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”がん”と研究、そして、わたしたち(全6記事)

「がん」は“触れちゃいけないテーマ”じゃない 漂うタブー感を打ち破る、ユーモアあるがん治療支援

SNSを通して、根拠ある医療の情報を発信するプロジェクト「SNS医療のカタチ」が、新たな取り組みとして初めたオンライン座談会「医戸端会議」。第1回目となる今回は「“がん”と研究、そして、わたしたち」をテーマに、SNS医療のカタチのメンバーと、がん治療研究を応援するプロジェクト『deleteC』のメンバーでセッションが行われました。本記事では、がん治療の研究を支援する「deleteC」のプロジェクトなどの事例から、さまざまな施策について語られました。

「がん」と研究についてのトークセッション

ヤンデル先生(以下、ヤンデル):みなさん、こんにちは。『SNS医療のカタチ』です。今日はいっぱい画面に人が映っておりますので、目についた順番に自己紹介を。まずはけいゆう先生、どうぞ!

けいゆう先生(以下、けいゆう):いや、いつものとおりですよね(笑)。

ヤンデル:(笑)。

けいゆう:みなさん、こんにちは。けいゆうこと、山本健人です。よろしくお願いします。

ヤンデル:はい。ありがとうございます。じゃあ次。まず目に映った人からいこう。藤松さん、どうぞ。

藤松翔太郎氏(以下、藤松):みなさんこんにちは~、藤松です。よろしくお願いします。NHKのディレクターをやっていて、deleteC(「みんなの力でがんを治せる病気にする」プロジェクト)を番組させてもらったり、あとはけいゆう先生に『フェイク・バスターズ』という番組で、出演していただきました。よろしくお願いします。

ヤンデル:『フェイク・バスターズ』の立役者ですね。ありがとうございました。じゃあ次は、ほむほむ先生どうぞ! 

ほむほむ先生(以下、ほむほむ):はい。小児科医のほむほむ……? いや、小児科医の堀向です。よろしくお願いします。

ヤンデル:自己紹介で噛むってどうなの(笑)。

ほむほむ:いつも、いつも。お約束。

ヤンデル:もう仕込みなのね(笑)。そしてようこそお越しいただきました、中島ナオさん。ご紹介、よろしくお願いします。

中島ナオ氏(以下、中島):はい。中島ナオと申します。deleteCの代表理事を務めています。他には、こういった髪の毛があってもなくてもかぶれる帽子などをふだんは作ったりしています。よろしくお願いします。

ヤンデル:よろしくお願いします。そしてはじめまして。今日はよろしくお願いします。

中島:はじめまして! お願いします。 

ヤンデル:そして小国さん、自己紹介お願いいたします! 

小国士朗氏(以下、小国):はい。小国士朗といいます。中島ナオと同じく、deleteCの代表理事をやっております。僕も、もともとはNHKのディレクターをやっていて、藤松(翔太郎)くんの先輩だったんですけれど。3年前にNHKを辞めて、deleteCなどいろんなプロジェクトをプロデュースするようなことをやっています。よろしくお願いいたします。

がん治療の研究を応援するプロジェクト「deleteC」

ヤンデル:今回はこのメンバーで座談会、医戸端会議ということでお送りいたします。それではまず最初に、けいゆう先生ですかね。プレゼンの共有をお願いいたします。

けいゆう:はい。ご存じの方も多いと思うんですが、今回お呼びしたお三方は、deleteCという「がん治療研究を応援する」非常に重要で大きなプロジェクトの立役者、中心的なメンバーですね。先日1月30日にHOPEという公式イベントがありましたので、それも併せて最初にご報告していただこうと思っています。

次に、がんとその研究に関して、我々『SNS医療のカタチ』のメンバーがどんなふうに考えているのか? どんなふうに我々が貢献できるのか? といったことを、ざっくばらんに話をさせていただきたいと思います。

そして、やはり報道のプロが来ていますので。NHKの藤松さんは非常に熱い方で、僕は実はけっこう付き合いが長いんですけれども。さっきもおっしゃいましたけど『フェイク・バスターズ』という番組に出させていただいたり。それ以外にもいろいろ取材をしていただいて、もうかれこれ累計数十時間ぐらい取材してると思うんですね。

藤松:(笑)。そうですね。

けいゆう:朝から晩まで一緒にいることもあるし、1日中密着される日もあったし(笑)。とにかく、むちゃくちゃに熱い人ですけれども。なので、そのくらいやっているので意思疎通がよくできていて、僕らのことをもっともよく理解している非医療者の1人、と言ってもいいかもしれないですね。

ヤンデル:ありがたい。

けいゆう:話が長くなりましたが、藤松さんにはマスコミのプロフェッショナルの立場から、どういうことをしてきたか? とか、これからできること。あるいは課題といった面をご説明していただきたいなと思っています。

最後にdeleteCの今後の展望ということで、どんなふうに今後も発展させていくのかというところですね。課題感みたいなものも含めて、聞かせていただきたいなと思っております。

ヤンデル:ありがとうございました。じゃあ今日のメニューですけど、まず「deleteCの意義とHOPEの報告」。これ、まさに今ドッカンドッカン盛り上がってる内容なんですけど。

こちらは? どなたがまずしゃべるのがいいんですか? 

小国:じゃあ僕、小国で。しゃべりまーす。

ヤンデル:では小国さん、お願いします! 

C.C.レモンのラベルから「C」が消されたワケ

小国:よろしくお願いします。deleteCのことを知ってくださっている方も「知らないよ~」という方もいらっしゃると思うので、簡単に。「deleteCってなんだ?」というと、(「C.C.」を消したデザインラベルのC.C.レモンを指して)まぁこういうやつです。

CはCancerの頭文字のCで、delete、それを消すということで。こういった商品ですね。名前に「C」がつく商品なんかから、実際に「C」を消してもらって売ってもらうと。それを買うと、売り上げの一部ががんの治療研究の寄付になるということで。

僕らは「ふだんの暮らしの中で、誰もが参加できる『がん治療研究の応援の仕組み』を作りたい」ということをよく言っていますけれども。これは本当に買うだけで、がん治療研究の応援ができるというところで。

がんの治療研究って、やっぱりちょっと遠かったりもするので。日常の暮らしである経済活動とか日常の行為を通してその距離をぐっと縮めるようなことを、いろんなあの手この手を使ってやっている感じでございます。

実際、これはサントリーさんが「C.C.レモン」からCを消して“ただのレモン”にしてくれて、それを数百万本売ってくれたというようなことがありましたけれども。これ以外にも今、八十数社が参画して。商品を作ってくれる方もいれば、ぜんぜん違うかたちで応援に参加している方もいる。いろんな企業とか個人を巻き込みながらやっている団体になります。

「がんを治せる病気にしたい」という本気の問い

小国:そもそも……もともとはどうやって始まったかというと。今、一緒にdeleteCの代表理事を務めています、中島ナオちゃん。ふだんはナオちゃんと呼んでいるので、ナオちゃんが「がんを治せる病気にしたいんだ」ということで。今から2年ちょっと前に相談しに来てくれて。

その時に見せてくれたこの、MD Anderson Cancer Centerの名刺がきっかけで生まれました。僕自身は、先ほど言ったようにもともとはNHKのディレクターをやっていて。その後はフリーのプロデューサーをやっていて。ぜんぜん、がんの治療研究というのは遠かったんですけれども。

やっぱりナオちゃんとはもともと友人で、いろんなお手伝いを……さっき紹介のあった帽子のお手伝いというものはやっていたんですけれども。本当ど真ん中の問い。「がんを治せる病気にしたい」という、その問いをガチでぶつけてきてくれて。

まぁ、今まで「ちょっとそれは自分にはできない問いだな」と思っていたので、逃げてきたところはあったんですけれども。ナオちゃんがステージ4の状態で2年ぐらい、その時、経過してたかね。

中島:そうですね。ちょうど2年経った時に。

小国:その過程も見ていたので「あぁ、この問いは本気でぶつけてる問いなんだな」というのも、すごく感じて。「じゃあ考えよう」ということで考えたんですけど、なかなかやっぱり思いつかなくて。

その時にパッと見せてくれたのが、この名刺で。この名刺のCancerのところに(打ち消し)線が引いてあるのを見て「あ、これだ!」って。「ナオちゃん、C消そう」というところから始まったのが、deleteCになります。

がんに漂う“なんとなく触れちゃいけない”空気感

ヤンデル:はっはー……。元のこのMD Anderson Cancer Center、MDアンダーソンがんセンターの「がんのところに線が引いてある」。これがきっかけだったということなんですか? 

中島:そうなんですよ。

ヤンデル:へー。

小国:これを見て「すごくいいな」って思って。Cancerのところに線が引いてあるのを、がんの専門病院の方が自分たちでやっているというところに、すごく強い意志も感じたし。

あと、ちょっとユーモアを感じたというか。線がすごく強い線じゃなくて、ふにゃっとした、なんか優しい線なので。

ヤンデル:あぁ。

小国:なんかすごくいいなと思って。この余白感というか。ユーモアというか柔らかさみたいなのがあったんで。「これだ!」と思って、それでdeleteCの仕組みというのがそこで一気にブワッとできて。

あとは「Cを消してくれる企業さんに当たろう」とか「こういったコンセプトって世の中に受け入れられるのか、医療者の方にたくさん話を聞こう」ということで、何十社何十人という医療者と企業に会いに行って。

最初は3人で始めたんですけれども、だんだん増えていって、今では80社ぐらいが参加をしてくれて。ヤンデル先生やけいゆう先生もそうですけど、なにより医療者の方がすごく応援をしてくださったので、企業も乗りやすくなって。

これって、やっぱりやる前は「炎上するんじゃないか?」とか「がんというテーマって、そんなに触っていいんだっけ?」みたいな感じが、すごくあったんですよね。

ヤンデル:あぁー……。

小国:やっぱりちょっと怖いというか。だけど医療者の方、それもがんの治療研究の現場に立ってらっしゃる方が「むしろ、これをやってほしかった」とか「こういうのを待ってた」とか「もっとやれ」っていう熱い声を、SNS上とかで展開してくださったので。

むしろ企業の方も安心して堂々とそれをやれるようになった、という側面があったので。やっぱり当事者の声というか、それはすごい強かったなと思っています。

ヤンデル:なるほど。ありがとうございます。

カルビーやコクヨも参加した『deleteC大作戦』 とは?

小国:今は本当にいろんなことをやってきたという感じですね。(スライドを指して)ここら辺が……。

ヤンデル:『キャプテン翼』。

小国:そうですね。『キャプテン翼』も高橋陽一先生が「おもしろいね」って言って。『キャプテン翼』からCを取って色紙を描いてくださったんですけど、これを売るわけにいかないので(笑)。

ヤンデル:『アプテン(APTAIN)翼』だ(笑)。

小国:(笑)。これをどう使っていいのか、僕らもいまだに考えあぐねているところがありまして。すごいことで、すごすぎることで……これをどうしたらいいんだ? というのが、ちょっとわからなくてですね。

ヤンデル:わかんないな……(笑)。

小国:これはけっこう強烈な、世界に1枚しかない色紙なんですけど。

ヤンデル:どうすればいいんだ、これ。

小国:本当に頭を抱えるぐらいすばらしいことで。啓発とかで使わせていただいているんですけれども。

ヤンデル:へ~、知らなかった。

小国:(スライドを指して)これはSNS投稿を通して、がんの治療研究を応援しようという『#deleteC大作戦』。がん征圧月間の9月にやりました。

これはコクヨさんのキャンパスノートとか、カルビーさんとか。ユーザーが「Cを思い思いのかたちで消してSNSへ投稿」すると、1投稿あたり100円の寄付がこれらの企業からされていくという仕組みで。企業とユーザーがガッチャンコ(一緒に)してやるといったところ。本当にたくさんの投稿が来ました。

そんなことをやっていったら、ここに貼らせていただきましたけれど、ヤンデル先生とかけいゆう先生とか、勝俣(範之)先生とか。たくさんの方が応援をしてくれて。これは本当にありがたかったなと思いました。

ヤンデル:いや、いや。

小国:結局、3週間で9,301件の投稿が集まって、Twitter上で3,000万人以上にリーチしていったというアクションでした。

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