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「銭湯ぐらし」が生み出すビジネスの可能性〜銭湯×コミュニティ×まちづくり〜(全11記事)

くらしの中に「つくらない時間」を作る––“旅と銭湯”で生まれる、新しいお風呂体験

2017年12月20日、BETTARA STAND 日本橋にて、「『銭湯ぐらし』が生み出すビジネスの可能性〜銭湯×コミュニティ×まちづくり〜」が開催されました。高円寺の銭湯「小杉湯」のとなりにある、風呂なしアパートから生まれたプロジェクト「銭湯ぐらし」。銭湯と風呂なしアパートを拠点にしたオープンイノベーションプラットフォームとして様々な取り組みを行ってきた「銭湯ぐらし」のメンバーたちが、約1年弱の軌跡と銭湯にかける熱い想いを語ります。本パートでは、デスティネーションプロデューサーの宮早希枝氏が登場。「伝える銭湯」として、旅行×銭湯の可能性と、プロジェクトの広報としての思いを語りました。

地域と外国人旅行者を8の字で繋げる

宮早希枝氏:はじめまして、宮と申します。よろしくお願いします。私はあんちゃん(大黒健嗣氏)の話はお酒を飲みながらいつも聞いているので、もう一杯飲んでいるんですけど、自己紹介からさせていただきます。

「伝える銭湯」の宮早希枝と申します。よろしくお願いします。長野県出身なのですが、転勤族なので、東北とかけっこういろんなところで育ちました。

2009年から広告制作会社で営業として、いろんなメーカーさんとか不動産とかの営業みたいな感じで、プロモーションの領域に携わっていて。2017年に独立して、フリーランスとして旅を作ったりとか、不動産とかディベロッパーのブランディングとか、プロデュース領域のコンサルティングをしたりしています。

メインのお仕事は、この「wondertrunk & co.」という会社に参画していて、旅を作っています。

どんなことをしているかと言うと、(スライドの日本地図の)東京と京都、大阪にドーンと赤い棒が立っているんですけど、これは外国人が日本のどこでWi-Fiを使っているかというアクチュアルデータで、この赤い棒が立っているところ以外の青い地域を、海外にプロモーションしていこうという会社です。

インバウンドと旅行情勢というのを、地方の自治体とか県とか、JNTOさんと一緒に協力してプロジェクトを作っています。

なんか会社紹介になっていますけど、この会社のコンセプトが「日本の地方を、世界の旅行地に変える」というもので。相互理解促進と異文化交流という、地域と外国人旅行者を8の字で繋げることで、ただただいっぱい呼んできて一瞬ブームを起こして去るのではなくて、ちゃんとその文化を理解してもらうような旅行作りをしよう、というのを心がけている会社です。

私はこの会社の考え方がすごく好きで、これからご説明するやりたいことにも、この8の字がすごく生きてきているなと思っています。

そんなこんなで8月から入ったんですけど、もう五島とか西表とか、ベルリン、イギリス、瀬戸内、北海道も行ったかな。13箇所以上、海外に2箇所以上出張していて、ほぼ東京にいなくて。あんちゃんとかと打ち合わせをするときに、「宮さん、この日は空いているの?」じゃなくて、「この日、東京にいるの?」って最近言われています。

「つくらない時間」は働いている人みんなに必要

最近わかったのが、私にとっての銭湯というのは、旅から帰ってきたときの銭湯の気持ちよさが尋常じゃなくて。銭湯ぐらしをしているからかもしれないんですけど、さっきあんちゃんが言ったように、「つくらない時間」というのはアーティストだけじゃなくて、こういうフリーランスとか、働いている人みんなに必要な時間だなと私は思っていて。

全部オフラインになって、情報も遮断して、1回リセットして。番台に出ると銭湯ぐらしの仲間がいて、「ひさしぶり」みたいな感じになって。自分を浄化する時間、浄化スポットが私にとっての銭湯です。

それは旅も同じだと思っていて。私は旅も銭湯も、日々の情報とか思考をいったんリセットする、くらしの中の「余白」の時間だと思っています。

その余白の時間を、旅とお風呂を通じて、どう楽しく新しく過ごせるかというのを考えるお仕事というのを、これからやっていきたいなと思っています。

じゃあ具体的にどんなことをしていくのかというと、新しい余白体験づくりというのと、デスティネーションというのは観光用語なんですけど、「旅行地」という意味で。旅行地としての目的地としての銭湯というのと、あと「銭湯ぐらし」の発信という、この3本をこれからも銭湯ぐらしのメンバーと一緒にやっていけたらなと思っています。

私が銭湯ぐらしを始めたきっかけですが、もともと広告制作会社にいた時に、銭湯ってPRが下手くそだなと思っていて。「広告会社が銭湯に入っていったら、もっと銭湯っておもしろい場所になるんじゃないか?」とか、あとメーカーさんの新しい商品にどうやって価値をつけるかみたいなのを日々考える仕事だったので、「銭湯をお風呂だけじゃない価値をつけるとしたら、どんなことができるんだろう?」って思って、近所の小杉湯の佑介さんに相談しに行って。

そうしたら「みんなで一緒にアパートに住まないかい?」みたいな相談をされて、なんておもしろい相談だろうと思って会いに行きました。そうしたら、けっこうみんないい人で、すごく特徴的というか。すごくいい意味で個性的で、あまり普通の人がいなくておもしろそうだなと思って入ることに決めました。

銭湯を通した新しい余白体験を考えたい

あと、私、阿佐ヶ谷に旦那さんと一緒に住んでいるんですけど。隣駅の高円寺に、結婚してから2拠点目の生活を持つというのがすごく楽しいんじゃないかと思って。部屋も好きにしていいって言うから、友達と一緒に壁にペンキを塗ったりとか、(スライドの)これは弟なんですけど、(壁を)塗ってみたりとかして部屋をきれいにして。

自分の部屋を結婚してから持つという、この2拠点生活が楽しすぎて。この話をし出すと私は1時間しゃべるので、またあとでちゃんとご説明はしたいと思うんですけど、そういう理由で私は始めました。

もともと広告会社にいた時に入ったので、PRとか、企業と銭湯を結ぶ、そういう役割で参画をしたつもりです。

その新しい余白体験づくりというのが、私にとっては、例えば自転車屋さんとか、電車とか、あと不動産ですね。今、不動産のブランディングもしているんですけど、「銭湯とあまり関係ない企業とか人を結びつけてどうやって新しい体験を作るのか?」というのが、私が今やりたいなと思っていることで。

今の銭湯ぐらしも、下の、アート、ミュージシャン、あと(菅谷)真央とかフォトグラファーだし、加藤ちゃん(加藤優一氏)は建築家だし、そういうあんまり銭湯と接点がなかった人たちをどうやって連れてきて、おもしろい体験を作るのかというのは、私にとっては今すごくおもしろいコンテンツの1つで。そういう企業や人を結びつけて、銭湯を通した新しい余白体験を考えるというのをやっていきたいなと思っています。

私、オフィスって風呂が必要だと思うんですよ。けっこう社畜的な働き方をしていたのもあるんですが、働いて、余暇の時間にちょっと銭湯に入って頭をスッキリさせて、もう1回戻って打ち合わせするっていうことがもしできたら、それはすごく新しいオフィスのかたちになるだろうし。というようなことを、不動産の人たちと一緒に考えたりとかして。

そういう、銭湯をただの公衆浴場じゃないところにしたいと思っています。

ゴールデンルートに飽きた旅人が楽しめる銭湯体験

2番がデスティネーションとしての銭湯ということで、海外からの視点です。海外にしばらく行っていて日本に戻ってくると、「これってすごい日本体験だな」って日本人の私でも思うんですね。

外国人の友達もいっぱいいて、銭湯に連れて来ると、やっぱり最初の敷居がすごく高くて。「入っていいのかな?」とか、「本当にみんなの前で裸になるの?」とか、そういう最初の一歩が踏み出せないというところがあるので。今の若い人もそうなのかもしれないですけど、そこを取っ払いたいなと思っています。

これは全部私が行ったことのある温泉なんですけど、これがスイスで、ここがオーストラリアで、ここらへんもスイスなんですけど。オーストラリアには実は「お風呂屋」という銭湯があって、本当に銭湯のかたちをしていて、ちょっと御飯を食べられるところがあって、日本人が経営してるという銭湯があったりとか。

あとは、日本が大好きすぎて、5年ぐらいかけて10億ぐらい突っ込んで山1つ温泉にしちゃった人がいるとか。あとスイスは、公衆浴場というか医療用として使われていて、みんな水着を着て入るんですけど、温泉に浸かるということ自体はそんなに受け入れがたいものではないと思うんですね。

今のwondertrunkでやっているものもそうなんですが、ゴールデンルートに飽きた旅人が楽しめる銭湯体験をつくるにはどうすればいいかを考えたりもします。東京タワーに行って、秋葉原に行って、原宿に行って帰る。じゃあ、次来たときになにをするかっていうときに、もうちょっと地元の人とか東京に住んでいる人とコミュニケーションを取れるような銭湯体験というのは、1つ、旅のコンテンツとしてあるんじゃないかなと思っていて。それをまず東京でやりつつ、それを地方に持っていけたら、すごく最高だなと考えています。

3つ目が「銭湯ぐらしの発信」ということで、さっき佑介さんもさらっと言っていたんですが、メディアを立ち上げました。

読みもの」というもので。もともと銭湯ぐらしのページはあったんですけど、人の紹介しかなくて、そこに住んでいる人がどういう思いで暮らしていて、どういう生活をしているのかというのを、ちゃんと伝えるものがなかったんですね。

別にこれはメディアで有名になりたいとか、メディアで稼ぎたいなとはまったく思っていなくて。私が思うのは、銭湯ぐらしというのは銭湯がメインなわけではなく、人がメインな活動だと思っているんです。

色とりどりな物語を生み出すプロジェクトを発信していきたい

たぶん、この中で銭湯マニアと言えるのは塩ちゃんぐらいなんですよ。このイラストレーターの塩谷(歩波)ちゃんは、ちょっと引くぐらい銭湯が好きで。「水風呂の温度とか、サウナの温度はシングルって言うんだよ」とか、よくわからない言葉で話してくるんですけど、そういう人はもちろん必要で。

ただそのほかの人たちは、もちろん銭湯が好きで、銭湯のある生活も大好きなんですけど、銭湯という場所を通して自分がやりたいことをちゃんと持っている人たちだったのが、今回すごくいいプロジェクトだったなと思っているんですね。その人がどういう思いで銭湯のあるくらしをしていて、どういうことがしたいのかというのをちゃんと伝えるものがほしいと思って、これを作りました。

この四角の、ガワちゃんって言うんですけど、ドラえもんに似た男の子でものすごく神のような子で。ヤフーで働いているんですけど、すべてこれ(読み物メディア)を作ってくれています。

そんな銭湯と人との、色とりどりな物語を生み出すプロジェクトを発信していきたいと思っているのですが、このアパート自体は……さっき言ったのかな? ちょっと聞いてなかったんですけど、もうすぐ壊しちゃうんですね。

なくなって新しい建物になるんですけど、それがなくなったあとに、じゃあみんなでどういうことをしていくというのも、引き続きここで発信していきたいなと思っているので、お楽しみに。ぜひ見てください、という宣伝でした。以上です。よろしくお願いします。

(会場拍手)

平松佑介氏:ありがとうございました。「みやべえ」って僕らは呼んでいるんですけど、今「人がすごくおもしろい」ということを言ってくれていて、僕もそれはすごく、このプロジェクトをやる上で本当によかったというか、みんなと出会えて本当によかったと思っています。

僕はもともと創業した会社で採用のコンサルをやっていたので、採用活動が得意で、いい人を見つけると採用したくなっちゃうという癖がありまして。けっこう小杉湯を通していろんな人に出会っていくなかで、例えば取材を受けるとか、メッセージで連絡をもらうとか、そのたびにいろいろ話し込んで、結局プロジェクトメンバーに巻き込むみたいなことをけっこうやっていて。

ライターさんなんかも、取材を受けて、取材で答えた結果、いろいろ話して、結果的になぜか意気投合して銭湯ぐらしのライターをやってもらうみたいな現象が起きて、みんなを驚かせたりしていますが、そうやっていろんな仲間とやりとりをしています。

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