2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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岩本有平氏(以下、岩本):C CHANNELの会社としての体制に関してもう少し伺いたいんですけれども、日テレのプロデューサーの三枝(考臣)さん、あと軍地(彩弓)さん。テレビだったり、雑誌だったり、けっこう著名なクリエイター、プロデューサーの方が入ってらっしゃると思うんですけれども。
社内の体制として、今どういう方を求められていて、どういうところを強化した結果だったりするんですか。うちはまさに今、どういう方を求めてるという。
森川亮氏(以下、森川):そうですね。実は先週からサイバーエージェントの女性、第一プロデュースだった山崎(ひとみ)さんという方もジョインしたんですけど。実は最初、男ばっかりで始めまして(笑)。
いろいろと戦略も練ったし、技術力もあるし、じゃあいざやってみようってなって作ったんだけど、女性から見ると「男の目線だ」と非常に厳しい指摘を。
岩本:コンテンツがですか。
森川:例えば出てる女性も、女子から見て「可愛い」というよりは、男性から見て「かわいいよね」って。「それってどうなの?」みたいなところから入って。それで大きく転換して。今は女性を集めて、女性の感性で……それを僕たちが応援するというかたちに大きく変わりましたね。
岩本:ちなみに今社員数でどれくらいで、男女比でどれくらいですか?
森川:今、厳密に言うと社員は少人数でやっています。一方で、インターンの方とか、女性のモデルでいつでも来れるような体制の方がいるので、オフィスにいる人は半分以上が女性ですね。
岩本:社員数は2桁いるかいないかとか、そんなものですか。
森川:そんなものですね。今、オフィスも会議室がなくて。会議はカフェでという。
岩本:僕も原宿の黄色いオフィスにお伺いしたときに、本当に入口で打合せさせていただきましたけれども。ちなみにC CHANNELのサービスとして、直近で何か予定されているようなことだったり、検討されているようなことというのは。
森川:今はグローバル展開ですね。いろんな国のキープレイヤーと提携が進んでいて、たぶん来年は世界各国で話題になるサービスになるというようなことが1つと。
一方で、今までクリッパーという女性が(動画を)撮って上げるものが多かったんですけど、今後はプロが作る品質の高い動画を増やしていこうというところなので、大きくその2つですね。
岩本:ちなみに海外というのは、エリアでいうとどのエリアなんですか。
森川:まずはアジア中心にやっていこうかなと思っていまして、各国のプレイヤーと一緒に展開していくような感じですね。
岩本:もう実際始まってる。
森川:そうそう。今は例えばアメリカだとTastemadeさんと一緒に展開していますね。アジアはまだちょっと言えないんですけどね。
岩本:じゃあ年明けとかですか。
森川:そうですね。
岩本:わかりました。
岩本:次の話題にいきたいんですが、C CHANNELで活躍される一方で、森川さんって今、スタートアップの社外取締役をかなり積極的にやられていると伺っているんですが、よろしいでしょうか。(スライドを見て)これが今実際支援されてる会社なんです。けっこうありますよね。
森本:けっこうありますね、はい。
岩本:ステージもそれなりに大きくなってるような……。
森本:そうですね、ネクストさんとかね。
岩本:これもLINEの代表お辞めになられてから、支援されるようになったと。
森本:そうですね。いろんな方からお声がけをいただいて、上場企業じゃないので、全部の取締役会にでなくてもいいんですけど。何か困ったときにサポートするとか、あとはBtoBとか、それぞれの会社でまたつながる場合があるんですね。それで私も回りますし、最近では資金調達のお手伝いとか、組織の成長における課題解決とか、人材紹介とかも多いんですね。
岩本:さっき僕、エンジェル投資家のセッションでコロプラの千葉(功太郎)さんとコーチ・ユナイテッドの有安(伸宏)さんと話をしていたんですけれども、彼らの場合は起業家からイグジットした方だと思うんですよね。
森川さんの場合は、経営者として会社を運用させて外に出られたというので、また起業家とはちょっと違う生き方をされてるじゃないですか。その中で、各社それぞれだとは思うんですが、どういうことを求められてるというのが明確にあるんですかね。
森川:1つはやっぱり、僕自身が大企業を経験したこともありますし、グローバル経験もしているので、そういう大企業とか、海外のパートナーの紹介とか、それをつなぐとか、そこのノウハウがひとつあるのと。
あとはやっぱり、グロースしていく過程の組織的な課題ですかね。そこら辺の相談も多いですね。やっぱりいろいろありますよね。人の入れ替えをどうするとか、リーダーをどう育てるだとか、外部の優秀な人をどう引っ張ってくるか、そういう相談も受けますね。
岩本:新しい方を入れても、企業ごとにマッチしなかったらどう辞めてもらうかも含めて、いわゆるスタートアップの起業家同士だと、けっこう答えが見つからないようなこともあるので。そういう生々しい話も相談できる大人として活躍されてる……。
森本:そうですね。それと本に書いたことも強く相談を……宣伝みたい(笑)。
岩本:『シンプルに考える』という本も読ませていただきました。(C CHANNNELを立ち上げて)森川さんたちが一番変えたいものというか、変えるチャンスだと思ったことというのは、スマホの隆盛みたいなものなんですか?
この間伺ったときは、タイミングが絶妙によかった、48歳で起業するというのに戸惑いはなかったみたいな話だったと思うんですが。その辺ってどうなんでしょうか。
森川:大きく言うと、映像のメディア革命がようやくテレビの次に起ころうとしているというタイミングかなと思っています。映画が始まったときは、撮影する機材と、劇場で始まって、その次は見る文学、テレビとして家庭にきて、そこに生中継という技術が入ってきた。
今回、スマートフォンを中心に、スマートフォンで撮って、スマートフォンで編集して、スマートフォンで見るっていう時代がきて、作る機械と見る機械の両方同時にイノベーションが起こるんですね。
今回、たぶん初めてテレビの歴史が変わるタイミングがきたんだなと思いますね。それで音楽も変わったし、ゲームも変わったし。実は、エンターテイメントで変わってないのは今や映像だけなんです。なので、確実に変わる確信をしてますね。
岩本:わかりました。もう一度組織のお話を伺いたいんですが、10数名とかそんなにいない組織の中で、森川さんがトイレ掃除までご自身でやってるみたいなお話を、ほかのメディアで拝見しました。どういう組織作りをしているから、そういうことをされてるんですか。フラットな組織を作るために、結果的にその役割が分担されるみたいなことなんでしょうか。
森川:そうですね……実は組織というものはいらないじゃないかなって思ってまして。
岩本:うーん、なるほど。
森川:厳密に言うと、5人ぐらいでサッカーをしてる感覚なんですよ。できれば一人ひとりがパスしないつもりで、ドリブルして、シュートをどーんとして。どうしてもダメならパスすると。また次の人がドリブルして…そういう形なので、業務の境界線が限りなくないようにしてるんですよね。
境界線を作ると何か「私ここまで」とか「私の権限はどうするんですか」とか、そういうようになっちゃうので。なるべく柔軟に、かつトップラインで合わせるようにすることによって、速い動きができるようにすると。
だいたい多くの社長の悩みというのは、組織のスピードに人がついてこられないとかいうのが悩みなんですけど、むしろ組織のスピードを早めるためには、どうすればいいのかをやっぱり考えなきゃいけないと思うんですよね。
岩本:比較的自由に動けるチーム作り 。
森川:そうですね。
岩本:そうなったときに、そのトップが引っ張っていく、そこにフィットする新しい方をどうやって見つけてくるかがすごく気になるところなんですが。
森川さんだとキャリアもお持ちで、お声がけできるパスが多いのかもしれませんが、ここに来られている方で言うと、スタートアップでそういう実績があって、声をかけられるという人ばかりじゃないと思うんです。そういう方々がこの柔軟なサッカー型の組織をつくろうと思うと、どういうことが必要になってくるんですかね。
森川:そうですね。たぶんこれからベンチャーの経営者にとって、一番重要な要素というのは、優秀な人を集めてくる力だと思うんですね。これは結局、拡散力、発進力。参考になるのはSkyland Venturesの木下(慶彦)さんとか。
岩本:あそこにいらっしゃいますね。
森川:彼の発信力はすごいですね。
岩本:すごいですよね。
森川:あそこまで目立ってると、やっぱり知らぬ間に人が集まってきちゃうという。そういう発信力、特に何を作りたい、何目指したいのかというのを発信すれば、そのうち共感する人は確実に集まってくるので、その辺りが特に重要かなと思いますね。
岩本:それを実際のものに落とし込んだら、やり方というと、例えばオウンドメディアを作りますとか、起業家の方が自分のサービスについてソーシャルに発信しますとか、そういうことからになるんですかね。
森川:オンラインもそうですけど、オフラインも大事ですよね。
岩本:オフラインですか。
森川:そうそう。フラフラっと東大に行って研究室のぞいて「何やってんの」とか。別に聞いても捕まるわけじゃないですからね。けっこうフラフラしてる経営者も多いみたいですし、こういうイベントで声かけるのもいいでしょうし。単純に名刺交換だけだとよくわかんないですよね。Tシャツにビジョン書いて歩き回るのとか、やってもいいんじゃないかなと思うんですけど。
岩本:こんなことやってますが、こういう人求めてますとか。
森川:背中に「1000万」とか書いてね。
岩本:恥ずかしいとかそんなんじゃなくて、スタートアップとか新しいことをつくるのに取り組むのであれば、自分が恥とか関係なく発信していくことが大事。
森川:そうですね。自分の人生丸ごとメディアにさらすような気持ちで。
岩本:そういう意味では、打ち合わせのときに森川さんがおっしゃった言葉で、ちょっと印象深かったのは、今、森川さんから見られると「起業家に限らず、若い方があまり変化についていけない、変化を恐れてるんじゃないか」とおっしゃられたと思うんですが、そこら辺をもう少し教えていただけないですか。
森川:はい。実は先週も高校生が、「ベンチャーと大企業どっちがいいんですか」みたいなインタビューに来て、大企業が1位で、ベンチャーが2位だったんですよ。大企業の人たちが「ベンチャーはリスキーだ」という話をしたので。結局は何をリスクと捉えるのかみたいな話だと思うんです。結局退職金がでない=リスクみたいな話になると、「そもそも退職金でないんですか?」みたいな。
岩本:終身雇用……。
森川:たぶん、一番のリスクはやりたいことをやらずに死ぬことだと思うんですよね。そう考えると、全く真逆で、死ぬまでにどんだけやりたいことを整理してできるのかを、もっとみんな真剣に考えないと、死ぬ瞬間後悔するんじゃないかなと。
岩本:それに近いところで言うと、大企業の方が、特にスペシャリストがスタートアップのコミュニティに降りてこないみたいな話がよくあるんですが。森川さんはLINEが一番成長しているタイミングで、社名もLINEに変わるタイミングで新しいことを始めようと。しかもその時点で48歳であることを伺って、そこの覚悟とか決断って、何かきっかけがあったんですか? その「新しいことをやろう、飛び込んでみよう」と決めれた理由みたいなところを教えていただけないですか。
森川:そうですね。やっぱり最初は、テレビ局からSONYに入って、当時テレビ局で人はほとんど辞めなくて、僕が辞めるときは取締役会の議題になるほど。30そこそこですよ。そのぐらい大きなことで、実際テレビ局よりもSONYのほうが待遇が良くなかったので。
岩本:年収が落ちたって……。
森川:そうですね。それでSONYから前職へ移ったときも相当落ちましたし。そうなったときに周りがどうなるかとか、自分がどう受け止めるかという、だいたい感覚的にもっていて、結局自分の実力を知るためにはいったん捨てないといけないってことですね。
もしくは実力を上げるためには、肩書きとか名誉とか余計なものがあると、むしろ実力が伸びにくいなってずっと思ってたんですよね。むしろよかったなと。車を捨てて歩き始めていくとか、そういう感じですかね。
岩本:歩き出して半年弱……振り返ってみてどうですか。
森川:成長したんじゃないですかね。申し訳ないですけど、すみません。もういい年のおじさんなんで、みんなあまり興味ないと思うんですけど。
岩本:一番の気づきって何なんですかね。大きい組織から離れて、1階2階の建物から景色を見て仕事をするようになって。
森川:その若い人たちがどういうことを考えて、どう行動してるかというのも見れますし、やっぱりベンチャーですから、お金をかけずにどれだけ賢くできるのかというところも改めて経験をしましたし、あとはベンチャー界隈ってあれですけど、起業家の人たちが考えてる悩みとかそういうのも非常に気づくようになりましたね。
岩本:わかりました。実はここのTechCrunch Tokyoというのは、去年の実績を見ると、3割ぐらいが大企業の方々なんですよ。スタートアップではなくて大手の企業、二分すると大手ですという方、どれぐらいいらっしゃいますでしょうか。
(会場挙手を見て)あ、結構いらっしゃいますね。そうなんですよ。そういうみなさんには、今の森川さんのお話じゃないんですけど、一度全部投げ打って捨てていただいて、新しいチャレンジをしていただくと、日本のスタートアップコミュニティも小さいものじゃなくて当たり前のものになっていくのかな。
森川:そうですね、むしろ何か大企業の中でつくってほしいですね。
岩本:呼んでいただくなり、出ていただくなり、新しい形でつくっていただければと思います。お時間がまもなくというところです。今回はC CHANNELの森川さんにいろいろお話を伺うことができました。みなさん、拍手をお願いできますでしょうか。ありがとうございました。
(会場拍手)
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