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オークファン・武永修一氏(全2記事)

ヤフオクの価格相場がわかる「オークファン」のビジネスモデルと今後の展開

アマテラス代表・藤岡清高氏が、社会的課題を解決する志高い起業家へインタビューをする「起業家対談」。今回は、オークファン・武永修一氏のインタビューを紹介します。※このログはアマテラスの起業家対談を転載したものに、ログミー編集部で見出し等を追加して作成しています。

オークションの価格相場がわかる「オークファン」

藤岡清高氏(以下、藤岡):2回目のインタビューになりますが、よろしくお願いします。その後上場され、会社を取り巻く環境も変わったと思いますので、そのあたりも含めあらためてお話をおうかがいさせてください。

さて、現在のオークファンさんの事業内容や力を入れている部分についてあらためて教えていただけますか?

武永修一氏(以下、武永):事業内容としましては、「オークファン」というメディアを運営していまして、現在月間約1,000万人以上の方にお使いいただいております。1年前に比べるとユーザー数が倍近くに増加しています。

事業内容は前回対談したときと大きくは変わっていません。ただ、個人のビギナーユーザーの利用が増えていて、以前からのコアな売り手向けのサイトから、一般的な買い手ユーザーがメインになってきています。

例えば、ネットで売買や転売をやったことがない、インターネットでモノを買った経験しかない、もしくは買ったこともないという方も、当社のサイトにけっこう来ていただいています。

我々はヤフーさん、楽天さん等主要マーケットプレイスと提携しているので、ほかのサイトさんから「相場って何だろう」ということでアクセスしてくる初心者ユーザーも非常に増えています。

藤岡:初めてオークファンさんを利用するユーザーの典型的行動は、ヤフオクなどネットで売り買いするときに価格相場がわからないので、事前にオークファンのサイトで商品の落札相場を調べて実際にネットで売買するということでしょうか?

武永:そうですね。あとは、インターネットで商品名を検索すると、オークファンのサイトが上位に表示されるので、「このサイトは何だろう?」ということでアクセスしてきている流れもあります。

オークファンのビジネスモデル

藤岡:御社の売上の柱は?

武永:売上は、オークファンメディアのユーザーに対する有料課金が約60パーセント、アフィリエイト広告+検索連動広告が約25パーセント、あとは小売りさんやメーカーさんを中心に事業者(Business)向けのデータを使ったマーケティング支援などを行っていて、これが約15パーセントでトータルで100パーセントです。

その中でもメディアの広告売上が好調で、当社のサイトを通じて、楽天さんやヤフーさん、Amazonさんにアクセスしてモノを買うという流れが増えています。

藤岡:売上の約60パーセントを占める、メディアユーザーに対する有料課金サービスについて教えていただけますか?

武永:月額513円(税込)で利用できるオークファンプレミアムというサービスで、オークションをより快適に活用するための情報サービスです。

過去の商品落札相場の提供や、仕入れ情報、オークションで儲けるためのノウハウなどのレポートなどを提供しています。現在約6万人(社)を超えるお客様が利用いただいています。お客様のニーズに応じて追加のオプションプランも提供しています。

一般会員様向けに無料の情報サービスも提供しているのですが、より本格的に取り組みたいという意欲の高い方には有料のプレミアム会員をお勧めしています。

より便利に売り買いができますので何度か使っていただくうちにご入会につながっているケースが多いです。

コンテンツが日本語なので、今のところはほとんど国内を対象としていますが、香港や台湾、中国やアメリカなど海外からのユーザーもいます。

B向けのマーケティング支援のニーズ

藤岡:事業者(Business)向けマーケティング支援についても教えていただけますか?

武永:小売さんやメーカーさん向けに対するマーケティング、例えば、商品の売れ行きのリサーチを行っています。

彼らのPOSを預かって当社の持っているインターネットのデータと比較分析をして、何がどれぐらいの価格で売れそうかというようなマーケティングリサーチを行っています。

リアルの小売市場は150兆円あって、今、EC市場が約14兆円と言われています。ECは小売り全体の約10パーセントです。

まだ小売の大部分はリアルな取引ですが、ここに関わっている人たちが成長市場のECに関心を持ちオークファンのお客さんになってくれています。

ECに進出したい、競合企業との価格差を知りたい、もしくは、新品だけ販売していたけど中古も扱いたいなど、いろんな分野で当社のリサーチ能力に対してのニーズが高まってきています。今後はこの事業者(B)向けマーケティング支援をより一層強化していきたいなと思っています。

藤岡:フリーマーケット事業にも力をいれているようですが、ここはまだまだ始めたばかりのところでしょうか?

武永:フリーマーケット事業は単体では考えていなくて、事業全体として意図があって取り組んでいます。

この図がわかりやすいと思いますが、オムニチャネル(店舗やイベント、ネットやモバイルなど、あらゆるチャネルで商品を購入できる環境)で商品の流動化をしたいと思っています。

一見バラバラに見える、フリーマーケット事業や仕入れ事業がありますが、これは何をやっているかというと、オンライン・オフラインを全部含めた企業の在庫の流動化プラットフォームです。

人とモノが動いていくということに対して、もともとオークファンとしては、それを「情報」という観点で促進してきました。

一方で、この「場」を活用することによって、例えば、お客様がどこかでいっぱい買ってきてしまったものをここで売ってほかの人がそれを仕入れてネットで売るという、いわゆる在庫の融通ができたり、あとは企業が余った在庫を催事系のイベントでオークファンのユーザーに売ったりできる。

企業だけでなく個人も、不要品など売れる商品をたくさん持っていますので、この在庫に着目しました。

人とモノを集めてモノを循環させるというところを我々は意識しているのですが、今リアルとネットはスピーディに融合に向かっています。

加速するリアルとネットの融合

藤岡:1年半前にインタビューさせていただいたときはリアルとネットの融合というのは今ほど意識されていなかったように思います。

武永:やはりリアルの動員力ってすごくて、そのリアルな場でいろんなモノが売れていくというところにかなり可能性を感じています。

我々がデータ重視で、かつ、価格情報によってユーザーを支援したいというコアはぜんぜん変わっていませんが、ターゲットが企業向けから個人向けに徐々に広がってきている感じです。

私がよく使うフレーズで、オークファンはずっと“業者サイト”だったのですがユーザーからの支持がジワーっと大きくなってきています。

例えばメーカーさんや小売さんが「今売上が○○億円くらいあるけど、商品の販売価格や在庫についてデータ調査をしっかりしたい」というふうにニーズが高まって、オークファンユーザーになっていただくというのが第1ステップ。

「今度この商品をどこどこに卸したい」とか「この商品をどうやって売っていいかわからないからフリーマーケットで売ってお客さんの反応を知りたい」というふうに、モノと人がインタラクティブになるような仕掛けを作っていくためにさらにオークファンを活用するというのが第2ステップです。この第2ステップを今期強化していきたいと思っています。

6期連続で増収増益の要因

藤岡:6期連続で増収増益のトレンドですが、それが実現できている要因は何でしょうか?

武永:事象からいくと、オークファンというサイトのユーザーが順調に拡大してきたこと、昔は月100万人くらいだったのが、今は月1,000万人以上になっています。メディアの規模拡大に尽きるかと思います。

それを可能にした要因としては、一点突破・全面展開という戦略を強く意識してきました。上場までは一点突破でコア事業以外に手を拡げずに、課金サービスいわゆる売り手の方々に対しての手厚いサービスに特化する。

「物販やりませんか?」とか「金融系の比較サイトやりませんか?」といった事業拡大のアイデアが社内外から出てきたことはありました。

けれども、まずは一点に集中して、一定のシェアを取ったら今度は横に伸びていくということを頑なにやってきたので、それが功を奏したのかなと思います。

藤岡:上場後に事業の横展開を始めた?

武永:そうですね。しかし、やはりコアを忘れてしまうと何の会社かわからなくなってしまう。あくまでも立脚するのは「オークファン」というネットの商品比較・価格検索や分析サービスメディアに足元に置きながら、そこに対するニーズが多様化してきているので、大きな規模になりそうなものに対しては人材を当てていくということをやっています。

EC市場の今後

藤岡:EC市場拡大という環境要因の追い風はいつ頃まで続きそうでしょうか?

武永:EC市場は成長しており、非常に恵まれたと思います。我々が立脚するのは EC市場を含む小売市場ですよね、それから二次流通。共にぐんぐん順調に拡大してきました。

今、日本のEC市場はやっと小売全体の10パーセントに近づいていますが、イギリスは20パーセントを超えていますし、韓国も15パーセントと言われています。日本よりも多いんですよね。

まだまだリアルの比率が大きいので、そういう意味ではすごく可能性があります。当面は追い風が続くと思います。たぶん30パーセントぐらいまでは行くだろうと業界の人は読んでいます。

とは言え、すべての物をECで買うというのはありえない。服も試着しないと買わないとか、ご飯も試食してから食材を買おうという消費者が必ずいます。

ただ現状のEC化率の3倍ぐらい(30パーセント)までは成長すると思います。では残り70パーセントはまったくネットと関係ないかというと、おそらく融合してくると思うんです。

例えば、スーパーに行ってタブレットやスマホで決済したら商品がそのまま家に配送されるとか。「それってECなの? リアルなの?」と。

また、家で誰かのコンサートに行きたいと思いネット決済した後、今度はスマホを持ってコンサート会場に行ってピッと通過できれば、それは決済はネットで行っているけどリアルに行ってるよねと。いわゆるオムニチャネル化ですよね。ユーザーのデバイスによって自由自在になる。

こういう感じでいくと、ECはどんどん生活に溶け込んでいくと思うので、決して30パーセントに留まらないと思っています。ジワーっとインターネットの世界がリアルな生活に溶け込んで行くんじゃないかなと。

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