるじゃない。
(会場笑)
小谷:おっしゃる通り(笑)。では、これいきましょう。
「文中で続けるコツを書いてましたが、止めそうになったときはどのように続けられたのかについてお聞きしたいです」。
やっぱり普通はそうですね。絶対ありますよねという。毎週毎週。
中島:まあ、なんだろうね。あんまり良い答えじゃないかも知れませんが、続けるときは続ける。続けられないときは続けない、それだけの話のような気もします。ブログに関しては、続けりゃ楽しいからずっと続けていて、あるところでメルマガに切り替えたら、メルマガの方がもっと楽しかった。別にブログを止めようと思ったわけじゃないけど、自然とメルマガに自分の意識が移ったんです。
そのときに別にそれでブログを止めようとか、止めるのが悪いといったことを思ったこともありません。時々ブログにも書いていますが、基本的には前と比べると止めている。メルマガの方は止めようと思ったことはありませんね。
一瞬仕事が忙しくなったときに、力を抜こうとは思いましたが、止めようとは思わなかった。というのは、また楽しくなってくるから。楽しくてがんばると、またどうしても(そこにかける力は)増えるので、それが自然にプラスになると思っています。
別にそんなに、人より意識が強くてどうのということはありませんね。YouTubeも同じだけど、1回止まったりしました。YouTubeは手間がかかるんです。
小谷:ですよね。
中島:YouTubeに関しては、止めようと思って止めているわけじゃなくて。今はちょっと手間がかかるからやっていなくて、もう少し効率の良い編集部分の作り方ができれば、もう1回やりたいと思います。僕が待っているというか探しているのは、今バーチャルYouTuberというのがありますよね。
小谷:ああ、ありますね。
中島:本当に文章を書く程度の手間でバーチャルYouTuberにしゃべらせることができるようになったら、そのバーチャルYouTuberに、YouTuberをやってもらおうと。
小谷:バーチャルYouTuberには関心があるのですね。
中島:それはバーチャルYouTuberだからいいんじゃなくて、本当に作る手間の話ですよ。やっぱりね、YouTube作るには、絶対にすごく時間がかかるんです。やっぱり毎週はできない。
小谷:中島さんのはそうですね。説明していくというのは、あれはもう。
中島:仕事があるので。YouTubeだけやっているならいいのですが。プログラムを3つぐらい書いているので、さすがに無理です。でも、誰かがここ1、2年ぐらいのうちにそれを解決してくれると期待しています。僕がやってみてもいいのですが、あまり得意な分野ではありませんから。本当に文章だけ書いて、キャラクターの動きのようなものをすると、勝手に動いてくれたら。
小谷:今、日本発の「キズナアイ」というバーチャルYouTuberがいるんですが、フォロワーが200万人とかついているんです。たまたま開発者の方とお話をする機会があったんですが、費用が高いですよね。企業が使うにしてもゼロから作って500万、運用でひと月100万、200万といったような。まだまだ一般化されていない状況なので、そこらへんがもっと売れてきて、安くなればいいですね。
中島:あれは、思いっきり下がると思います。
小谷:そうですね。もっともっと下がってほしい。
中島:下がりますよ。デジタルの世界は必ず下がるんですよ。本当に2年でできるかどうかはわかりませんが、真面目な話、ニーズがあるわけです。僕のように思っている人がいるから。そうすると本当にブログの原稿用紙に文章を書く手間で、YouTubeに上げられるという時代が必ず来る。
小谷:来てほしいですよね。では、次の質問。「アメリカの政治学者、イアン・ブレマー氏が、中国は宇宙開発を独自でやっているし、ノーベル賞なども関係なくいろんなことをやっているので、今後アメリカを起点に世界の先端技術体験がわかれていったときに、非常に危機感を持っていると言っていました。中島さんはどう考えますか」。
小谷:これはシリアスな質問(笑)。
中島:難しそうですね。でも、僕も分担に関してはものすごく思うところがあります。危機感でもありませんが、困ったなとは思っていますよね。同じ土俵で戦っていないじゃないですか、中国は。ネットも閉め出しているし、著作権に対する考え方も違うし、別に必ずしもアメリカが正しいという話でもありませんが、違う土俵で戦っているから、アメリカもどう戦っていいか悩むんですよね、明らかに。
その中で日本がはざまに立って、地理的には中国に近いけど、経済的、もしくは政治的にはアメリカに近いという立場でどうすればいいかというのは非常に難しい問題ですが。
質問者:政治的にも、2大占有主義という価値観において、西欧的というか西欧近代からの流れを組むそういった自由主義陣営というのでしょうか。そういうものが機能しているとは思うのですが……。
中島:いや、難しい問題だと思いますよ。でも、アメリカの大統領もトランプさんだし、なんだか今はカオス状態ですよね。ここは簡単に答えが出る話じゃありませんが、ご指摘の通り注目すべきことだし、ここに問題が発生するし、ビジネスチャンスも生まれると思います。
小谷:そうですね。メルマガにご質問いただくなど、そういったかたちでいただければと思います。では、次にいきましょう。
「アウトプットをするときに、人からどう見えるかについて考えることはあるのでしょうか」。日本人的な質問ですね。
中島:あまり僕がどう見られたいかといったことは思いませんが、要はフィードバックというか、ブログであれ、メルマガであれ、本にしても、読んでくれる人はお客さんじゃないですか。だからお客さんがどう思うかは、すごく意識しています。僕のことを格好いいと思ってほしいから書くのではなくて、本だったら売れてほしいし、ブログだったらたくさんの人に読んでほしいし、もしくは喜んでほしい。
そのためには、その人たちに文章がどう受け取られるかというところはものすごく考えます。いわゆる料理をしている料理人のように。せっかく料理をしているのであれば、美味しいと思って食べてほしいので、そこはすごく考える。その上で大事なのは、料理が美味しいと思ってもらうことであり、料理人がすごいと思ってもらってもどうしようもないわけです。そこをはき違えるとろくでもない。
小谷:わかりやすいですね。料理人だけが目立っても意味がない。料理そのものが目立たなければ。
中島:日曜日の朝に関口宏がやっている、民放のニュース対談番組があるじゃないですか。
小谷:ああー、はいはい。ありますね。
加藤:『サンデーモーニング』。
中島:あれに出てくる解説者が2人ぐらいいるんですが、どう見ても答えが自分を格好よく見せるためなんですよ。
(会場笑)
中島:あれが許せない。お前たち、ギャラもらって仕事をしているのに、自分たちが格好つけてどうするんだと。それはもう見ていて最も恥ずかしいことだと思います。アウトプットする体質としては、コンサルタントだろうと、本を書く人だろうと、プログラマーだろうとなんでもいいのですが、そこに軸足を置いてはダメです。
小谷:その人の利益になるような、ポジショントークになってしまっているんですね。
中島:その解説者が、「僕はアメリカに知り合いがいるけど」というようなことを言うけど、知り合いがいるかどうかなんか誰も興味がないわけです。確かにアメリカ人がどう言っているかは知りたいから説明してほしいのですが。「いや、僕は知り合いがいてね」というようなことを一言付け加えることによって、そいつの言っている価値が判断される。
小谷:とにかく偉く思われたがる。
中島:だから、自分のブランドを創るといっても別にブランドを創る必要はない。要は、「より美味しい料理」を創っていればいいんです。それだけ考えれば1番いいんです。それが結局は喜んでもらって、最終的には自分のブランドをあげるんだから。自分がなにかすごいんだというようなことを言うと、逆に自分が下がってくるというのはよく見かけますね。
小谷:気にする必要はあるけれども、それがどう見えるか。
中島:自分が見える価値にしていくことで、アウトプットしている映像が相手にとって価値があるかどうかをひたすら考えるわけです。
小谷:なるほど。わかりやすいですね。ありがとうございます。もうちょっといきましょうか。これもすごい質問ですね。
「天才プログラマーになるにはどうすればいいですか。勉強の基本は本でしょうか。好きなプログラム言語はありますでしょうか」。
中島:天才プログラマーの定義がよくわかりませんが、まずは好きであれ。本当に三度の飯よりプログラムが好きという状態。勉強の基本は本ではありません。プログラミングの場合、基本的には、例えばアップルのiPhone用のプログラムの勉強ならすべてアップルドットコム。Appleのサイトにあります。それでいいんです。今はそういう時代になっているから。余計なものは必要ない。
iPhoneアプリの勉強がしたかったらAppleを押さえておけばいいし、Androidソフトの勉強がしたかったらGoogleにいけばいい。それだけの話です。あまり本などを参考にしないで、とにかく彼らが勉強させてくれる1番最初の部分の分子。プログラムガイドなどを徹底的に読み込んで、あとはもう数ですよ。プログラミングをいっぱい書く。
自分で作りたいものがなければいけない。こうしたソフトを作りたいというものがないと、勉強を目的とした勉強はどうしても難しいです。
小谷:目的ですね。
中島:ゲームでもなんでもいいのですが、目的を持ってプログラミングを書くのが1番良い勉強になると思います。
僕が好きなプログラミング言語は「Swift」。iPhoneアプリ用の言語ですが、使いやすいです。それもあってしばらくはiPhoneとの関係からはまず離れられない。なんかAppleにハマっちゃっている感じがする。
小谷:プログラミング教育をおすすめしますか? これからよく言うじゃないですか。小学校でもプログラミング教育など、その辺りについてはどう思われますか?
中島:プログラミング教育は賛成ですが、全員にやれというのは苦痛になってしまいます。ただ、体験の1つとして小学校あたりで誰でも一度は触れて欲しいかな。ただそれは全員にプログラミングを教えることが目的ではなくて、その中にたぶん50人に1人ぐらい、プログラミング言語に出会った瞬間に好きになる人がいるわけですよ。50人に1人。それを発見するためにやってほしい。
というのは、今、最近少し増えているかもしれませんが、プログラミングでも音楽でもなんでもそうですが、何かに向いている人はそんなにいないんですよ。良いプログラマーになる才能、ある人は良い音楽家になる才能を持った人が50人に1人ぐらいいるので、それをできるだけ早い時期に見つけて伸ばしてあげること。
そのためのプログラミング教育をすべきだと思います。それは音楽もそうだし、なんでもそう。絵でもそうだしね。若いうちはとくにそうです。
吸収力がすごくある小学校3年、4年、5年ぐらいのところで、いろんな刺激を与えて、「僕はこれが得意だ」「これが好きだ」というものを見つけてもらう。
そういったチャンスを与えるのが親であり学校のやるべきことであって、その後はもう勝手に伸びていく。伸びるための環境を邪魔しないこと。伸ばしてあげれば僕はいいと思います。だから、あまりバランスの教育なども気にしていません。
小谷:なるほど。機会を与えてあげるということですね。
中島:だから、なんでもやれと言うのではなく。プログラム言語は嫌いだけど音楽が得意という子は、プログラムはやらなくて音楽だけにしようというような、その人が得意なものを伸ばす教育の方が僕は好きです。
そうした観点からのプログラミング教育であれば僕は賛成ですが、全員がプログラミング教育でプログラムがかけないと高校入試ができないのはものすごくかわいそうだと思います。
ちなみに、プログラミング教育のために数学の授業を減らしたそうですが、それはとんでもない間違いです。何を考えているんでしょうか。プログラミングの基本は数学なので、数学ができない人はプログラミングの伸びしろが落ちるんです。
だから天才プログラマーというのは、入試のプログラムがあるとしたら、まずは数学がしっかりしていないと。確率の計算や統計、行列など、その辺がガチッとできていないと、伸びしろがそこで止まっちゃうんです。
小谷:なるほど。僕は2週間ぐらい前に父親になったばかりなんですけど、ちょうど子どもにすごく良い案になったなと、代弁していただいたと思いました。ありがとうございます。
もう時間が来ちゃいましたね。本当にいろんな質問をいただきまして、ありがとうございました。私自身もためになりましたし、質問していない方も、勉強になっていただいていればいいなと思います。
では、ひとまず本日の会を終わりとさせていただきます。長時間ご清聴いただき、ありがとうございました。
(会場拍手)
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