2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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盛田哲平氏(以下、盛田):続きましては、高橋晋平さんより「実現成功しやすい企画のアイデアの作り方と選び方」ということで、お話しいただければと思います。よろしくお願いします。
高橋晋平氏(以下、高橋):はい。よろしくお願いします。今からのお話は、高岡さんへのラブレターということで、ぜひ感想なり手厳しいご指導なりを頂戴できたらうれしいな、と思っています。今、かっこいいタイトルで発表されましたけど、僕は基本的に「弱いまま勝つ」ということについて、非常に研究している男でして。
まず、自己紹介を兼ねて「どういうものを作っているか?」というお話なんですけど、バンダイという会社に10年間勤めていて。その10年で一番成功した商品が「∞(ムゲン)プチプチ」とか「∞(ムゲン)エダマメ」という、無限にできるシリーズというものだったんですね。
これの開発のきっかけは、僕は昔から、若干の不安症みたいな子どもで。ずっと物を触ってて。一番顕著だったのは、ボールペンの引っ掛ける部分あるじゃないですか。ここを折ってしまった経験のある人もいるかもしれないですけど。僕、人生でたぶん、120本ぐらい折ってると思うんですよ。今使ってるのも、もう折れてるんですけど。
そういうのをずっと触ってて。「何か、ずっと触る物が欲しいな」みたいなところから、商品が出来ているということなんですよね。これも、まぁすでに弱いエピソードではあるんですけど。
高橋:独立した後もお手伝いさせていただいた商品では「OQTA」という鳩時計で。僕は秋田出身なんですけれども、実家にいる70歳ぐらいの両親の住んでいる家のリビングに、ネットにつながった鳩時計を置いておいて。アプリのボタンを押すと、鳩が秋田で「ポッポ」って鳴いて。
「なんかあいつ、押したらしいな」みたいなことで、親がすごく喜んでくれるという商品で。これも、親孝行をするのにけっこう不器用だった性格があるんですけど、心配は心配で。雑談とかで電話できないけど「ポッポ」はできる、みたいなことで。親と仲良くなりたい、みたいなことだったり。
あとやっぱり、子育て時期に奥さんとイラつきあいまくったことをきっかけに作った「アンガーマネジメントゲーム」という、遊ぶとイライラが減るゲームとか。だいたい、その商品のネタも自分の弱さからきているんですね。個人的に回復したい弱点みたいなことを、おもちゃやゲームで回復しようとしているというのが、1つあると。
そこもあるんですけれども、さっき話した「∞プチプチ」という商品を成功させた時に、そのあと1年半ぐらい倒れちゃったんですよね。もちろん、この商品を作ったということと因果関係があるかどうかはわかんないんですけど。事実として、これを国内外で大ヒットさせた時に、もう「これに人生のすべてを懸ける」ぐらい、やっぱり走ったんですよ。もう「命かける」ぐらいでヒットさせたんですよね。
でもその結果、やっぱり肉体も精神も弱いから倒れちゃった、みたいなことがあって。それはやっぱり、一番だめだなと思って。今は「弱いまま勝つ」ということに、すごくこだわって研究をしているというところがあって。
高橋:その、ものづくりの方法というのが、まず妄想。妄想ってキーワードは、今、流行ってるとは思うんですけど。妄想の妄という字が「女によって我をなくす」という漢字で。
「女の人に夢中になって、わけわかんなくなるぐらい強い欲望」という意味なんですよ。だから妄想というのは、その欲求が爆発する思いなんですよね。空想とはちょっと違う、妄想で。だからヒット商品を考える時に、だいたいロジックで「こういうものが求められてるんじゃないか?」みたいなことからアプローチをしていくと、もう手詰まりになっちゃうから。
自分が絶対に欲しい物。それこそもう「動かずにはいられない」「もう行動せずにはいられない」という欲求とか、解決したい悩みを見つけて。そこからだな、みたいなことでものづくりをしているという。けっこう、自分の欲求起点で物を作ってるんですよね。
さっきの高岡さんのお話の「外の課題を見る」ということと、なにが違うのか? というと、似て非なるというか、一緒だと思うんですよ。それを多くの人を見ているのか、自分という1人の人間、あるいは自分の最愛の妻とか子どもを喜ばせるという。自分ともう一心同体ぐらいの人の欲求じゃないと、僕は動くことができなくて。それでビジネスをやってきている人間です、という話です。
高橋:物の作り方としてやっぱり、最初に「やりたい」とか「これがあったら僕は欲しい」「このサービスだったら、ぜひ受け取りたい」というもので、いてもたってもいられなくなるものを見つけるのが、1発目で。
次に「やれそうだ」というところが来ないと、やっぱり動けないというか。「やれるかわからないけど、突っ込む」って、やっぱりできないんですよ。もう、気が弱いから。
だから「やりたい」と「やれそう」が重なって、ようやく走り出し。でもそれだけじゃだめで。それを10人でも20人でも、その思いを聞いてもらって。それで「売れそう」ってなったらようやく仕事、みたいな順番でやっていると。だから、この流れもどうなのかな? というのも、ちょっとみんなに聞いてみたいところではあるんですけど。これが、弱い僕なりの唯一の順序というかプロセスかな、と思っているってところがあります。
高橋:それを具現化して成功するのはなにか? というと、やっぱり「偶然」としか説明ができなくて。計画的偶発性理論ですね。僕も大好きですけど、みんな大好きな、このお話。これ、もともとキャリア論の話ではあるんですけど、アイデアとか企画の話でも本当に重なると思っていまして。やっぱり「いい偶然を起こすために、計画的行動をせよ」ということで。
僕の場合は一言でいうと「甘えん坊作戦」というか。その欲求が「確かだ」と思ったら、周りの人におねだりして助けてもらう、みたいなかたちでいくんですけど。その時に「言葉にできる」ということは、すごく重要だと思っていて。
だから「やりたい」「やれそう」が重なった時に、ようやく自分の言葉で本音を言うことができて。本音をみんなにしゃべってると、誰かしら助けてくれるみたいなことで、だいたい形にしてきたという感じです。
物の作り方というテーマで、完全に「僕の作り方」みたいなことになっちゃったんですけど。けっこう特殊な話かもしれないですが、やっぱり僕はいろんな人に出会うたびに、そこまで「新規事業でイノベーションを起こして、もう爆裂に走りぬくぞ!」という人って、そうそういないんじゃないかって思っているんですよ。
それでも、やっぱりいいアイデアを持っている人がいるから「そこをうまくやっていける方法があったらいいね。それが共創というアイデアステーションだったらいいね」みたいなことを思っている、という感じですね。以上です。ありがとうございました。もしなんかコメントあったら、もらえるとうれしいです。
盛田:高岡さん。高橋晋平さんのおもしろい視点があるかと思いますけれど。もしよかったら、コメントいただけましたら。
高岡浩三氏(以下、高岡):間違ってないと思いますよ。それは高橋さんも「自分の弱み」を問題と捉えたわけですよ。それで僕はいいと思っていて。じつは日本のこの50年くらいの歴史の中で、日本が果たしたイノベーション、問題を解決した商品ってあんまりないんですよね。本当の意味のイノベーションって、諦めている。
家電製品の中で、唯一、ソニーのウォークマンってそうじゃないかな? と思うわけですよ。それまでは「音楽は家の中の静かなところで聞くもんだ」と思い込んでいたんだけど。今、若い人は最初からスマホがあるから、ソニーのウォークマンってピンと来ないかもしれないけど。あの時代は、世界的に大ヒットしましたよね。
3年ぐらい前に、ある雑誌で記事を読んで。90歳を超えているエンジニアの人が「盛田(昭夫)さんに直接言われた」というエピソードを語っていて。どうしてソニーのウォークマンができたか? というと、盛田さんが当時40年……もっと前かな。ジェット機の時代になって、飛行機でアメリカに頻繁に出張するようになった時。
当時の飛行機って、エンターテイメントの機能がゼロだったんですね。だから本を読むしかなかった。それで退屈でしょうがないから、自分の会社、まだソニーの前身だったらしいんですけど。「俺が飛行機の中で音楽を聞けるような物を作れ」と言った。それがスタートだと。
よくよく考えてみると、一般の人は諦めるわけですよ。だけど、盛田さんだけは諦めなかった。でも「自分の問題」ですよ。その自分の問題を、普通の人は諦める問題なんだけど、あの人は諦めなかった。「飛行機の中で」って言ったけども、結果的には一般の人にとっても、それはすごい朗報で。要するに飛行機に乗らなくても「外で歩きながら」っていう、シチュエーションの問題解決にもなったということですよね。
高岡:ということは、最初は個人の問題解決でもいいんです。だけど、イノベーション道場で盛田さんにも言っているのは「顧客の数が最終的に多くないと、儲けられないよね」って。だから1つのアイデア、問題解決を考えた時に、逆に「その問題解決が、今思っている顧客よりも、もっとたくさんの人に」ということを考えられると、それはもっと大きなアイデアになる。
古い話でいくと、みなさんベビーローションって聞いたことがあるでしょう? 世界的なブランドですけど、これってもともと、赤ちゃんのために作ったんです。ところが、大人も肌の弱い人がけっこういるので「赤ちゃんの肌でも大丈夫だったら、絶対に大丈夫だ」ということで、大人のほうが使うようになる。
そんなふうに、アイデアというか最初のソリューションが極めて限られたターゲットであっても、マーケティング的に「この顧客の問題をもっと拡大していくと、お客さんの数ももっと増える」とすれば、ものすごく大きなヒット商品に生まれ変わるみたいな。
ですからそんなふうに、まずは自分の問題から読み取っていくのが、けっこう一般の人にとっては近道じゃないかな。イノベーション道場でも言っているんですけど、社会のみんなが諦めているような問題解決。要するに、他人が考えていることですから、やっぱり読み取るのってすごく訓練がいる。半年や1年では、とてもとても(難しい)。だからこそ、最初は自分の問題解決から考えていってもいいのではないかと思いますね。
高橋:ありがとうございます。本当にいろんな方が思っていることはあるんだけど、やっぱり「(周囲を)巻き込めない」とか「どうしても1歩を踏み出せない」といった時に、ぜひ僕たちアイデアステーションに声を掛けていただきたいんですよね。
それで一緒に作っていきたいなという思いは、僕個人としても思っているので。ぜひ今日来てくださった方も、アイデアステーションでご一緒できたらうれしいなって思います。すみません。お時間いただいて、ありがとうございました。
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